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2023.06.05

従業員エンゲージメントはなぜ必要?要素と高めるポイントを解説

2023.06.05

従業員エンゲージメントはなぜ必要?要素と高めるポイントを解説

人事制度・組織づくり

「最近、些細な出来事がきっかけとなり、社員の退職が続いている気がする」 「日本企業は従業員エンゲージメントが低いと聞いたことがあるが、どうしたらエンゲージメントを高められるのか分からない」 労働力不足が続く日本企業で、社員に会社に留まるのみならず、ポテンシャルを最大限に発揮してもらうためには、従業員エンゲージメントは欠かせない要素でしょう。 しかし従業員満足度と何が違うのか、あるいはエンゲージメントを高める方法が分からないという声もよく耳にします。 今回は、どのような企業にも求められる従業員エンゲージメントについて、その定義から、エンゲージメントを高めるメリットや高めるためのポイント、事例までご紹介します。 従業員エンゲージメントとは何か 従業員エンゲージメントとは、従業員が自発的に「会社や仕事に貢献したい」と感じる意欲のことです。「愛社精神」や「愛着心」とも呼ばれることがあります。 英語の「エンゲージメント(engagement)」には「契約」という意味が含まれており、従業員と企業間での強くて固い結びつきをさす言葉です。 人事管理の分野でエンゲージメントの概念を最初に導入したのは、1990年のボストン大学カーン教授の研究です。従業員の仕事への心理的な没頭度合いが、個人の成果や企業業績を左右するという見解を示しました。 その後2007年にASTD(American Society for Training & Development)で組織エンゲージメントに関するレポートが発表され、欧米を中心に従業員エンゲージメントの概念が浸透していきました。 従業員満足度との違い 従業員エンゲージメントと似た概念として、従業員満足度が挙げられます。 Employee Satisfactionを略して「ES」と呼ばれることもあります。 従業員満足度とは、労働条件や働く環境に左右される「外発的動機付け」の要素が大きい概念です。 外発的動機付けは満たされていないと不満につながってしまうものの、条件がよければよいほど社員のモチベーションにつながるわけではありません。 一方、従業員エンゲージメントは、自身の興味や好意によって内側から沸き起こる「内発的動機付け」に該当します。 給与に代表される労働条件ではなく、企業のミッション・ビジョンや仕事の意義に共鳴し、その達成のために自ら貢献したいと思っている状態が、エンゲージメントが高い状態といえます。 従業員エンゲージメントが重要視される理由 従業員エンゲージメントが重要視される理由のひとつとしては、昨今の日本の労働力不足が挙げられます。 社員がポテンシャルを最大限に発揮し、中長期にわたり自社で貢献してもらうためには、エンゲージメントが重要だからです。 単に給与等の労働条件のみで自社にいる社員ばかりであれば、他社からもっと高い給与を提示されれば、転職してしまう事態も招きかねません。 また、昨今の新型コロナウイルスの影響でリモートワークが浸透したこともあり、従業員のエンゲージメントがさらに重要視されるようになりました。 例え非対面の働き方であっても、自律的に組織に貢献しようと思うエンゲージメントの概念が、あらためて必要だと感じている企業が増えたのではないでしょうか。 日本企業の従業員エンゲージメントの状態 日本企業の従業員エンゲージメントの状態は、残念ながら決して良好とはいえません。 日本で急速に従業員エンゲージメントが注目されたきっかけは、2017年に米国の調査会社ギャラップによる従業員エンゲージメント調査です。調査結果では、日本企業の「熱意あふれる社員」の割合はわずか6%で、調査国139ヵ国中132位と最低ランクに近い順位だと判明したのです。 参照 ※4:【日本経済新聞】「熱意ある社員」6%のみ 日本132位、米ギャラップ調査 この衝撃的な調査は多くのメディアで報じられ、日本企業で「従業員エンゲージメント」という概念の認知が広がっていきました。報酬や労働環境への満足を超え、従業員自身の内側から沸き起こるエンゲージメントは、多くの日本企業では目新しい概念だったのです。 エンゲージメントを高めるメリット 従業員エンゲージメントを高めるメリットについて、数値で検証されている2点について紹介します。 業績向上が期待できる 従業員エンゲージメントの重要性が世界的に広まったのは、エンゲージメントが企業業績や生産性向上へ寄与することが、データで明らかになったからです。 米国ウイリス・タワーズワトソン社の調査では、「持続可能なエンゲージメント」が高い企業は、低いエンゲージメントの企業に比べて、一年後の営業利益率の伸びが3倍であったという結果が出ています。 さらに日本でも2018年にリンクアンドモチベーションと、慶應義塾大学ビジネス・スクールの共同研究により、従業員エンゲージメントの向上は、営業利益率および労働生産性向上に寄与することが分かりました。 参考:「エンゲージメントと企業業績」に関する研究結果を公開 このような調査結果を基にして、企業規模を問わず従業員エンゲージメントを高める動きが加速するようになったのです。 離職率の低下につながる エンゲージメントが高い状態の従業員が多いと、従業員の定着力を上げることができます。 企業によるエンゲージメント向上のための取り組みは、組織へ愛着を持ったり、この企業で働く意味を見出したりする社員を増やすための活動です。 実際にある調査では、エンゲージメントの高低によって、離職率に差が生じていることも実証されています。 参考データ:「Driving Performance and Retention Through Employee Engagement」CEB社 労働力不足に悩む企業が多い昨今の状況では、従業員の離職を防止できることは大きなメリットといえるでしょう。 従業員エンゲージメントを構成する3つの要素 従業員エンゲージメントを高めたいと考えるのであれば、まずはどのような場合にエンゲージメントが高まるかを理解する必要があります。 ここからはエンゲージメントが高まりやすい3つの要素について紹介します。 1.貢献 組織で仕事をしている以上、自分の動きが誰かの役に立っている貢献感は欠かせません。 例え「議事録を取る」「リマインドメールを送る」のような小さな動きであっても、相手から「ありがとう。助かりました」のような反応が得られると、さらに自発的な行動が加速します。 2.成長 仕事を通じて、これまでできなかったことができるようになれば、よりモチベーションは上がります。 特に若手社員は「成長」や「スキルアップ」を重視する傾向があります。 仕事を通じて自分ができる範囲が広がる環境であれば、環境に対しての感謝とともに、さらに成長を通じた貢献をしたいと感じるはずです。 3.実現 自分がめざすビジョンに対して、現状の仕事が役立っていると思うことは、エンゲージメントを高めやすいポイントといえるでしょう。 会社で過ごす時間や仕事に費やす時間は少なくありません。 その時間を「自分のキャリアプランの実現に意味のある時間だ」と感じることは、報酬等の条件では得がたい経験と思えることでしょう。 従業員エンゲージメントを高める6つのキーポイント 従業員エンゲージメントを高めたいと思った際に、参考にしていただける6つのポイントをお伝えします。 経営方針・トップの経営手腕への信頼 会社員である以上、トップの経営方針や手腕はエンゲージメントを左右する重要要素です。 企業経営は、いわば船旅と一緒です。 舵取りが信頼できないと、乗組員は安心して仕事をすることができず、仲間との結束も揺らいでしまうでしょう。 経営の状況や戦略を定期的に社員と共有し、積極的にコミュニケーションをとることが大切です。 働きがい・働く誇り 仕事を通して自分を高められる、または、社会に貢献できるといった働きがいと誇りが、自発的な仕事へのコミットメントにつながります。 同僚との良好な関係 互いを尊重し協力し合える職場の人間関係は、職場での安心感や所属意識、働く楽しみを与えてくれます。 同じ目標に向かい協働していくためには、良好な人間関係が欠かせません。 自分の意見を聞いてもらえる・評価してもらえる環境 自己肯定感を得られないと、人は不満を抱えるものです。自分の頑張りを正当に評価してもらえる環境はやる気の維持には不可欠です。 自分のキャリアの将来性 その企業で働き続けることに対する不安は、離職に直結します。 優秀な人ほど自分の将来について真剣に考えており、将来への見通しは働きがいとつながっているのです。 企業の職場環境改善への取り組み 昨今は「仕事に集中できる環境作り」「ライフプランに応じた働き方の選択」が企業に求められています。 会社が働く環境を改善するために、さまざまな施策に取り組む姿勢は、従業員の会社への愛着心とやる気を高めるでしょう。 従業員エンゲージメントを高めている好事例 最後に、従業員エンゲージメントを高めるために、参考となる事例を2つ紹介します、 スターバックス コーヒージャパン コーヒーチェーンのスターバックスは、従業員が学士号を取るための資金サポートを行うといった、ユニークな経営でも知られています。日本のスターバックスでも、自己研鑽への補助を行い、従業員が業績向上のためスキルを磨くサポート制度があるのです。 さらに、このようなサポート制度だけではなく、働き方に関する根本的な考え方も他社とはやや異なっています。チェーン展開をする飲食店としては珍しく、マニュアルがほぼ存在しないというのもその一例でしょう。 マニュアルで従業員を管理するのではなく、アルバイトやパートタイマーを含めた全スタッフを「パートナー」と呼び、理念に共感してもらうように働きかけているのです。 現実的には、数多くのスタッフの行動をマニュアルで管理・規制するのは至難の業でしょう。そこで、スターバックスでは従業員エンゲージメントを高めることで「自律的」「自発的」に、顧客や店舗のためを思った行動を促しているのです。 参考:マニュアルのないスターバックスは、なぜエンゲージメントを高められているのか(前編)    マニュアルのないスターバックスは、なぜエンゲージメントを高められているのか(後編) LIXIL LIXILは、浴室やキッチン等、生活回りの住設メーカーです。 昨今は、人口減少にともなう新築工事の減少が予測されていることもあり、現在の顧客とのつながりの強化が求められていました。 そこでLIXILでは、従業員エンゲージメントと顧客ロイヤリティの関係に着目しました。 具体的な施策としては、エンゲージメントサーベイの月1回の実施です。 かつては一年ごとに従業員満足度調査を行っていましたが、より短いサイクルでタイムリーに従業員の意識をつかむ必要があると考えました。そのため、エンゲージメントサーベイを月1回の頻度で実施し、定点観測することにしたのです。 サーベイの結果を受けて、従業員エンゲージメント向上のための具体的な取り組みも展開しています。情報共有システムを活用し、社員が必要としているサポートをリアルタイムに把握する取り組み等がその一例です。 参考:LIXILが実践する従業員エンゲージメント向上と顧客志向の徹底 まとめ 従業員エンゲージメントの考え方は、従来の日本企業では馴染みが薄かった概念であるかもしれません。 しかし、ビジネス環境が複雑化・グローバル化し、日本独自の雇用形態や人事制度が企業競争力につながりにくくなった昨今、無視できない概念といえるでしょう。 いま一度、従業員の持てる力を発揮してもらうため、従業員エンゲージメントを高める取り組みに目を向けてはいかがでしょうか。

2023.06.01

チームのモチベーションを上げる3つのグループワーク

2023.06.01

チームのモチベーションを上げる3つのグループワーク

人材教育

人事制度・組織づくり

いつまでたっても業績が伸び悩むチームほど、メンバーのモチベーションが低く、一緒に働く意識が薄いものです。最近では、社員同士が尊重し合いフォローできる絆こそが競争力のある強い組織を生むと、企業意識も変化しており、「チームビルディング」という考え方を組織づくりに取り入れる企業が増えています。 なぜチームビルディングが必要? チームビルディングは、目的を達成するために一丸となって取り組む強い組織をつくることを意味し、メンバーや社員の意識改革を主眼としています。 職場の人間関係が薄くなると何が起こるか 業務成績や効率を突きつめるあまり、同じ部署内でもコミュニケーション不足が重なり、人間関係が希薄になってくると何が起こるでしょうか。チームとしての一体感がなくなり、自由な発言や互いのサポートが妨げられ、個人の能力も埋没していきます。 これでは生産効率も下がり、難しい問題に直面しても対処できなくなります。さらに、達成感の得られないメンバーはモチベーションを下げる一方で、人材も育っていきません。 信頼関係が問題解決能力やアイデア力を高める! チーム力をアップさせるには、まず個々の能力や技術を認め合い、信頼できる関係を築くことが大切です。それが、適切な役割分担や風通しの良い意見交換の場を生み、ひとり一人の仕事に対する主体性につながるからです。 お互いを尊重し合い、協働意識を持つことで、問題への解決能力も高まり、新しいアイデアの共創も活発化します。メンバー全員が同じ目的へ全力投球できる職場環境こそが、競争力のある強い組織をつくるのです。 グループ活動を通してチーム力を上げよう! チームビルディングでは、目的に応じてさまざまな参加型研修や、合宿・ワークショップなどのグループ活動が行われます。部署内、部署間だけでなく全社を対象としたものから、マネージャークラスのチームビルディング力を養成するものまで、さまざまな活動があります。 代表的な手法は、ゲームやレクリエーションといった遊びを通してチーム内の緊張を解き、お互いが知り合える機会を提供するものです。1日ワークショップや合宿という形式で行なわれることが多いようです。共同作業や共通の成功体験を通して得られる仲間意識は、チームの結束力を高め、モチベーションアップにもつながります。 実践されているチームビルディングの実例 Good&New 緊張を解き、コミュニケーションを円滑にする手法。24時間以内に起こったよかったことや、新しい発見を発表し合うことで、ポジティブ思考を学び、発表者の人柄についても学びます。 ビジネスゲーム ビジネスを模擬体験できるゲームを通して、自分の役割と他人の能力に目を向けます。 パンパープランク 高さ8mの台の上から2m先のブランコに飛びつきます。命綱はチームメンバーが持ち、挑戦者をサポートします。自分の挑戦心だけでなく、仲間の助けでひとりでは成し得ないことも可能になることを学びます。 イベント的な取り組みだけでなく、地道な研修やミーティング形式での取り組みもあります。数カ月から半年間に渡り、意見交換の場を定期的に持つことで、問題解決へオープンな話ができる風土が社内でつくられたり、そのプロセスを通して協働意識が高まり、相互の理解や信頼が生まれる例もあります。 チームプレーが企業成功のカギ 職場とは、いわばチームスポーツです。ひとりのスタープレイヤーがいても勝利が手にはいるとは限らず、チームがどれだけ共に戦えるかが勝敗を分けます。チーム内の人間関係を深めることが、シナジー効果を生み、本来のチーム力が発揮されるような組織づくりは、今後ますます企業を成功に導く重要課題になっていくでしょう。 参考サイト: 「チームビルディング・アクティビティの種類」 JTBA 「成果を上げるチームを作る!今、注目のチームビルディング・アクティビティとは」 マックスパート 「チームビルディングの重要性と団結力を高める方法」 キャリアパーク  

2023.06.01

成果主義を人事評価に活用するメリット・デメリット

2023.06.01

成果主義を人事評価に活用するメリット・デメリット

人材教育

会社が高い業績を上げるためには、社員がモチベーション高く働けることが重要です。人事評価がしっかりされていると、社員の仕事に対するモチベーションも上がります。あなたの会社は的確な人事評価がされていますか?そこで、社員のモチベーションアップにつながる人事評価をするにはどうすればよいのか見てみましょう。 多くの会社が取り入れている成果主義 人事評価制度の1つの方法である成果主義。今では多くの企業で取り入れられています。成果主義が社員のモチベーションや会社の業績を上げるのに役立つと考えている経営者や人事担当者も多いのではないでしょうか。 しかし、成果主義は良いことづくめとは限りません。成果主義を取り入れることによって会社と社員に起こりうる、メリットとデメリットをみていきましょう。 成果主義のメリット ・社員の働くモチベーションアップ 成果主義は、特に短期的に結果が出しやすい業務では、社員のモチベーションを高めやすいといえます。自身の工夫や努力が評価に直接結びつくため、更に頑張ろうという気持ちにさせるのです。 ・社員の能力アップ 仕事の成果を高めるために、社員は自身のスキルアップや自己啓発を図ることが期待できます。自身の能力をアップさせ、与えられた業務以上の結果をだすことで評価に繋がります。 ・向上心のある社員が集まる 能力に自信がある人や、努力して成果を出そうという意欲のある人は、成果が評価に直結する会社を選びやすいと言えます。結果的に、向上心のある社員を多く確保できるメリットがあります。 成果主義のデメリット ・チームワークがなくなる 個人プレーに走ってしまい、どうしてもチームワークが軽視されがちとなります。こういった社員が一人また一人と増えることにより、オフィスの空気が悪くなってしまいます。 ・成果を測り辛い業務もある 裁量が無くマニュアル通りにこなす業務や、長期に渡る研究プロジェクトなど、短期的な成果が測り辛い業務もあります。そのような場合、評価基準を社員とよく話し合わないと評価の納得感が得られなかったり、離職を招く原因になったりします。 ・リスクのあるチャレンジをしなくなる 成果主義は、ともすると大きなミスが自己評価を下げることにも繋がるため、無難なレベルの業務ばかりを選んでしまいます。うまく運用しないと、社員や会社全体がチャレンジを避ける要因になってしまい、将来的には他社との競争力も低下してしまうことになります。 成果主義と上手に付き合うためのHOW-TO 成果主義で社員のモチベーションをアップさせるためにはどうしたらいいのでしょうか?成果主義を理解し、上手に付き合うための3つのHOW-TOを確認してみましょう。 1.数値だけで評価してはいけない 数値成果だけを評価してはいけません。仕事の質や、成果に至るまでのプロセスも含めて評価しましょう。例えば、営業の売り上げ目標成果だけを評価するのではなく、例えばクライアントの満足度を含めて評価します。 2.目標達成のレベルを考える ゴールを明確にし、上司から部下へ共有しましょう。ゴールを明確にすることで、いつまでに何をすべきかが明確な目標として見えてきます。 3.質の高い評価者を育成する 成果主義は、評価者の役割が非常に重要です。目標設定の方法や目標をどう納得してもらう方法や共有方法、部下をどうやって目標に挑戦してもらうかなどの方法などを研修し育成します。 成果主義を成功させるために 成果主義を成功させるためには、目標成果を評価するだけではいけません。明確なゴールを設定し、ゴールに向けてどのように働きどのように成長しているのかをしっかり把握してこそフェアな成果主義を行っているといえるのではないでしょうか。成果主義を上手に取り入れて、社員ひとりひとりの働くモチベーションアップを目指してみましょう。 こちらの記事も読まれています: “世界最高の職場”Googleにみる、人事の未来のあり方—「エンゲージメント」について考える 参照サイト: 人事部が社員の評価をしてはいけない|日本の人事  

2023.06.01

グローバル人材に求められる5つのスキル

2023.06.01

グローバル人材に求められる5つのスキル

人材教育

人事制度・組織づくり

ビジネススキル

現代のビジネスで必要とされるグローバル人材とは、国内外を問わず世界的な視野でビジネスを展開できる人を指します。そのような人材になるためには、どういった能力を身につける必要があるのでしょうか。 グローバル人材になるために身につけるべき5つの能力 海外市場を視野に入れたビジネスでは、英語をはじめとした語学力が問われるのは当然のことで、これは専門知識と同様、ビジネスパーソンとしてのスキルのひとつです。また、優れたグローバル人材となるには、スキルや実務能力以外にも、「EQ(心の知能指数)」を指標とする5つの能力が求められます。それらを以下に挙げてみましょう。 既成概念に捉われない柔軟思考(ビジョナリーシンキング) 「グローバルビジネスに必要な人材「イノベーションリーダー」に求められる能力と資質とは?」でも触れたように、グローバルビジネスでは新需要の発掘や異業種コラボといった、既成概念を突き破りイノベーションを起こす力が求められています。イノベーションには、柔軟な思考回路であるビジョナリーシンキングが欠かせません。 コミュニケーション力 いくら外国語が流暢に話せても、人とコミュニケーションが取れなければグローバル人材としては力不足といえます。コミュニケーション能力とは、自分の意見をしっかりと伝えながらも、相手の意見を受け入れる力です。それは、相手が異なる文化背景で育った人であっても通用しなければなりません。 ダイバーシティへの理解力 自分とは異なる「多様性が持つ価値」を受け入れることは、簡単なことではありません。誰もが生まれ育った国や環境から形作られた価値観を、自分の軸として持っているからです。国籍や文化・教育、生活習慣も違うビジネスパートナーであっても、相手の価値をそのまま認めることが大切です。 変化対応力 慣れ親しんだ日本のビジネスや文化習慣を離れ、現地のそれに即対応できる適応力が必要です。柔軟性に欠ける姿勢は、現地でトラブルの原因となります。こうした対応力は、上記のようなダイバーシティへの理解が軸となり、価値観の差に興味や関心をもつことで備わるものです。 セルフエンパワーメント セルフエンパワーメントは、自ら成長していく努力を怠らない持久力であり、困難に直面しても折れないポジティブな心の強さでもあります。海外ビジネスでの取引や現地の勤務で逆境に直面したときに、それを成長のための刺激として乗り越える力が必要です。 このように、グローバル時代の人材開発では、パーソナル・グローバリゼーション=個人レベルのグローバル化がポイントとなります。 スタープレイヤーではなくリーダーを育てる 以上のことから、グローバル人材はひとりのスタープレイヤーのことを指すのではなく、チームや組織のまとめ役として協働しながら企業の競争力を強化できる人材であることがわかります。今後は、こうした視点から自社に求められる人材像を明確にし、教育のあり方を再考する必要があるようです。 こちらの記事も読まれています: グローバルマインドを育てる!「異業種交流」の新しい活用法  

2023.06.01

仕事に集中できる職場環境を作る4つのアイデア

2023.06.01

仕事に集中できる職場環境を作る4つのアイデア

人事制度・組織づくり

企業にとって、社員のモチベーションは大切です。その維持のため、成果主義制度やMBOを導入したり、Googleのようにエンゲージメントに力を入れたり、ユニークな企業制度を取り入れるなど、企業努力は欠かせません。ここではそれ以外にできること、「仕事に集中できる」企業制度について考えてみましょう。 社員のモチベーションアップのためにできる事 社員のモチベーションを上げるためには、MBOによる単純な目標達成度合いだけでなく、頑張りを評価することも重要になってくるのではないでしょうか? いくら努力をしたからといっても結果だけが重視され、それ以外は評価の対象とならないというのでは、その時々の運によっても評価にバラつきが出て、社員の不満につながる事もあります。 モチベーションアップのための工夫 営業成績に合わせたインセンティブ付与もそうですが、何かしらの成果を上げた社員やチームを、全体朝礼の中で表彰したり、全社員へのメール通達で案内したりするなどして、社員のモチベーションを上げるように工夫している企業が増えています。営業部門や管理部門、総合職、一般職、アシスタント職、スタッフ職等の部署や役職の垣根を超えて、会社に貢献した、または新しい施策を打ち出したなどを評価の対象とし、全社員にスポットライトが当たる制度などは、いい例でしょう。 実際に、著者もチームとして新しい事業を立ち上げた際、朝礼での表彰とメールによる全社告知をされ、達成感や責任感や高揚感を感じ、その後の事業推進に対するモチベーションアップへとつながった事例もあります。 楽天に見る職場環境 楽天のオフィスは、従業員同士がコミュニケーションを取りやすい、IT環境の充実を意識した環境で、従業員が持つ国際性や文化を考慮し、健康的に働けるよう福利厚生面を充実させています。 ビデオ会議や立ち話ができるスペースを設け、パーティションが少ない空間としてデザインすることで、創造性や革新的な発想をもって仕事ができるよう考慮をしています。また、朝食・昼食・夕食を無料とするほか、メニューでは宗教上の側面にも配慮しています。さらに語学学習ルームのほか、従業員が育児をしながら仕事ができるよう、託児所も新設する予定です。 仕事に集中できる職場環境作り メンタル面のケアの充実や、女性に配慮した環境があるというだけでも、社員は安心して仕事ができます。 産業カウンセラー 近年、保健室や産業カウンセラーがいるカウンセリングルームを常設している企業が増えています。希望する社員には月に数回の産業医面談を行い、メンタルヘルス対策・キャリア開発・職場における人間関係などをサポートし、働く人と組織の課題を解決して社員が働きやすい環境を作る事が目的です。 女性への制度 近年、ダイバーシティ・マネジメント(※)が騒がれる中、女性への制度として、時短勤務、育休などは当たり前の制度として企業に求められます。妊娠中、産前産後、育休から復職に至るまでを手厚く保障するだけでなく、育児支援の一環である企業内保育等の施設を常設したり、男性の育休を推奨したりする企業も出てきています。他にも結婚や出産の際、祝い金がもらえる企業もあります。 ※ダイバーシティ・マネジメントとは、これまでの男性正社員を中心とした画一的な制度やシステムの考え方を多様化(ダイバーシティ)し、女性や非正社員や外国人をはじめ、さまざまな年代やワークスタイルの多様化した社員へ、適切かつ効果的に対応するためのマネジメントの事を指します。 記念日制度 社員の誕生日に、社長から直接お祝いのコメントと花が届いたり、誕生日月の人が集まってランチを無料で食べられるなどの「記念日制度」を設けている企業があります。中には、お子様や配偶者の誕生日に給付金や休暇がもらえる企業もあります。また、著者の会社でも、勤続年数によってリフレッシュ休暇や旅費を負担する制度があり、モチベーションアップにつながっています。 企業内サークル 社員有志による野球、サッカー、バスケットボール、スノボ、サーフィン、テニスやボルダリングなど、趣味の合う者同士で色々な企業内サークル活動を行う事で社員同士の交流による親交を深める事に成功している企業もあります。 また、社内報も社員のコミュニケーションの活性化に有益なツールです。社員が他の社員のことを紹介するリレー形式の紹介文、入社者の紹介、社員の冠婚葬祭の報告などを掲載することで、他事業部の様子を把握することができます。 このように働く環境だけでなく、企業の協力の元、ライフスタイルまで充実させることで、仕事だけに集中できる環境を作りだす事が可能です。 社員がビジネスマンとして成長するための環境作り 新入社員向け企業内研修制度 新入社員のためのマナー研修、PC研修、宿泊研修、eラーニング研修等があげられます。近年では、入社前の内定者向けに語学留学制度を導入している企業も出てきています。 中途入社社員向け企業内研修制度 中途入社社員のための座学研修、ロールプレイング研修、eラーニング研修があげられます。 階層別企業内研修制度 階層別研修では、入社二年目、リーダー、課長、部長、役員など、階層別に研修制度を設置し、商品勉強会、業界勉強会、海外への語学留学制度等により、ビジネスマンとしての成長を促します。 社員全員に経営理念の浸透 最後に一番大切なのが、経営の方針や理念を社員全員に対して発信していくことです。週1回、月1回の全社員に対する全体朝礼で、前月度対比、目標達成率の共有を行います。また、経営の理念・思想・目標を分かりやすく展開する事により、社員のモチベーションや自社ブランドに対するプライドを保持させることも必要です。 月1度の締め会やランチ会を会社負担で行ったり、クォーターや、上期下期の締めのタイミング毎にキックオフを行ったりと、各部署の活動報告や今後の戦略についての報告をし、目標と成果を明らかにする。それによって社員が一丸となって、目標に向かって突き進んでいける環境が、最も望ましいのではないでしょうか。   参考サイト: 日本の人事部「MBOを活用するために」 株式会社キャリアデザインセンター「制度・働く環境について」 日本の人事部「企業内保育」  株式会社キッズコーポレーション「企業内保育の運営委託」  

2023.06.01

人材が育つ企業になるために「働きがい」が重要な理由

2023.06.01

人材が育つ企業になるために「働きがい」が重要な理由

人材教育

社員教育・研修に費やす時間とコストへの投資を無駄にすることなく、社員に成果をコミットさせたいと思うのは、担当者共通の切なる願いです。その実現のために業績や成果に結びつく研修を設計し、さまざまな方法を取り入れている企業も多いでしょう。 しかし、人材育成の成果をコミットするには、まず会社の従業員に対する考え方を含めた本質的な組織づくりを再考する必要があります。人材育成の受け皿となる組織と企業文化によって、人材育成の効果が左右されるからです。 「働きやすい」職場は企業を強くするのか? 人を育てる組織と企業文化とは、どのようなものなのでしょうか。 従業員満足度では測れない社員のやる気 「働きやすい」職場の指標として、従業員満足度調査があります。例えば、社内で実施した従業員満足度調査で「コミュニケーション問題」が業務に影響を及ぼしていることがわかれば、改善への施策を打てます。このように、満足度調査は問題を発見・解決し、よりよい職場環境を実現する手段として有効なのです。なお、職場のコミュニケーションと仕事効率の関連性については、「仕事の効率化はコミュニケーションが取りやすい職場から」もご覧ください。 ただし、従業員満足度からは、従業員一人ひとりがどれだけ自らの能力を発揮し、会社の業績に貢献しているかを測ることは難しいといえます。極端にいうと、「楽な仕事で給料がいいから」「福利厚生が充実している」「フレキシブルな働き方のおかげで、退社後に趣味に興じる時間が取れる」といった、必ずしも会社の成果や業績につながらない理由でも従業員満足度が高くなるからです。かつて、最も従業員満足度が高かったコダックが経営破たんに至ったのも、こうした背景によるものでしょう。 企業本来の強さを示す「従業員エンゲージメント」 「“世界最高の職場”Googleにみる、人事の未来のあり方—「エンゲージメント」について考える」でも取りあげたように、現在では優れた組織の指標として「従業員エンゲージメント」が注目されています。従業員エンゲージメントとは、会社と社員を主従関係で捉えるのではなく、両者が共に支え合うパートナー関係を確立することを意味します。 従業員エンゲージメントの提唱者として著名なボブ・ケラー氏は、従業員満足度とエンゲージメントの違いを「求める」と「提供する」の違いだと説明しています。満足度では、従業員が会社から給料や福利厚生などの便益を求め、企業は従業員に労働を求めるというギブアンドテイクの関係で成り立っています。一方、エンゲージメントの視点では、従業員は自らの能力によって生み出した価値を自発的に会社へ提供します。そして、会社は従業員から提供された価値を評価し、それを最大化できるような環境や報酬、機会を提供する努力を続けます。つまり、両者がお互いに「貢献」することを約束した関係なのです。 参考記事:従業員エンゲージメントはなぜ必要?要素と高めるポイントを解説 「働きがい」のある職場環境が人を成長させる 誰かに「貢献」している、自分が「成長」しているという実感や、目標とする自分を「実現」できるという感情を持つことで、人は仕事における「働きがい」を感じます。こうした環境では、個人の自発的努力が人材育成の効果を加速度的に増大させるのです。 「世界で一番働きがいのある会社」を目指すNTTデータの例 NTTデータでは、2004年より本格的な「社員満足度調査」に取り組んできました。そこから得た結果を現場の問題解決に役立てたことにより、近年ではIT業界でトップクラスの従業員満足度を達成しています。 しかし、NTTデータでは「この会社に勤めてよかった」と思う社員が増えただけでは、会社の成長は止まってしまうとの危機感を持ちました。会社の持続的な成長は、社員が自ら「成長していこう」「企業に貢献しよう」という意欲によって成し遂げられる、つまり「エンゲージメント」を高めなければいけないと認識したのです。そして、次のステップとして目標を「働きやすさ」から「働きがい」のある職場づくりにシフトしました。 例えば、難題に直面しつつも自分の能力を高めてクリアしていく社員の姿や、後輩へ技術指導をすることに喜びを感じるシニア社員の思いをモニタリングで拾い、部下の指導の指針づくりやマネージャーによる仕事の振り分けの仕方、管理職へのフォロー施策などの見直しに役立てていくのです。 「働きがい」が人材育成を左右する 従業員の成果へのコミット度や、成果を生むために行動改革をする自助努力は、どれだけ「働きがい」を感じるかによって変わってきます。人材教育の施策を考えるときは、まずは土壌となる組織と企業文化が人を伸ばす環境に適しているかどうかを見直す必要があるでしょう。 なお、研修の効果測定については「やりっぱなしダメ!研修の効果測定をしよう」をご覧ください。 こちらの記事も読まれています: 個人キャリアの尊重が競争力を生む?「タレントマネジメント」と「エンゲージメント」の関係 時間、コスト…社内研修を取り巻く問題とその改善方法 参考: 第13回 企業と従業員の新しい関係「エンゲージメント」について、『Louder Than Words』の著者ボブ・ケラー氏に聞く|HRプロ  行動変革につながる社員満足度調査で、「働きやすい」から「働きがいのある」会社へ|リクルートマネジメントソリューションズ   

2023.05.25

『孫子の兵法』に学ぶ社員の士気を向上させるモチベーションアップ術

2023.05.25

『孫子の兵法』に学ぶ社員の士気を向上させるモチベーションアップ術

人材教育

現代でも愛読される『孫子の兵法』の魅力とは? 『孫子の兵法』が著されたのは、今からおよそ2500年前の中国です。当時の中国は春秋戦国時代の末期にあたり国家間の戦争が絶えなかったそうです。その中の一つ『呉』という国にいた『孫武』という一人の将軍が著した兵法書が、現代で『孫子の兵法』と呼ばれているものです。『孫子の兵法』は全十三篇から成り立ち、1『始計篇』、2『作戦篇』、3『謀攻篇』、4『形篇』、5『勢篇』、6『虚実篇』、7『軍争篇』、8『九変篇』、9『行軍篇』、10『地形篇』、11『九地篇』、12『火攻篇』、13『用間篇』に分けられていますが、文字数は6000字前後で、400字詰めの原稿用紙15枚程度という驚きの少なさ。 この作品は、ただ単に戦争の戦略メカニズムを説いた指南書ではなく、現代のビジネスの勝ち方にも通じる最高の指南書とも呼ばれているそうです。それを証明するように、一流の経営者に幅広く愛読されており、松下幸之助さんやビル・ゲイツさんも座右の書としています。きっと、この短い文字数の中に、勝利を得るためのエッセンスが凝縮されているからなのでしょう。 とにかく、オーラ出まくりの『孫子の兵法』。これを学ぶことで、現代の企業や仕事の現場でも大いに役立てることができそうです。 企業の人材育成担当者や管理職の心にしみる孫子の言葉 以下には、とりわけ企業の人材育成担当者や管理職にとって、社員や部下のモチベーションアップにも活かせる部分にフォーカスして記載しています。知っておいて損がない『孫子の兵法』の一説を、現代の仕事や業務に沿うよう意訳もしているので、併せてご覧ください。 上司が部下を思いやることで、部下の士気は向上する 『地形篇』 卒を視るに嬰児(えいじ)の如し、故に之と深谿(しんけい)に赴く可し、卒を視るに愛子あいしの如し、故に之と倶ともに死す可し。 愛して令する能はず、厚くして使ふ能はず、乱して治むる能はざれば、譬(たと)へば驕子(きょうし)の如し、用ふ可からざるなり。 -意訳- 上司が部下を統率する時、わが子のように愛してやれば、部下はどんな困難な状況であろうと、着いてきてくれるものだ。しかし、部下を厚遇するだけで、命令できずに規律を乱すようであっては意味がない。厳しい中に思いやりを持って接することが重要だ。 行き過ぎた咎めに利益はない 『軍争篇』 帰師(きし)には遏むる(とどむる)こと勿れ、囲師(いし)には必ず闕き(かき)、窮寇(きゅうこう)には迫ること勿れ。此れ用兵の法なり。 -意訳- 撤退した敵の進路を遮ると「窮鼠、猫を噛む」という言葉のとおり敵は死にもの狂いで向かってくるように、失敗した部下を叱るときに追いつめると、反発したり、ふてくされたりして指導の効果が薄れてしまう。部下をしかるときの行き過ぎた咎めは、自社の利益にならない。 社員の結束力が大事 『形篇』 善く兵を用うる者は、道を修めて法を保つ。故に能く勝敗の政を為す。 -意訳- 戦争の上手な者は人心を一つにまとめて規律ある軍隊を作り上げるように、企業においても、日頃からリーダーが、社員の共感するビジョンや夢を説いて、士気を高めることが重要である。 上司は部下に仕事を任せたら、無闇に口出ししてはならない 『謀攻篇』 夫れ将なる者は、国の輔(たす)けなり、輔、周あまねければ則ち国必ず強し、輔、隙すきあらば則ち国必ず弱し。 故に君の軍に患(わずら)ふる所以の者に三あり。軍の以て進む可からざるを知らずして、之に進めと謂ひ、軍の以て退く可からざるを知らずして、之に退けと謂ふ、是を「軍をつなぐ」と謂ふ。 三軍の事を知らずして、三軍の政を同じうすれば、則ち軍士惑ふ。 三軍の権を知らずして、三軍の任を同じうすれば、則ち軍士疑ふ。 三軍既に惑ひ且つ疑うときは、則ち諸侯の難至る、是を軍を乱して引いて勝たしむと謂ふ。 -意訳- 現場リーダーは現場を仕切る役目である。現場リーダーが上司と親しいならチームは必ず強くなり、現場リーダーと上司の間に溝があるならチームは必ず弱くなる。上司が現場についてやってはいけない点は三つある。第一に、現場を知らない上司が「あーしろ、こーしろ」と命令したり、やるべきことを「やらなくいい」と命令したりすること。これは、現場リーダーの足を引っ張っているようなものだ。第二に、上司が現場を理解しないまま末端スタッフに直接命令してしまうと、現場リーダーのメンツを潰すことになり、士気に影響してしまう。第三に、現場リーダーの頭を飛び越え、末端スタッフに口出しすることは、末端スタッフたちは誰の指示に従えばいいのか混乱してしまう。 このように、チームが混乱してしまうと、チームが目指すべき目標達成がさらに遠のいてしまうのだ。 最後に 上述した孫子の言葉は、現代のビジネスシーンにおいて社員や部下のモチベーションアップさせる術として参考になるのではないでしょうか。 今回は少ししか触れていませんが、『孫子の兵法』が何千年の時を超えて今もなお、読まれ続けている理由がわかった気がします。戦争のみならず、ビジネスやスポーツなど、競争や人間関係には普遍的な原理原則があって、『孫子の兵法』はそこに焦点を絞ることで、あらゆる時代の人へ指針を与えてくれているのですね。これを機に『孫子の兵法』を探求して、自分の仕事に役立てみるのはいかがでしょうか?   <参考書籍> 現代ビジネス兵法研究会、紀ノ右京『なるほど!「孫子の兵法」がイチからわかる本』株式会社すばる舎、2008年12月1日  

2023.05.24

ソーシャルラーニングとは?内容や活用事例を徹底紹介

2023.05.24

ソーシャルラーニングとは?内容や活用事例を徹底紹介

人材教育

近年注目されている学習方法、ソーシャルラーニングをご存知ですか? 企業内で人材育成に携わっている方なら、ぜひとも押さえておきたいキーワードです。ソーシャルラーニングを有効に活用すれば、研修の効果を最大化したり、組織の業務遂行能力を底上げしたりできる可能性を秘めています。 ソーシャルラーニングは、インフォーマルラーニングの一種とされています。まずは重要なキーワードである、フォーマルラーニングとインフォーマルラーニングについてご紹介します。 フォーマルラーニングとインフォーマルラーニング 知識やスキルを身につける学習には多くの手法がありますが、大きくフォーマルラーニングとインフォーマルラーニングの2つに分類できます。両者はどう違うのでしょうか? フォーマルラーニング 直訳すると「公式な学習」ですが、典型的なのが企業主催で計画的に開催される研修や講習会(セミナー)、ワークショップなどです。動画を視聴して学ぶeラーニングも含まれます。フォーマルラーニングは、講師と受講者の立場がはっきり分かれていることが特徴です。また、原則としてあらかじめ学ぶ内容や目標がしっかり決まっています。 インフォーマルラーニング フォーマルラーニングの対となるインフォーマルラーニング(非公式的な学習)とは、普段同僚と会話をしたり、プライベートで博物館へ行ったり読書をしたりといった活動のなかで起きる学びです。そのため、明確に講師と受講者とが分かれていません。 フォーマルラーニングと異なり、学習内容や目標が決まっておらず、時間や場所も決まっていないので、さまざまな環境でインフォーマルラーニングが発生する可能性があります。 いかがでしょう、どちらの学習も皆さん経験があることでしょう。前述のように、ソーシャルラーニングはインフォーマルラーニングの一種です。 実は、ソーシャルラーニングという言葉自体は20世紀からあったそうです。しかし2010年以降、ますますインターネットが普及し、個人が相互に情報発信できるようになったことで、ソーシャルラーニングを誘発する機会が多くなりました。そのため、現在ソーシャルラーニングについて語られる場合、インターネットを活用したeラーニングとしてのソーシャルラーニングを指すことが多いようです。 ソーシャルラーニングの企業での活用方法、メリットは? では、企業の人材育成のための学習方法として捉えた場合、ソーシャルラーニングはどのように活かせばよいでしょう。また、導入するとどのようなメリットがあるのでしょう。 属人的なスキルや経験を、企業の財産として蓄積することができる ナレッジマネジメントとも呼ばれますが、どの企業や組織も、従業員が経験から得た知見やノウハウを有効に活用したいと考えています。拠点が各地域に広がっていたり、従業員が多かったりすると、これらを全体へシェアするのは困難でしたが、eラーニングであれば容易です。ソーシャルラーニングのプラットフォームとして、従業員が自発的に情報を発信できる場を用意すれば、知見やノウハウを、デジタルアーカイブとして企業の財産にしていくことができます。 後輩は、先輩やエキスパートの経験をeラーニングで学びとり、効率的に業務を遂行することができるでしょう。また、一度犯したミスやその再発防止策が共有されていれば、同じミスを防ぐことで企業のリスク回避にも繋がります。 社内研修やワークショップで学んだ知識を、実践力に昇華させる 研修などを導入している企業は多くありますが、フォーマルラーニングで実施されるのは、基本的に知識を習得するための学習です。しかし、知識を業務で役立たせるには、さらに経験や訓練が必要であることが多いと思います。ソーシャルラーニングは、知識について意見を交わし、先輩やエキスパートの経験をシェアすることで、身につけた知識をすぐに仕事に役立てたい、という従業員の欲求に応えることができます。 苦手分野を克服したり、より深い知識を身につけたりできる ソーシャルラーニングのメリットの一つが、学び手が学ぶ内容を選べるということです。 一度きりの研修などでは、どうしても受講者の得意・不得意で理解度に差が出てしまいます。十分に理解しきれなかったという内容を、ソーシャルラーニングのプラットフォームで質問、回答しあえば、研修の効果を最大化することができます。また、興味をもって更に深い内容を学びたいという欲求にも応えることができます。 まとめ 以上のような活用方法でも触れましたが、一つ注意したいのがソーシャルラーニングは研修などのフォーマルラーニングを代替するものではないということです。フォーマルラーニングでの学習を補完するなど、役割を使い分けながら活用するのがベストです。 実施した研修の効果を最大化し、社内に埋もれているノウハウを社内に展開できれば、企業の業務効率や業績改善にも良い影響が期待されます。ぜひ皆さんの企業でもソーシャルラーニングを活かす場を設けてみてはいかがでしょうか? 参考サイト: 「人事辞典 ソーシャルラーニング」日本の人事部 「人事辞典 インフォーマル・ラーニング」日本の人事部     

2023.05.19

オンライン研修の効果的なやり方|主催側と受講側どちらも徹底解説

2023.05.19

オンライン研修の効果的なやり方|主催側と受講側どちらも徹底解説

人材教育

eラーニング

「オンライン研修を実施したことがないので、具体的なやり方が分からない」 「今まで対面・集合型研修だけをやってきたものの、最近はオンライン研修に興味がある」 昨今は、時差出勤やテレワークなどが進んだ影響で、一人ひとりの働き方に合わせた教育手法が求められています。 そんななかで、どこにいてもモニター越しで教育が受けられると注目を浴びているのがオンライン研修です。 しかし、オンライン研修を検討されている方からは、具体的な実施のプロセスや、効果を上げるポイントが分からないという声も聞かれます。 今回は、オンライン研修のやり方を、主催者側と受講者側の双方の視点から解説します。 はじめてオンライン研修を実施する方や、現在実施しているオンライン研修の効果を上げたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。 普及が進むオンライン研修 過去にも研修をオンラインで開催する動き自体はありましたが、ここ数年で企業や教育機関で一気に普及が広がりました。 かつては、講師と受講者のコミュニケーションの取りやすさから、研修は直接対面する集合研修で行われることが一般的でした。 しかし、新型コロナウイルスの影響により、2021年の春頃から「感染症対策として、人の移動の制限下でも研修ができる」というメリットがあるオンライン研修が注目され始めたのです。 withコロナの時代になった昨今においても、オンライン研修のメリットを実感した企業は、引き続き実施を続けています。また、参加人数や研修テーマに応じて、対面・集合型とオンライン研修を使い分けする企業も多いようです。 今や、主催者側にとっても受講者にとっても「研修や勉強会はオンライン上で行うこと・受講すること」が当たり前の時代になったといえるでしょう。 オンライン研修の形式 オンライン研修は、主に2つのパターンで行われます。ここでは、オンライン研修の種類とそれぞれのメリットをご紹介します。 2-1.双方向型 双方向型は、Webツールを使ってリアルタイムで講義を実施・受講する方法です。 インターネット環境が整っていれば実施ができるため、会場の確保や会場への移動など、場所の制約を受けません。 講師と受講者は質疑応答のやり取りができることに加え、受講者同士のグループワークもできるメリットもあります。 ただリアルタイムで実施するため、場所の制約はなくとも、時間の制約はあります。主催者側も受講者側も、事前のスケジュール調整は必要です。 2-2.オンデマンド型 あらかじめ録画された講義を、受講者が閲覧して受講する方法です。 参加者は、自分の好きな時間に受講できます。研修に参加するためにスケジュール調整をしなくてもよい点がメリットです。 ただしリアルタイムで受講しているわけではないため、質疑応答がすぐにできない、集中力が続きにくいなどが、デメリットとして挙げられます。 オンライン研修のやり方(主催者側) オンライン研修は、準備~実施後フォローまで一般的に5つのプロセスが必要です。一つひとつ紹介します。 3-1. 研修概要を決定する 実施する研修内容や受講者を考え、スケジュールを決定します。 オンライン研修は、一般的に技能研修や接客研修など、動きがともなうテーマには不向きとされています。オンライン上でも可能な研修テーマを選ぶ必要があるので、注意しましょう。 オンライン研修実施の概要が決まったら、続いてスケジュールを組みます。 双方向型はリアルタイムで行われるので、講師や受講者の日程を調整しなければいけません。研修の日程が決まれば、関係者に通知して予定を空けておいてもらいましょう。 研修実施日に合わせて、事前課題のアナウンスや研修テキストの共有も忘れずにスケジュールに組み込んでください。 3-2. Webツールを決定する オンライン研修を実施するためには、使用するWebツールを決めなければいけません。 具体的には、「Zoomミーティング」「Microsoft Teams」といった、Web会議ができる配信ツールが必要になります。無料で使えるツールもありますが、時間や人数の制限がある場合は、有料プランに加入することが必要です。 昨今はWeb会議ツールだけでなく、学習管理から研修コンテンツの制作まで一括管理できるCloudツールも注目されています。 まずはWeb会議ツールでオンライン研修をスモールスタートさせ、オンライン研修を拡大させる場合には、Cloudツールの導入も視野に入れるとよいでしょう。 3-3. 事前テストを行う 研修当日にトラブルが発生して慌てないよう、事前の接続テストを行います。 少なくとも複数のデバイスで当日と同じ環境を用意し、接続テストを実施しましょう。事前にテストを行うことで、当日の運営をある程度スムーズにすることができます。 モニターやマイクに不具合はないか、画面がフリーズしないか、資料は見やすいか、画面の共有はスムーズにできるかなど、チェック項目を用意して確認するとよいでしょう。 3-4. 研修を実施する 研修当日は、開始時間になったらWebツールを使って研修を配信していきます。 オンライン研修では、モニターに講師の顔から肩までしか映らないため、ノンバーバルコミュニケーション(非言語のコミュニケーション)の取りにくさが課題となります。 講師は身振り手振りやうなずきを増やし、普段よりもリアクションを大きく取ることを意識しながら講義を行いましょう。 さらに研修内では、質疑応答の時間を設けることが、受講者の理解を深めるために効果的です。Webツールによっては、参加者をグループ分けする機能もあります。グループワークを行い、研修への参画意識を高める方法もあります。 当日の様子は録画しておき、後日受講者の復習や未参加者に共有することも可能です。 3-5. フォロー・振り返りを行う オンライン研修が終了したら、受講者のフォローや研修効果の振り返りを行ってください。 Webツールによっては、アンケート配信機能があるため、受講者の理解度や感想をヒアリングできます。 必要に応じて、受講者に追加の課題を依頼するなどして、研修で学んだ内容が定着できるようなフォローを実施しましょう。 オンライン研修のやり方(受講者側) オンライン研修を実施したことがない方は、受講者側の受講プロセスも一通り把握することが重要です。受講者の立場になって、主催のプロセスにぬけもれがないかを確認しましょう。 4-1.必要な環境を整える 受講者は、まずオンライン研修を受講するための機材やインターネット環境を準備しましょう。 研修はスマートフォンやタブレットでも受講可能な場合が多いですが、パソコンでの受講が一般的とされています。 また、グループワークを取り入れたり、受講者の顔を写した状態で講義を行ったりする研修もあるため、カメラが必要な場合もあります。パソコン内蔵のカメラで問題ありませんが、なければWebカメラを用意するようにしてください。 4-2.事前準備をする 主催者から講義内容のPDF資料が共有されたら、事前にプリントアウトしておくことをお勧めします。 パソコン上で確認することも可能ですが、同じ画面上に講師が共有する画面と資料が混在していると分かりにくくなります。印刷して手元に残しておくことで、メモも取りやすくなるでしょう。 当日までに資料を見て講義の予習と全体の流れを把握しておくことで、スムーズに講義を受けることが可能になります。 オンライン研修は自宅から受講することもありますが、服装が何でもいいわけではありません。 主催者からスーツや私服など、服装の指定がある場合はそれに従いましょう。指定がない場合は、清潔感のある服装を心がけてください。 4-3.研修を受講する 研修当日は主催者から指定されたURLをクリックし、受講を開始します。 オンライン研修では主催者によって、開始5分前までにWeb会議システムへ入室してほしいと指示される場合もあります。パソコンの起動やWi-Fi接続、マイクの確認などの事前準備の時間も考慮し、余裕を持ってスケジュールを組みましょう。 グループワーク中や質疑応答などを除き、受講者はオンライン研修中にマイクをミュートにすることが基本です。また、自分のカメラがONになっている場合は講師から見られることを考え、節度のある態度を心がけましょう。 たとえ自宅から参加する場合でもリラックスしすぎず、会場で受講する場合と同じようにマナーを守ることが社会人のルールです。 4-4.復習・不明点を確認する オンライン研修を実施後は、なるべく速やかに復習を行い、理解度を確認するようにしてください。 研修で使用した資料を見直し、不明点があれば講師や主催者に追加で質問するといよいでしょう。また研修後アンケートを依頼された場合は、率直に自分の意見を主催者側にフィードバックしてください。 オンライン研修を成功させるポイント 最後に、オンラインの効果を高めるための成功ポイントをお伝えします。 5-1.マニュアルや資料を整備しておく 受講者の中には、ITに苦手意識がある方や、ツールを使うのに不慣れな方も一定数います。 当日になって「Webツールやソフトウェアの使い方が分からなくて、オンライン研修に参加できない」といったトラブルが起こるのを避けるため、受講者が事前準備できるようなマニュアルを整備しておきましょう。 事前課題がある場合も、忘れずに受講者に依頼や共有するようにしてください。 5-2.受講ルールを決めておく リアルタイムでオンライン研修を行う場合は、「原則、顔出しする」に代表される受講ルールを、あらかじめ設けておきましょう。 「自宅を映したくない」という理由から、顔出しに抵抗感を示す受講者も一定数いる可能性があります。その場合は、背景に表示できる画像を選べる「バーチャル背景機能」の利用を案内することで、フォローが可能です。 顔出しには、受講者同士のコミュニケーションを円滑にしたり、講師が受講者の反応を見ながら内容をアレンジできたりなど、一定の意味があります。 一方的に「顔出ししなければならない」とルールを押し付けるのではなく、顔出しする意味や意義を伝えると、受講者は納得して気持ち良くオンライン研修に参加できるでしょう。 5-3.比較的短時間で行う オンライン研修はオフライン研修よりも集中力が持続しにくく、疲労も蓄積しやすいとの声もあります。 そのため、研修時間はできるだけ60分以内に抑えましょう。 仮に長時間のオンライン研修を実施する場合は、10分以上の休憩を挟むといいでしょう。 休憩の際は、「できるだけパソコンの前から離れ、手足を伸ばすようにする」と、疲れないような工夫を受講者に呼びかけることも大切です。 まとめ オンライン研修は、多様な働き方に対応できる、今の時代にフィットしやすい教育手法といえます。 ただし、オンライン研修ならではの事前準備や工夫ポイントがあるため、初めて実施する場合は段取りをしっかり確認することが必要です。 今後もオンライン研修の潮流は続くことが予想されるため、興味がある場合は小さな勉強会からトライアルをしてみてはいかがでしょうか。   ユーザ登録数無制限!コストをなるべく抑えて幅広い教育としてeラーニングを活用したいならCloud Campusがおすすめです。 220社160万人が使う低コストLMS 内製型eラーニングシステム Cloud Campus eラーニングとは?概要からメリットやトレンドまで徹底解説 eラーニング導入で失敗しないための3つのポイントを解説 効果の高いeラーニング教材の作り方と3つのポイント【企業事例付き】  

2023.04.05

働き方を改革して企業を成長させる施策【企業事例付き】

2023.04.05

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人事制度・組織づくり

働き方を改革することで企業文化や社員の意識を改善し、成長型に変身する企業が増えています。日本企業を変えていく働き方の改革とは、どういったものなのでしょうか。 100人中30人が辞めていく劣悪環境からの脱出 ITベンチャーのサイボウズ社は、2005年には離職率が28%に達していました。人事制度を改革した現在では、5%弱にまで改善されたそうです。具体的に、どのような改革をしたのでしょうか。 まずは、社員の夢をかなえ楽しく働ける環境を作ろうという方針を決めました。しかし、社員一人ひとりが思い描く理想の働き方はそれぞれ異なり、全員の理想に応えることは不可能です。そこで、働く時間と場所にバリエーションを持たせた9パターンのワークスタイルを用意し、各自が自分で働き方を決める選択型人事制度を導入しました。 また、35歳以下のエンジニアやスタッフを対象に、自分磨きを目的とした転職や留学を認める「育自分休暇制度」を導入。この制度で退職した場合は、6年間復帰が認められる「再入社パスポート」を交付しています。 制度は自分たちで作るという意識を育てるオープンな社風 このような自由な働き方の提供には、意見の相違や利害関係の不一致による不満が出てくるでしょう。そこで、サイボウズでは「自立と議論の文化」を社員に徹底させています。お酒の席で愚痴るのではなく、「自分ならどうしたいか? どんな制度がほしいか?」といった問題提起と議論が自由にできる、オープンな風土の醸成に努めているのです。 トップダウンで1カ月の残業を平均20時間以下に システム開発のSCSK株式会社は、人事制度の段階的な改革に取り組み、その成果が高い評価を受け、「日本の人事部「HRアワード」2015」の企業人事部門最優秀賞を受賞しました。 SCSKは「働きやすい、やりがいのある会社」づくりをモットーとし、社員の平均残業時間を月20時間以下(1日1時間以下)、有給休暇の取得率100%を目標とした「スマートワーク・チャレンジ」を3年間かけて達成しました。同社の執行役員、人事グループ副グループ長河辺恵理氏は、その結果会社全体で「以前より活力と明るさが増した」と語っています。 システムITという仕事は、その性格上24時間体制が基本です。そのため、以前は長時間・夜間勤務は当たり前で、「残業する社員や休まない社員が“いい社員”」という日本企業独特の風潮があったといいます。それでも、改革に成功した要因は、「トップの強い旗振り」「組織全体での取組み」「残業削減と有給取得100%をセットにしたこと」だと河辺氏は述べています。 全社総参加の本気の取り組みが会社を変えた! 削減した残業代を特別ボーナスとして社員へ還元することで、改革にかける経営トップの本気度が認識されました。また、残業が減れば業績が低下するという役員の懸念の声に、トップが断固として方針を貫いたことも、改革のあと押しとなりました。 そして、2012年よりフレックス制の適用、裁量労働制の導入、在宅勤務制度の拡充など、さまざまな施策を行ないました。そのなかでも特に効果が高かったのは、「業務の見直し・負荷分散」だったといいます。達成部門にはインセンティブを支給した「スマートワーク・チャレンジ」を通して、全社を巻き込んだ働き方改革がさらに推進されたわけです。 働き方がもたらす正のスパイラル 働き方の改革により、社内には次のような変化がもたらされます。 1.「働かされる」から「働きたい」への意識変化 2.コミュニケーションの活発化 3.やれば報われるフェアな職場環境の実現によるモチベーションアップ 4.ワークライフバランスの実現 こうした企業風土を築くことが、企業が健全な成長を続ける正のスパイラルへと導く、最も重要な要素だといえます。 また、個人のキャリアを尊重して人材の適材適所を実現するタレントマネジメントの活用も、働き方を変えていくうえで忘れてはなりません。タレントマネジメントについては、「個人キャリアの尊重が競争力を生む?「タレントマネジメント」と「エンゲージメント」の関係」「タレントマネジメントで人事戦略と働き方を考える」をご覧ください。 組織として目指す姿を明確にしよう さまざまな企業で機能した改革の施策が、自分の会社でも同じ効果を発揮するとは限りません。しかし、世界的に活躍する企業へと成長するには、人事制度への取り組みは必須といえるでしょう。企業ごとに抱える課題やカルチャーが異なるので、目指す姿を明確にして、改革していくことが大切です。 こちらの記事も読まれています: モチベーションも仕事効率もアップできる!ユニークな企業制度 参考: 職場環境劣悪だったITベンチャー、なぜ離職率激減?再入社可、副業自由、社長も育休…|ビジネスジャーナル  受賞者一覧|日本の人事部「HRアワード」2015  やるだけでなく、やりきる仕組み“働き方改革”でIT業界の常識を覆す SCSKの「スマートワーク・チャレンジ」とは|日本の人事部    eラーニングとは?概要からメリットやトレンドまで徹底解説 eラーニング導入で失敗しないための3つのポイントを解説 効果の高いeラーニング教材の作り方と3つのポイント【企業事例付き】

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