2024.06.26
人材教育
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社員研修は、企業の業績を向上させるうえで必要不可欠な社員教育です。
人材採用難が続く昨今では、現社員の生産性をあげるために、企業主導で行う積極的な人材育成の重要性が増しているといえるでしょう。その一環としての社員研修も、さまざまなカリキュラムを試行錯誤していく必要があります。
今回は、社員研修の種類や手法をお伝えし、さらに基本的な研修実施のプロセスまで紹介します。
企業が社員研修に取り組むべき理由と実施形態
企業の保有資産といわれる「ヒト・モノ・カネ・情報」のなかでも、「ヒト」はとりわけ重要な資産といえます。
企業にとって大事な資産である社員(ヒト)の成長を促すことは、企業の成長にもつながります。そのため、社員個々人の成長を促す手段のひとつである社員研修に取り組むことは、事業成長や企業の業績向上のために、重要な役割を担っているのです。
昨今は経済産業省が提唱する「人的資本経営」の潮流を受けて、多くの企業がよりいっそう社員研修に積極的に取り組んでいるといえるでしょう。
社員研修には「社外研修」「社内研修」の実施形式があります。ここからは、社外研修と社内研修の違いについて簡単に言及します。
社外研修
社外研修は、外部の研修提供サービスを利用して、自社の社員に研修を受講してもらう形式です。
社外研修のメリットは社内での研修準備の作業が短縮でき、幅広いカリキュラムのなかから育成目的に適した内容を選択できる点です。
社内に外部講師を招いたり、社外会場に社員が足を運んだりすることで、新鮮な気持ちで取り組めるのも、社外研修のメリットといえます。
しかし社内研修と比べると、研修実施コストが増えてしまう点や、社内の事情を踏まえた研修を実施しにくい点がデメリットでしょう。
社内研修
社内研修は、人事部門やマネジメント層等、社内の人間が講師を担い、社員に向けて実施される形式です。
自社で育成したいスキルや社員の特性を踏まえて、フィット感の高い研修設計ができる点がメリットです。研修講師や資料の準備作業は発生するものの、外部への支払いコストが発生しない点も社内研修の利点といえます。
本記事では、社内研修形式で社員研修を実施するケースを想定して説明を進めていきます。
階層別社員研修の種類
階層別社員研修は、「新入社員」「管理職」等、社員の役割や階層別に実施する研修です。
ここからは一般的な4つの階層別研修を説明していきます。
内定者向け研修
内定者研修とは、企業が内定者に対して行う研修のことです。
昨今は若手の労働力不足から、新卒採用で入社する社員は特に貴重な戦力と見なします。
そのため、内定辞退防止のフォローや、入社後の早期立ち上がりを目的とし、内定者研修を実施する企業も増えています。
研修内容は、自社理解や内定者の相互理解等が代表的なものです。
新入社員向け研修
新入社員研修とは、入社してきた新入社員に対して行う研修のことです。
新卒採用の場合は、学生から社会人としてのマインドへの切り替えや、社会人に必要なビジネスマナーや基礎スキルを身に付ける目的があります。
中途採用の場合は、自社の社内ルールや業務プロセス等をレクチャーし、少しでも早く、スムーズに自社業務を推進できるよう支援します。
代表的な研修内容としては、マナー研修、ビジネス文書研修、メンタルヘルス研修、ロジカルシンキング研修、チームワーク研修、コミュニケーション研修等があります。
若手・中堅層向け研修
若手・中堅社員向け研修とは、若手から幅広い年齢層の中堅社員に対して行う研修です。
若手層に向けては、いち早く会社の戦力としての自主性を促す目的や、早期離職防止のためのフォロー等の目的があります。
中堅社員は年齢層が幅広いため、研修実施の目的は多岐にわたるでしょう。
次世代リーダー向け研修、中途入社社員向け研修、リーダーシップ研修、キャリアデザイン研修、女性リーダー育成研修、チームビルディング研修等、企業の未来を担う人材に育てるための研修内容がメインになります。
管理職向け社員研修
管理職研修とは、収益確保と社会的責任の遂行を両立させるために、管理職に必要なマインドとスキルの習得を目的とした社員研修です。
管理職に必要なスキルは3つあると言われており、部下のマネジメントをうまく行うためにも研修は必要不可欠です。
内容は、組織づくり研修、マーケティング研修、コストダウン研修、業務フロー改善研修、役員養成研修、人材育成研修、採用研修、BCP研修、BCM研修等があります。
社員研修の代表的な手法
ここからは、社員研修の代表的な手法を取り上げます。どの手法が会社にとって最適かはそれぞれ異なるため、ぜひ自社の状況を思い浮かべながらご一読ください。
OJT
OJT(職場内研修)の目的は、上司や先輩が指導者として付き添いながら、現場業務を通してメンバーの能力開発をする手法です。
OJTは、多くの企業で広く行われています。現場で活躍できる即戦力メンバーを育てるには、効率的な施策といえるでしょう。
しかし、社内のサポート体制に不備があったり、部下の自発学習に任せっきりの状況に陥ったりすると、OJTの意義が損なわれてしまいます。
OJTのメリット
・業務に直結した指導ができ、効率的
・実施コストが低くすむ
・個人指導のため、部下の能力に応じて行える
・日常業務が指導の場となり、継続した育成ができる
・教える側も指導者としての実力が鍛えられる
OJTのデメリット
・体系的、理論的内容の取得には不向き
・企業のサポート体制、指導者の質により結果が左右される
OFF-JT
OFF-JT(職場外研修)とは、日常業務内では獲得しにくい知識やスキルの習得を目的とし、職場を離れて行う研修のことです。
これまでのOFF-JTは、新人、中堅層、管理層と階層別に用意されるものでしたが、経営環境が目まぐるしく変わる現在では、臨機応変な能力開発、スキルアップの場の提供が必須となっています。
そのため、個人のキャリアプランに照らし合わせたさまざまな研修(課題別研修、職種別研修、ビジネス・ナレッジ研修、自己選択型研修、選抜型研修等)を準備する動きが見られます。
OFF-JTのメリット
・日常業務では得られないスキル、能力、技術が身に付けられる
・職場外での環境で新たな視点が得られる
・業務外の人との接触で、人脈、ネットワークの拡大が期待できる
OFF-JTのデメリット
・時間と費用がかかる
・実践にはつながりにくい
座学・ワークショップ・eラーニング
研修の形式には、受講者が聴講するスタイルをとる「座学」、講師の誘導の下、受講者が対話し体験を共有する対話型研修「ワークショップ」、社員がパソコンや携帯電話等の端末を通して受講する非対話型の「eラーニング」があります。
座学
講義スタイルを取るため、学べる情報量が多く、コストや運営面でのメリットがあります。ただ、受動的な学習法のため、受講者により理解度や習得度に差が出てくることは避けられません。
ワークショップ
講師がファシリテーター(促進役)となり、受講者と共同作業をする形式です。お互いの対話で進めていく内容のため、受講者全員の能動的で自主的な参加が求められます。ファシリテーションによって能動的な参加を促すことも重要になります。
社員間のコミュニケーションを深め、自分で考える自律型人材を育てられるメリットがあり、昨今では導入が増えている研修形式です。
ただし、習得内容がピンポイント的であること、運営や進行がコントロールしにくいマイナス面もあります。
eラーニング
場所や時間を選ばず、自分のペースで進められるeラーニングは、IT世代である若い社員にもなじみやすいこともあり、注目を集めています。
受講準備のためのコストが削減できたり、社内のニーズに合わせた独自の内容が作成できたりするメリットがあります。その反面、通信環境をどれだけ積極的に整えられるか、自主学習をどれだけコントロールできるかが、これからの課題といえます。
社員研修の実施プロセス
社員研修を実施する際の、事前準備から実施後の振り返りまでの代表的なプロセスを紹介します。
現状課題の分析
現状課題の分析では、対象社員はどのような状況に置かれているのか、どのような力を身に付けるべきなのかについて、把握・分析します。
現場が見えにくく分析が難しい場合は、対象社員に直接アンケートを取るのもひとつの方法です。
例えば若手社員を対象とした研修なら、「現状、ぶつかっている壁や障害はないか」「今後、必要となりそうなスキルは何か」等、不安や求めているスキルについて、意見収集してみるのもお勧めです。
研修目的・時期の設定
現状の分析が終わったら、研修の目的をあらためて言語化したうえで、時期や実施後のゴールを決定します。
研修時期は対象社員や研修内容によりますが、社員が積極的に参加できるよう、業務に支障をきたさない日程の設定がポイントです。
実施後のゴールとは、「研修終了後、社員がどのような状態になってほしいか」を設定することです。
例えば「リーダーとしての自覚が芽生え、自信を持って後輩に指示が出せる状態」等、具体的な状態を思い浮かべましょう。
研修準備・実施
社内研修を行う場合は、原則として社内のリソースを活用します。そのため、準備としては、運営スタッフ、資料作成スタッフ、さらに社内講師をアサインする必要があります。
研修実施日までに準備を滞りなく済ませたら、いよいよ研修の実施です。
研修当日は、はじめに研修の目的と内容、習得が期待される知識やスキルを参加者に再度説明してからスタートしましょう。
研修実施後には、参加者にアンケートを実施し、研修の満足度や目的に照らした到達度等を確認することもお勧めです。
振り返り
研修を終了したら、研修結果を評価して振り返りを行います。
研修企画者の実感だけではなく、前述した研修参加者アンケートや、業務での研修内容の活用度合い等、広い視点で振り返りを行うことがポイントです。
場合によっては、後日のレポート提出や習熟度テスト、研修参加者の上司との面談等も振り返りに効果があります。
振り返りを行うことは社員のスキル管理だけではなく、今後の研修企画の観点でも役立つでしょう。
まとめ
今回紹介したように、社員向け研修を社内で実施するには、さまざまな方法があります。
効果的な社員研修を行うポイントは、「自社の現在地と目的に合った研修を企画する」ことです。自社がめざすゴールと現在地のギャップをしっかりと把握し、強化すべきポイントはどこなのか、しっかり把握したうえで研修のテーマを決めましょう。
また、近年は効果と効率を高めるためにeラーニングを社員研修に取り入れる企業が増えています。社員教育にもスピード感が求められる今、場所も時間も選ばないeラーニングの導入を検討してみてはいかがでしょうか?
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