2023.06.23
人材教育
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内定を出した後、入社式までの時期は採用担当者にとって、やや緊張感が高い時期でしょう。
「内定を出したのに、辞退された」というのは、採用担当者としては、これまでの活動にかかった時間とコストが無駄になってしまうため、避けたい状況です。
そのため、採用プロセスだけでなく、内定者とのコミュニケーションが意識されるようになり、内定者研修の重要性が増しています。
ただし、内定を出してから入社までは半年以上と長い期間におよぶため、どの時期に何のコンテンツで内定者研修を企画すればいいか分からないという方も多いのではないでしょうか。
今回は、内定者研修の時期や内容について、詳しく説明しましょう。
内定者研修とは
内定者研修とは、企業が内定者に対して行う研修のことです。
2016年度新卒採用以降では、経団連による採用スケジュールの変更が行われたため、選考活動は大学4年生の8月以降となりました。それにともない、内定者研修もそれ以降の時期に実施することになります。
内定者研修そのものは必須ではないため、実施している企業もしていない企業もあります。少なくとも内定者研修を実施すること自体は、学生にとって「新入社員を大事にする会社」という好印象につながりやすくなるでしょう。
内定者研修を実施する目的・メリット
さっそく内定者研修を実施する目的やメリットから考えていきましょう。
内定者のフォロー・内定辞退の防止
多くの内定者は、初めて企業で働くことに対して不安や疑問を抱えているものです。
内定者研修を行うことで、企業で働くことや職場のイメージを高めてもらい、不安を払拭する目的があります。
内定者研修を実施せず、内定者に対して何のフォローも行わなかった場合、内定者の不安はどんどん大きくなるでしょう。
「この会社に入社していいのだろうか?」「自分は会社員としてやっていけるのだろうか?」と考え込んでしまい、最悪のケースでは内定辞退を招くこともあります。
このように内定者研修は、内定者を心理的にフォローをして、安心して社会人としてのスタートを切ってもらう目的があるのです。
内定者の入社後の早期戦力化
内定者が入社して、速やかに戦力として活躍してもらうためにも、内定者研修は効果があります。
就業経験がない内定者にとっては、初めての社会人生活では覚えることだらけです。入社してから社会人としての導入教育を行うと、その分現場で戦力になる時期に遅れが生じることになるでしょう。
その点、内定者研修を施して基礎的なビジネスマナーや社内用語を覚えてもらえるだけで、入社後の立ち上がりのスピードが上がります。
また、内定者本人の気持ちとしても社会人スタート前に、少しでも社会人の基礎を習得しておけば、自信を持って入社をすることもできるでしょう。
内定者研修の実施方法
内定者研修ですが、実施方法はいくつか考えられます。内定者の居住地域や教育する内容に応じて、最適な実施方法を選ぶことで内定辞退を未然に減らすことにつながります。
プログラムが豊富で導入しやすい「通信教育」
通信教育でもっとも多いのは、実務に直結する資格の取得(簿記、宅建、情報処理技術等)をめざした学習プログラムを実施する企業です。
その他に、ビジネスマナー(敬語の使い方、接客対応等)、語学研修(英語検定、TOEIC®等)も。特に、eラーニングは場所や時間を選ばず、自分のペースで進められ、スマートフォンでも対応可能なことから、若い世代にとってはなじみやすい教材として、需要を伸ばしています。
モチベーションアップにつながる「集団学習」
ワークショップ形式で課題を出し、グループワークとして取り組む集団学習や講演会は、入社前に同期が時間をともにすることで、モチベーションアップにつながる機会でもあります。
ただ、準備、時間、予算等の関係で頻繁な開催は難しく、eラーニングや通信教育と組み合わせて、最大限の効果を狙う企業が多いようです。
入社前に職場に触れさせる「インターンシップ」
インターンシップやアルバイトは、学生が入社前に直接職場に触れることができる絶好の機会です。
しかし、それには担当部署の十分な協力体制が欠かせません。準備不足だと、忙しさゆえに十分な指導ができなかったり、人手不足を補うアルバイトとして扱ってしまったりして、逆効果ということもあります。
以上のように、入社前に社会人として求められるビジネススキル、仕事に必要となる知識や資格を身に付けることで、新社会人としての意識づくりと仕事へのモチベーションアップにつなげることができます。
また、同期と触れあう機会や、職場を実際に体験することは、会社への理解を深め、ロイヤリティ(忠誠心)を培う土壌にもなります。
代表的な内定者研修の内容
実施方法でも部分的に触れましたが、内定者研修の内容・コンテンツで代表的なものをあらためて紹介します。
ビジネスマナー・ビジネススキル
どのような業界・職種でも共通して必要となるビジネスマナーやビジネススキルは、内定者研修ではメジャーなコンテンツです。
具体的には以下のような内容が一般的でしょう。
【ビジネスマナー】
・名刺交換
・言葉遣い
・電話対応
・身だしなみの整え方
【ビジネススキル】
・資料の作成
・ビジネス文書の作成
・OAスキルの習得
・コンプライアンスの習得
これら基礎的なマナーやリテラシーが習得できているだけで、例えば入社後に「一日のスケジュールを計画する」や「業務日誌を書く」等の作業がスムーズにできるようになります。
会社理解・相互理解
会社理解や、内定者間の相互理解も、内定者研修とは相性がよいコンテンツです。
具体的には以下のような内容が一般的でしょう。
【会社理解】
・主力製品・サービス理解
・製品・サービスの開発背景の理解
・会社の沿革の理解
・企業理念やミッション・ビジョンの理解
【相互理解】
・内定者同士の自己紹介
・性格検査を用いたグループワーク
・特技や入社後の目標の共有
会社の理解が進むことで、会社へのエンゲージメントが高まり、帰属意識が芽生えやすくなります。
また、入社後に同じ会社で頑張っていく「仲間・同志」の存在を感じることは、入社後につまづいた際等にも、心強い存在となることでしょう。
内定者研修を行う時期とテーマ
最後に、内定者研修を行う時期ごとに、ふさわしいテーマについて紹介します。
夏(6-8月)
この時期は、入社を決意した人もいれば、複数の企業から内定や内々定をもらい、就職先を迷っている人もいます。
内定者の不安を払拭し、入社意思を固めてもらうためにも、企業理解の促進や同期との関係性を深める研修を行いましょう。
例えば内定者研修で、会社の今後のビジョン等の魅力を伝えることで、入社を迷っている学生の背中を押す効果が期待できるでしょう。
または、現場の第一線で活躍する先輩社員との座談会等も、この時期のコンテンツとしては最適です。
さらに、夏休みで学生も時間にゆとりがあると思うので、内定者同士の関係性構築のための内定者研修も効果的です。
懇親会やチームビルディング研修等、関係づくりを目的とした研修を実施すれば、会社を安心な居場所として認識してもらえます。
いずれにしても、夏の時期は「この会社に入社を決める」という決意を固めてもらうようなテーマを企画することが望ましいでしょう。
秋~冬(11-1月)
内定者の入社意思が確定し、無事に内定式を迎えたら、次は社会人としての意識を開発していきましょう。
この時期の内定者研修としては、学生から社会人へとマインドやスタンスが切り替えられるような研修がおすすめです。
ビジネスマナーやビジネススキルが一般的なテーマとなりますが、なかには外部の講師を招いての研修等を行う企業もあります。
プロの外部講師が加わるだけで、一気に社会人としての自覚を促す効果があるでしょう。
この段階でしっかりと4月に向けてのマインドセットを行うことで、残りの学生生活でも自己研鑽に取り組む学生も増えるかもしれません。
冬~春(2-3月)
この時期は、学生時代の終わりが見えてきて、いよいよ4月からの社会人スタートに思いを馳せる時期です。
この時期の内定者研修は、実際に実務に関係するようなビジネススキルの習得がふさわしいでしょう。
汎用的なビジネススキルの教育や、より早期での独り立ちを期待するのであれば、配属先の業務知識の付与等も候補となります。
ただし、あくまでまだ自社の社員ではないため、「学び」の範囲であることに配慮してください。内定者はまだ自社と雇用契約を結んでいない立場のため、労務的な点では注意が必要になります。
研修への参加を強要するようなことも、避けてください。
また、この時期は卒業論文や卒業旅行等で、学生も忙しい時期です。
あまりに頻繁に研修を行うと学生の負担が大きくなってしまうため、学生の状況を考慮したうえで開催回数や時期、内容を決定しましょう。
まとめ
内定者研修を行う理由のひとつには、入社後の新人研修を円滑に進めるための下準備があります。
しかし、昨今ますます意識されている理由がほかに2点あります。ひとつは、内定者の不安を解消すること。
入社までに企業からの接触が少ないと、内定者は自分の決断が正しかったのか不安になります。
もうひとつは、自社がどれだけ「人材開発に投資」し、「社員教育に熱心」であるかということを、内定者にアピールすることです。
学生にとって、終身雇用という概念はもはや当たり前ではなく、将来的に会社に頼らずとも「使えるスキルを身に付けたい」という向上心が目立つようになっています。
そのため、就職先がどれだけ自分に投資し、能力を高めてくれるかが重要視されています。ここで他社に後れを取ると、結果として内定辞退を招きかねません。
このように、内定者研修には、新人研修をスムーズに行える、会社への理解度が上がる、同僚や上司との円滑な関係への取っ掛かりとなる、といったプラス効果が大いに期待できます。
そのため、今後は、採用プロセスから入社後の新人研修まで続く連続したプロセスとして内定者研修を位置付け、さらに内定者に対してきめ細やかな対応をすることが求められます。
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