2025.06.12
人材教育
人事制度・組織づくり
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企業の業績や生産性向上のためには、適切なスキルを社員に身に付けてつけてもらう人材育成の取り組みが必要不可欠です。
体系的な研修プログラムや現場での指導体制が整っていないと、社員のスキル不足による生産性の低下や、成長機会を求める優秀な人材の離職につながる可能性があります。そのような状況にならないためにも、人材育成を成功させる設計のポイントを押さえておきましょう。
本記事では、人材育成の設計ポイントにくわ加えて、よくある課題と解決策をについて解説します。人材育成の具体例も紹介するので、効果的な人材育成をしたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
人材育成とは
人材育成とは、企業の業績アップや生産性向上のために必要な能力を習得してもらう取り組みのことです。人材育成と似た言葉には、人材開発や組織開発、人材教育等が挙げられます。
それぞれの違いは、以下のとおり通りです。
人材育成 | 人材開発 | 組織開発 | 人材教育 | |
目的 | 企業の業績・生産性向上に必要な能力を習得させる | 個人の能力・スキルを高め、パフォーマンス向上を図る | 組織内の人間関係を円滑にし、組織を活性化する | 業務に必要な知識・スキルを効率的に教える |
対象者 | 新入社員・管理職といった特定の階層や役職 | 個々の社員 | 組織全体 | 特定の知識・スキルを習得させたい社員 |
人材育成と人材開発はどちらも人を育てる取り組みです。ただ、人材育成は企業にあった人材を育てることを目的としているのに対し、人材開発は個人の能力を向上させることを目的としているという違いがあります。
人材教育は、業務上の知識やスキルを教えることを指すため、人材育成の一環といえます。働きやすい職場環境や人間関係を構築したい場合は、組織開発をするのが効果的です。
人材育成が重要視される理由
人材育成が重要視される主な理由は、以下の3つです。
- 企業の競争力を高めるため
- 人手不足に対応するため
- 優秀な人材の流出を防ぐため
それぞれ詳しく解説します。
企業の競争力を高めるため
現代の変化の激しい環境に対応するためには、柔軟な発想・適応力をもった社員を増やすことが大切です。自身で考えて行動できる社員が少ないと、新しい技術やニーズの変化に対応できず、企業の業績が低迷する可能性があります。
そのような状態にならないためにも、主体性を高めるための研修を実施し、業務効率や業績アップのために何をすべきかを考えられる人材を育成しましょう。
人手不足に対応するため
日本では、少子高齢化によって労働人口の減少が続くと予想されています。人材確保が難しくなっていくなかで、限られた人材を育成し、一人ひとりの生産性を高めることが求められています。
十分なスキルや知識をもたない社員ばかりの組織では、生産性やモチベーションが低下していく一方です。企業は採用活動に注力するだけでなく、既存社員のスキルアップができる取り組みを進める必要があります。
優秀な人材の流出を防ぐため
転職が一般的になった昨今、成長の機会を提供しない企業では、優秀な人材が流出するリスクが高まっています。優秀な人材を逃さないためには、社員がスキルアップを実感でき、仕事にやりがいを感じられる環境を整えることが重要です。
スキルや成果に応じた昇給・昇格制度や、失敗を許容し新しいアイデアを歓迎する企業風土ををつくることができれば、社員のモチベーションを高め、定着率を向上させることにつながるでしょう。
人材育成を成功させるための設計のポイント
人材育成を成功させるためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 求める人物像を明確にする
- 現状を把握する
- 人材育成計画を立てる
それぞれ詳しく解説します。
1. 求める人物像を明確にする
自社に合ったあった人材育成をするためには、求める人物像を明確にすることが大切です。求める人物像があいまいな状況では、育成の方向性を定められなかったり、育成した社員が期待するパフォーマンスを発揮できなかったりする可能性があります。
そのような状況にならないためにも、自社が求める人物像を設定しましょう。求める人物像を設定する際は、経営層だけでなく、現場の社員や管理職にもヒアリングをすることをおすすめお勧めします。
経営層のみで決めると、現場のニーズにあわない人材を育成することになり、生産性向上につながらない可能性があります。ヒアリング結果をもとに基に、企業が見据えている将来のビジョンと現場のニーズを踏まえた人物像を決めましょう。
2. 現状を把握する
人材育成計画を立てる前に、育成対象となる社員のスキルを把握しましょう。求める人物像とのギャップが明確になれば、効果的な育成計画を立てられるようになります。
現状のスキルを把握する方法には、スキルチェックテストや上司が育成対象者を評価する方法があります。社員のスキルを適切に把握できれば、人材配置にも役立てられるでしょう。
3. 人材育成計画を立てる
人材育成の効果を高めるためには、対象者に合ったあった育成計画を立てることが大切です。育成計画があっていなければ、成長意欲を低下させたり、育成コストが無駄になったりする可能性が高まります。
人材育成計画を立てるときは、育成目標と研修内容が階層や役職にあっているのかを確認しましょう。例えば、新入社員にはビジネスマナーの習得や自社の経営理念等の教育、中堅社員にはリーダーの自覚をもたせたり、指導者としてのスキル向上をサポートしたりすることが重要となります。
管理職育成では、部下のマネジメントや評価に関する教育を実施するのがよいでしょう。
育成計画を実施したあとは、習得スキルの評価テスト、業務パフォーマンスの変化、上司・同僚からのフィードバック等、など複数の指標で効果測定をし、結果を次の育成計画に活かすことが重要です。
人材育成はどう進める?代表的な手法とその活用方法
人材育成の代表的な手法には、以下のようなものがあります。
- OJT
- OFF-JT
- 自己啓発
それぞれの活用方法を詳しく解説します。
OJT
OJTとは、上司や先輩社員が指導者となり、実際の業務を通して部下を育成する手法のことです。部下が実践的なスキルを身に付けつけられるだけでなく、上司の指導スキル向上や、上司と部下の信頼関係の構築にも効果的です。
ただし、業務を進めながら部下の育成をすると、指導者の負担が大きくなったり、指導力の差が育成に影響したりすることがあります。OJTを実施する際は、業務量の調整や指導力向上のための教育も実施するようにしましょう。
OFF-JT
OFF-JTとは、日常業務から離れた場で実施される教育のことです。研修を通して業務に必要なスキルや知識を体系的に学べます。学習に集中できるだけでなく、指導者のスキルに依存しないため、知識習得のばらつきを防げるのも嬉しいポイントです。
一方で、講師や会場のコストがかかったり、受講者が受け身になりやすかったりするデメリットがあります。予算や場所に制限があるときは、eラーニングを活用して費用を抑えるのがおすすめお勧めです。研修をする際は、受講者が集中力を維持できるようにグループワークを取り入れてみましょう。
自己啓発
自己啓発とは、自身のスキルアップのために学習したり、資格を取得したりすることです。社員が自ら学ぶことで、生産性向上や業績アップにつながります。ただし、自己啓発は成長意欲のない社員には効果が薄く、組織全体の能力の底上げが難しくなります。
社員に自己啓発を促したいときは、受講費補助や資格取得報奨金制度を導入したり、資格試験のための休暇を付与したりするのが効果的です。くわ加えて、学習成果を評価に反映させることで、社員の成長意欲をより高められるでしょう。
人材育成のよくある課題と解決策
人材育成を進める際の課題には、以下のようなものがあります。
- 指導者が不足している
- 人材育成をしても辞めてしまう
- 人材育成をする時間がない
- 社員のモチベーションが低い
それぞれの解決策を見ていきましょう。
1. 指導者が不足している
指導者が不足していると人材育成を進められないだけでなく、指導者のスキル不足によって社員の成長意欲が低下する可能性があります。
指導者を育成するためには、指導方法や計画の立て方を学ぶ機会を提供することが大切です。マネジメント研修やOJTトレーナー研修等を実施して、指導者を育成しましょう。
2. 人材育成しても辞めてしまう
育成した人材が辞めてしまうと、これまでの教育コストが無駄になります。このような状況を防ぐためには、人材育成だけでなく、適切な評価や人材配置ができるように体制を整えておくことが大切です。
社員の成長意欲やキャリアプランを考慮した人材配置をすれば、社員がやりがいを感じやすくなるでしょう。スキルや実績に応じた昇給・昇進制度を取り入れることができれば、社員のモチベーションを高めて定着につなげられます。
3. 人材育成をする時間がない
企業によっては日常業務が忙しく、人材育成に十分な時間を割けない場合があります。指導者の業務負担が大きければ、OJTを実施しても育成効果が低下してしまいます。業務分担を見直したり、外部研修を活用したりして指導者の負担を軽減しましょう。
eラーニングを活用すれば、時間や場所を問わず受講者のペースで学習を進められます。
サイバー大学の「Cloud Campusコンテンツパック100」では、ビジネスマナーやコミュニケーションスキル、マネジメントスキル等をeラーニングで学べます。
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4. 社員のモチベーションが低い
育成対象者のモチベーションが低ければ、期待する効果が得られません。社員の成長意欲を高めるためには、人材育成の目的や重要性を説明し、自身の成長やキャリアアップへの効果を理解してもらう必要があります。
社員のモチベーションに課題があるときは、1on1ミーティングを実施し、課題やキャリアプランを考える機会を設けるのも効果的です。
人材育成の具体例
企業がどのような人材育成をしているのか具体例を紹介します。
大手インテリア用品メーカー
大手インテリア用品メーカーでは、広い視野と柔軟な思考を養うために、さまざまな部署を経験する「配転教育」を取り入れています。くわ加えて、社員のキャリア形成をサポートするために上司との定期的な面談やキャリアカウンセリングを実施しています。
独自のデジタル教育コンテンツや、他社調査の実践研修を提供しているのも特徴的です。
大手インターネット広告会社
大手インターネット広告会社では、半期に一度、メンバー全員がマネジメント視点で組織目標を考える施策を実施しています。半期末には上長との面談によって目標達成度を評価し、給与や年俸に反映される仕組みです。
また、社内異動公募制度や社内版転職サイトの運営等を通じて、適材適所の人材配置ができるように取り組んでいます。さらに、育成担当者のトレーニングスキル研修や新任マネージャーのマネジメント研修等、役割や役職に応じた研修によって社員の成長を支援しています。
大手飲料メーカー
大手飲料メーカーでは、全社員を対象に能力や適性、希望等などを体系的に把握・管理し、最適な配置や育成を行う『全社員型タレントマネジメント』によって、適材適所の配置を目指しています。また、社員が主体的に学び合えるように業務内容や一般教養等さまざまな内容の講義を受講したり、自らが講師として講義を開いたりすることができる学習プラットフォームを開設しています。
管理職層の人材育成力を強化するために、人材人財育成に関する悩みやノウハウを共有する場を設けているのも特徴的です。
メンター制度の導入も検討しよう
人材育成の効果を高めるための手段として、メンター制度の導入も検討してみましょう。メンター制度とは、先輩社員が若手社員の業務面だけでなく、人間関係やキャリアの悩みといった精神面のケアまで幅広くサポートする制度のことです。
悩みの解消によるパフォーマンス向上や離職防止といった効果が期待できます。ただし、メンターとなる社員が目的や役割を理解していなければ適切なサポートができないため、メンター研修を実施してメンターを教育することが大切です。
まとめ
効果的な人材育成は、生産性の向上や優秀な人材の定着につながります。人材育成を成功させるためには、社員のスキルを把握し、求める人物像とのギャップを埋められるように育成計画を立てることが大切です。
人材育成をする時間を確保するのが難しい場合は、時間や場所に捉われることなく学習できるeラーニングがお勧めおすすめです。
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