効果の高いeラーニングを作成するためには、最大限まで効果が高まるポイントを盛り込むことが重要です。
一方で「研修の効果がどのくらいあったのか?」は具体的な数字にしにくく、あらかじめ効果測定の仕組みを作っておかなければ測定は非常に難しくなります。
効果的なeラーニング研修を行うためには、研修をどのように評価すべきか?をきちんと押さえることがカギとなります。
この記事では効果の高いeラーニング作成のノウハウだけでなく、研修の費用対効果を示すための評価モデルもご紹介していきます。
効果の高いeラーニング作成3つのポイント
eラーニングは時間や場所を選ばずに学習でき、独学にベストです。
一方で独学は自分自身を律する必要があり、時に苦しいものでもあります。
効果を高めるためにはモチベーションを持続させる工夫が必須です。
まずはモチベーションUPのための3つのポイントをご紹介します。
1.楽しんで学べる「ゲーム要素」
子どもが遊びを通じて多くのことを学ぶのと同じように、大人も楽しみながら学ぶことで成果が上がると言われています。
学習にゲーム要素を取り入れることを「ゲーミフィケーション」と言います。
例えば、回答までに時間制限を設けたり、課題をクリアしないと次に進めなかったり、ランキング機能を用意したりと、ゲーム性を用意する方法があります。また、動画にドラマ性を持たせたり、語学ならオンラインでネイティブスピーカーと会話したりするのもいいでしょう。
教材にエンターテインメントの要素を加えることも重要です。
2.やる気を引き出す「達成感」
「できた」という成功体験が積み重なると自信になり、よりいっそう頑張ろうという気持ちになります。
例えば、受験勉強などは時間を決めてやるよりも、分量を決めてやるほうが良いと言われています。決めた分量を終えることで達成感が得られるためです。
オンラインで大学の授業を展開するサイバー大学は15分単位ごとにeラーニングを区切っています。
最近だとマイクロラーニングが話題となっており、1回あたり3~5分の細切れの教材にするパターンも多くなっています。
学習者が小さな達成感を何度も味わうことでモチベーションを持続させることができます。また、繰り返し学習することで記憶が定着しやすくなるというメリットもあります。
3.「目標」と「ギャップ」を認識させる
マラソンの途中で疲れ切っていても、ゴールが近づくにつれて元気がわいてくる……というような経験はないでしょうか。
eラーニングも同様に、目標(ゴール)を明確に伝える工夫が重要です。
加えてその目標とのギャップを確認できるような工夫も必要です。ゴールまであと一歩なのか、それともまだ折り返し地点なのか、学習者が現在の到達地点が分かるようなチェックリストや進捗を示すグラフなどを入れましょう。
また、学習者のモチベーションや学習ペースを把握するために、上司や人事部など研修担当者も進捗をチェックする機会を設けることも大切です。
効果の高いeラーニングを作るための具体的な流れ
ここまで紹介した学びたくなるeラーニングの3つのポイントを押さえつつ、制作までの流れをまとめます。
1. 「シンプル」な長さのコンテンツづくり
達成感を得やすいeラーニング作成において、教材そのものを細切れにすることが大切です。短くするメリットは3つあります。
1.集中力を保ちやすい
2.達成感を得やすい
3.探したいときに見つけやすい
区切る時間の目安ですが例えば20分の動画があった場合、導入から最初までを1分以内、それ以外を3分前後ごとに区切る方法があります。
導入はなるべく短く、細切れにすることで小さな達成を積み上げてもらい、本編を見る前準備(助走)を促すパターンです。
細かくし過ぎると逆に面倒に感じてしまうこともあるため、受講者の属性に合わせて適切なバランスを見つけましょう。
2. 学習効果を高める「仕組み」づくり
eラーニングと別の研修を組み合わせたブレンデッドラーニングも効果を高める工夫の1つです。
eラーニングは主に知識を習得するインプット学習に向いている学習法です。そのため、予習・復習に活用し、間に実践的な研修を入れ込むことで研修全体の効果を高めるデザインが可能です。
予習:eラーニング
実践:集合研修、OJTなど
復習:eラーニング
例えば営業のプレゼン研修の場合、必要な知識はeラーニングで事前に身につけてもらい、集合研修では全時間フルでプレゼンの実践練習に使います。
最後に復習のためのeラーニングコースを用意しておき、受講することで研修全体が修了となるよう設計しておきます。
eラーニングのみの提供だと「いつでもできる=やらない」となりがちなので、別の研修と組み合わせることで強制力を持たせたり、より効果的に学習してもらえるようになります。
3. 効果測定をしながら「改善頻度」を上げる
完成したeラーニングを受講してもらったら、必ず受講後のアンケートを取るようにしましょう。以下にアンケート項目の一例を載せておきます。
・年齢
・受講した場所
・受講した時間帯
・完了までにかかった時間
・満足度
・メリット/デメリット
・改善点/要望
誰が、どんな場面で受講し、満足しているかという傾向を見ていきましょう。
達成感はあるか?途中で挫折していないか?満足度が低いとしたら原因は何か?など、アンケートを取ることでより具体的な改善策の打ち手が見えてきます。
次に向けた改善をなるべくスピーディにできるよう、提供する側にも仕組み作りが重要です。
生徒が学びたくなるeラーニングはどう作る?|千葉工業大学
大学講義の一部をオンライン提供している千葉工業大学。
生徒たちの若い世代はYoutubeやTikTokなどの短い動画に慣れているため、授業を10分ごとに区切って展開。バスや電車で通学する生徒も多く、なるべく細切れの時間で見れるように工夫しています。
説明用のパワーポイント資料もなるべく文字を入れないようにし、講義内容に集中できるような作りにしているそうです。
Check>>講義150本をオンデマンド化!授業のeラーニング展開を支援する大学活用事例
「eラーニングの効果」を評価するためのフィリップスの5段階評価モデル
ただeラーニングを作るだけで研修がうまくいくわけではありません。eラーニングは手段であり、仕事にどのようなプラスがあるのかという「効果」が求められます。
研修の効果をより明確に評価するために活用されるのがカーク・パトリックの4段階評価法と呼ばれるモデルです。研修の評価内容を4段階に分け、どのような結果をもたらしたかを測定します。
さらに、近年注目されているのがROI(投資対効果)を指標に加えたジャック・フィリップスの5段階評価法です。
参考:https://www.dashe.com/blog/evaluation-2/more-on-re-evaluating-evaluation-jack-phillips-and-roi/
ジャックフィリップスは研修が行われることでスキルや知識(レベル2)の習得が進み、それを自分の仕事に応用したり実行する(レベル3)ことで会社の売上などの数値(レベル4)に影響を与え、最終的に研修にかかった費用を上回る金銭的価値を生み出すと語ります。
つまり、研修がビジネスにおける数字面での成果そのものが研修の成果であるということです。
効果測定7つのステップと効果の高いeラーニングに求められる要素
5段階評価モデルにおける研修効果を見極めるための7つのステップは以下の通りです。
比較前の研修データを集める
研修実施後のデータを集める
研修による効果データのみを抽出・精査する
データを金銭的価値に置き換える
かかった研修費用をまとめる
4と5からROIを計算する
参考:https://www.dashe.com/blog/evaluation-2/more-on-re-evaluating-evaluation-jack-phillips-and-roi/
この記事では1つ1つのステップにおける詳細は説明しませんが、eラーニングにおける効果測定にあたって必要となる2と5(赤字部分)について押さえます。
eラーニング研修実施後のデータを集める
主に集めておきたい履歴データは以下の通りです。
受講状況(完了/進行中/未完了)
学習時間
受講回数
テスト等の点数
ほとんどのeラーニングシステムであれば上記のデータは抽出できます。研修効果を明確に示すためにも、なるべくテスト等を作成して数字データで収集できるようにしておきましょう。
eラーニング研修にかかった費用をまとめる
eラーニングの実施にかかるコストを計算しておきます。具体的には以下の項目を確認しておきます。
導入にかかった初期費用
ランニングコスト
eラーニング制作にかかった費用
そのほか外注費
教育効果を見るために、まずはeラーニングの提供にどのくらいのコストがかかっているか?をきちんと把握しておくことが第一歩です。
Point
受講履歴データとコストを把握することで効果を可視化できるようにしておく
費用対効果を可視化した事例|セゾン自動車火災保険株式会社
セゾン自動車火災保険株式会社は集合研修をeラーニング化したことで研修効果の可視化とコスト削減に成功しています。
これまで200名、1日7時間かけていたスキル研修の日数が8日から6日に短縮されました。削減された時間は以下の通り。
7(時間) x 200(名) x 2(日間) =2,800時間
仮に1時間あたり時給2,000円とした場合、おおよそ560万円分の経費削減につながっています。*あくまでも仮試算であり実際の社員時給ではないことをご了承ください。
研修効果も受講率100%と研修後のテスト80点を目標に設定。全社員の平均点が80点以上となっており、高いレベルを維持できています。
Check>>2,800時間削減で理解度80%超!研修が表彰されるほど効率化
効果の高いeラーニング作りができる「Cloud Campus」
「Cloud Campus」は企業のeラーニング運営を支えるプラットフォームです。教材の内製から履歴管理まで一貫して行うことができ、効果の高いeラーニング運用をサポートします。
10種類のeラーニングコンテンツ制作が可能
Cloud Campusは10種類のコンテンツ制作が可能です。
動画だけでなく、テスト、アンケート、討論用のディベートなど受講者の学びを促進するコンテンツを簡単に制作できます。
ひと目でわかる受講履歴
受講履歴も細かく管理できます。
受講者の完了ステータス、最終ログイン日時、受講回数、学習時間、テストの合否、点数まで分かるようになっています。
効果の高いeラーニングづくりには、まず効果をきちんと測定できることが何よりも重要です。Cloud Campusは受講者の履歴を細かく記録し、csvデータによる一括ダウンロードも可能です。
「定額制」で分かりやすい料金体系
Cloud Campusはユーザ登録数無制限、定額制なのでID単価のような細かい課金体系ではないのでコストを楽に把握できます。
人員が増えても料金は一定なので、研修効果を計算する上でeラーニングにどのくらいコストがかかったのかという計算もブレなく行えます。
eラーニングを使いこなすことで、企業研修のコストパフォーマンスはグンと上がります。
効果の高いeラーニングを作るために、研修の効果をどう示すのか?という点にも着目しながら制作することをおすすめします。
ほかにもeラーニングについての記事をまとめているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
eラーニングとは?概要からメリットやトレンドまで徹底解説
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