2023.05.24
人材教育
近年注目されている学習方法、ソーシャルラーニングをご存知ですか?
企業内で人材育成に携わっている方なら、ぜひとも押さえておきたいキーワードです。ソーシャルラーニングを有効に活用すれば、研修の効果を最大化したり、組織の業務遂行能力を底上げしたりできる可能性を秘めています。
ソーシャルラーニングは、インフォーマルラーニングの一種とされています。まずは重要なキーワードである、フォーマルラーニングとインフォーマルラーニングについてご紹介します。
フォーマルラーニングとインフォーマルラーニング
知識やスキルを身につける学習には多くの手法がありますが、大きくフォーマルラーニングとインフォーマルラーニングの2つに分類できます。両者はどう違うのでしょうか?
フォーマルラーニング
直訳すると「公式な学習」ですが、典型的なのが企業主催で計画的に開催される研修や講習会(セミナー)、ワークショップなどです。動画を視聴して学ぶeラーニングも含まれます。フォーマルラーニングは、講師と受講者の立場がはっきり分かれていることが特徴です。また、原則としてあらかじめ学ぶ内容や目標がしっかり決まっています。
インフォーマルラーニング
フォーマルラーニングの対となるインフォーマルラーニング(非公式的な学習)とは、普段同僚と会話をしたり、プライベートで博物館へ行ったり読書をしたりといった活動のなかで起きる学びです。そのため、明確に講師と受講者とが分かれていません。
フォーマルラーニングと異なり、学習内容や目標が決まっておらず、時間や場所も決まっていないので、さまざまな環境でインフォーマルラーニングが発生する可能性があります。
いかがでしょう、どちらの学習も皆さん経験があることでしょう。前述のように、ソーシャルラーニングはインフォーマルラーニングの一種です。
実は、ソーシャルラーニングという言葉自体は20世紀からあったそうです。しかし2010年以降、ますますインターネットが普及し、個人が相互に情報発信できるようになったことで、ソーシャルラーニングを誘発する機会が多くなりました。そのため、現在ソーシャルラーニングについて語られる場合、インターネットを活用したeラーニングとしてのソーシャルラーニングを指すことが多いようです。
ソーシャルラーニングの企業での活用方法、メリットは?
では、企業の人材育成のための学習方法として捉えた場合、ソーシャルラーニングはどのように活かせばよいでしょう。また、導入するとどのようなメリットがあるのでしょう。
属人的なスキルや経験を、企業の財産として蓄積することができる
ナレッジマネジメントとも呼ばれますが、どの企業や組織も、従業員が経験から得た知見やノウハウを有効に活用したいと考えています。拠点が各地域に広がっていたり、従業員が多かったりすると、これらを全体へシェアするのは困難でしたが、eラーニングであれば容易です。ソーシャルラーニングのプラットフォームとして、従業員が自発的に情報を発信できる場を用意すれば、知見やノウハウを、デジタルアーカイブとして企業の財産にしていくことができます。
後輩は、先輩やエキスパートの経験をeラーニングで学びとり、効率的に業務を遂行することができるでしょう。また、一度犯したミスやその再発防止策が共有されていれば、同じミスを防ぐことで企業のリスク回避にも繋がります。
社内研修やワークショップで学んだ知識を、実践力に昇華させる
研修などを導入している企業は多くありますが、フォーマルラーニングで実施されるのは、基本的に知識を習得するための学習です。しかし、知識を業務で役立たせるには、さらに経験や訓練が必要であることが多いと思います。ソーシャルラーニングは、知識について意見を交わし、先輩やエキスパートの経験をシェアすることで、身につけた知識をすぐに仕事に役立てたい、という従業員の欲求に応えることができます。
苦手分野を克服したり、より深い知識を身につけたりできる
ソーシャルラーニングのメリットの一つが、学び手が学ぶ内容を選べるということです。
一度きりの研修などでは、どうしても受講者の得意・不得意で理解度に差が出てしまいます。十分に理解しきれなかったという内容を、ソーシャルラーニングのプラットフォームで質問、回答しあえば、研修の効果を最大化することができます。また、興味をもって更に深い内容を学びたいという欲求にも応えることができます。
まとめ
以上のような活用方法でも触れましたが、一つ注意したいのがソーシャルラーニングは研修などのフォーマルラーニングを代替するものではないということです。フォーマルラーニングでの学習を補完するなど、役割を使い分けながら活用するのがベストです。
実施した研修の効果を最大化し、社内に埋もれているノウハウを社内に展開できれば、企業の業務効率や業績改善にも良い影響が期待されます。ぜひ皆さんの企業でもソーシャルラーニングを活かす場を設けてみてはいかがでしょうか?
参考サイト: