2025.09.02
人事制度・組織づくり
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人手不足が深刻化し、グローバル化が進む現代で企業が成長し続けるためには、ダイバーシティマネジメントが必要不可欠です。
ダイバーシティマネジメントを導入すれば、斬新なアイデアが生まれやすくなったり、優秀な人材を確保しやすくなったりする可能性があります。
しかし、多様な人材が集まると、意見の衝突やコミュニケーションの難しさといった課題が生まれるため、適切な進め方や注意点を押さえておくことが大切です。
本記事では、ダイバーシティマネジメントが重視される理由や導入するメリット、進め方を解説します。注意点や事例も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
ダイバーシティマネジメントとは
ダイバーシティは「多様性」を意味する言葉です。
性別や年齢、国籍、人種、障がいの有無といった目に見える違いだけでなく、働き方や価値観、職歴等、あらゆる個性の違いを指します。
ダイバーシティマネジメントとは、多様な人材を集めるだけでなく、一人ひとりが能力を最大限に発揮できる環境をつくり、組織の競争力向上につなげるための手法です。
ダイバーシティマネジメントができていなければ、多様な人材の強みを活かしきれず、生産性や競争力が低下する可能性があります。
個々の能力を組織の成果につなげるためには、個性を尊重し、能力を発揮できる場を提供することが重要です。
ダイバーシティマネジメントが重視される理由
ダイバーシティマネジメントが重視される主な理由は、以下の3つです。
- 人手不足が課題となっているため
- 働き方やキャリアの価値観が多様化しているため
- グローバルな競争力を高めるため
それぞれ詳しく解説します。
人手不足が課題となっているため
少子高齢化が進む日本では、人手不足が深刻な課題となっています。
企業が持続的な成長を続けるためには、性別や年齢、国籍等に関わらず多様な人材を確保し、能力を発揮できる環境をつくるダイバーシティマネジメントが必要です。
ダイバーシティマネジメントに取り組んでいなければ、採用できる人材の幅が狭まり、必要な労働力を確保するのが難しくなるでしょう。
そのような状況にならないためには、誰もが働きやすい環境を整えることが大切です。
働き方やキャリアの価値観が多様化しているため
近年、働き方やキャリアに対する個人の価値観が多様化しており、リモートワークや時短勤務を求める人が増加傾向にあります。
企業が柔軟な働き方に対応できなければ、優秀な人材の流出につながる可能性があります。
社員一人ひとりのライフスタイルやキャリアプランに合わせた多様な働き方を導入し、モチベーションを高めることが重要です。
グローバルな競争力を高めるため
国境を越えた事業展開が一般的になり、異なる文化や価値観をもつ人材と協力して働く機会が増えています。
グローバル市場で勝ち抜くためには、多様な視点を取り入れた意思決定が必要です。
ダイバーシティマネジメントが進んでいなければ、組織の意思決定に偏りが生じて、グローバル市場のニーズや課題を見落とす可能性があります。
組織の競争力を維持するためには、さまざまな価値観をもつメンバーの意見を積極的に取り入れ、多角的な視点をもつことが大切です。
ダイバーシティマネジメントを導入するメリット
ダイバーシティマネジメントには、以下のようなメリットがあります。
- 多様な視点が新たな気付きや提案につながる
- 優秀な人材を確保しやすくなる
- 企業イメージの向上につながる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
多様な視点が新たな気付きや提案につながる
多様な背景をもつメンバーが集まれば、異なる経験に基づいた活発な議論を通して、新しい価値を創造しやすくなります。
同じ価値観をもつメンバーばかりでは、意見が偏って新しいアイデアが生まれにくくなるため、市場の変化に対応できなくなります。
組織として革新を続けるためにも、誰もが安心して発言できる環境を整えるようにしましょう。
優秀な人材を確保しやすくなる
多様な働き方やキャリアパスを提供する企業は、育児中の社員や外国籍の人材、障がいをもつ方等、幅広い層の優秀な人材を確保しやすくなります。
ダイバーシティマネジメントが進んでいなければ、採用できる人材の幅が狭まり、人手不足によって事業継続が難しくなる可能性もあります。
自分らしく働ける職場であれば社員の定着率も高まるため、誰もが働きやすい職場づくりをすることが大切です。
企業イメージの向上につながる
ダイバーシティマネジメントに取り組んでいる企業は、社会的な評価が高まる傾向があります。
「社員を大切にする企業」「時代に合った先進的な企業」といったポジティブなイメージを構築できれば、企業ブランディングの強化や顧客層の拡大も期待できるでしょう。
一方、ダイバーシティに配慮していない企業として見なされると、ブランドイメージの低下につながる可能性があります。
そのような状況にならないためにも、自社の取り組みを積極的に社会へ発信して、透明性を高めていきましょう。
ダイバーシティマネジメントの進め方
ダイバーシティマネジメントの進め方は、以下の通りです。
- 目的を明確にする
- 社内制度を見直す
- 社員の意識改革をする
- 管理職のスキルアップをする
それぞれ詳しく解説します。
1.目的を明確にする
ダイバーシティマネジメントを進める際は、「なぜ取り組むのか」「どのような組織をめざすのか」といった目的を全社員で共有することが重要です。
目的が明確になっていなければ、社内の取り組みに一貫性がなくなり、社員の協力も得られにくくなります。誰もが同じ方向を向いて進んでいくためにも、組織全体でダイバーシティに取り組む意義を共有しましょう。
2.社内制度を見直す
多様な働き方に対応するためには、フレックスタイム制度や在宅勤務制度、短時間勤務制度といった社内制度の導入や見直しをすることが大切です。柔軟な制度設計ができれば、ライフプランとキャリアプランの両立がしやすくなることで、離職率を低下させられる可能性があります。
育児休業からの復帰支援プログラムや、社員のスキルアップのための学び直しの機会を提供する等、多様な働き方を支える制度を充実させましょう。
3.社員の意識改革をする
ダイバーシティマネジメントを成功させるには、社員一人ひとりの意識を変えるための取り組みが必要不可欠です。社員に多様性を受け入れる意識がなければ、無意識の偏見によって特定の社員が不当に扱われたり、能力を発揮できなかったりする可能性があります。
社員に多様性を尊重する姿勢を身に付けてもらうためには、アンコンシャスバイアス研修の実施が効果的です。
4.管理職のスキルアップをする
ダイバーシティマネジメントを進めるためには、部下一人ひとりの違いを理解し、強みを引き出すためのマネジメントスキルが求められます。
管理職にこうしたスキルがなければ、多様な価値観をもつメンバーとのコミュニケーションがうまくいかず、チーム内の摩擦や生産性の低下を招く可能性があります。そのような状況にならないためにも、効果的なコミュニケーション方法や公正なフィードバック方法を学ぶ研修を取り入れてみましょう。
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ダイバーシティマネジメントの注意点
ダイバーシティマネジメントを進める際は、以下の点に注意しましょう。
- 生産性が一時的に低下する可能性がある
- 公正な評価が難しくなる
- ハラスメントが発生するリスクがある
それぞれ詳しく解説します。
生産性が一時的に低下する可能性がある
多様なメンバーが集まると、仕事の進め方や価値観の違いから意見の衝突が生じやすくなります。議論が長引いたり、意思決定に時間がかかったりして、一時的にチーム全体の生産性が低下する可能性があります。
そのような状況を放置すると、チームの雰囲気が悪くなり、多様な人材の強みを活かせなくなってしまうでしょう。
生産性を高めるためには、チームの共通目標を明確にし、方向性を一致させることが重要です。また、管理職やリーダーには、対話を促すファシリテーションスキルの習得や、定期的なチームビルディングの実施によって相互理解を深めることが求められます。
公正な評価が難しくなる
多様な働き方をする社員が増えると、従来の評価制度では公正な評価が難しくなる場合があります。例えば、勤務時間や勤務場所だけで評価をすると、時短勤務やリモートワークをしている社員の貢献度を適正に評価できなくなるでしょう。
不公平な評価は、社員のモチベーションを低下させ、優秀な人材の離職につながります。公正な評価をするためには、働き方に応じた柔軟な目標設定を取り入れ、成果や能力に焦点を当てた評価制度を導入することが大切です。
評価者自身が無意識の偏見にとらわれないように、アンコンシャスバイアス研修を実施することも重要です。
ハラスメントが発生するリスクがある
文化や価値観が異なる多様な人材が共に働くと、意図せずハラスメントが発生するリスクが高まります。無意識の偏見からくる不適切な発言や配慮不足がハラスメントと認識されることもあるでしょう。
ハラスメントの発生を防ぐためには、アンコンシャスバイアス研修やLGBT研修で多様性に関する理解を深めたり、ハラスメント教育によって正しい知識と対処法を身に付けたりすることが重要です。日頃から積極的なコミュニケーションを促し、相互理解を深める機会を増やすのも効果的です。
ダイバーシティマネジメントの事例
ここでは、企業がどのようにダイバーシティマネジメントをしているのか、具体例を紹介します。
女性のキャリア支援と柔軟な働き方の推進:大手製薬会社
大手製薬会社では、女性の活躍と働き方改革を推進しています。具体的には、女性社員や女性管理職の比率向上を目標に掲げ、女性が長期的にキャリアを築けるように支援しています。
また、柔軟な働き方を可能にする取り組みにも力を入れており、男女問わず高い育児休業取得率を実現しているのも特長です。
ほかにも、キャリア形成を支援する独自の研修や、無意識の偏見に気付くためのアンコンシャスバイアス研修を実施し、多様な人材の能力を公正に評価して活かす環境づくりをしています。
多様な人材を取り込むグローバル経営:大手電子機器メーカー
大手電子機器メーカーでは、ダイバーシティマネジメントを経営の中核に据えています。
各職場に合った自発的なダイバーシティマネジメントを促すために、事業部門や地区ごとに推進メンバーを配置しているのが特長です。女性管理職や新卒女性の採用目標を設定するだけでなく、外国籍の従業員や高齢者、障がい者の雇用促進にも力を入れています。
社員の意識改革にも注力しており、多様な価値観への理解を深めるためのアンコンシャスバイアス研修やLGBT講演会を継続的に実施し、グローバルな視点を持った組織風土を形成しています。
多様性を原動力とするイノベーション創出:大手製菓会社
大手製菓会社では、「多様な人材の活躍がイノベーションを生む」という考えのもと、ダイバーシティ推進部署を設立しています。女性活躍推進に力を入れており、将来の経営幹部候補を育成する独自の研修プログラムに女性社員を積極的に選抜しています。
障がいのある社員が活躍できる独自の職場を創出し、多様な人材が働きがいを感じられる環境づくりを進めているのも特長です。
まとめ
ダイバーシティマネジメントは、少子高齢化やグローバル化が進む現代の企業の成長に欠かせません。多様な人材の活用は、新たな価値創造や優秀な人材の確保、企業イメージ向上といったメリットをもたらします。
しかし、意見の衝突やハラスメントのリスクといった課題も存在するため、研修を通して社員の意識改革と管理職のスキルアップを図ることが大切です。
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