【事例付き】面白くてユニークな社員研修6選

2022.12.19

人事制度・組織づくり

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【事例付き】面白くてユニークな社員研修6選

最近では、疑似体験や身体を動かすことを通じてチームワークやコミュニケーション能力を鍛える、ワークショップ形式の研修スタイルが生まれています。非常にユニークな内容で、一見、業務とは無関係に思えるのですが、実は仕事に必要なスキルや意識を育てる効果的な方法です。今回は、国内外のユニークな研修制度をいくつかご紹介します。

「無人島でサバイバル研修」日清食品

日清食品が新しく管理職に就く40代の社員を対象に行っているのが、瀬戸内海の無人島でのサバイバル研修です。食糧として渡されるのは、チキンラーメン3袋、米2合、小麦粉300gと水のみ。その他の持ち物も、最低限のサバイバルグッズが支給されるだけです。参加者は3~4人のグループに分かれ、試行錯誤をしながら2泊3日の無人島生活を送ります。

この研修の目的は、管理職になって課題に直面したときに、逃げることなく自ら打開策を見つける力を身につけることだといいます。2時間以上かけても火が起こせず、チキンラーメンをそのままポリポリと食べるグループもあるほどで、悪戦苦闘する経験を通して判断力、創造力、忍耐力を養うのです。

「全員参加の4週間新人研修」ザッポス(米国)

靴の通販会社であるザッポスは、社員が企業文化を共有することを重視しています。採用の時点でザッポスの文化になじめるかどうかを判断材料としており、入社後も4週間もの期間を費やす研修によって、経営理念と企業文化を共有する機会を設けています。この研修は、役職や部署に関わらず全員参加が義務づけられており、コールセンターでの実地トレーニングを中心に進められます。カスタマーサービスを事業の柱としていることから、その大切さを実感してもらうとともに、自由な社風にあってもルールと規律をしっかり学び、顧客業務のプロとしてのスキルを身につけてもらうのです。

新入社員一人ひとりにメンターが付き、技能試験に合格しないと採用は取り消されてしまいます。

「ヒッチハイク研修」イカイグループ

人材アウトソーシングのイカイグループでは、新入社員を対象にヒッチハイク研修を実施しています。その内容は、携帯も財布も持たずに、本社から100km離れたところからヒッチハイクで帰ってくるというものです。見ず知らずの人を相手にするヒッチハイクは、簡単なことではありません。行動を起こす積極性やコミュニケーション能力が問われます。そこには、ヒッチハイクの「失敗」と「成功」の体験を成長につなげるという狙いがあるのです。

「幼稚園研修」ダイハツモータース

自動車販売の青森ダイハツモータースでは、新人社員を対象に5日間の幼稚園研修を行っています。販売店を訪れる客層の6割は女性で、子連れの方が多いといいます。社員が子どもへの対応に不慣れだと商談がうまく進まず、業績に影響が出るとの判断からスタートしました。幼稚園で実際に子どもと過ごすことでコミュニケーションのとり方を学び、店内をファミリーフレンドリーに演出するアイデアにつなげることを最終目標としています。

「出前授業」コニカミノルタ

オフィス関連製品・サービスのコニカミノルタでは、企業人として社会貢献することを目的に、新入社員による中学・高校への「出前授業」を実施しています。「理科離れ」が進む世代に、もっと理科・科学に興味を持ってもらえるよう、複合機のコピープロセスを実例に静電気の性質に関する授業をするのです。相手が理解しやすいように話を組み立てる訓練となるだけでなく、準備の過程を通して、チームワーク、スケジュール管理、リーダーシップ、コミュニケーションスキルを磨くことも目的としています。

アイデアしだいで効果大の研修に

このように、通常の研修の枠組みに縛られないユニークな研修が行われています。社員教育の方法も視点を変えてアイデアを出してみてはいかがでしょうか。

研修を成功に導くには、おもしろいアイデアのみならず、研修後の効果測定までを考慮した事前計画がカギを握ります。「よくある失敗パターンから考える、社員研修を成功させる3つのカギ」や「やりっぱなしダメ!研修の効果測定をしよう」でも取り上げているので、参考にしてください。

また、近年人気のeラーニングや動画を利用した研修は、効率的な学習効果を実現するとともに、大幅なコストダウンに貢献しています。詳細については、「eラーニングで効率的に!避けては通れないコンプライアンス研修」「人事部チェック!注目研修ツール「研修動画」採用の8つのメリット」をご覧ください。

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参考:

 

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  2. eラーニング導入で失敗しないための3つのポイントを解説
  3. 効果の高いeラーニング教材の作り方と3つのポイント【企業事例付き】
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「従業員がもっとも働きやすい会社」(Glassdoor 2015年度 米国調査)、「憧れの就職先No.1」(universum 2015年度 世界12カ国調査)にも選ばれるという愛されぶりで、他を寄せつけない企業力を発揮しているGoogle(グーグル)。 その強さを探ってみると、会社と社員の「良い関係」、つまり「エンゲージメント」に行き着きます。今回は、なぜエンゲージメントが企業に強さをもたらすのか、Googleの福利厚生を例に、人事の視点からその理由に迫ってみましょう。 人事用語としての「エンゲージメント」とは? 「エンゲージメント」とは、エンプロイー・エンゲージメント(Employee Engagement)ともいわれる人事用語です。日本ではまだ耳慣れないかもしれませんが、米国ではここ10年来、「従業員満足度」に代わる優れた職場の指標として注目されています。 この分野の第一人者であり、『Louder Than Words』の著者であるボブ・ケラー氏は、「エンゲージメント」を“企業と従業員による相互のコミットメント”と表現しています。従業員満足度が高いことで有名だったコダックやGMが経営破たんに陥ったり、破産したりした例を挙げ、「エンゲージメント」を組織風土として培うことが、健全な企業発展を継続するには不可欠だと唱えています。 社員の幸せをとことん追求するGoogle Googleの斬新なオフィスデザインや、ほかに類をみない福利厚生制度については、世界的に有名です。家でくつろいでいるかのような空間やテーマパークのようなつくりは、今までの機能性を重視したオフィスの常識をはるかに超えるため、一見、富にものをいわせてぜいたくなオフィスづくりをしているように思うかもしれません。 しかし、人事管理担当上級副社長のラースロー・ボック氏が述べているように、すべては「エンジニアが商品開発をするときと同じように、私たち(人事部)もデータを使用し、分析し、科学した」結果です。人事チームも、社内人事経験者だけでなく、コンサルタントおよびアナリスト経験者がほぼ同じ割合で構成されています。 社員のために“科学”されたオフィス環境と福利厚生 “科学”されたオフィスや福利厚生の例には、次のようなものがあります。スキーゴンドラや滑り台、ジムやボーリング場のあるオフィス、パブ風のミーティングルーム、敷地内やオフィス内でも自転車が乗れるというルールなど。 また、社員の心身の健康も気遣い、社員用キッチンや社員が世話する野菜庭園、飲食無料のカフェテリア、お昼寝スペース、ルームランナーで歩きながら仕事ができるデスクなども用意されています。 最近では、在勤中の社員が死亡した場合、年間給与の半額を10年間、遺族に毎年支払う「遺族年金」で話題となりました。さらに、洗車とオイル交換、ドライクリーニング、産地直送の食材販売、移動美容室など、生活をサポートするサービスを外部業者に委託する形で提供しています。Googleのカリフォルニアオフィスの様子は、CBS Newsの動画で視聴できます。 社員にとって最適なオフィス環境は、モチベーションと仕事効率を高めます。そして、充実したワークライフは、豊かな人生にもつながります。社員が幸せであれば、それは企業にとってプラスに働くという好循環ができあがるのです。さらに、ボック氏は、人事施策のゴールを「平均勤続年数30年」にすることだとも語っています。 企業の発展に貢献する「エンゲージメント」の成功例 Googleは、「社員がさらに充実した長い人生を健康的に送れるようにするための職場環境を作り出している」と自社サイトでも述べています。そこには、企業と社員の主従関係はなく、両者がともに支え合うパートナー関係を確立して企業の発展につなげている、まさに「エンゲージメント」の成功例といえるでしょう。 今回は、福利厚生にスポットを当てましたが、Googleの採用、評価、報酬制度や風通しのよい組織づくりといった面でも、この「エンゲージメント」の精神は貫かれています。 失敗から学び、進化し続けよう Googleも最初から「最強企業」であったわけではありません。ボック氏も著書『Work Rules!(ワーク・ルールズ!)』で述べているとおり、失敗と試行錯誤を重ねた結果、今のGoogleがあります。そのことは、会社が社員の幸せを追求する組織づくりを続けるかぎり、会社も社員も進化し続けることを教えてくれます。 参考サイト: 「”Inside Google workplaces, from perks to nap pods”」 CBS News 「うらやましい!Googleの人事評価と福利厚生」 東洋経済オンライン 「企業と従業員の新しい関係「エンゲージメント」について、『Louder Than Words』の著者ボブ・ケラー氏に聞く」 HRpro 低コストで厳選コンテンツ見放題!コンテンツパック100 特にニーズの高いコンテンツだけを厳選することで1ID 年額999円(税抜)の低コストを実現。 ビジネス・ITの基礎知識を学べるeラーニングコンテンツが見放題、Cloud Campusのプラットフォーム上ですぐに研修として利用できます。 100コース・1500本以上の厳選動画をラインナップ。コース一覧詳細は無料でこちらからご確認頂けます。 >>Cloud Campus コンテンツパック100の詳細をチェックする

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「世界で市場を拡大中!企業向けeラーニング」でもお伝えしたように、eラーニングを採用する企業が年々増加しています。近年では、このeラーニングと集合研修を組み合わせた新しい学習法である「ブレンディッド・ラーニング」が米国の教育現場を中心に急速に普及し、その学習効果の高さからビジネスでも注目されています。 今回はブレンディッドラーニングの概要、導入する際に注意すべき7つのポイントを解説します。 「ブレンディッドラーニング」とは? 「ブレンディッドラーニング」とは、対面型の「集合研修」とオンライン型の「eラーニング」を組み合わせ、それぞれの特長を活かした研修や学習方法を指します。 集合研修では、一つの場所に受講生を集合させることにより強制力を持たせ、実践スキルの習得や学習の動機付けを行います。eラーニングでは、時間や場所を選ばずに、自分のペースで繰り返し学習することで知識を習得できるという特長があります。 これらをブレンド、つまり組み合わせた学習方法が「ブレンディッドラーニング」です。 「集合研修」と「eラーニング」のメリット・デメリット 集合研修とeラーニングのメリット・デメリットを表にまとめてご紹介します。 メリット デメリット 集合研修 ・非日常と臨場感を味わえる ・学習できる情報量が多い ・その場でのフィードバックをもらえる ・強制力がある ・一定のカリキュラムの確実な学習 ・その場で学習者の反応を確認しながら進められる ・一体感や帰属意識の醸成 ・グループダイナミクス(※1)を活かした相互啓発 ・理解度にばらつきが出る ・コストが高い ・時間がかかる eラーニング ・端末があれば、いつでもどこでも受講が可能 ・移動の手間が省ける ・繰り返し学習が可能 ・自分のペースで学習できる ・会場の広さや受講人数の制限なく提供できる ・必要な情報をスピーディーに対象者に提供できる ・多様なコンテンツを提供できる ・知識学習に向く ・学習の進捗や履歴管理をリアルタイムに把握できる ・最新の教材を一律に提供でき発送の手間がかからない ・導入以降のコストを削減できる ・臨場感が無い ・通信環境の整備状況に左右される ※1: グループのメンバー間に生じる「集団力の動き」 参考サイト:「よくわかる「eラーニング」講座 3.eラーニングと集合研修の特徴」日本の人事部 こちらの表からも分かるように、集合研修とeラーニングにはそれぞれメリット・デメリットがあります。そこで双方のメリットを活かし、デメリットが補完できるのが「ブレンディッドラーニング」です。 パソコンやスマートフォンによるすきま時間を使ったeラーニング学習で、知識の部分を習得し、集合研修で実践的なスキル向上や気づきを補うことで、デメリットである「研修時間や経費の削減」「理解度の均一化」「臨場感を味わえる学習」が可能になります。 ブレンディッドラーニングのメリットは? 1. 研修の成果が高まる パーソル総合研究所の「コロナ禍における研修のオンライン化に関する調査」によれば、eラーニングのようなデジタルコンテンツと集合研修を組み合わせた「ブレンディッドラーニング」の成果は通常の約1.7倍ほどになっています。 特にオンラインでの集合研修後のフォローにeラーニング等を活用する企業が多く、成果を高めるための研修手法として注目されています。 2. 研修を効率化できる 例えば、集合研修前にeラーニングで予習をしてもらっておけば、集合研修ではディスカッションや発表のような実践のみに集中できます。 事前に社員の知識を一定レベルに引き上げておくことで、より効率的に集合研修を行えます。 また、集合研修のあとにeラーニングで復習し、知識の定着を図ることもできます。 つまり、社員の状況に合わせて必要な研修を行う効率的な流れを作ることが可能です。 3. 受講者の満足度が高まる ブレンディッドラーニングを行った社員は、ただ集合研修のみ、eラーニングのみを行った場合と比較して受講満足度が高まる傾向にあります。 予習⇒研修⇒復習までを手厚くフォローしてもらえるだけでなく、繰り返し何度も学習できるeラーニングとの組み合わせで学習効果自体も実感しやすくなります。 集合研修とeラーニングの組み合わせパターン例 集合研修とeラーニングをブレンドさせ、それぞれのメリットを活かした効果的な研修の手法の例をご紹介いたします。 ① 集合研修 ⇒ eラーニング 集合研修後のフォローアップのために、eラーニングで自己学習を実施。 ② eラーニング ⇒ 集合研修 ①と逆で、eラーニングで事前学習を済ませた後、集合研修で実践的な学習を実施。 ③ eラーニング ⇒ 集合研修 ⇒ eラーニングによる確認テスト ②終了後、eラーニングによる確認テストを実施。 ④ eラーニング ⇒ 集合研修 ⇒ バーチャルクラス ②終了後、eラーニングによるバーチャルクラス(インターネットを利用した、講師の説明のライブ視聴によるeラーニング学習)を実施。 ⑤ eラーニング ⇒ 集合研修 ⇒ バーチャルクラス ⇒ eラーニングによる確認テスト ④終了後、eラーニングによる確認テストを実施 eラーニング提供側の「管理者」は、それぞれの受講者の学習進捗を管理画面上で確認できるので、集合研修後に行う「eラーニングによる確認テスト」で、受講者の理解度を把握することができます。 「確認テスト」で目標点に達するまで、eラーニングの学習に戻って繰り返し学習するよう促すことで、さらに受講者の理解度を高めることが可能です。 ブレンディッドラーニングで成果を出すための7つのポイント ポイント1:研修の目的とゴールを明確に設定 最終的に参加者が身につけるべきスキルや能力は何なのかを明確にし、そのためにどのような内容をカバーするべきかを設定をします。これは、研修のスタイルを問わず欠かせない作業です。 ポイント2:研修の全体像がわかるアウトラインを作成 参加者自身が「研修で何を学び、どのようなスキルや能力を身につけることが求められているのか」という研修の全体像をインプットできるようなアウトラインを作成します。そうすることで、参加者の目標が明確になり、学習の流れを確認しやすくなります。 ポイント3:eラーニングと集合研修の組み合わせ方を検討 研修の目標に合わせ、何をeラーニングで学び、どのような集合研修をするのかを検討します。 eラーニングと集合研修をどのようにブレンドするかは、研修の目的に応じてアレンジします。まず集合研修を行ったのちに、自己学習でフォローアップできるようにeラーニングを設ける方法、先にeラーニングを行なって参加者の知識を均等化し、その後の集合研修の質を上げる方法など、両者の組み合わせ方はさまざまです。 ポイント4:グループ学習で効果を増大 参加者の学習深度を高めるのに効果的なのが、グループ交流による学習機会です。ソーシャルメディアを用いたグループの交流を参加者に促して知識を共有する機会を設けたり、オンラインで意見やアイデアの交換ができる場を提供したりすることで、学習効果を大きく向上させることができます。 ポイント5:講師・参加者・提供者のコミュニケーション方法を確立 研修期間中のサポートとして、参加者の疑問・質問に講師や提供者がすぐに回答できる体制をつくっておきます。また、参加者が提供者へ研修内容をフィードバックできる仕組みを確立しておくことも、参加者の期待や需要に対する実際の研修内容とのズレをすぐに修正するために大切です。 ポイント6:eラーニングで学ぶ知識を深められる参考リンクや文献を提示 eラーニングの途中や終了後でも、参加者が自ら知識を深められるように、参考リンクや文献情報を提供します。 ポイント7:研修後のアセスメント計画を立てる せっかく研修を実施しても、やりっぱなしでは意味がありません。研修終了後に、参加者の習熟度や研修のゴール達成度を測ることが重要です。研修後のテストやレポート作成、ディスカッションを通じて成果を把握することは、次回以降の改善点を見出すことにつながり、参加者にとっても自分の学習がどの程度実を結んだのかを確認する機会となります。 「ブレンディッドラーニング」の研究事例 最後に、ブレンディッドラーニングの効果を研究した事例をご紹介します。 平成 20・21 年度岡山県総合教育センター個別テーマ研究 「ブレンディッドラーニングによる授業実践とその効果 -外国語学習における e ラーニングの活用-」によると、次のような効果が出たとの報告があります。 ある中学校と高等学校において、2年間「読み・聞き・書き・話すの4技能を連携させたeラーニング教材」と「集合型の実践授業」によるブレンディッドラーニングを実施しました。その効果を検証した結果、ブレンディッドラーニングの授業を実施したチームにおいて、英語運用能力のうち、リスニング力の向上、 音読力および自由発話力といった英語口頭能力の有意な上昇が見られたそうです。 よりフレキシブルで効果的な研修が実現できる 人材育成にIT教育の手法を上手に取り入れることで、高い学習効果を実現するブレンディッド・ラーニングは注目の学習法です。 このように、ブレンディッドラーニン」には多くの可能性が秘められています。 もし、現状で企業教育や研修の効果を出せていないようであれば、eラーニングを取り入れたりさまざまな研修をブレンドすることで、効果的な学習方法が得られるかもしれません。 こちらの記事も読まれています: いま話題の『ディープラーニング』って何?簡潔にまとめます 参考サイト: ・「eラーニングと集合研修の特徴」日本の人事部 ・「研修の種類と形式」日本の人事部 ・「平成15年度専修学校先進的教育研究開発事業」文部科学省 ・「ブレンディッド・ラーニング(Blended Learning)」日本イーラーニングコンソシアム ・平成 20・21 年度岡山県総合教育センター個別テーマ研究「ブレンディッドラーニングによる授業実践とその効果 ―外国語学習におけるeラーニングの活用―」2009年 ・7 Tips To Plan For Effective Blended Learning|eLearning Industry

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企業研修が、講師からの一方的な知識やスキルの伝授に終始している企業も少なくないかもしれません。 研修の目的は、仕事で成果を生むことにあります。 しかし、受け身な学習スタイルがメインとなり、インプットした知識をどう活用するかは参加者に委ねているだけという状態では、仕事での活用は期待できません。往々にして「学びっぱなし」「研修効果が見えない」といった結果に終わってしまいがちです。 今回は、社員の主体性を最大限に引き出すための、研修設計のノウハウについてお伝えします。 社員の主体性が求められる背景 昨今のビジネスを取り巻く環境は、VUCAの時代といわれています。 V(Volatility:変動性)、U(Uncertainty:不確実性)、C(Complexity:複雑性)、A(Ambiguity:曖昧性)の頭文字を取った略称です。 このような、先行きが不透明・複雑で将来の予測が見通しにくい時代には、社員一人ひとりが主体的に考え、行動する重要性が増しています。 例えば、新型コロナウイルス感染症の流行は多くの企業では予想不可能だっただけでなく、実際に企業業績にダメージを受けたという企業も少なくはないでしょう。 このような状況下では、トップダウンの意思決定だけですべての事象に対応していくことは現実的ではありません。上層部からの指示を待っているだけでは、指示が社員にいきわたる頃には、また状況が変化しているということも考えられるからです。 先行きが見通せず、前例もない状況下では、社員一人ひとりが主体性を発揮して、新規事業や新しい提供プロセスの考案、これまでとは異なる働き方への挑戦をしていく必要があります。 主体性が高い社員の特長 ビジネス書として広く知られる『7つの習慣』のなかで、スティーブン・R・コヴィー博士は習慣のひとつとして「主体性を発揮する」ことを提唱しています。 ビジネスシーンに限らず、何かのハプニングが起こった際には、自分自身で行動を選択する必要があるでしょう。このように、元来主体性は特別な訓練で取得するのではなく、すべての人間にそれを発揮する能力が備わっているのです。 ただ、ビジネスシーンでは主体性を発揮している社員と、発揮していない社員に分かれてしまっているのが現実です。 ここでは、あらためて主体性が高い社員の特長を紹介していきます。 特長1. 自分の言動に責任を持つ 主体性が高い社員は、自身の言動に責任を持とうとする傾向があります。 物事の判断基準や行動基準が、自分の価値観やポリシーに基づいており、言動の根拠がはっきりしているためです。 その影響で、自身の言動がもたらした結果に対して、他責ではなく自責思考が働きます。 例え望ましい結果が得られなかった場合であっても、自らの責任と考え内省し、今後に向けての対策を考える等、「失敗から学ぶ」姿勢が強い点が特長です。 一方、主体性が低い社員は、他責傾向が強くなります。 起こった事象に対して「上からの指示通りにやっただけ」や「自分が決めたわけではないから」等と、自分の意志の関与を否定するような言動が増えてしまいがちです。 特長2. 何事にも積極的・能動的 主体性が高い社員は、あらゆることに対して能動的に行動します。 詳細な指示を待つのではなく、自らやるべきこと・やれることを探し出そうとする傾向にあります。 また、日頃から問題意識や課題意識を持っているため、変化に対して気付くスピードが早いことも特長です。 主体性が高い社員はビジネスパーソンとしての成長意欲も強いため、自ら社員としての価値を高めようとし、キャリアアップの道を切り拓くこともできます。 一方、主体性が低い社員は、「待ち」の行動が多くなります。 「待ち」姿勢の社員が多い場合、マネジメントからの指示を待っている時間が無駄になるため、当然ビジネス全体のスピード感が損なわれます。 さらに、細かい指示まで求める社員の場合は、マネジメントの負荷も増すでしょう。 特長3. 周囲に働きかける 主体性が高い社員は、上下の社員や横の部門等、周囲に積極的に働きかける傾向があります。 また、分からないことや問題点をそのまま放置することはありません。自ら調べたり対策を考案したりしたうえで、上司や先輩に質問する点も特長です。 一方、主体性が低い社員は、自分の内側に閉じこもる傾向が強くなります。 分からないことがあっても周囲に質問することが少ないため、不明点を抱えたまま仕事を進めてしまいがちです。その結果、仕事のミスを引き起こすリスクも増えてしまいます。 主体性を高める研修のポイント 人材開発分野の第一人者であり、参加者を主体とした研修方法の実践者として世界的に有名なボブ・パイク氏は、脳科学の見地から、人は「与えられた目標」より「自ら立てた目標」の方が頑張れると述べています。 受け身の学習方法よりも、学ぶ側が積極的に参画する方が理解度も知識の定着率も断然高いことが科学的にも証明されています。 研修は参加者の主体性を尊重してデザインすべきとの認識が米国を中心に主流となっています。 例えば、席順、役割分担、課題、発表の順番等の段取りを決めず、参加者に委ねます。 研修の枠組みは提供しますが、細部に関しては参加者自身に決めてもらうことで参加意識を高めます。 参加者が取り組む課題も、ケーススタディ、ロールプレイ、演習問題、ワークショップ等、複数から自主的に選んでもらいます。そうすることで、参加者がより実践に近いシチュエーションを自ら考えて取り組めます。 主体性を高める具体的な研修デザインとは 具体的に、どのような研修デザインが参加者の主体性を引き出せるのでしょうか。主体性を高めるために効果的な、5つのポイントを説明します。 ①答えを用意しない 講義型の研修は無意味なものではありませんが、覚えるべき情報や活用するシーン等、すべてを講師から学ぶだけでは、そこに参加者の主体性はありません。 参加者自らが気づき考えながら学ばない限りは、単なる知識の「伝授」に過ぎず、知識の定着や職場での実践に結びつきにくいのです。 脳科学的見地からすると、提供した情報やノウハウを職場で活用できる具体的なシーンを参加者自身に考えてもらってこそ、現実へとフィードバックしやすくなり「成果」を生むのです。 ②グループ発表でやり取りを増やす 研修においては、参加者の質問が主体性を高めるプロセスとして欠かせません。「質問」は研修の内容を理解、考察し、不明点や新しい側面を発見することなので、参加者がどれだけ知識を吸収したかを測るバロメーターでもあります。 しかし、日本人の「他人の前で変な質問をすると恥ずかしい」というメンタリティが邪魔をして、活発な質疑応答になりにくいケースが多々あります。 その対策としては、グループディスカッションで事前に質問内容をまとめてもらい、それを発表する形式にするとよいでしょう。個々の発言を取りまとめることができるため、一人ずつの質疑応答スタイルよりも多くの質問が寄せられるはずです。 ③ロールプレイングで動きを取り入れる 一方的な講義形式だけでなく、研修参加者にその場で実践させるロールプレイングを取り入れることも、主体性を高めやすいポイントといえます。 例えば、営業のテクニックの情報を講義形式で教えた後に、あるケースを想定して、実践さながらに参加者自ら営業をしてもらうようなカリキュラムを入れる等です。 講義を聞いて分かったつもりになっていても、ロールプレイングではうまくいかないポイントが見つかる可能性もあります。 自らやってみてできない経験をすることで、「なぜうまくできなかったのか」と主体的な問題意識が芽生えることも期待できるでしょう。 ④上司向けにも研修を実施する 社員に主体性を求めるなら、上司にもメンバーの主体性を引き出すような訓練が必要となります。 例えば、「メンバーが話しているのに途中で遮ってしまう」「すぐに正解を教えてしまう」「自分の指示を押し付けてしまう」等は、社員の主体性を引き出せない代表的なNG行動といえます。 そのような場合は、上司向けに部下の主体性を引き出すための研修を実施しましょう。 上司が変化すれば、主体性を発揮する社員の面積の広がりが期待できるため、組織的に前向きな変化が起こりやすくなります。 まとめ 研修の目的は、学んだ知識を実践に活かすことであり、研修そのものは成果に至るまでの通過点です。 研修を形式的なイベントで終わらせるのではなく、職場に戻った参加者の行動を変えるような研修をめざしましょう。 一緒に読まれている記事 ・やりっぱなしダメ!研修の効果測定をしよう ・時間、コスト…社内研修を取り巻く問題とその改善方法 ・社内研修の種類や効果を高めるための実施プロセスとは?

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