2023.07.05
人事制度・組織づくり
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社員にとって、職場のコミュニケーションの影響は少なくはありません。
職場環境の良し悪しを判断する指標として、企業では従業員満足度を調査する場合があります。満足度の高い企業ほど上司やリーダーが積極的に現場の声を汲み取り、チーム内のコミュニケーションも十分取られていると言われています。
昨今では、就職活動でも「コミュニケーション能力」が重視されるようになってきました。経団連が2018年に発表した「新卒採用(2018年4月入社対象)」に関するアンケート調査によると、選考にあたって特に重視した点に「コミュニケーション能力」を挙げる企業は82%に達しています。
その背景には、プロジェクトやチーム単位で仕事をする機会が増加したことや、メール、SNSといった伝達ツールが増えたこと等が挙げられるでしょう。
今回は「職場コミュニケーション」をテーマに取り上げ、メリットやどのような企業でも実践できるコミュニケーションのコツについてお伝えします。
高まりつつある職場コミュニケーションの重要性
「職場」は多くの社会人にとって、仕事をするうえでもっとも小さく身近な単位なのではないでしょうか。
ギスギスした職場でも構わないと思っている方は少数かと思いますが、昨今はより職場コミュニケーションの重要性が高まっています。
例えば、リモートワークに代表される多様な働き方の広がりが、背景として挙げられます。
かつてのように同じオフィスで対面の会話をしながら仕事を進めるスタイルだけではなく、メンバーの働く場所や時間の自由が広がっているのです。
そのことで、これまでと同じようなコミュニケーションのやり方では、ある種の「職場の結束感」の欠如を感じられている方も多いようです。
また、リモートワークによって職場の心理的安全性を感じられず、心身の不調を訴える人も一定数存在します。
心理的安全性とは「チーム内で対人リスクがなく、安全な場所であるとメンバー間で共有された状態」です。
このように現代では、マネジメントや人事部門が意図的に心理的安全性を確保するような工夫が、ますます求められているといえます。
職場コミュニケーションを良好にする3つメリット
具体的に職場コミュニケーションが良好になると、どのような利点があるのでしょうか。ここでは代表的な3つのメリットをお伝えします。
1. 仕事でのやり取りが円滑になる
まず部(課)内で考えてみましょう。顔を合わせる機会も多いため、部内では会話でのコミュニケーションが中心になります。
同じ目的を持ったチームの中で会話がないと、ホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)が滞り、情報やノウハウの共有化が進みません。
隣の人が何をしているのか分からない状況が生まれ、チーム内の信頼関係が希薄になることで、結果的に業務が遅延・停滞してしまいます。
では他部署と協力するプロジェクトではどうでしょうか。
会議や打ち合わせで話をする機会もありますが、電話やeメールでの連絡が多くなります。その分意識的にコミュニケーションを取らないと、溝が生まれる原因になります。
連絡を後回しにしたり、報告を怠ると意識にズレが生じ、万一プロジェクトが失敗したら責任の押し付け合いになることは必至です。
また、上層部(経営層)とのコミュニケーションも重要です。
大企業になるほど従業員数が増え、年齢層も広がります。上層部の考えを円滑に現場に伝え、現場の状況を上層部に伝える仕組みが必要ですが、中間管理職が適切に伝達しないと、「会社の方針が分からない」「現場は何をしているのか」と、会社のあちこちがほころびます。全社一丸となるためには、タテのつながりも必要です。
つまり、コミュニケーションを図ることで、仕事のやり取りが円滑になり、効率化につながるのです。
2. 主体的な社員が増える
コミュニケーションが活発になると、社員一人ひとりの発言機会が増えるため、主体的な社員が増えます。
コミュニケーションをきっかけとして「自分はどのような考え方なのか」「どんな発言をするか」を考えるため、自分の考えをまとめる習慣が身に付きます。
このような主体性は、職場全体の生産性を向上させるうえで重要な要素です。
主体性のある社員が多い組織では、メンバー各々が自分自身で考えてアクションを起こすため、指示待ち状態が発生せず、組織全体としてのパフォーマンスが向上します。
3. アイデアが生まれやすくなる
コミュニケーションが多い職場では、創造的なアイデアが生まれやすくなります。
他者と会話を交わすことが、一人で思考するときと比較して、ひらめきや発想を得る確率を高めるからです。
特に自分にはない視点を得たときに、人は「もっとこうしたらどうなのだろう?」という新たな思考が生まれやすいものです。
さらには、職場メンバーとの会話を通じて「誰かのためになるアイデアを生み出したい」という意識も自然と芽生えるため、発想力が発揮されやすくなります。
お互いに認め合う雰囲気が整えば、創造的なアイデアが生まれやすい職場に近づくことでしょう。
職場コミュニケーションを改善する3つのコツ
職場でのコミュニケーションは、小さな工夫で驚くほど改善することも多いでしょう。ここでは、身近なコミュニケーション改善のコツをお伝えします。
①小さなコミュニケーションから始める
先ほどは部(課)内、他部署、上層部とのコミュニケーションを取り上げましたが、同期・同僚、他社、取引先等、コミュニケーションを取るべき相手は多くいます。
どこかに不信感が芽生えると、会社の業績に影響が出てしまうかもしれません。
ではどうすればコミュニケーションが取れるようになるのでしょうか。
「ビジネス・コミュニケーション白書2021」によると、コミュニケーションが行われている場は、「会議・ミーティング」が6割と最も多く、次に「eメール・グループウェア等」が4割と続きます。
特に「eメール・グループウェア等」の割合は前年よりも順位を上げており、非対面のコミュニケーションは今後も一定比率で発生することが予想されます。
その反面、4割が「日常の会話」の必要性を感じており、ますます小さなコミュニケーションの重要性が増していることがうかがえます。
また、円滑なコミュニケーションに必要なこととして、「思いやり・気配り」「相手を理解しようとする意識」等が挙げられ、会話スキルの低下を危惧している企業が増えているようですます。
まずは小さなコミュニケーションとして、「あいさつ」と「声かけ」を見直しましょう。
「おはよう」「お疲れさま」「調子はどう?」等、声をかけられた相手は「存在を認めてもらえた」という気持ちになり、信頼が生まれ、話しやすさを感じてくれるはずです。
返事が来たらお礼を言う。相手が話を始めたら聴く。「聴く」は意識して、相手のしぐさや表情を読み取りながら、身を入れ耳を傾けることです。
そうすることで会話のキャッチボールが進み、コミュニケーションが生まれていきます。
部(課)内ではマメにホウ・レン・ソウを行い、他部署や上層部とは意識してコミュニケーションを図りましょう。
どれも最初は小さなコミュニケーションですが、これが「始まり」です。eメールやSNSを使ったコミュニケーションでも、冒頭に一言、あいさつを入れるだけで相手の印象が変わります。そのうえで相手の話を「聴く」姿勢を大事にしましょう。
これを繰り返していけば、仕事がはかどる職場になり、ひいては全社が一丸となる会社になります。
②ツールを活用する
昨今は、コミュニケーションを活性化させたい場合には、ITツールの導入もお勧めです。手軽にテキストメッセージを使って会話ができるビジネスチャット等が、代表例でしょう。
仕事で相手に声をかけづらいと感じる理由は、相手の時間を奪ってしまうことへの罪悪感が根底にあります。
直接話しかけた場合、相手は仕事をしている手を一旦は休めなくてはいけません。
自分の事情で相手の時間を奪ってしまうことを懸念して、なかなか話しかけられない人も一定数存在します。
その点、チャットツールはeメールより手軽にコンタクトできるうえに、相手は好きな時間に返信できます。
チャットツールに限らずですが、オンラインイベントや社内の情報共有ツール等、昨今はITツールの活用も、職場コミュニケーションには欠かせない存在といえるでしょう。
③1on1ミーティングを実施する
1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で30分程度話す定例ミーティングのことです。
業務の進捗状況の共有やサポートの検討等の目的のほか、ライトな日常会話や率直な意見を引き出す効果もあります。
1時間以上のきっちりとしたミーティングと比べると準備も不要なため、上司や部下といった立場を超えて、コミュニケーションが活性化しやすい場といえるでしょう。
コミュニケーションを変える2つの具体的ノウハウ
どのような施策を実施したとしても、コミュニケーションの印象は意外と身近なもので変化することが多いでしょう。
ここでは、コミュニケーション上での具体的なノウハウをお伝えします。
ノウハウ① 目を見る
会話をする際に、相手の目を見て話すことは、基本の動作といえます。
「目は口ほどに物を言う」の言葉に代表されるように、目を見て話すのは、伝わりやすいコミュニケーションの重要なコツのひとつです。
なかには、目を見て話すのが恥ずかしいと感じる方もいるかもしれません。
初めは目を直視するのではなく鼻を見て話すと、相手からも目を見られていると思われることが多いため効果的でしょう。
話すだけではなく、相手の話を聴く姿勢も重要です。
どちらかが一方的に話をしているだけでは、コミュニケーションは成立しません。
お互いの投げたボールをしっかりと受け止め、その内容を咀嚼して投げ返すという、キャッチボールのような意識が大切です。
ノウハウ② まず自分から話かける
コミュニケーションを良好にしたい場合、立場が上の人から話かけることも重要なポイントです。
コミュニケーションに限ったことではありませんが、社内改革を進めていくなら立場が上の人から積極的に取り組むことが大切です。
「上司がやらないならやらなくてもいいか」という気持ちが広がってしまうのを防ぐためです。
また、立場が上の人ほど仕事が忙しく、声をかけにくいと感じるメンバーもいます。
「周囲は自分に声をかけにくいのかもしれない」と感じる人ほど、自分から周囲に話しかける機会をもつべきでしょう。
まとめ
会社は人と人との集合体となるため、身近な職場のコミュニケーションが良好であることは、仕事を進めるうえでは軽視できないでしょう。
昨今はITツールも発達しているため、職場のコミュニケーションを円滑にする施策もさまざまなバリエーションがあります。
例えば組織の方針を期初にしかメンバーに伝達していない組織等では、ITツールを有効活用して、こまめに方針やビジョンを共有するのも有効な手段でしょう。
客観的に職場のコミュニケーションの課題を見つめなおし、手を付けられるところから着手してみてはいかがでしょうか。
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