2025.03.24
人材教育
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感情的になったり、個人的な考えを押し付けたりする教育担当者の下では、新入社員の成長が遅れてしまう可能性があります。
新入社員教育をスムーズに進めるためには、新入社員が安心して学べる環境を整えることが大切です。
そこで今回は、新入社員の教育担当者が押さえておきたいポイントを紹介します。新入社員教育の基本的な流れも紹介しているので、どのような研修をすればいいのか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
新入社員の教育担当者がもつべき心構え
新入社員の教育を円滑に進めるには、以下の心構えで取り組むことが大切です。
- 信頼関係を築くことから始める
- 成長をサポートする姿勢で取り組む
- できて当たり前という前提を捨てる
- 最初からうまくいくと考えない
- 自身も成長する意識をもつ
それぞれ詳しく紹介します。
信頼関係を築くことから始める
教育担当者が最初に取り組むべきことは、新入社員との信頼関係を築くことです。
新入社員が安心して学べるように、普段から積極的にコミュニケーションをとるようにしましょう。
困ったときに相談できる人がいると思える環境が新入社員の成長を促します。
成長をサポートする姿勢で取り組む
新入社員の教育に取り組む際は「教える」ではなく「育てる」という意識をもつようにしましょう。
知識を一方的に押し付けるのではなく、新入社員が自ら学んで成長できるようにサポートする姿勢が求められます。
また、失敗したときは責めるのではなく、「なぜ失敗したのか」「どうすれば改善できるのか」を自身で考えられるように見守る姿勢が大切です。
できて当たり前という前提を捨てる
新入社員の教育をしていると、自分の経験を基に「これくらいは分かるはず」と思ってしまう瞬間があるかもしれません。
しかし、新入社員にとっては初めて経験することばかりです。できて当たり前という前提は捨てるようにしましょう。
基礎的なことから丁寧に伝え、分からないことがあれば質問しやすい環境をつくることが大切です。
最初からうまくいくと考えない
最初から新入社員教育がうまくいくとは限りません。
社会に出たばかりの新入社員が、教えられたことをすぐにこなせるようになるのは困難です。
同様に教育担当者も、最初から新入社員に対して的確な指示をするのは難しいでしょう。
完璧を求めるのではなく、失敗を繰り返したりコミュニケーションをとったりしながら、新入社員に合った指導方法を徐々に見つけていくことが大切です。
自身も成長する意識をもつ
教育担当者は自身も新入社員とともに成長する意識をもつようにしましょう。
新入社員の教育を通して、指導スキルが身に付くだけでなく、教える側の視点をもつことで業務の理解をより深められるようになります。
教育担当者は新入社員を育てるという責任と同時に、自身も成長できる機会を得られていると考えれば、よりよい指導ができるようになるでしょう。
新入社員を教育する基本の7ステップ
新入社員教育は、以下の7ステップで進めるとスムーズです。
- 業務の背景や必要性の説明
- 業務内容の説明
- ロールプレイ・実演
- 実際の業務経験
- 評価とフィードバック
- 復習
- フォローアップ研修
順番に詳しく紹介します。
1.業務の背景や必要性の説明
具体的な業務内容を説明する前に、その仕事が何のために必要なのかを示しましょう。
その業務の必要性や背景を理解できていなければ、目の前の作業をこなすだけになってしまいます。
仕事の必要性を適切に理解することで、新入社員本人のモチベーションも高めやすくなります。
2.業務内容の説明
業務内容を説明するときは、進め方と併せて注意点も伝えましょう。
説明がより具体的であるほど、新入社員の理解が進みやすくなります。
レクチャーの要所要所で、本人の理解度を確認しながら説明をすることも大切です。
3.ロールプレイ・実演
業務内容を説明したあとは、実際の仕事の進め方を見せましょう。
言葉やテキストで仕事内容を説明するだけでは、理解しにくい部分があります。
新入社員が行動に移しやすくするためには、実際に動きながら仕事をしている姿を見せることが大切です。
4.実際の業務経験
業務内容の説明や実演が済んだら、新入社員に仕事を経験させましょう。
この段階では、すべての行程・プロセスを新入社員の力でやり遂げさせることが大切です。
業務に影響が出るほどのミスをしそうなときは、指示やヒントを出し、軌道修正します。
指示やアドバイスをしたくなる場面も出てくるかもしれませんが、まずは見守りながら、新入社員自身で完遂できるようにサポートしましょう。
5.評価とフィードバック
実際の業務経験を踏まえて、フィードバックをします。
フィードバックをする際は、客観的な事実をベースにしながら、具体的な改善点を伝えるようにしましょう。
良かった点は評価し、新入社員のモチベーションを高める配慮をすることもポイントです。
6.復習
新入社員は、一度の指導ですべてを完璧に覚えられるわけではありません。
教育が一段落したら、復習する時間をつくり、記憶に定着させる必要があります。
本人に繰り返して学ぶ習慣がない場合もあるため、指導側から復習するタイミングを設けることが大切です。
新入社員から質問が出たら、しっかり回答して疑問を解消してもらいましょう。
7. フォローアップ研修
入社半年後や1年後を目安にフォローアップ研修を実施するようにしましょう。
フォローアップ研修には、以下のような目的があります。
- 教育の効果を確認する
- 入社前の期待と現実のギャップを埋める
- 仕事上の不安や悩みを解消する
- 現状を確認して次のステップへつなげる
企業によってはメンターを設けることもあり、早期の離職を防止する効果も期待できます。
新入社員の教育担当者が押さえておきたい教え方のコツ
新入社員の教育をする際は、以下の教え方のコツを押さえておきましょう。
- 相手の立場に立って教える
- 具体的な指示をする
- 新入社員が自身で考えられる時間をつくる
それぞれ詳しく紹介します。
相手の立場になって教える
業務経験が少ない新入社員は、専門用語や業務フローを十分に理解するのに時間がかかります。
そのため、教育担当者は新入社員の立場になって考え、分かりやすく教える必要があります。
例えば、専門用語を簡潔な言葉に言い換えたり、具体的な事例を用いたりすることが大切です。
また、新入社員が抱える不安や疑問を察し、フォローすることも重要な役割です。
安心して学べる環境を整えるためにも、新入社員の視点に立った指導を意識しましょう。
具体的な指示をする
新入社員教育で抽象的な説明をすると、適切な行動に結びつかない可能性があります。
そのため、教育担当者には「何を、どのようにすればいいか」を明確に伝えることが求められます。
例えば「しっかり報告をしてください」ではなく、「業務終了後30分以内にメールで進捗報告を送ってください」のように具体的に指導するようにしましょう。
具体的な指示をすることで新入社員はスムーズに行動しやすくなります。
新入社員が自身で考えられる時間をつくる
新入社員の成長を促すためには、指導者がすべてを教えるのではなく、新入社員自身で考える時間をつくることが大切です。
指示通りに動くだけでは、自発的な思考や問題解決力が育ちにくくなります。
具体的には、業務の進め方について質問を投げかけたり、解決策を考えさせたりすることが効果的です。
くわえて、新入社員自身が考えた内容に対してアドバイスをすることも忘れないようにしましょう。
新入社員教育でよくある失敗例と対策
新入社員教育でよくある失敗例には、以下のようなものがあります。
- 感情的になる
- 指摘ばかりをする
- 個人的な考えを押し付ける
- 新入社員教育に時間を割けない
- 担当者のストレスにつながる
一つずつ対策と併せて見ていきましょう
感情的になる
新入社員教育で、感情的な指導をするのは避けましょう。
業務に慣れていない新入社員は、多くのミスをしてしまうことがあります。
ミスをするたびに指導者が感情的になって責すると、新入社員が萎縮し、成長を妨げる可能性があります。
「なぜこんなこともできないのか」と感情的に責めるのではなく、「次回はどのように改善できるかを一緒に考えよう」と冷静に伝えることが大切です。
冷静かつ建設的なフィードバックをすることで、新入社員が前向きに学びやすくなります。
指摘ばかりをする
指摘ばかりしてしまうと、新入社員のモチベーションが低下する原因になってしまいます。
成長を促すためには、改善点だけでなく、よい点も積極的に伝えましょう。
例えば、報告書についての指摘があった場合に、指摘内容だけ伝えるのではなく、「報告内容が分かりやすくなったね。ただ、もう少し具体的な数字を入れると説得力が増すよ」といったポジティブなフィードバックを含めるのが効果的です。
個人的な考えを押し付ける
新入社員教育において、指導者の個人的な価値観を押し付けるのは避けましょう。
世のなかには多様な考え方や働き方があり、一つのやり方が正しいとは限りません。
指導をするときは、「私の時代はこうだった」と一方的に伝えるのではなく、「この方法もあるけれど、〇〇といった理由があるから△△のほうがいいよ」といった納得いく理由とともに説明することが大切です。
新入社員が自分なりの考えを残しながら、主体的な行動ができるような関係性を築きましょう。
新入社員教育に時間を割けない
業務の忙しさから、新入社員教育に十分な時間を割けないこともあるでしょう。
ただし、教育を怠ってしまうと新入社員の成長が遅れ、結果的に業務効率が下がってしまう恐れがあります。
短時間で効果的な教育をするためには、事前に教育計画を立てたり、マニュアルや動画を活用したりすることが大切です。
実際の業務を通じて実務に活かせる知識やスキルを効率的に学んでもらいたいときは、OJTを取り入れてみるのが効果的です。
担当者のストレスにつながる
新入社員の指導は教育担当者にとって大きな負担になりやすく、ストレスの原因になることもあります。
特に、自身の業務と並行して教育を行う場合、疲労やストレスが蓄積しやすくなります。
この問題を解決するためには、教育担当者だけでなくチーム全体で新入社員を支援する体制を作ることが大切です。
新入社員教育をスムーズに進めるための取り組み
新入社員教育をスムーズに進めるためには、教育担当者だけでなく、組織で環境を整えることが大切です。
具体的には、以下のような取り組みが有効になります。
- マニュアルを準備する
- 席のレイアウトに気を配る
- 教育担当者にも育成・研修を実施する
それぞれ詳しく紹介します。
マニュアルを準備する
新入社員に教える内容は、マニュアルとしてまとめておくことがお勧めです。
マニュアルを新入社員に渡せば、自信がない部分や疑問点を何度も振り返ることができます。
結果的に、教育担当者に質問する回数を減らすことにもつながるでしょう。
また、作成したマニュアルを指導側で共有することで、誰でも均一な新入社員教育が可能になります。
マニュアルの作成方法については、「分かりやすい業務マニュアルの作り方とは?作成手順を徹底解説」で紹介しています。参考にしてみてください。
席のレイアウトに気を配る
入社後の一定期間は、新入社員と教育担当者の席をコミュニケーションが取りやすい配置にしましょう。
新入社員のなかには質問に気後れをする人もいるため、声をかけやすい配置にすることが大切です。
教育担当者だけでなく、年齢の近い先輩社員とやり取りしやすい配置にすれば、教育係に負担が集中しにくくなります。
教育担当者にも育成・研修を実施する
新入社員教育をスムーズに進めたいときは、「OJTリーダー研修」といった教育担当者を対象とした研修を取り入れるのがお勧めです。
他者に指導するためには、自分一人で業務に取り組むときと異なるスキルが必要です。
指導力を向上させる教育を受ければ、教育担当者も自信をもって新入社員教育に取り組めるでしょう。
汎用的な指導力を身に付けることができれば、いつか部下をもったときにも役に立ちます。
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まとめ
新入社員教育をスムーズに進めるためには、成長をサポートする姿勢で取り組み、最初からうまくいくとは限らないと考えることが大切です。
実際に指導をするときは、新入社員の立場に立って教えたり、具体的な指示をしたりすることで新入社員が安心して学べる環境を整えられます。
教育担当者の指導力を向上させたいときは、eラーニングを活用してみましょう。
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