2024.06.26
人材教育
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「いまどきの若者の考え方は、自分たちの時代とは違う」「新入社員が何を考えているのか分からず、コミュニケーションがかみ合わない・・・・・・」
このようなセリフは、実はいつの時代でも聞かれるものです。ジェネレーションギャップが生じるのは、ある意味当たり前のことで、そのギャップを埋めたり味わったりしながら、新入社員は職場のメンバーとして馴染んでいくのです。
ただし、「どうせ話が合わないから」とさじを投げてしまうと、新入社員は孤独を感じ、ややもすると早期退職につながるリスクもあります。
会社の未来を担うこととなる新人を指導する中堅社員、経営層は、その職場内の世代ギャップを埋める必要があります。そのコツやヒントを、今回はお伝えしましょう。
いまどきの新入社員の世界観とは?
新社会人として入社する20代の若者は、「ゆとり世代」「Z世代」「デジタルネイティブ」等とさまざまな呼称があります。
いずれにしても、会社の40代や50代の社員とはかなり異なった環境で育っていることになります。
この世代の新入社員を育てるには、まず彼・彼女らがどのような世界観を持っているかを知らなくてはいけません。以下に、ゆとり世代やZ世代における5つの意識の特徴を挙げてみます。
特徴①成果に消極的
ゆとり世代の特徴としては、成果や成功に対してガツガツすることなく、スマートにものごとを進めたい傾向があります。
コツコツと努力を積んで成し遂げることや、すぐに結果の出ないものに対しては消極的です。
そこまで努力をせずとも、楽をして成果を上げることを当たり前と思う傾向も強いため、いきなり「努力と根性」のような精神論を投げつけることは、避けた方が無難でしょう。
特徴②自主的な行動が苦手
この世代は「指示待ち世代」等といわれることも多く、自主的な行動が苦手な傾向があります。
言われたことはできるものの、指示がないと自分から積極的に動こうとしません。また、自主的な判断で行動することに慣れていません。
仮に業務で分からないことがあっても、自主的に先輩や上司に質問することを遠慮する可能性もあります。
従って、最初はこまめに「何か困っていることはない?」と周囲が声がけをすることも必要でしょう。
特徴③小さなコミュニティに閉じがち
SNSの世界では多くの人とつながっているものの、リアルな人とのつながりは小さく保つのも、ゆとり世代の特徴です。
仕事や会社はいくらでも変化する不安定なものとして、どちらかというと懐疑的な考えを持っています。それより、家族や友人との時間や自分のプライベートを大事にしています。
「ワーク・ライフ・バランス」も重視する傾向があるため、仕事だけでなく私生活も含めて望ましいキャリアプランを描きたがる特徴もあるでしょう。
特徴④自己研鑽に前向き
仕事での泥臭い努力には消極的ですが、とかく自分のこととなるとやる気がわくのもゆとり世代の特徴です。
不況の時代しか知らないこの世代は、会社に頼ることをせず、何が起きてもよいように自分磨きをすることが賢い生き方だと悟っています。
キャリアアップや転職を前提としたスキルアップに専念し、自分の成長にプラスにならないと判断するとやる気を失います。
特徴⑤失敗や否定を避けがち
ゆとり教育によって、人格形成期に肯定され続けてきた彼・彼女らは、叱咤や否定の言葉に極度に免疫がない傾向があります。
過度に叱られると、萎縮してしまい、ややもすると自分の殻に閉じこもりがちになります。また失敗をすることに慣れていないため、失敗に恐れや羞恥心を感じ、それがチャレンジへのブレーキとなっている可能性があります。
会社ではいきなり大きな課題や目標を与えるのではなく、小さな階段を登らせながら「褒める」「叱る」等の経験を積ませることが望ましいでしょう。
「ゆとり世代」社員の効果的な教育法と注意点
育った時代や環境が違えば、価値観が異なることは必然です。
若い世代を指導する前にすべきことは、「彼らは自分と違う目で世界を見ている」「ギャップはあって当たり前」というマインドセットです。さらに、人材育成の場では、次のようなポイントを押さえましょう。
業務の目的と意義を説明し、自分の役割や立場を自覚させる
「それぞれの業務が企業活動全体でどういう意味を持つか」「なぜこの指示に従うことが必要なのか」等、ひとつずつ目的と意義を説明することが大切です。
こうすることで、自分の役割と立場が分かり、将来像が描けるようになるため、試練に直面しても踏ん張れば成果や目標達成につながることをおのずと理解できるようになります。
また、自分も業績に貢献できる一員であるとの自覚も生まれます。例えば、明確な目標を立て、その達成時期等をスキルマップ化し、チャレンジしやすくすることも効果的でしょう。
「褒める」「考察する」のフィードバックを行う
戦力の土台となるチームの団結力や上司、部下としての信頼関係を築くためには、新入社員が学ぶ過程に付き添っていくことが大事です。
メンター制度の採用や定期的な個人面談の設置を利用して、仕事を達成できた理由を見つけて褒める、できなかった理由を考察して次回へつなげる等、フィードバックを一緒に行うことで自主性を育んでいきます。
先輩社員に伴走してもらいながら成長する経験を積めれば、次に入社する自分の後輩にも同じ指導ができることも期待できるでしょう。
叱るときは客観的な理由を説明する
ゆとり世代に対して頭ごなしに怒鳴りつけるやり方は、学ぶ機会とやる気を奪うばかりで逆効果です。
その失敗を指摘しないとなぜ業務に支障をきたすか、何がいけなかったのか客観的な説明が必要です。
また、一方的に理由を押しつけることも避けましょう。
何か叱らなくてはならないことがあった際には、まず本人に「何がまずかったと思う?」や「このことがどんな影響をおよぼすと思う?」と、問いを投げかけてください。
本人に考えさせ、答え合わせをするサイクルを回していくと、新入社員本人の課題発見力や内省する力が鍛えやすくなるでしょう。
新入社員を教育する基本の6ステップ
新入社員に教育を施す際の、汎用性がある6つのステップを紹介します。
適宜、自社でアレンジしながら活用していただければと思います。
1. 業務の背景や必要性の説明
いきなり業務内容の詳細を説明する前に、その仕事が何のために必要なのかを示しましょう。
その業務が必要な理由や背景を理解していないまま取り組み始めると、ただ目の前の作業をこなすだけになってしまうからです。
その仕事の必要性がきちんと自分の頭で理解できれば、新入社員の本人のモチベーションも高めやすくなります。
2. 業務内容の説明
次に、業務内容の詳細を説明します。
業務内容を説明するときは、基本的な方法や手順と同時に、注意点も伝えましょう。
先輩社員にとっては当たり前に思えることも、新入社員は知らない、分からない可能性があります。
そのため、説明は具体的であればあるほど望ましいでしょう。レクチャーの要所要所で、本人の理解度を確かめつつ説明をする方法もお勧めです。
3. ロールプレイ・実演
業務内容を理解したら、実際に実演を見せましょう。
言葉やテキストで仕事内容を説明するだけでは、どうしても立体的に理解しにくい部分もあります。
そのため、全体像を説明したあとは、実際に動きながら仕事をやってみせることも重要です。
実演を見れば、説明で聞いた内容の理解もさらに促進されるため、新入社員はよりリアルに仕事内容をイメージしやすくなります。
4. 実際の業務経験
説明や実演が済んだら、いよいよ新入社員に実際に仕事を経験させましょう。
この段階では、全ての行程・プロセスを新入社員の力だけでやり遂げさせることが大切です。まったく異なる方向に向かっている場合だけ指示やヒントを出し、軌道修正を促しましょう。
つい口をはさみたくなる場面も出てくるかもしれませんが、まずは見守りながら、本人が自らの考えで完遂させることが重要です。
5. 評価とフィードバック
ひととおりの仕事のサイクルを経験させたら、その様子を踏まえて、フィードバックを行います。
フィードバックの際は、客観的な事実を基にしながら、具体的なポイントを本人に伝えるようにしましょう。
よかった点はしっかり褒め、新入社員のモチベーションを高める配慮も必要です。逆に改善点があるときも明確に示して、次の改善を促してください。
6. 復習
丁寧に指導したとしても、一度の教育で新入社員はすべてを完璧に覚えられるわけではありません。
教育が一段落したら、復習する時間をつくり、記憶に定着させる必要があります。本人に繰り返して学ぶ習慣がない場合もあるため、指導側から意識的に復習するタイミングを設けることが大事です。
ここで新入社員から質問が出たら、しっかり回答して疑問解消をさせるようにしましょう。
7. フォローアップ研修
約72%の企業がフォローアップ研修を実施しており、その重要性が定着しているようです。実施時期として最も多いのは入社半年後で、次は1年後です。
フォローアップ研修は、教育の効果を確認するとともに、入社前の期待と現実のギャップを埋める、仕事上の不安や悩みを解消する、現状を確認して次のステップへつなげるといった、大切な意味を持っています。
企業によってはメンターを設けることもあり、早期の離職を防止する効果も期待できます。
新入社員教育をスムーズに進める3つのコツ
最後に、新入社員教育をスムーズに進めるための工夫・コツをお伝えします。
1. マニュアルを準備する
新入社員に教えたい内容は、マニュアルとしてまとめることが推奨されます。
マニュアルを新入社員に渡すことで、本人は自信がない部分を何度でも振り返り・復習が可能になります。マニュアルを基に学べるため、先輩社員に質問する回数を減らせることにもつながります。
また作成したマニュアルを指導側で共有することで、誰でも均一な新入社員教育が可能になるでしょう。
マニュアルの作成方法については「分かりやすい業務マニュアルの作り方とは?作成手順を徹底解説」の記事にもまとめているので参考にしてみてください。
2. 席のレイアウトに気を配る
入社後一定の期間は、指導社員は新入社員とコミュニケーションを取りやすい席の配置にすると効果的です。
ゆとり世代の新入社員は、質問に気後れをする可能性もあるため、なるべく声をかけやすいレイアウトを心がけてください。
場合によっては、新入社員が教育係以外ともやり取りできる配置にすれば、教育係に負担が集中することを防止できます。
3. 教育担当にも育成・研修を実施する
最近は「OJTリーダー研修」に代表されるように、新入社員の教育担当にも研修を実施することもあります。
他者に指導するためには、自分ひとりで業務に取り組むときとは異なるスキルが必要になります。
指導力を向上させるための教育を受ければ、教育担当も自信を持って新入社員教育に取り組めるようになるはずです。
汎用的な指導力を身に付けることができれば、いつか部下を持ったときにも役に立つでしょう。
まとめ
世代間ギャップに直面すると、「最近の若者は……」といった話に陥りがちですが、現状を改善するには、じっくり、ゆっくりと長期スパンで育てていく姿勢が大切です。
多くの会社では、こうした世代間の問題は個人的な人間関係と見なされ、組織的な取り組みが行われることが少ないのが現状でしょう。
しかし、こうしたコミュニケーション問題は、業務の滞りやモチベーションの低下、離職等を招き、会社にとって不利益なことばかりです。
コミュニケーションスキルや心理学について学ぶ研修を提供する等、世代同士が学びあえる機会を設けてみることも一考でしょう。
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