2025.10.27
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デジタル化が加速する現代では、情報セキュリティやデジタルツールの活用といった基礎的な能力から、プログラミングやデータサイエンスといった高度な専門技術まで求められるシーンが増加しています。
技術革新が加速し、DX推進が企業の優先事項となる昨今、社員一人ひとりのITスキルを底上げすることは、業務効率化や生産性向上、企業の競争力を高めるうえで重要な要素です。
ITスキルアップを組織的に実現するためには、資格取得支援やeラーニングといった教育施策の導入が鍵となります。
本記事では、職種別に求められるITスキルの種類や、効果的にスキルアップを図る具体的な方法を詳しく解説します。自社のDX推進や社員のリスキリングに課題を感じている人事・研修担当者やマネージャーの方は、ぜひ参考にしてください。
ITスキルとは
ITスキルとは、情報技術(Information Technology)を活用して、業務上の課題を解決したり、新たな価値を創造したりする能力の総称を指します。
単にパソコンを操作できるといった技術的な面に留まらず、インターネットやデータ、セキュリティに関する知識を身に付け、デジタル環境で適切に行動できる総合的なリテラシーも含まれます。
ビジネスパーソンに求められるITスキルの種類
ITスキルの定義は、業種によって異なります。
社会人全般に求められる基礎的なITスキルには、以下のようなものがあります。
- 情報セキュリティ対応スキル
- デジタルツールの活用スキル
- ITインフラとデータの基礎活用スキル
それぞれ詳しく解説します。
情報セキュリティ対応スキル

情報セキュリティ対応スキルとは、サイバー攻撃や情報漏洩から企業の情報資産を守るための知識と能力のことです。
具体的には、パスワードの管理や不審なメールへの対応方法、機密情報の取扱ルール等が挙げられます。
IT技術の進化にともない、サイバー犯罪の手口もますます巧妙化しています。
こうした状況を踏まえると、全従業員が高いセキュリティ意識をもつことが不可欠です。
万が一、情報漏洩事故が発生した場合、企業の信頼は大きく損なわれてしまいます。
そのような事態を避けるためにも、情報を取り扱うすべてのビジネスパーソンが情報セキュリティに関する最低限の知識を身に付けることが大切です。
デジタルツールの活用スキル

デジタルツールの活用スキルは、日常業務で使われる多様なツールを目的に応じて効率的に使用する能力です。
特に以下のようなツールは、多岐にわたる業務で活用されます。
| 項目 | 具体的なツール | 活用シーン |
| オフィスソフト | Word、Excel、PowerPoint等 | 事務作業の効率化やデータ管理、資料作成 |
| コミュニケーションツール | 社内チャットツール(Slack、Chatwork等)やWeb会議システム(Zoom、Google Meet等) | チーム内での迅速な情報共有、リモート環境での円滑なコミュニケーション、会議時間の効率化 |
| 情報収集ツール | インターネット検索、SNS、社内データベース | 業務に必要な情報の迅速な入手、情報整理によるナレッジ共有 |
| 自社ツール | SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)、ERP(統合基幹業務システム)等、自社で導入している業務特化型ツール | 業務プロセスの標準化と効率化 |
デジタルツールを活用するときは、単に操作できるだけでなく、目的に応じて使い分けたうえで業務に役立てる応用力も必要です。
ITインフラとデータの基礎活用スキル
ITインフラとデータの基礎活用スキルは、基本的な仕組みを理解し、デジタル機器を使いこなすための土台となる能力です。
具体的には、以下のような能力です。
| 項目 | 概要 | 習得の重要性 |
| ネットワークの基本理解 | インターネット接続、クラウドサービスの仕組みといった、IT環境が動作する基本的な原理の理解 | システムトラブル発生時の適切な対応や、IT部門との円滑な連携に必要となる |
| OS・デバイス管理 | PCやスマートフォンのOS(Windows、macOS等)におけるファイル管理、設定変更 | 自身の業務デバイスを適切に操作・管理し、業務効率とセキュリティ向上につながる |
| データの基礎 | CSV、PDFといったファイル形式の違いと用途の理解、データの適切な格納場所(ローカル、サーバー、クラウド)の判断 | 部門間でのデータ連携を円滑にし、情報資産の安全な管理につながる |
ITインフラとデータの基礎活用スキルは、企業活動を支えるシステムやデータを適切に扱うためにも、習得しておきたい基礎スキルといえるでしょう。
デジタル人材に求められるITスキルの種類

AIやビッグデータを活用し、DX推進を担うデジタル人材には、従来のITエンジニアに求められてきた技術的な専門知識にくわえて、ビジネス課題を解決するための高度なスキルが求められます。
デジタル人材に求められる応用的なITスキルの種類は、以下の通りです。
- プログラミングスキル
- データサイエンススキル
- クラウドスキル
- プロジェクトマネジメントスキル
一つずつ詳しく解説します。
プログラミングスキル
プログラミングスキルは、ソフトウェアやアプリケーションの開発、システムの構築に必要な能力です。
デジタル人材には、PythonやJavaといった開発領域に応じたプログラミング言語を習得し、活用できる能力が求められます。
単なるコーディング能力だけでなく、RPA(Robotic Process Automation)を活用した既存業務の自動化や既存システムの改修・連携といった、ビジネス課題を解決するための実装力も重要です。DX推進には、欠かせないスキルといえるでしょう。
データサイエンススキル
データサイエンススキルは、大量のデータから有益な情報を引き出し、意思決定や問題解決に役立てる能力のことを指します。
具体的には、 統計学や機械学習等の専門知識を使って、データを収集・解析し、結果を可視化するスキルが挙げられます。
データサイエンススキルは、顧客データから解約リスクの高い層を特定する分析、マーケティング効果の最大化に向けたA/Bテストの設計等で活用できるスキルです。
クラウドスキル
クラウドスキルは、現代のITインフラで欠かせないクラウド環境を理解し、適切に活用・管理するための専門スキルです。
クラウドサービスの選定や設定、保守管理等が適切に行えるスキルが求められます。
企業の多くは、コスト削減や運用管理の負担軽減を目的に、自社のITインフラをクラウド環境へ移行しています。
クラウドスキルのあるデジタル人材は、ビジネス環境に合ったクラウドサービスを選定・導入し、スムーズな移行をするうえで欠かせないでしょう。
プロジェクトマネジメントスキル
デジタル人材には、ITを扱う専門的な技術だけでなく、システム開発や新規サービス導入といったITプロジェクトを成功へと導くための管理能力も求められます。
具体的には、技術的な知識にくわえて、予算・スケジュール管理、チームメンバーとのコミュニケーション力等が含まれます。
DX推進は部門をまたいで実施されるため、計画を柔軟に見直したり、チーム全体をまとめたりしながら目標達成に導くリーダーシップも必要不可欠です。
ITスキルアップが重要とされている理由
ITスキルアップが重視されている理由には、以下のようなものがあります。
- DX化を推進するため
- IT人材不足に対応するため
- 企業の競争力を高めるため
- 新しい働き方に対応するため
それぞれ詳しく解説します。
DX化を推進するため
DXでは、デジタル技術を活用してビジネスモデルや業務そのものを変革し、新しい価値を創造することをめざします。
DXを実現するには、一部のIT人材だけでなく、経営層から現場社員まで全社的なITリテラシーの向上が必要です。
社員がITスキルを身に付けることで、現場の課題をIT技術を用いて解決するアイデアが生まれやすくなり、システムやデータを効果的に活用できるようになります。
社員一人ひとりがデジタル技術を理解し、活用できる能力をもつことは、企業が競争優位性を確立するための土台となるでしょう。
IT人材不足に対応するため
日本は、世界的に見ても深刻なIT人材不足に直面しています。経済産業省の2018年度の調査によると、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足すると予測されています。
デジタル化の加速やAI・IoT・ビッグデータ等の先端技術への需要増加により、IT人材の需要が供給を上回っているのが現状です。
そのため、外部から優秀なIT人材を採用することは容易ではなく、コストがかかりやすくなります。IT人材不足の課題解決には、既存社員にITスキルを習得させ、自社の業務を理解したIT人材を社内で育成する内製化が有効です。
企業の競争力を高めるため
社員のITスキルが向上し、IT技術を有効活用できるようになれば、業務効率の向上につながります。
業務効率化によって創出されたリソースを新しい事業アイデアの創出や実行に充てれば、企業の競争力を高めることにつながります。
ITスキルの高い人材が多くいる企業は、市場の激しい変化に対応でき、持続的な競争力を生み出せるようになるでしょう。
新しい働き方に対応するため
新型コロナウイルス感染症の流行以降、リモートワークといった新しい働き方が定着しつつあります。
柔軟な働き方を維持・発展させるためには、社員が自律的にITを活用できる能力が欠かせません。
Web会議システムやクラウドストレージ等のさまざまなツールを安全かつ効率的に活用できるようになれば、場所や時間に縛られない働き方ができるようになります。
IT活用により業務の自動化や効率化が進めば、勤務時間や場所を柔軟に選択できるようになり、社員のワークライフバランスの改善や多様な人材の確保にもつながります。
【業種別】ITスキルの活用シーン

ここでは、以下の業種におけるITスキルの活用シーンを紹介します。
- ITエンジニア
- 営業職
- 事務職
- マーケティング職・企画職
一つずつ詳しく見ていきましょう。
ITエンジニア
ITエンジニアは、応用的なITスキルが最も求められる職種とされています。
ITエンジニアは、専門知識・技術を活用しながら、新規システムの開発や既存システムの保守運用、クラウドインフラの設計・構築といった業務を行います。
つまり、企業のIT戦略を技術面から支える核となるポジションといえます。
営業職
営業職は、デジタルツールを駆使することで業務効率と成果を高めることができます。
具体的には、以下のようなシーンで成果につなげられます。
| 項目 | 活用シーン |
| 商談管理の効率化 | CRM/SFA(顧客管理・営業支援システム)を活用し、商談履歴や進捗を正確に管理する |
| 提案力の向上 | 顧客データ分析の基礎を活用し、論理的な裏付けに基づく提案資料を作成する |
| 営業アプローチの拡大 | Web会議システム等で、遠方のクライアントとの商談をスムーズに進める |
営業活動にITスキルを取り入れれば、売上や受注率の向上が期待できるでしょう。
事務職
事務職にとってのITスキルアップは、定型業務の自動化や効率化につながります。
デジタルツールの活用スキルを身に付けることで、以下のような業務の効率アップが見込めます。
| 項目 | 活用シーン |
| 定型業務の自動化 | Excelの関数やVBAを使って、毎日のデータ集計等の定型作業を自動化する |
| 情報管理の最適化 | Google Drive等のクラウドストレージを活用し、部門間のファイルを体系的に整理する |
| 文書作成の効率化 | 生成AIツール等を使い、会議の議事録や資料作成を効率化する |
ITスキルを活用して定型業務を効率化すれば、これまで手作業に費やしていた時間を企画立案や業務改善等の付加価値の高い業務に充てられるようになるでしょう。
マーケティング職・企画職
マーケティング職や企画職では、データに基づく論理的な意思決定能力が重要です。データサイエンススキルとデジタルツールの活用スキルが中心となり、以下のような業務に活かせます。
| 項目 | 活用シーン |
| 施策の立案 | Webアクセス解析データや販売データに基づき、次のマーケティング施策や新商品の企画を立案する |
| ターゲット分析 | 顧客セグメントの分析を行い、最適な顧客層へ向けた戦略を構築する |
| 効果検証 | データに基づき、広告運用の効果検証や予算の最適な配分を実施する |
マーケティング職や企画職におけるITスキルは、市場と顧客を深く理解したうえで、効果的な戦略を立案するために欠かせない能力といえるでしょう。
社員のITスキルアップの具体的な方法

社員のITスキルアップの具体的な方法には、以下のようなものがあります。
- 資格取得のサポートをする
- OJTを導入する
- 外部研修を活用する
- eラーニングを導入する
一つずつ詳しく解説します。
資格取得のサポートをする
社員のITスキルアップのきっかけとして、資格取得のサポートは有効な方法です。
具体的には、ITパスポート試験や基本情報技術者試験といった、社員のレベルや目標に合わせた資格を推奨し、受験料の補助や合格時の一時金の支給といった支援制度を設けます。
資格取得は、ITスキルの体系的な知識を身に付けられるだけでなく、ITスキルがあることの客観的な証明となります。
資格取得といった明確な目標を定めれば、社員の学習モチベーションが向上しやすいでしょう。
ただし、 実務に直結しない知識で終わる可能性があるため、資格取得後のスキル定着や実務活用を別途サポートする必要があります。
OJTを導入する
OJT(On-the-Job Training)は、日常業務を通じて先輩社員から直接指導を受ける方法です。
現場の先輩社員が日常業務のなかでツールの使い方やシステム運用ルール等を指導するため、業務に直結した知識やノウハウを効率的に身に付けられます。他の方法と異なり、教育のための費用がかかりにくいのも特長です。
ただし、指導者の指導力に依存したり、指導者が通常業務に追われて教育時間が確保しにくかったりすることで、全社員へ均一な教育を提供するのが難しい傾向があります。
外部研修を活用する
外部の研修会社が提供するセミナーを利用する方法は、社内に専門的な知識やノウハウのある人材が不足しているケースに適しています。
外部研修のなかには、プログラミングやクラウド技術といった高度で体系化されたカリキュラムが用意されているものもあります。外部のプロ講師から専門性の高い内容を直接学べるため、社員は専門性を深めることができます。
ただし、 会場費や講師代が高額になりやすく、コスト負担が大きくなる可能性に注意が必要です。
eラーニングを導入する
eラーニングは、インターネットを通じて動画教材やデジタルコンテンツを配信する学習形態です。
時間や場所の制約を受けないため、自分のペースで学習を進められるメリットがあります。
学習履歴を保管しておけば、社員ごとの進捗状況や理解度を把握したうえで個別フォローをすることも可能です。
ただし、eラーニングは受動的な学習になりやすく、実践的なスキルが身に付きにくい傾向があります。eラーニングの効果を高めるには、学習の促進や、実務への応用につなげる工夫を取り入れていくことが大切です。
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社員のITスキルアップにつながる資格
社員のITスキルアップにつながる資格には、以下のようなものがあります。
- ITパスポート試験
- 基本情報技術者試験
- 応用情報技術者試験
それぞれ詳しく解説します。
ITパスポート試験
ITパスポート試験は、ITを利活用する基礎力を身に付けたい人を対象とした経済産業省認定の国家試験です。
試験では、情報セキュリティやコンプライアンス、ネットワーク、経営戦略といったITを活用するために必要な基礎知識が幅広く出題されます。
社員のITリテラシーを向上させるファーストステップとして取得を支援するのがお勧めです。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、ITパスポート試験より専門性の高い国家試験です。
ITエンジニアの登竜門として位置づけられており、プログラミングやシステム開発の基礎知識が出題されます。
IT部門との連携の円滑化を目的として、非IT部門の社員に取得を推奨するのもお勧めです。これからITエンジニアをめざす方や、営業や企画職等でIT部門と連携する可能性がある方に取得を促すのが望ましいでしょう。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験の上位資格で、応用的な知識と実践力が問われます。
この試験は、ITを活用したサービスを開発するにあたって必要な知識・技術を保有している中堅レベルのITエンジニアを主な対象とし、技術から管理、経営まで幅広い知識と応用力を証明できます。
高度IT人材や、IT戦略を担うマネージャー層が取得をめざすケースが一般的です。
まとめ
社員のITリテラシーを高めることには、業務効率化や生産性向上といった効果が期待できます。
社員のITスキル習得をサポートするときは、資格取得支援やOJT、eラーニングといった支援策を講じることが大切です。
なかでもeラーニングは、時間や場所に縛られず、社員が自身のペースで基礎知識を習得できるため、多忙な社員が多い企業に適しています。
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