2025.07.25
ビジネススキル
人材教育
- キーワード
-
- ティーチング
- コーチング

人材育成に携わるなかで「ティーチングとは何か」「どのような場面で活用すればいいのか」といった疑問をもっている方もいるのではないでしょうか。効果的な人材育成をするためには、ティーチングの役割や活用場面を理解することが大切です。
本記事では、ティーチングの定義やコーチングとの違い、効果的な場面を解説します。ティーチングの効果を高めるポイントや、実施する際の注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
ティーチングとは
ティーチングとは、指導者が明確な答えをもった状態で受講者に知識やスキルを教える指導方法です。具体的には、新入社員にビジネスマナーや業務に関する基礎知識、ツールの操作方法を教えることが該当します。
指導者からの情報伝達が基本となるティーチングは、短期間で効率的に知識や技術を習得させたい場面に適しています。
ティーチングとコーチングの違い
コーチングとは、対話や問いかけを通じて対象者自身に答えを見つけさせる手法です。
ティーチングとコーチングの違いは、以下の通りです。
ティーチング | コーチング | |
目的 | 知識やスキルを効率的に習得させる | 対象者の自律的な成長を促す |
指導方法 | 指導者主導の情報伝達 | 対話や問いかけによって対象者に答えを見つけさせる |
適している場面 |
|
|
ティーチングが「答えを教える」ことを目的とするのに対し、コーチングは「答えを引き出す」ことを目的としているという違いがあります。
コーチングは、社員のキャリアプラン相談や管理職のリーダーシップ開発等、明確な正解がないときや自律的な思考力、問題解決能力を高めたいときに適しています。
効果的な人材育成をするためには、目的に応じてティーチングとコーチングを使い分けたり、組み合わせたりすることが大切です。
ティーチングのメリット
ティーチングには、ノウハウを効率的に伝えられたり、複数人に同時に伝えられたりするメリットがあります。
ここでは、ティーチングのメリットを解説します。
ノウハウを効率的に伝えられる
ティーチングには、指導者がもつ知識や経験を効率的に伝えられるメリットがあります。指導者が情報を体系的に整理して提示することで、受講者は業務に必要な知識やスキルをスピーディーに習得できます。
新入社員に業界の専門用語や社内システムの操作方法を体系的に教えれば、実践的なスキルを効率よく身に付けさせることが可能です。
複数人に同時に指導できる
ティーチングでは、複数の受講者に同時に情報を伝達できます。新入社員研修で就業規則や業務フローを教えるときにティーチングを実施すれば、短時間で大勢を対象にした指導が可能です。個別対応と比較して効率がよく、研修コストを削減する効果も期待できます。
ティーチングは、新入社員研修や、全従業員に共通の知識や認識、スキルを習得させたい場合に向いています。
ティーチングのデメリット
ティーチングには、受講者が受け身になりやすかったり、指導者の質で効果が変わったりするデメリットがあります。効果的な人材育成をするためには、メリットだけでなく、デメリットも把握しておくことが大切です。
ここでは、ティーチングのデメリットを解説します。
受講者が受け身になりやすい
指導者から明確な答えを提示するティーチングでは、受講者が受動的になりやすい傾向があります。受講者が受け身になると、主体性や適応力が身に付きにくく、指示がないと動けない人材になってしまう可能性があります。
自ら学び、変化に対応できる人材を育成するためには、ティーチングだけでなく、気付きを促す「コーチング」や、自律的な学習を支援する「eラーニング」といった他の育成手法を組み合わせるのがお勧めです。
サイバー大学の「Cloud Campusコンテンツパック100」では、IT・ビジネスに関するコンテンツをeラーニングで学べます。研修時間を確保するのが難しいときは、ぜひ活用してみてください。
>>「Cloud Campusコンテンツパック100」をチェックする
指導者の質で効果が変わる
ティーチングの効果は、指導者の知識や経験、教え方によって変わります。指導者の情報が古かったり、偏っていたりすると、受講者の成長を妨げてしまう可能性があります。
指導者が豊富な知識をもっていたとしても、伝達スキルが不足していれば、学習効果や意欲の低下につながるでしょう。指導者によってティーチングの質にばらつきが生じると、組織全体の学習効果にも差が出てしまうため、指導者の育成も重要です。
ティーチングが効果的な場面
ティーチングが効果を発揮するのは、以下のような場面です。
- 基礎知識の定着を図りたい場合
- 迅速で正確な情報伝達が必要な場合
- 品質やサービスレベルを統一したい場合
それぞれ詳しく見ていきましょう。
基礎知識の定着を図りたい場合
ティーチングは、新しい知識を効率的に習得させたいときに適しています。例えば、新入社員が基本的な業務手順を学ぶ研修や、異動者が新しい部署の専門知識を学習する場面に向いています。
社内システムの利用方法や業界特有の専門用語の伝達といった基礎知識を習得させたいときは、ティーチングを活用してみましょう。
迅速で正確な情報伝達が必要な場合
ティーチングは、特定の業務や課題に対して迅速な対応が求められる場面に効果的です。例えば、災害発生時やコンプライアンス違反が疑われるときの対応方法、安全衛生規定の伝達等、迅速かつ正確な情報伝達が必要な状況で効果を発揮します。
ティーチングによって必要な情報を明確に伝えられれば、トラブルが発生したときに社員が適切な行動を取れるようになるでしょう。
品質やサービスレベルを統一したい場合
ティーチングは、品質管理や顧客対応といった組織全体で統一させたいルールを浸透させたい場面に効果的な方法です。ティーチングによって明確な手順やルールが定着すれば、社員が独自の解釈で業務を進めてしまうことを防げます。
その結果、製品やサービスの質のばらつきを抑えられ、ブランドイメージの維持や顧客満足度の向上につながります。
ティーチングに必要なスキル
効果的なティーチングをするためには、指導者には以下のようなスキルが求められます。
- 論理的思考力
- プレゼンテーションスキル
- コミュニケーションスキル
それぞれ詳しく解説します。
1. 論理的思考力
論理的思考力は、複雑な情報を整理し、受講者がスムーズに理解できる形で伝えるための土台となるスキルです。教える内容を体系的に分解し、適切な順序で解説することで、受講者は段階的に知識を積み上げられるでしょう。
論理的思考力がなければ、説明の順序が不適切になったり、情報が断片的になったりして受講者が混乱する可能性があります。このような状況を避けるためには、因果関係の分析や問題解決フレームワークの学習等を通じて、体系的に物事を捉える能力を磨く必要があります。
2. プレゼンテーションスキル
プレゼンテーションスキルは、教える内容を効果的かつ魅力的に提示するために必要な能力です。このスキルが不足していると、受講者に内容が伝わりにくく、学習効率が低下してしまいます。
プレゼンテーションスキルを身に付けるためには、見やすい資料作成の技術や声のトーン、話すスピード、間の取り方等を学び、繰り返し練習することが大切です。図や表等の視覚資料を用いることも効果的な手段です。
3. コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルは、受講者との信頼関係を築き、効果的な学習を促進するために重要なスキルです。ティーチングでは、受講者の表情や反応から理解度を察知したり、親しみやすい態度によって質問を引き出したりする能力が求められます。
コミュニケーションスキルが不足していると、指導者が一方的に話すだけのティーチングになりやすく、学習意欲が低下したり誤解を生んだりする可能性があります。
このような状況を避けるためには、指導者が積極的な傾聴の姿勢を身に付け、質問しやすい雰囲気づくりをすることが大切です。
ティーチングの効果を高めるためのポイント
ティーチングの効果を高めるためには、以下のポイントを押さえておくことが大切です。
- 目的を共有する
- 受講者の理解度にあった説明をする
- ワークを取り入れる
- 理解度を確認する
- ティーチング能力を向上させる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 目的を共有する
ティーチングを実施する際は、なぜその知識やスキルが必要なのか、習得することにどのようなメリットがあるのかを伝えることが大切です。
受講者が学ぶ目的を理解していなければ、学習効果が低下するだけでなく、学んだ内容を実践できない可能性が高まります。
そのようなことにならないためにも、学習内容が自身の成長や業務改善につながることへの理解を得られるようにしましょう。
2. 受講者の理解度にあった説明をする
効果的なティーチングをするためには、受講者の既存の知識レベルに合わせた説明が必要です。
専門用語を避けるだけでなく、具体例を用いて受講者が理解しやすくなる工夫を取り入れましょう。
一方で学習内容が簡単すぎると、受講者の学習意欲を低下させてしまう可能性があるため、適切な難易度に設定することが重要です。
3. ワークを取り入れる
学習内容を業務に活かしやすくするためには、ワークを取り入れることが大切です。ワークがなければ、ティーチングは単なる知識の伝達になり、実践的なスキルの習得が難しくなる恐れがあります。
ティーチングの効率を高めるためにも、ロールプレイングやケーススタディ、グループワークを通して、受講者が能動的に考え、試行錯誤する機会を設けましょう。
4. 理解度を確認する
効果的なティーチングをするためには、理解度チェックテストを実施し、受講者がどこまで理解できているかを確認することが大切です。
理解度の確認を怠ると、受講者が内容を理解できないままティーチングが進み、学習内容が定着しなくなってしまいます。
そういった状況にならないためには、理解できていないポイントの補足説明をしたり、説明方法を改善したりする必要があります。受講者の理解度を正確に把握し、適切なサポートをすることで学習の定着率を高められるでしょう。
5. ティーチング能力を向上させる
ティーチングの効果を高めるためには、指導者のティーチング能力を向上させることが重要です。具体的には、プレゼンテーションスキルやコミュニケーションスキルに関する研修やセミナーに参加し、ティーチングに必要なスキルを体系的に学ぶのがよいでしょう。
自身のティーチングを録画したり、上司や同僚にフィードバックを求めたりして改善点を見つけるのもティーチング能力向上に効果的な方法です。
サイバー大学の「Cloud Campusコンテンツパック100」では、「一流をめざすロジカルプレゼンテーション講座」や「コミュニケーションスキル」といったティーチングスキルに関するコンテンツをeラーニングで学べます。
>>「Cloud Campusコンテンツパック100」をチェックする
ティーチングをする際の注意点
ティーチングをする際は、以下の点に注意しましょう。
- 一方的な情報伝達にならないように工夫する
- 情報を与えすぎないようにする
- 受講者の個性を考慮する
それぞれ詳しく解説します。
一方的な情報伝達にならないように工夫する
ティーチングは情報伝達が基本ですが、指導者が一方的に話し続けるだけでは、受講者の習得率が低下してしまう可能性があります。
そういった状況にならないためには、適度に質問を投げかけて受講者の意見を聞く時間を設け、双方向のコミュニケーションを意識することが大切です。
受講者の思考を促し、集中力を維持させて効果的な学習につなげましょう。
情報を与えすぎないようにする
細かく教えすぎると、受講者が自ら考える機会を失い、主体性が育ちにくくなります。
指導者が情報を与えすぎるのではなく、受講者が少し考えれば答えにたどり着けそうなときや、自身で解決策を探すことで学びが深まるような場面では、受講者に考えさせる機会を設けましょう。
受講者の個性を考慮する
学習ペースや理解の仕方は人それぞれ異なります。マニュアルに沿った指導だけでは、一部の受講者が取り残され、知識やスキルのレベルにばらつきが生じる可能性があります。
このような状況を避けるためには、個々の特性や学習スタイルを理解し、説明の仕方を変えたり、追加の資料を提供したりして適切なサポートを心がけることが大切です。
ティーチングを活用して効果的に人材育成を進めよう
ティーチングは、短期間で効率的に知識や技術を習得させたい場合に有効な手法です。
効果的なティーチングをするためには、受講者の理解度に応じた説明をしたり、適切なサポートをしたりすることが大切です。
また、ティーチングの質は指導者の能力に左右されるため、指導者のティーチング能力向上も欠かせません。論理的思考力やプレゼンテーションスキル、コミュニケーションスキルといったティーチングに必要なスキルを高めていく必要があります。
サイバー大学の「Cloud Campusコンテンツパック100」では、プレゼンテーションスキルやコミュニケーションスキルに関するコンテンツをeラーニングで学べます。ティーチングを適切に活用して、効果的に人材育成を進めましょう。
低コストで厳選コンテンツ見放題!Cloud Campusコンテンツパック100
サイバー大学の「Cloud Campusコンテンツパック100」は、ティーチングスキルに関するコンテンツを含む、100以上のeラーニングコンテンツが見放題です。
ニーズの高いコンテンツを厳選することで、業界最安値の1ID 年額999円(税抜)を実現しており、利用企業は240社を超えています。
Cloud Campusのプラットフォーム上で、研修としてすぐに利用可能です。
「Cloud Campusコンテンツパック100」の詳細は、以下からご確認頂けます。