2025.12.15
人事制度・組織づくり
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職場におけるセクハラ(セクシュアルハラスメント)とは、性的な言動や行為によって他人に不利益を与えたり、働きづらくさせたりすることを指します。職場でセクハラが発生すると、法的責任を問われるリスクがあるだけでなく、企業イメージの低下や組織の生産性低下につながる可能性があります。
企業には、男女雇用機会均等法によってセクハラ防止対策の実施が義務付けられており、どのような対策をすべきか知っておくことが重要です。
本記事では、セクハラの定義や判断基準、セクハラが企業に与える影響について解説します。企業がすべきセクハラ対策も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
セクハラとは
セクハラとは、相手が不快に感じる性的な言動や行為によって職場環境を悪くするような行為のことをいいます。職場におけるセクハラは「対価型」と「環境型」の2種類に分けられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
対価型セクシュアルハラスメント
対価型セクシュアルハラスメントとは、性的な要求に対する拒否や対応を理由に減給や降格、解雇といった不利益を与える行為です。例えば、上司が部下に性的関係を拒否され、それを理由に担当業務から外したり、不当な降格処分を下したりするケースが該当します。
対価型セクシュアルハラスメントは、被害者の休職や離職につながる可能性があります。こうした状況を防ぐためには、セクハラに対する就業規則における懲戒規定の明確化や相談窓口を設置することが大切です。
環境型セクシュアルハラスメント
環境型セクシュアルハラスメントとは、性的な言動によって職場を不快な環境に変え、従業員の集中力や意欲を低下させる行為です。具体的には、性的な話を頻繁にしたり、相手の身体に不必要に触れたりする行為が該当します。
環境型セクシュアルハラスメントは、対価型のように減給や解雇といった直接的な不利益を与える行為ではありません。しかし、被害者が精神的な苦痛を感じ、働きづらくなることで生産性の低下や離職率の増加を招く可能性があります。そのため、企業は不快な環境が生まれないように、従業員一人ひとりが安心して能力を発揮できる環境を整備する必要があります。
職場におけるセクハラの判断基準

全従業員が安心して働ける職場環境を整備するためには、職場におけるセクハラの判断基準を知っておくことが大切です。
ここでは、セクハラの適用範囲と該当行為を解説します。
適用範囲
セクハラの適用範囲となる「職場」には、従業員が日常的に働く場所だけでなく、業務に関連するすべての場所が含まれます。具体的には、出張先や業務で使用する車中、懇親会、社員旅行、オンライン会議、チャットツールでのやり取りも「職場」に該当します。
セクハラの被害者または加害者になり得る「労働者」は、雇用形態にかかわらず、事業主が雇用するすべての方が対象です。正社員だけでなく、パートやアルバイト、契約社員、派遣社員、就活中の学生や求職者等も含まれます。
また、当事者の性別や性的属性に関係なく、同性間の言動もセクハラに該当します。そのため、企業はすべての従業員を対象として、セクハラ防止対策を講じなければなりません。
該当行為
セクハラに該当するものは、以下のように「性的な発言」と「性的な行動」に分類されます。
| セクハラの分類 | 例 |
| 性的な発言 |
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| 性的な行動 |
|
セクハラであるかどうかは、行為者の「冗談のつもりだった」といった主観的な意図ではなく、法律および国が定める指針に基づいて客観的な基準で判断されるのが一般的です。上司と部下のように上下関係がある場合は、被害者が拒否できなかった可能性を考慮し、より慎重な判断が重要になります。
職場のセクハラが企業に与える影響
職場でセクハラが発生した場合、企業は以下のような影響を受ける可能性があります。
- 組織の生産性が低下する
- 社員が長期間休職するリスクを負う
- 法的責任を追及される
- 企業イメージが低下する
それぞれ詳しく解説します。
1.組織の生産性が低下する
セクハラは、被害者の心身に大きな負担をかけ、休職や離職の原因となる場合があります。セクハラ行為が見過ごされ、職場全体に広がると、セクハラ被害に遭っていない社員も不安や嫌悪感を抱き、職場全体の生産性が低下する恐れがあります。
不快な職場環境を嫌って優秀な人材が流出するリスクも高まり、経済的損失へとつながる可能性もあるでしょう。
2.社員が長期間休職するリスクを負う
メンタルの不調が業務に起因するものとして認定されれば、その社員は労働者災害補償保険の対象となります。一方で、業務上と認められない場合でも、健康保険を利用して治療を受けることになり、療養のために仕事を休む場合には傷病手当金が支給される可能性もあります。また、症状の程度によっては障害年金の支給対象となるケースも考えられます。会社の福利厚生が十分でなくても、公的な保障を利用することで、メンタルヘルスの不調を抱えた社員が休職できる場合があります。
3.法的責任を追及される
企業がセクハラ対策を怠った場合、法的責任を問われるリスクが生じます。具体的には、企業は使用者責任や安全配慮義務違反に基づき、セクハラ被害者に対する損害賠償責任を負う可能性があるため注意が必要です。
企業には、男女雇用機会均等法によってセクハラ防止措置を講じる義務が課されています。セクハラ対策をしていない企業は、厚生労働大臣による行政指導や勧告の対象となり、企業名が公表されるといった社会的リスクもあります。
4.企業イメージが低下する
セクハラ事案がSNSやニュースで広まると、企業のブランドイメージが低下します。既存顧客からの信用を失い、不買運動や取引停止につながる可能性もあります。
採用活動においても、問題のある企業として敬遠され、優秀な人材の獲得が難しくなるでしょう。一度失った信頼と評判を取り戻すには莫大な費用と時間がかかり、長期的な競争力を損なうことになります。
企業がすべきセクハラ対策

男女雇用機会均等法に基づき、企業は以下の4つの対策をする義務があります。
- 企業方針の明確化と周知
- 相談窓口の整備
- 事実確認と適切な対応
- 再発防止措置の徹底
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.企業方針の明確化と周知
企業は、セクハラの判断基準や懲戒処分の方針を明確に定め、全従業員に周知徹底する必要があります。書面やメールによる周知だけでなく、研修を通じて社員一人ひとりの意識を高め、セクハラを許さない職場環境をつくることが大切です。
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2.相談窓口の整備
セクハラ問題の早期発見と解決のためには、従業員が安心して相談できる窓口を整備し、対応責任者と担当者を明確にすることが重要です。窓口担当者には、相談者の心情に配慮し、中立的な立場で対応するスキルが求められます。担当者は最低でも男女1人ずつを配置し、相談した事実が他の従業員に知られることのないよう配慮することが求められます。
相談者が解雇や降格といった不利益な扱いを受けたり、プライバシーが侵害されたりしないように、機密保持を徹底する必要があります。適切な対応ができる体制を整えられれば、従業員が安心して問題解決に向けて行動できるようになるでしょう。
3.事実確認と適切な対応
セクハラの相談を受けた際は、迅速かつ正確に事実関係を確認することが重要です。関係者に話を聞き、裏付けとなる証拠を集めましょう。セクハラに該当する場合は、就業規則に基づき加害者に厳正な処分を実行しなければなりません。
被害者には、配置転換や勤務時間の調整、メンタルヘルスケアの提供といった心身の回復と、職場復帰を支援するための適切な措置を講じる必要があります。
4.再発防止措置の徹底
セクハラが発生したら、加害者への厳正な処分だけでなく、再発防止措置を徹底することが大切です。再発防止を怠ると、同様のハラスメントが繰り返される可能性があります。
再発を防ぐためには、セクハラが発生した原因を明確にしましょう。特定した原因に基づいて従業員への周知・研修を強化するとともに、具体的な再発防止策を立案・実行することが求められます。継続的な対策によって職場からハラスメントを根絶することが重要です。
多様な場面で求められるセクハラ防止の取り組み
セクハラ防止の取り組みは、社内だけでなく、顧客や取引先といった社外や採用活動等、多様な場面で求められています。
ここでは、セクハラ防止の取り組みが求められるケースを詳しく解説します。
顧客や取引先
セクハラは社内だけでなく、社外で発生するリスクがあるため、顧客や取引先といった外部のセクハラへの対応も求められます。
顧客や取引先からセクハラを受けた際、対応方法によっては被害者の業務やキャリアに不利益を与える可能性があり、注意が必要です。例えば、被害者の意向に反して担当業務から外したり、配置転換をさせたりすると、被害者のキャリアに影響を与えてしまいます。
不利益を与えないためには、被害者の意向を優先した対応方法を決定することが重要です。被害者の意向を確認したうえで、加害者側の企業に改善を求めたり、被害者と加害者の接触を避けたりする対策を講じましょう。
採用活動やインターンシップ
2025年6月に改正・公布された男女雇用機会均等法によって、求職者に対するセクハラ防止措置を講じることが新たな法的義務となりました(2026年12月までに施行予定)。
企業は、採用段階からセクハラ防止の取り組みを徹底する必要があります。具体的には、セクハラ防止の責任者を明確にし、採用担当者への研修を実施するといった対策が求められます。求職者に相談窓口の存在を周知し、安心して選考を受けられる体制を整えることが重要です。
まとめ
企業には、男女雇用機会均等法によってセクハラ対策をする義務があります。セクハラ対策をしなければ、行政指導や勧告の対象となったり、企業イメージが低下したりするリスクがあります。そのような状況にならないためにも、企業方針の明確化や研修の実施によって、セクハラが発生しない職場環境をつくりましょう。
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===監修者情報====
金子幸嗣(かねここうじ)
社会保険労務士
2006年に社会保険労務士として独立開業。
勤務先でのハラスメント問題を機に労働法を学ぶ。
その後、企業の労務管理や職場環境改善、ハラスメント防止体制の整備や社内相談対応の支援に携わる。
労働・年金分野を中心に執筆・監修を行い、複数のメディアに寄稿。
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