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職場におけるセクハラとは?判断基準や企業がすべき対策を解説

2025.12.15

人事制度・組織づくり

キーワード
  • ハラスメント
  • コンプライアンス
職場におけるセクハラとは?判断基準や企業がすべき対策を解説

職場におけるセクハラ(セクシュアルハラスメント)とは、性的な言動や行為によって他人に不利益を与えたり、働きづらくさせたりすることを指します。職場でセクハラが発生すると、法的責任を問われるリスクがあるだけでなく、企業イメージの低下や組織の生産性低下につながる可能性があります。

企業には、男女雇用機会均等法によってセクハラ防止対策の実施が義務付けられており、どのような対策をすべきか知っておくことが重要です。

本記事では、セクハラの定義や判断基準、セクハラが企業に与える影響について解説します。企業がすべきセクハラ対策も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

セクハラとは

セクハラとは、相手が不快に感じる性的な言動や行為によって職場環境を悪くするような行為のことをいいます。職場におけるセクハラは「対価型」「環境型」の2種類に分けられます。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

対価型セクシュアルハラスメント

対価型セクシュアルハラスメントとは、性的な要求に対する拒否や対応を理由に減給や降格、解雇といった不利益を与える行為です。例えば、上司が部下に性的関係を拒否され、それを理由に担当業務から外したり、不当な降格処分を下したりするケースが該当します。

対価型セクシュアルハラスメントは、被害者の休職や離職につながる可能性があります。こうした状況を防ぐためには、セクハラに対する就業規則における懲戒規定の明確化や相談窓口を設置することが大切です。

環境型セクシュアルハラスメント

環境型セクシュアルハラスメントとは、性的な言動によって職場を不快な環境に変え、従業員の集中力や意欲を低下させる行為です。具体的には、性的な話を頻繁にしたり、相手の身体に不必要に触れたりする行為が該当します。

環境型セクシュアルハラスメントは、対価型のように減給や解雇といった直接的な不利益を与える行為ではありません。しかし、被害者が精神的な苦痛を感じ、働きづらくなることで生産性の低下や離職率の増加を招く可能性があります。そのため、企業は不快な環境が生まれないように、従業員一人ひとりが安心して能力を発揮できる環境を整備する必要があります。

職場におけるセクハラの判断基準

全従業員が安心して働ける職場環境を整備するためには、職場におけるセクハラの判断基準を知っておくことが大切です。

ここでは、セクハラの適用範囲と該当行為を解説します。

適用範囲

セクハラの適用範囲となる「職場」には、従業員が日常的に働く場所だけでなく、業務に関連するすべての場所が含まれます。具体的には、出張先や業務で使用する車中、懇親会、社員旅行、オンライン会議、チャットツールでのやり取りも「職場」に該当します。

セクハラの被害者または加害者になり得る「労働者」は、雇用形態にかかわらず、事業主が雇用するすべての方が対象です。正社員だけでなく、パートやアルバイト、契約社員、派遣社員、就活中の学生や求職者等も含まれます。

また、当事者の性別や性的属性に関係なく、同性間の言動もセクハラに該当します。そのため、企業はすべての従業員を対象として、セクハラ防止対策を講じなければなりません。

該当行為

セクハラに該当するものは、以下のように「性的な発言」と「性的な行動」に分類されます。

セクハラの分類
性的な発言
  • 性的な冗談
  • 個人の性的事柄に関する質問
  • 容姿への不適切な言及
性的な行動
  • 不必要な身体接触
  • わいせつ画像の提示
  • 性的関係の強要

セクハラであるかどうかは、行為者の「冗談のつもりだった」といった主観的な意図ではなく、法律および国が定める指針に基づいて客観的な基準で判断されるのが一般的です。上司と部下のように上下関係がある場合は、被害者が拒否できなかった可能性を考慮し、より慎重な判断が重要になります。

職場のセクハラが企業に与える影響

職場でセクハラが発生した場合、企業は以下のような影響を受ける可能性があります。

  1. 組織の生産性が低下する
  2. 社員が長期間休職するリスクを負う
  3. 法的責任を追及される
  4. 企業イメージが低下する

それぞれ詳しく解説します。

1.組織の生産性が低下する

セクハラは、被害者の心身に大きな負担をかけ、休職や離職の原因となる場合があります。セクハラ行為が見過ごされ、職場全体に広がると、セクハラ被害に遭っていない社員も不安や嫌悪感を抱き、職場全体の生産性が低下する恐れがあります。

不快な職場環境を嫌って優秀な人材が流出するリスクも高まり、経済的損失へとつながる可能性もあるでしょう。

2.社員が長期間休職するリスクを負う

メンタルの不調が業務に起因するものとして認定されれば、その社員は労働者災害補償保険の対象となります。一方で、業務上と認められない場合でも、健康保険を利用して治療を受けることになり、療養のために仕事を休む場合には傷病手当金が支給される可能性もあります。また、症状の程度によっては障害年金の支給対象となるケースも考えられます。会社の福利厚生が十分でなくても、公的な保障を利用することで、メンタルヘルスの不調を抱えた社員が休職できる場合があります。

3.法的責任を追及される

企業がセクハラ対策を怠った場合、法的責任を問われるリスクが生じます。具体的には、企業は使用者責任や安全配慮義務違反に基づき、セクハラ被害者に対する損害賠償責任を負う可能性があるため注意が必要です。

企業には、男女雇用機会均等法によってセクハラ防止措置を講じる義務が課されています。セクハラ対策をしていない企業は、厚生労働大臣による行政指導や勧告の対象となり、企業名が公表されるといった社会的リスクもあります。

4.企業イメージが低下する

セクハラ事案がSNSやニュースで広まると、企業のブランドイメージが低下します。既存顧客からの信用を失い、不買運動や取引停止につながる可能性もあります。

採用活動においても、問題のある企業として敬遠され、優秀な人材の獲得が難しくなるでしょう。一度失った信頼と評判を取り戻すには莫大な費用と時間がかかり、長期的な競争力を損なうことになります。

企業がすべきセクハラ対策

男女雇用機会均等法に基づき、企業は以下の4つの対策をする義務があります。

  1. 企業方針の明確化と周知
  2. 相談窓口の整備
  3. 事実確認と適切な対応
  4. 再発防止措置の徹底

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.企業方針の明確化と周知

企業は、セクハラの判断基準や懲戒処分の方針を明確に定め、全従業員に周知徹底する必要があります。書面やメールによる周知だけでなく、研修を通じて社員一人ひとりの意識を高め、セクハラを許さない職場環境をつくることが大切です。

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2.相談窓口の整備

セクハラ問題の早期発見と解決のためには、従業員が安心して相談できる窓口を整備し、対応責任者と担当者を明確にすることが重要です。窓口担当者には、相談者の心情に配慮し、中立的な立場で対応するスキルが求められます。担当者は最低でも男女1人ずつを配置し、相談した事実が他の従業員に知られることのないよう配慮することが求められます。

相談者が解雇や降格といった不利益な扱いを受けたり、プライバシーが侵害されたりしないように、機密保持を徹底する必要があります。適切な対応ができる体制を整えられれば、従業員が安心して問題解決に向けて行動できるようになるでしょう。

3.事実確認と適切な対応

セクハラの相談を受けた際は、迅速かつ正確に事実関係を確認することが重要です。関係者に話を聞き、裏付けとなる証拠を集めましょう。セクハラに該当する場合は、就業規則に基づき加害者に厳正な処分を実行しなければなりません。

被害者には、配置転換や勤務時間の調整、メンタルヘルスケアの提供といった心身の回復と、職場復帰を支援するための適切な措置を講じる必要があります。

4.再発防止措置の徹底

セクハラが発生したら、加害者への厳正な処分だけでなく、再発防止措置を徹底することが大切です。再発防止を怠ると、同様のハラスメントが繰り返される可能性があります。

再発を防ぐためには、セクハラが発生した原因を明確にしましょう。特定した原因に基づいて従業員への周知・研修を強化するとともに、具体的な再発防止策を立案・実行することが求められます。継続的な対策によって職場からハラスメントを根絶することが重要です。

多様な場面で求められるセクハラ防止の取り組み

セクハラ防止の取り組みは、社内だけでなく、顧客や取引先といった社外や採用活動等、多様な場面で求められています。

ここでは、セクハラ防止の取り組みが求められるケースを詳しく解説します。

顧客や取引先

セクハラは社内だけでなく、社外で発生するリスクがあるため、顧客や取引先といった外部のセクハラへの対応も求められます。

顧客や取引先からセクハラを受けた際、対応方法によっては被害者の業務やキャリアに不利益を与える可能性があり、注意が必要です。例えば、被害者の意向に反して担当業務から外したり、配置転換をさせたりすると、被害者のキャリアに影響を与えてしまいます。

不利益を与えないためには、被害者の意向を優先した対応方法を決定することが重要です。被害者の意向を確認したうえで、加害者側の企業に改善を求めたり、被害者と加害者の接触を避けたりする対策を講じましょう。

採用活動やインターンシップ

2025年6月に改正・公布された男女雇用機会均等法によって、求職者に対するセクハラ防止措置を講じることが新たな法的義務となりました(2026年12月までに施行予定)。

企業は、採用段階からセクハラ防止の取り組みを徹底する必要があります。具体的には、セクハラ防止の責任者を明確にし、採用担当者への研修を実施するといった対策が求められます。求職者に相談窓口の存在を周知し、安心して選考を受けられる体制を整えることが重要です。

まとめ

企業には、男女雇用機会均等法によってセクハラ対策をする義務があります。セクハラ対策をしなければ、行政指導や勧告の対象となったり、企業イメージが低下したりするリスクがあります。そのような状況にならないためにも、企業方針の明確化や研修の実施によって、セクハラが発生しない職場環境をつくりましょう。

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===監修者情報====

金子幸嗣(かねここうじ)

社会保険労務士

2006年に社会保険労務士として独立開業。

勤務先でのハラスメント問題を機に労働法を学ぶ。

その後、企業の労務管理や職場環境改善、ハラスメント防止体制の整備や社内相談対応の支援に携わる。

労働・年金分野を中心に執筆・監修を行い、複数のメディアに寄稿。

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参考:職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント) 具体的には、「ハラスメント」には以下のような気を付けるべきジャンルがあります。  パワーハラスメント  セクシャルハラスメント  アルコールハラスメント  マタニティハラスメント  スモークハラスメント  ジェンダーハラスメント  モラルハラスメント 研修で取り上げる際には、ハラスメントの加害者や被害者にならないよう、どのようなケースがハラスメントに該当するのかを具体的に示すことが推奨されます。 2. 法規関連 著作権、商標権等 法規周りに関しては、職種を問わず遵守すべき法を社員全体に理解してもらう必要があります。 具体的には、著作権や特許権等の侵害は法律違反であり、企業価値を損なうだけでなく、刑事罰が下るケースもあります。 例えば、企業のSNSやブログで使用する動画や写真、文章等について、知識不足が原因で著作権を侵害してしまうケースがあります。 著作権や意匠権を侵害した場合、莫大な損害賠償金を請求される恐れがあります。悪質と判断されれば、個人に対しても、罰金や懲役等の刑事罰が科されるかもしれません。 3. 情報セキュリティ 情報セキュリティに関しては、昨今のコンプライアンス研修では特に無視できないテーマです。 スマートフォンやインターネットの普及でデジタル化が進む現代では、情報セキュリティに関する内容もコンプライアンス研修で扱う必要があります。 社員が個人のSNSに投稿した場合でも、会社の愚痴や悪評が不特定多数に閲覧されれば、会社の評判を落とします。嘘の書き込みをしたり、悪意を持って他人や会社の評判を貶めたりした場合には、罪に問われるかもしれません。 また、外部からのサイバー攻撃にも注意が必要です。 サイバー攻撃による個人情報の流出事件は、社員による不正や作業の単純ミスが原因で発生することも少なくはありません。 具体的にどのような対策が必要かを研修で広報し、社員の危機意識や正しい言動を促しましょう。 4. 社内手続き・ルール 社内における手続きもコンプライアンス違反につながりやすいため、研修の重点テーマといえます。 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専門家が講師をする場合は、オンラインで研修実施し、後日いつでも再生できるように録画を用意しておく運用も増えています。 3. 書籍やインターネットでの情報収集 できるだけネタ収集のコストを省きたい場合は、書籍やインターネットで情報収集する手段もあります。 昨今ではコンプライアンスに特化した書籍が数多く出版されているため、ネタも収集しやすいでしょう。業種別の事例が掲載されていることも多く、自社にフィットしたコンプライアンスの事例を簡単に見つけられます。 ただし、インターネットで簡易にネタ集めはできるものの、各Webサイトの情報が信頼できるものかどうかを見極めることが重要です。 根拠が曖昧だったり個人的な見解が入っていたりすると、情報の信憑性が揺らぎます。誰が、いつ、どのような根拠で発信した情報なのか確認したうえで、コンプライアンス研修で使用しましょう。 コンプライアンス研修の効果を高めるコツ ネタを集めただけでは、コンプライアンス研修の真の目的は果たせません。 最後に、コンプライアンス研修の効果をより本来的にするためのコツを紹介します。 コツ①継続的に実施する コンプライアンスは社員一人ひとりの意識の問題であり、継続的な実施が重要です。 研修を単発で実施するだけでは、効果は一過性のものに留まりがちになります。定期的、継続的な実施によって、コンプライアンス意識の高い職場風土が醸成されます。 そのためには、社員全員が継続的に受講できる仕組みをつくることも大切です。 例えば、オンラインで研修を実施すれば、社員は場所と時間を選ばず受講できます。また研修という形式でなくても、定期的なミーティングで、管理職がコンプライアンス違反事例を共有し、注意喚起を促すような取り組みも有効です。 朝礼で社訓や社是を唱和したり、クレドや行動規範を読み上げたりするのも、心理的な効果があるとされています。工夫してコンプライアンスの啓発機会をつくるようにしましょう。 コツ②社員の意識に合わせたタイミングで実施する コンプライアンス研修は、社員の関心事に沿ったタイミングで実施することも重要です。 例えば「実際に社内でコンプライアンス違反が発生した」「同業他社がコンプライアンス違反で事件になった」等が、注目が集まるタイミングといえるでしょう。 コンプライアンス違反がニュース等で取り上げられ、社会的に大きな話題となったタイミングで、自社の点検を兼ねて実施すれば、効果的な研修が実施できます。 まとめ コンプライアンスと聞くと「堅苦しい」というイメージを持つ方もいるかもしれません。 しかし、情報が錯綜する昨今のビジネス環境において、企業が健全に発展するためには不可欠なテーマといえるでしょう。 組織のCSR(社会的責任)が注目されている潮流もあり、コンプライアンス研修の重要性は今後も高まることが予想されます。 オンラインでの学習コンテンツ等を有効活用することで、ぜひ社員にも身近なコンプライアンス研修を展開していってください。 低コストで厳選コンテンツ見放題!コンテンツパック100 特にニーズの高いコンテンツだけを厳選することで1ID 年額999円(税抜)の低コストを実現。 ビジネス・ITの基礎知識を学べるeラーニングコンテンツが見放題、Cloud Campusのプラットフォーム上ですぐに研修として利用できます。 必須のコンプライアンス研修を含む、100コース・1500本以上の厳選動画をラインナップ。コース一覧詳細は無料でこちらからご確認頂けます。 >>Cloud Campus コンテンツパック100の詳細をチェックする

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人事制度・組織づくり

職場のメンタルヘルスについては、近年、精神障害による労災申請も増加の一途をたどっており、職場において対処すべき最優先課題です。 人と人で利害と責任が絡み、ストレスに対しての耐性が労働者個々で異なる以上、完全には不可避でありますが、日頃からその予防と遭遇する局面に適切な対応と避ける準備が必要です。 しかしながら、予防や復職支援の観点から対策はなされているものの、実施へのプロセスが不十分な現状です。 筆者は産業医として具体的な事例と事案に携わった経験から、実践可能な対応策をこの記事を通じて紹介します。職場のメンタルヘルスに必要な「3つの予防」と「4つのケア」を軸に記事を進めていきます。 筆者情報 吉川博昭(医学博士・日本医師会認定産業医・日本ペインクリニック学会認定専門医) 都内医学部卒業。医師免許取得後は麻酔科やペインクリニックを専攻し、医療機関で臨床業務に従事。 職場のメンタルヘルスとは メンタルヘルスは心の病気を指す言葉ではなく、心の健康状態をあらわす言葉です。 身体的な健康との対比に用いられることが多く、精神状態が健康なことは身体活動が健全に行えることの前提条件になるため近年注目を集めています。 「働く人が心身ともに健康的に働ける職場づくりをめざそう」は努力目標ではなく義務となりつつあります。 職場のメンタルヘルスに関連した法案の変遷 職場のメンタルヘルスに関連した法案は、この20年ほど専門家の間で熟考を重ね、労働衛生環境や安全配慮義務に配慮した施策が十分検討されているものの、まだまだ課題が山積みであるともいえます。 2000年 事業場における労働者の心の健康づくり 2004年 心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き 2006年 医師による面接指導の新設(過重労働・うつ病・適応障害等)2011年 心理的負担による精神障害の労災認定 2015年 ストレスチェック制度の義務化 2018年 働き方改革関連法 2019年 パワハラ防止法 労働者を取り巻く環境の変化 労働者を取り巻く環境として終身雇用の時代を経て、現在は労働者個人が技術を身に付け、職場を変える流れが主流になりつつあります。事業者としても、従業員が定着せず、離職者が後をたたないような劣悪な労働衛生環境を放置できない時代になりました。 職場でメンタルヘルスを維持するために重要なのは、労働者が一生使えるスキルを身に付ける好奇心と、企業の利益向上のために業務を効率的に遂行するための分担の工夫です。転職も盛んな時代になりましたので、労働者でありながら個人事業主という感覚で、スキル習得に注視すると高い壁も乗り越えやすくなるでしょう。 段階別3つの予防策 メンタルヘルスの予防は一次・二次・三次と3段階あり、すべての段階に関して作業環境や就労時間等の就労環境、家庭環境にも配慮した取り組みが必要です。 一次予防 健康者を対象に、メンタル不調を未然に防ぐ取り組みを指します。 近年はより早い段階での介入が求められており、一次予防の概念を実践している会社がホワイト企業認定されることが多く、メンタルヘルス対策専門の部署を設立していることも多く、いろいろな視点で配慮がなされているのが特長です。 二次予防 メンタルヘルスに不調が現れ始めた労働者を早期発見して適切な対応を行うことです。 早い段階で支援を行うことは、深刻な状態に陥ることを避けることにつながります。適切な配置転換や、就業上の措置を組み合わせることで早期に回復することがあります。 三次予防 メンタルヘルス不調により、休職した労働者の職場復帰支援の段階です。 休職による不安や焦りを緩和させる精神的フォローや、復帰を無理に急かさないような体制の見直し、社会的資源の適切な利用を案内することで離職につながらない体制を整えます。 メンタルヘルス対策における一次予防の重要性と4つのメリット 職員のメンタルヘルスに取り組むことは会社にとってメリットがあることが知られています。健康経営優良法人の認定条件には、「メンタルヘルス対策の実施」が含まれております。 メリット①離職率の低下と従業員定着率のアップ 従業員の定着は企業イメージの向上や採用力の強化につながります。 メリット②業務上のミスの発生率の低下 業務に慣れた職員が対応することは、致命的なミスや事故の危険性が減るばかりでなく、業務効率の向上につながります。 メリット③組織の浄化 ハラスメントの予防やホワイト企業認定は、若手人材や有能なスキルを持った人材確保や業績向上にもつながります。 メリット④会社のイメージ向上と外交戦略 会社の業績向上で、取引先や投資家からの信用力向上につながり外交面でも有利にことが運ぶでしょう。 三次予防からみるリカバリーとコネクション メンタルヘルスの問題で円滑に職場復帰することは、事業規模にもよりますが難しいでしょう。 プログラムを作れない方は、「産業保健総合支援センター」に相談すると良いでしょう。心療内科等、自己の状況を俯瞰して診てくれる医師のもとで適切な治療を受けることで、職場に在籍しながらサポートを受ける道もあることでしょう。 企業に求められる4つのケア 厚生労働省が2015年に公表した「労働者の心の健康の保持増進のための指針」で示された、職場でのメンタルヘルスに必要な「4つのケア」を解説します。 1. セルフケア 労働者個人でのケアになり、ストレスの予防や対処をすること。 ストレスに気付くためには、ストレスチェックの実施も有効です。自己であくまで啓蒙していく方針は骨組の基本姿勢ではあります。 2. ラインによるケア 課長・部長等の職責にある管理監督者がケアを行い、ストレス要因を把握し改善を図る取り組みを行うこと。 部署内や組織内で行うケアであり、内情に即したケアが可能なメリットがありますが、管理職の人が不適切な見識を持つとかえって悪化するデメリットがあります。 管理者がメンタルヘルス研修を受けることが必要になります。 3. 事業所内産業保健スタッフによるケア 事業所内の産業医や衛生管理者等による支援を受けること。 セルフケアやラインによるケアの実施をサポートします。 4. 事業所外資源によるケア 事業所外のサービスやサポートを利用すること。 メンタルクリニック等への受診や、カウンセリング等も含まれるでしょう。 客観視点で有用な一方、旧体制の事業所等ではいじめやハラスメント行為の心配もあり注意が必要です。 産業医と職場のメンタルヘルス 産業医が選任されている事業者においては、従業員の長時間・過重労働対策、健康診断後の面接指導や適正部署への配置転換の提案、休職者の事業復帰プランニング、ストレスチェック等、段階に応じた取り組みを進める対応が可能です。 産業医の専門が精神科でなくとも、適切な医療機関への紹介等、スムーズにことが運びます。 メンタルヘルスからみた職場でのよくある2つの問題 日本人の気質で、真面目は一貫した資質で長所です。 環境改善には能動発信が必要ですが、個人レベルで限界があります。いったんこじれた人間関係を事業所内のスタッフとの折り合いで解決するのは難しいことが多く、第三者に頼ることも大切です。 事業者、従業員ともに悩んでいるケースも少なくなく、介入が必要なケースも増加しています。 1. 就業規則とハラスメント問題 就業規則は国の定めに沿ったものであり、会社は原則遵守する必要があります。ハラスメントは雇用者同士により生じることが多く、そういった状況にならないシステムづくりや被害を受けた人への適切な心のケアが必要になります。 2. テレワークとメンタルヘルス問題 コロナ禍でICT(情報通信技術)の活用が飛躍的に進み、出勤せずとも仕事ができるようになったことはメリットが多いといえます。 しかし労働者の勤務状況やメンタル面の変調を把握しづらく、運動不足問題やコミュニケーションの不足は、不眠や自律神経失調症を招く要因になり得ます。 職場におけるメンタルヘルスからみた精神疾患との関連 職場での精神疾患には、有病率の観点からは通常器質性精神病・躁うつ病・統合失調症・神経症性障害ほか、分類されているものは数多く存在しますが、頻度として一番多いものは躁うつ病を含む気分障害です。 2020年の厚生労働省の労働安全衛生調査によると、約54%(※1)の方が、職場環境にストレスや不安を感じています。 2021年メンタルヘルスの不調で1か月以上休職した事業所の割合は10.6%で退職した労働者がいた割合が5.9%であり(※2)、治療が不十分なまま復職することで、その後退職に至るケースがいまだに多いことが問題となっています。 精神疾患は、特性や性格的傾向やうつのように状態名が病名になっているものが多く、環境要因がその発症に強く関連しています。 ストレスに対する耐性が労働者個々で異なる以上、休職者の多くにつく診断名で「適応障害」は、その環境への適応が難しいという部分でなんらかの予防と発症時の介入が必要不可欠になります。 医師にかかり適切なサポートを受けることで、アルコール依存や自殺等を未然に防ぐことが重要です。 ※1 出典:厚生労働省 令和2年 労働安全衛生調査(実態調査) ※2 出典:厚生労働省 令和4年 労働安全衛生調査(実態調査) 職場のメンタルヘルスと社会的資源の活用 労災認定と傷病手当金の受取に関して、質問されることがあります。 「傷病手当金」は、病気や怪我でやむを得ない理由で仕事を休んだときに健康保険協会から給付されます。 「労災給付金」は、仕事中に労働災害が発生した場合に労災保険から給付されます。怪我のみでなく、うつ病や適応障害等の精神疾患の罹患でも給付されるケースが近年増加しています。申請方式で、タイミングや給付額が異なります。 職場のメンタルヘルスが注目されている昨今、会社に対する損害賠償請求も同時に行い、認定されるケースも増えてきています。 職場のメンタルヘルスと職場復帰に関わるスタッフ 労働者の精神衛生状態に応じて、事業所内の人や事業所外の人を多職種組み合わせ利用するのが一般的です。 職場のメンタルヘルスと職場復帰に関わる職種と、主な仕事内容を一覧表にまとめました。 職種 主な仕事内容 衛生管理者・衛生推進者 従業員の健康を保持するための労働衛生管理体制を整えていく中心的な役割を果たす国家資格者。従業員の数により設置が定められている。 産業医 医師の立場で、事業所に健康管理に必要な方策に関して意見を述べ、ストレスチェックの実施者になり過重労働の面接等も担当する医師。 看護師・保健師 精神衛生状況に対して助言をする等労働者の健康管理の活動を担い、ストレスチェック制度の実施を担当する。 人事労務スタッフ 社員のなかで職場内での環境調整や適正な配置や勤務時間の調整を担当。社員の特性に応じた健康配慮義務を最優先に考える。 精神科医・心療内科医 メンタルヘルスの面から、多くの適応障害に潜む器質の精神疾患の有無を専門家の見地より判断し、適切なアドバイスを行う専門職。 精神保健福祉士 国家資格で、精神障害を抱える労働者の社会復帰に向けての支援を行う専門職。 産業カウンセラー・キャリアコンサルト 労働者の抱える悩みの傾聴(コンサルタント)と適切なアドバイスに関する専門家。 公認心理士・臨床心理士・カウンセラー 臨床心理学の知識や技術を用い、心の問題を専門的に扱う資格職。 職場のメンタルヘルスと自殺 令和3年度の調査においても、年間自殺者の約3割は被雇用者(※)であることが明らかになっています。 予防策は当然なのですが、起こってしまったことに対する再発防止や、遺族への適切な対応も大切です。約1~2週間あけた後で、雇用状況や勤怠の部分等の事業者からの事実開示と専門職の人や中立的な立場の人を含めた説明や、遺族の気持ちに傾聴することは大切でしょう。 ※ 出典:厚生労働省 令和3年中における自殺の状況 優良企業が取り組む職場のメンタルヘルス 一次予防の概念を理解し、実践している会社がホワイト企業になります。メンタルヘルス対策専門の部署を設立していることも多いのが特長です。 上司・同僚だけですと、利害関係が絡むこともあるので、第三者を交えた勉強会やカウンセラーや心理士の先生を雇っているケースも多いです。事業の規模に関係なく、それらの連携をとることで労働者のメンタルヘルスを正確に把握しやすいことが挙げられます。 職場とメンタルヘルスに関するよくあるQ&A 以下の2つは、産業医として事業者様より相談を受ける頻度の高い質問です。 Q1. 若者のほうがストレスに弱く精神疾患になりやすいのでしょうか? 人事の方より、世代間のギャップについて問われることがあります。 スキルの取得によりメンタルが鍛えられ、環境にも順応していくことは確かですが、精神疾病の発病に年齢の要素は明確には定義されていません。 職員の定着率が悪い事業所では、「メンタルヘルスアクションチェックリスト」等、客観評価できるツールも進歩してきています。ぜひ活用ください。 Q2. ストレス過多で休職中の職員を同部署に戻して良いでしょうか? 職員との話し合いが大切です。 しかし同僚や上司との関係性や環境面が適応障害を引き起こしていることが多く、部署移動等、環境調整を行うことが一般的には望ましいでしょう。 時短出勤や残業を減らす取り組み等、焦らせず段階を踏む取り組みが必要です。 まとめ 職場におけるメンタルヘルスは、事業規模に関係なく健全な組織運営と切り離せない問題となりました。 ストレスチェックや労働衛生環境を見直すことにより、予防と早期発見が可能となりました。また、休職者が発生した後も、適切なコネクションとリカバリーの策を講じることで、人的資源を失うことなく健全な組織運営と生産性の高い組織の運営を安定して継続し行うことを可能にすることでしょう。 持続可能な未来と社会の実現のためには、「段階別3つの予防策」と「企業に求められる4つのケア」を適切に組み合わせることが大切です。 三次予防は事業所としても対応が難しく、一次二次の段階で早期対応が望ましいでしょう。 著者情報 吉川博昭(医学博士・日本医師会認定産業医・日本ペインクリニック学会認定専門医) 大阪府出身。 ・都内医学部を卒業し、医師免許取得後は麻酔科やペインクリニックを専攻し、医療機関で臨床業務に携わる。 近年は内科診療・産業医学 ・職場におけるメンタルヘルス等などの生活に密着した御相談にも診療幅を広げ、「健康を通じたハッピーな生活をお手伝いしたい」をテーマにしている。 ・記事の監修や執筆においては、平易で分かりやすい表現を用い、丁寧さを心がけている。 取得資格:医師免許・医学博士・日本医師会認定産業医・日本ペインクリニック学会認定専門医   低コストで厳選コンテンツ見放題!コンテンツパック100 特にニーズの高いコンテンツだけを厳選することで1ID 年額999円(税抜)の低コストを実現。 ビジネス・ITの基礎知識を学べるeラーニングコンテンツが見放題、Cloud Campusのプラットフォーム上ですぐに研修として利用できます。 一般社員にも管理職にも必須のメンタルヘルス関連を含む、100コース・1500本以上の厳選動画をラインナップ。コース一覧詳細は無料でこちらからご確認頂けます。 >>Cloud Campus コンテンツパック100の詳細をチェックする

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