2024.05.27
人材教育
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部下の能力を引き出すために効果的な褒め方のコツを知っていますか?
近年、米国を中心に、ビジネスの人材育成へ脳科学や心理学で得られた見地を応用する動きが高まっており、能力ではなく努力をほめるのが最も効果的であるという考え方が広まっています。
この記事では、効果的に褒めるために覚えておきたいたった1つのポイントをまとめていきます。
出発は能力至上主義の失敗への反省
これまでアメリカのビジネス界は能力至上主義で、仕事のできる人が偉く、その能力は賞賛の的になっていました。
ところが、能力がほめたたえられる環境では、人は失敗を認めず、いつしか保身に走ってしまいます。
そしてビジネスの成長に歯止めをかける結果となっていたことに気づいたのです。
「能力」をほめるとダメになる理由
能力をほめるとダメになる理由については、米スタンフォード大学の心理学教授であるキャロル・S・ドゥエック氏が、著書『「やればできる!」の研究(原題「Mindset」)』の中で、子供のほめ方に関する研究結果をもとに解説しています。
ドゥエック教授は、子どもを対象としたテストで「頭がいいから成績がよかった」と能力をほめたグループと、「がんばったから成績がよかった」と努力をほめたグループのその後の行動を観察しました。
能力をほめたグループの子どもは新しい課題に消極的になったり、なかなか解けない難題に対して「楽しくない」「自分はできない」とあきらめてしまったりしたそうです。
一方、努力をほめたグループは新しい課題にも積極的に取り組み、難問にも根気よくがんばる姿勢を見せ、最終的にいい成績を収めたといいます。
「あなたは高い能力の持ち主だ」という評価を受けると、人はその評価を下げることに恐怖心を持つようになります。
すると、変化を恐れるようになり、間違いをしないよう守りに入って新しいチャレンジを避けるようになってしまうのです。
努力に対して褒めるほうが能力を伸ばせる
ドゥエック教授によれば、才能や能力をほめると相手が「能力は固定化されているという考え方(Fixed mindset)」を強め、成長しようとする意欲をかえって奪ってしまう結果を招くのです。
逆に、努力をポジティブに評価することは、相手に「能力は伸ばせるという考え方(Growth mindset)」与えるため、努力することに喜びを感じるようになるのです。
努力をほめると変化への対応力も鍛えられる
両者には、変化への対応力にも差が現れます。
「Fixed mindset」に縛られると、「失敗したくない」「低評価を受けたくない」という恐怖感や抵抗感を抱きます。
それに対し、「Growth mindset」は失敗を恐れないチャレンジ精神を育み、変化に対応する力を生みだすのです。
努力をほめ、できなかったところは課題としてその理由を考察して次回につなげるというフィードバックの仕方は、コーチングでも利用されています。
コーチングスキルについては、「知っておきたい!初めての後輩指導で使える「コーチングスキル」」をご覧ください。
さらに、「いまどきの新入社員をどう育てる?教育法と注意点」で取り上げている、新入社員や若手との世代間ギャップから指導の仕方に頭を悩ませている人にとっても、心理学の見地は参考になるでしょう。
部下が言われて嬉しい褒め言葉
部下が言われて嬉しい言葉のランキングは以下の通りでした。
1. | 信頼して任せられるよ | 60% |
2. | ○○さんがいてくれてよかった | 30.8% |
3. | 一緒に仕事ができてうれしいです | 20.6% |
4. | 機転の利いた気配りができるね | 16.0% |
5. | 助かりました | 15.6% |
6. | これからも期待しているよ | 14.2% |
7. | 仕事が早いね | 14.0% |
8. | 頑張ったね | 13.0% |
9. | 目の付け所がセンスあるね | 11.2% |
10. | 仕事が正確だね | 10.6% |
出典:龍谷大学水口教授の研究より
あくまでも参考としてですが、部下がどのように褒められると嬉しいのかを知っておくことも重要です。
毎回同じような褒め言葉だと部下も感づくでしょうし、ボキャブラリーが多いことでより柔軟に対応できるようにもなります。
日常の指導にも応用できる心理学
今回ご紹介した心理学の見地を、研修や部下の指導などに役立ててみてはいかがでしょうか。
また、「社員の能力を伸ばすためにすること」では、日ごろの努力をほめて育てるピグマリオン効果を応用した人材教育法について紹介していますので、ご参照ください。
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