2024.03.03
人事制度・組織づくり
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最近では、キャリアアップに余念のない若い女性の姿をよく目にします。
「働く女性」が当たり前となった今日、女性の就業者率で見ても、日本のそれはほかの先進国と大差はありません。しかし、こと管理職レベルでの女性の進出となると、話は違うようです。
なぜ進まない?女性管理職の登用
各国の企業の課長以上、または管理的立場にいる管理的職業従事者に占める女性の割合をまとめてみました。データは2023年度のものとなります。
アメリカ | 41.0% |
イギリス | 36.0% |
スウェーデン | 43.0% |
スペイン | 33.0% |
ポルトガル | 38.0% |
中国 | 19.0% |
日本 | 15.5% |
アメリカでは41%、スウェーデンで43%となっていますが、中国は19%、そして日本はわずか15.5%と欧米の先進国と比較すると、かなり低いことがわかります。
参考データ:(World Economic Forum) (OECD Statistics) (UNECE)
「家事や育児は女性の仕事」という社会的風潮が原因か
日本で管理職への女性の登用が進んでいない原因には、次のようなことが考えられます。
- 結婚を理由に退職する女性が多い
- 育児休暇が取りづらい職場環境
- 就業時間と家庭のバランスを取るのが難しく、出産後に仕事を続けられない
- 女性管理職を受け入れる会社の仕組みが整備されていない
- 入社時から一般職/管理職に分かれる人事管理制度
こうした状況は、男女ともにワーク・ライフ・バランスへの意識が不十分で、女性が家事や育児を担当するのは当たり前といった社会的風潮がベースとなっているようです。
女性管理職を育てるために企業ができることは?
しかし、結婚、出産後も仕事を続けたいと願う女性は近年増えており、管理職を務める能力を持った女性も多く存在します。
この状況を打開するためには、女性の個人的努力に任せるだけでなく、企業側からの働きかけが欠かせません。
以下に、企業ができるサポート体制の具体例を挙げてみましょう。
- 産休・育児休暇制度の整備
- 復職後のワーク制度の変革(時短勤務、フレキシブル労働、自宅勤務など)
- 男性優先の評価制度の改正(昇進、昇格、給与制度など)
- 女性リーダーを育てる育成プログラムの実施
- 管理層も含めた社内の意識啓発の促進
- 女性自身の意識改革(社内外、異業種、海外拠点を含めた女性社員の交流ネットワークの構築など)
企業側が女性にとって働きやすい職場環境を整えていく以外に、女性たち自身の意識改革もよりいっそう重要になってきます。
日本では、管理職として道を歩んだ女性のモデルケースが少ないために、多くの女性が「私が管理職に就いたら、やっていけるのだろうか」という不安を抱えています。
そのため、企業側には、女性同士がこんなワークスタイルや育児の仕方もあるといった経験をシェアしたり、問題を話し合ったりできる場の提供も求められています。
女性が自ら「リーダーになりたい」と思えるように意識改革を行っていくことが、今後大きな効果を生んでいくに違いありません。
女性の管理職進出が進む海外では何が違う?
統計でみるかぎり、欧米諸国での女性管理職率は高いことがわかっていますが、必ずしも女性のキャリア進出がスムーズに進んでいるわけではありません。
海外でも「女性は家庭」という意識はあり、その偏見と戦わなければならない女性の姿は、程度の差はあれ日本と共通するものがあります。
女性が働きやすいサポート体制を準備
ただ、企業側の仕組みづくりにおいては、大変な努力がみられます。
たとえば、多くの欧米企業はワーク・ライフ・バランスの大切さを十分認識しており、女性たちには、先に挙げたようなフレキシブルな労働時間や自宅勤務のような選択肢がすでに準備されています。
また、性別より能力重視の公正な評価制度、働く女性がお互いのワークスタイルについて学び合える女性リーダーたちとのネットワーク構築などにも取り組んでいます。
日本と比較すると、会社のトップレベルから社員まで女性活用に対する理解度が高いと言えます。
女性登用を進める企業が未来を勝ち抜く
人材不足が叫ばれる今日においては、女性を戦力として活かしきれていないことは、企業が本来持ちえる人材ポテンシャルをみすみす逃すこととなります。
性別にとらわれず優秀な人材を積極的に育成していける企業こそ、未来に向かって高い競争力を蓄えることができるのではないでしょうか。
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