2026.10.05
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地政学リスクとは、国際関係や政治・軍事的な緊張等を背景に、企業活動へ影響を及ぼす外的リスクのことです。その影響はサプライチェーンや物流にとどまらず、原材料・エネルギー価格、海外事業、サイバーセキュリティ、法規制等、企業経営の幅広い領域に及ぶ可能性があります。
国際情勢の変化は、ひとつの部門だけでなく複数の経営領域へ同時に波及し得るため、特定の事象が起きたときだけ対応するのではなく、経営課題として平時から備えておくことが求められます。一方で、国際情勢がいつ、どのように動くかを企業が正確に予測するのは困難です。だからこそ、情勢を言い当てることよりも、変化を捉え、自社への影響を判断し、備えを実行できる仕組みを整えておくことが重要です。
本記事では、地政学リスクの基礎知識と企業への主な影響、企業が取り組むべき対策に加え、組織として対応力を高めるポイントや、従業員教育にeラーニングを活用する考え方を解説します。地政学リスクへの備えを検討している経営層・マネジメント層、研修担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
地政学リスクの基礎知識
はじめに、地政学リスクの意味と、企業経営で注目される背景を整理します。なお、本記事では特定の国・紛争を解説するのではなく、企業活動に影響する外的リスクとして地政学リスクを扱います。
地政学リスクとは
地政学リスクとは、国や地域の地理的な条件と、それを取り巻く国際関係、政治・軍事的な緊張等を背景に生じるリスクのことです。国家間の対立や紛争、貿易規制の強化、経済制裁といった出来事が、企業の取引・調達・物流・投資等に影響を及ぼす可能性を指します。
地政学リスクの特長は、発生時期や影響範囲を企業側でコントロールしにくい点です。企業の外側で起こる要因であり、各国の政策や国家間の関係によって状況が変わるため、影響がひとつの国や地域にとどまらず、取引関係を通じて広がる場合があります。
なお、似た言葉に「カントリーリスク」があります。カントリーリスクとは、特定の国・地域の政治・経済・社会情勢に起因するリスクを指すのが一般的で、投資先や取引先の国単位で評価されます。これに対して地政学リスクとは、国と国との関係性の変化を起点とし、当事国以外にも影響が及び得る点が特長です。両者は重なる部分も多いため、本記事では厳密な区別には立ち入らず、「企業がコントロールできない外的要因への備え」という観点で解説を進めます。
地政学リスクが企業経営で重要視される背景
地政学リスクが企業経営で重要視される理由のひとつは、国際情勢の変化が単一の部門にとどまらず、複数の経営領域へ同時に波及し得ることです。例えば、ある地域で輸出入規制が強化されれば、調達部門は代替調達先の確保を、営業部門は販売計画の見直しを迫られる可能性があります。情報システム部門にとっても、サイバー攻撃への警戒が必要になる場面があるでしょう。
実際に、日本貿易振興機構(ジェトロ)が2026年に公表した「日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」では、回答企業の7割超が、地政学リスクによる事業への影響またはその懸念を認識していると回答しました。また、サプライチェーン・バリューチェーン上で地政学リスクによる影響が生じている工程としては、「調達(輸入含む)」が47.9%、「販売(輸出含む)」が45.8%、「物流」が36.8%という結果で、影響が複数の工程にまたがっていることが分かります。
こうした状況を踏まえると、地政学リスクは特定の事象が起きたときにだけ対応する「単発の危機管理」ではなく、経営課題のひとつとして平時から継続的に備えるべきテーマといえるでしょう。
出典:2025年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査|日本貿易振興機構(ジェトロ)
地政学リスクが企業に与える主な影響
地政学リスクが企業に与える影響は、情報セキュリティや海外人事だけに限りません。本記事では、企業活動全体に関わる代表的な領域として、次の5つを取り上げます。
・サプライチェーンや物流への影響
・原材料・エネルギー価格への影響
・海外事業・投資への影響
・サイバーセキュリティへの影響
・法規制・経済制裁への対応
自社がどの領域で影響を受ける可能性があるかを把握しておくことが、事態の変化に対応し、適切な対策を実行するための重要な一歩となります。
サプライチェーンや物流への影響
前述のジェトロ調査では、地政学リスクによる影響が生じている工程として最も多く挙げられたのが「調達(輸入含む)」でした。調達面では、輸出入手続きの停滞や物流経路の変更、取引先・調達先の操業停止等が起きた場合、必要な原材料や部品を予定どおりに確保できなくなる可能性があります。
同調査のレポートでは、サプライチェーンの見直し・再編を実施または検討する企業の割合は特定国への依存度が高い業種で顕著に高いと指摘されています。地政学リスクや為替等の影響を踏まえてサプライチェーンを見直す(検討を含む)企業は全体の4分の1強、海外進出企業では約3分の1に上りました。
まずは、自社のサプライチェーンがどの地域・取引先に依存しているのかを把握することが大切です。そのうえで、調達先の分散や代替ルートの検討につなげていきましょう。
原材料・エネルギー価格への影響
国際情勢の変化は、資源やエネルギーの供給、輸送コスト等に影響し、企業の仕入れコストや収益計画に波及する可能性があります。
ジェトロ調査では、地政学リスクへの対応として実施している取り組みのうち「情報収集の強化」が4割を占め最多となり、「販売価格の見直し、価格転嫁」が僅差で続きました。地政学リスクへの対応が、情報収集にとどまらず価格面にも及んでいることが分かります。
ここで大切なのは、価格の変動そのものを予測しようとすることではありません。主要な原材料やエネルギーの調達条件(契約期間、価格改定の条件、代替品の有無等)を把握し、コストが変動した場合に自社の事業計画のどこに影響が出るのかを、平時から整理しておくことです。
海外事業・投資への影響
海外に拠点を持つ企業や、海外への新規投資を検討している企業では、現地の規制変更や事業環境の悪化、渡航制限、安全確保の必要性等が、拠点運営や投資判断に影響する可能性があります。
海外拠点や海外赴任者・海外出張者を抱える企業では、事業の継続と「人」の安全の両面で備えが必要です。例えば、外務省の海外安全ホームページでは、国・地域ごとの危険情報を「レベル1:十分注意してください。」から「レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)」までの4段階で発出しています。こうした公的情報を、出張や赴任を判断する際の目安として社内ルールに組み込んでおく方法が考えられます。
また、ジェトロの同調査では、海外展開人材の確保状況について、およそ9割の企業が「不足している・確保できていない」と回答しています。海外展開を担う人材が限られている場合、判断や情報が特定の担当者に集中する可能性もあるため、属人化しない体制づくりも課題となるでしょう。
サイバーセキュリティへの影響
地政学リスクは、サイバー空間の脅威とも関わりがあります。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が2026年1月に公開した「情報セキュリティ10大脅威 2026 [組織]」では、「地政学的リスクに起因するサイバー攻撃(情報戦を含む)」が6位に選出されました。2025年の初選出から、2年連続でのランクインです。
併せて注目したいのが、同ランキングで2位(8年連続)に挙げられている「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」です。自社の対策が十分であっても、取引先や委託先の対策が手薄な場合、そこが侵入の起点になる恐れがあります。自社だけでなく、関係する企業を含めた対策を検討することが求められます。
国際情勢の緊張と、個別のサイバー攻撃との因果関係を断定することはできません。とはいえ、IPAが組織向けの脅威として選出している以上、企業として注意を払うべき領域といえるでしょう。
出典:情報セキュリティ10大脅威 2026|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
法規制・経済制裁への対応
輸出入規制や経済制裁、経済安全保障に関連する制度は、企業の取引や技術提供、海外展開に影響する可能性があります。
日本では2022年に経済安全保障推進法が成立し、成立時点では、重要物資の安定的な供給の確保、基幹インフラ役務の安定的な提供の確保、先端的な重要技術の開発支援、特許出願の非公開という4つの制度が設けられました。なお、2026年6月に成立した改正法により、5つ目の制度として経済安保海外事業促進制度(OESA)が創設されています。また、外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づく安全保障貿易管理では、2022年5月から「みなし輸出」管理の運用が明確化されています。これにより、国内での技術提供であっても、一定の条件に該当する居住者への機微技術の提供が管理対象になり得ることが示されました。
法制度は改正や運用の見直しが続くため、自社の取引や情報管理に影響する変更がないかを定期的に確認する必要があります。なお、個別の取引や技術提供が規制の対象に該当するかどうかは、事業内容や取り扱う技術によって異なります。判断に迷う場合は、専門家や所管省庁へ確認することをお勧めします。
企業が取り組むべき地政学リスク対策
地政学リスクそのものを、企業の努力でなくすことはできません。そのため対策の中心は、変化をいち早く捉え、自社への影響を判断し、事業を継続するための備えを平時から実行しておくことになります。ここでは、企業が取り組むべき対策として次の6つを紹介します。
・情報収集・モニタリング体制を整える
・自社への影響を分析する
・調達先・サプライチェーンを分散する
・リスクシナリオを策定する
・BCPを整備・見直す
・社内の対応体制と役割を明確にする
情報収集・モニタリング体制を整える
地政学リスクへの備えは、変化をいち早く捉えることから始まります。まずは信頼できる情報源を決め、継続的に情報を収集できる体制をつくりましょう。
情報源の例としては、外務省の海外安全ホームページ(渡航・滞在の安全情報)、ジェトロ(海外ビジネス・通商情報)、IPA(サイバーセキュリティの脅威動向)等の公的機関が挙げられます。
ただし、情報源を決めるだけでは体制とはいえません。「誰が」「何を」「どの頻度で」確認するのかを明確にし、担当者が異動しても引き継げる形にしておくことが大切です。併せて、収集した情報を経営層や関係部署へ共有するルートも決めておきましょう。情報が担当者の手元にとどまり、判断する立場の人に届かなければ、せっかく収集しても活かしきれません。
自社への影響を分析する
収集した情報は、そのまま蓄積するのではなく、自社の事業・拠点・取引先・調達先への影響として整理することが重要です。同じ情勢の変化であっても、影響の大きさは企業の事業構造によって異なるためです。
分析にあたっては、例えば次のような問いを自社の前提条件に当てはめていきます。
・どの事業・製品・サービスが影響を受けるか
・影響を受ける調達先や物流ルートに代替手段はあるか
・事業の停止や遅延を、どの程度の期間まで許容できるか
・影響が生じた場合、顧客や取引先にどのような説明・対応が必要か
そのうえで、それぞれのリスクについて「影響の大きさ」と「発生の可能性」を整理し、優先して備えるべきものを絞り込みます。すべてのリスクに同じ水準で対応しようとすると費用や工数が膨らみやすいため、優先順位をつけて段階的に進めるとよいでしょう。
調達先・サプライチェーンを分散する
影響分析の結果、特定の地域や取引先への依存度が高いことが分かった場合は、代替調達先や代替物流ルートの確保を検討します。検討にあたっては、調達コストだけでなく、供給の安定性や輸送に掛かる時間・経路等、供給を継続できるかどうかという観点も含めて比較することが大切です。
その際は、直接取引のある主要取引先だけでなく、委託先や二次・三次のサプライヤーまで影響が及ぶ可能性を考慮しましょう。自社が直接契約していない企業の操業停止により、部品供給が滞り自社へ影響が及ぶケースも考えられます。
ただし、調達先の分散にはコストや管理負担の増加を伴う場合があります。すべての調達を分散するのではなく、影響分析で優先度が高いと判断した品目から着手したり、平時は主要調達先を使いつつ緊急時に切り替えられる関係を築いておいたりと、段階的に進める方法も選択肢になるでしょう。
リスクシナリオを策定する
ここで言うリスクシナリオとは、自社に起こり得る事象を具体的に想定し、そのときに誰がどう動くかを事前に整理したものです。例えば、次のような事象がシナリオの候補になります。
・主要な物流ルートの停止・遅延
・特定の海外拠点や調達先の操業停止
・自社または取引先へのサイバー攻撃
・輸出入規制や経済制裁の変更による取引の制約
・海外赴任者・海外出張者の安全確保が必要になる事態
シナリオごとに、「誰が状況を判断するか」「どの部門が何を実行するか」「どの時点で経営層へ報告・相談するか」を決めておきます。
ここで注意したいのは、シナリオ策定の目的は将来の情勢を言い当てることではないという点です。想定と異なる事態が起きた場合も、判断の手順と役割分担があらかじめ決まっていれば、初動を検討する際の拠り所にできます。シナリオは、想定外の事態でも判断しやすくするための準備として位置づけましょう。
BCPを整備・見直す
BCP(事業継続計画)とは、自然災害やテロ攻撃等の緊急事態が起きたときにも、事業資産への被害を抑えながら中核事業を続けたり早期に再開したりできるよう、平常時の取り組みや緊急時の対応方法をあらかじめ決めておく計画のことです。
自然災害や感染症を想定して既存のBCPを策定している企業でも、地政学リスクによる事業停止(調達停止、物流停止、海外拠点の操業停止、サイバー攻撃によるシステム停止等)が想定に含まれているかを確認してみてください。含まれていない場合は、前述のリスクシナリオをBCPや緊急連絡網に反映します。
BCPに盛り込む項目としては、代替拠点や代替調達の手段、重要業務の優先順位、従業員の安否確認と安全確保の手順、取引先との連絡体制等が挙げられます。一度作成して終わりにせず、事業内容や外部環境の変化に合わせて定期的に見直すことも欠かせません。
社内の対応体制と役割を明確にする
情報収集から影響分析、BCPの発動までを機能させるには、関係部署の役割を整理し、社内の対応体制を明確にしておく必要があります。関係する部署と役割の例は次の通りです。
・経営層:全社方針の決定、事業継続や投資に関する最終判断
・経営企画・リスク管理:情報の集約、影響分析、シナリオ・BCPの整備
・総務・人事:海外赴任者・海外出張者の安全管理、緊急連絡、従業員教育
・情報システム:サイバー攻撃への備え、情報管理ルールの運用
・調達・物流:取引先・調達先の状況把握、代替手段の確保
・海外事業:現地情勢の把握、拠点との連携
ポイントは、情報共有だけで終わらせず、「誰が判断し、誰が実行するか」まで決めておくことです。緊急時に判断者が曖昧なままでは、情報があっても行動に移しにくくなります。平時から部署間で認識を合わせ、緊急時に連携できる状態をつくっておきましょう。
地政学リスクへの対応力を組織として高めるポイント
ここまで紹介した仕組みを整えても、実際に判断・行動するのは各部署の従業員です。仕組みを日々の行動として機能させ、組織に定着させるには、一人ひとりが基本的な考え方を理解していることも重要になります。ここでは、組織として対応力を高めるための3つのポイントを紹介します。
経営層だけでなく従業員も基本知識を身に付ける
地政学リスクは、経営企画やリスク管理部門だけの課題ではありません。例えば、調達担当者は取引先の状況変化に、営業担当者は顧客からの問い合わせに接する機会があります。また、情報システム担当者がサイバー攻撃への備えを、人事・総務担当者が海外赴任者・海外出張者の安全管理を担う場合もあるでしょう。このように、部署によっては日常業務の中で地政学リスクと接点を持つ場面があります。
とはいえ、全従業員に専門知識を求める必要はありません。目指したいのは、「どのような変化が自社の業務に影響し得るか」「異変に気付いたときに誰へ報告するか」といった基礎的な共通認識を持つことです。現場からの早期報告は、経営層が判断するための材料にもなります。
その際、教育の内容は特定の国への評価や政治的な主張ではなく、ビジネス上のリスクと、それに対する行動基準に絞ることが大切です。この線引きは、研修内容を企画する段階で明文化しておくとよいでしょう。
部署ごとに必要な知識と役割を整理する
部署や役割によって、必要な知識は異なります。教育内容を設計する際は、「全社共通で持つべき知識」と「役割別に深めるべき知識」に分けて整理しましょう。
| 対象 | 必要な知識・役割の例 |
|---|---|
| 経営層 | 事業継続や投資判断の考え方、全社方針の決定、緊急時の意思決定 |
| 調達・海外事業 | 取引先・調達先の状況把握、物流の代替手段、現地情勢の確認方法 |
| 情報システム | サイバー攻撃の動向、情報管理ルール、インシデント発生時の対応 |
| 人事・総務 | 渡航者の安全確保、緊急連絡体制、従業員教育の企画・運用 |
| 業務に関わるすべての人 | 自社に影響し得る変化の種類、異変に気付いたときの報告先、情報セキュリティの基本行動 |
共通知識には、情報セキュリティの基本行動やコンプライアンスの考え方等、地政学リスクに限らず日常業務の土台となるテーマが含まれます。そのうえで役割別の知識を積み上げていけば、組織全体の底上げと各部署の専門性の両方を意識した学習設計になるでしょう。
一度きりではなく継続的に知識を更新する
国際情勢や法制度、サイバー脅威の動向は変化し続けます。IPAの「情報セキュリティ10大脅威」が毎年公表され、外務省の海外安全情報も情勢に応じて発出・更新されるように、前提となる情報は常に変わり得ます。そのため、研修や社内ルールも一度整えて終わりではなく、定期的な見直しが必要です。
学び直しの機会は、入社時だけに限らず設けておくことがポイントです。異動や海外赴任、法制度の変更、大きな情勢の変化等をきっかけに必要な知識を再確認できる仕組みをつくっておくと、定期的に学び直す機会を設けられます。
また、「最新ニュースを追うこと」自体を目的にしないよう留意しましょう。変化した情報を自社の業務にどう当てはめるか、自分の担当領域で何を確認すべきかを考える視点も、教育のテーマとして取り入れたいポイントです。
地政学リスクに関する従業員教育にeラーニングを活用するメリット
地政学リスクへの対応力を組織に定着させるには、複数の部署や拠点に共通の基礎知識を届け、それを継続的に更新していくことが求められます。その手段のひとつとして検討したいのがeラーニングです。
なお、eラーニングは地政学リスクそのものを解決する対策ではありません。変化するビジネス環境に対応するための知識や判断力を、組織全体で高めるための教育手段として位置づけましょう。
時間や場所を問わず学習機会を提供しやすい
オンデマンド型のeラーニングであれば、拠点や勤務時間が異なる従業員にも同じ学習機会を設けやすくなります。国内の複数拠点に加え、海外拠点の従業員や出張の多い従業員等、集合研修の日程に合わせることが難しい人にも受講の機会を設けられる点は、eラーニングの特長のひとつです。
業務の都合に合わせて受講できるため、繁忙期を避けて学習を進めたり、必要なテーマだけを短時間で確認したりといった使い方もできます。
全社・複数部署へ共通の知識を展開しやすい
eラーニングでは受講者全員が同じ教材で学習するため、組織内で共通の言葉や認識をそろえる手段のひとつとして活用できます。地政学リスクに直接関わる内容だけでなく、情報セキュリティやコンプライアンス、ビジネス基礎といった関連領域の共通知識をそろえる場面でも、同じ教材を全社で使えることは検討材料のひとつになるでしょう。
前述のように教育内容を「全社共通の知識」と「役割別の知識」に分けて設計する場合、共通知識はeラーニングで展開し、役割別の知識は集合研修やOJTで補うといった組み合わせも考えられます。
継続的な学びに取り入れやすい
教材の追加・更新がしやすいサービスを選べば、情勢や法制度の変化に合わせて学習テーマを見直すこともできます。また、受講履歴を管理できるサービスであれば、誰がどのテーマを学んだかを把握し、未受講者へのフォローや再受講の案内にも活かせます。
サイバー大学の「Cloud Campusコンテンツパック100」は、ITとビジネスを中心に30カテゴリー・100教材以上を提供しているeラーニングサービスです。コンテンツ全体を毎年見直し、教材を順次入れ替える方針としているため、変化するビジネス環境に合わせた継続的な従業員教育に取り入れやすい設計となっています。
まとめ
地政学リスクへの対策で重要なのは、情勢を予測し切ることではなく、変化を捉え、自社への影響を判断し、備えを実行できる仕組みを平時から整えておくことです。情報収集・モニタリング体制、影響分析、調達先の分散、リスクシナリオ、BCP、社内体制を組み合わせることで、国際情勢そのものはコントロールできなくても、事業を継続するための準備を企業側で進められます。
そして、こうした仕組みを日々の行動として機能させ、組織に定着させるには、経営層や専門部署だけでなく、各部署の従業員が自分の役割を理解し、変化に合わせて知識を更新し続けることが欠かせません。全社・複数部署へ共通の学習内容を届け、継続的に学べる環境をつくる方法のひとつとして、eラーニングの導入も検討してみてはいかがでしょうか。
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