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AIとは?ビジネス導入のメリット・注意点・活用例を一挙紹介

2025.05.07

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AIとは?ビジネス導入のメリット・注意点・活用例を一挙紹介

AIとは?ビジネスに導入するメリットと注意点、活用例を紹介

AI(人工知能)とは人間のようにデータを学習したり、物事を判断したりできる技術のことで、ビジネス分野での活用が進んでいます。

AIの導入で業務効率を高めるには、AIの意味やデータの学習方法、種類を知っておくことが大切です。

本記事では、AIの概要やビジネスで活用するメリットと注意点を紹介します。

AIの活用事例も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

AI(人工知能)とは

AI(人工知能)を簡単に説明すると、人間のように物事を学習して判断ができる技術のことをいい、「Artificial Intelligence」の略称です。

コンピュータの性能が向上したことで、学んだ知識を基に人間と同じような計算や思考ができるのが特徴です。

昨今では、AIを活用したビジネスが増えてきています。

AIと生成AIとの違い

AIと生成AIの大きな違いは「新しいコンテンツを作り出せるかどうか」です。

AIの機能に新しいコンテンツを作り出す技術が搭載されたものが生成AIです。

生成AIの一つであるテキストAIでは、ユーザーの指示を受けて過去の文章データを利用した自然な文章を作成できます。

生成AIについてはこちらの記事を参考にしてみてください。

生成AIとは?導入するメリット・デメリットとビジネスでの活用シーンを解説

AIの学習方法

AIの主な学習方法には、機械学習と深層学習があります。

それぞれどのような仕組みなのか詳しく見ていきましょう。

機械学習

機械学習とは、AIが大量のデータからパターンを見つけ、自動的にルールを学ぶ技術です。

明確な指示がなくても、集めたデータを基に適切な判断ができるようになります。

機械学習が用いられているスパムメールのフィルタリングでは、過去のスパムメールと通常のメールの違いを学習し、新しいメールがスパムかどうかを判断します。

機械学習には以下の3種類があり、それぞれの違いは以下の通りです。

概要 活用例
教師あり学習 正解データを与えた状態で学習する スパムメール判定、売上予測
教師なし学習 正解データを与えていない状態で学習する 画像生成、異常検知
強化学習 正解データを与えず、目的として設定された報酬を最大化するための行動を学習する ゲーム、ロボット制御

深層学習

深層学習(ディープラーニング)は、人間の脳の神経回路を模した「ニューラルネットワーク」を利用してデータの分析・学習をする技術です。

特に、画像認識や音声認識において優れた成果を上げており、自動運転技術や顔認証システム等に応用されています。

スマートフォンの顔認証機能では、顔の画像から目や鼻といった特徴を抽出し、その特徴と照らし合わせて本人かどうかを瞬時に判別できるようになっています。

AIの歴史

AIは1950年代から研究が始まった技術です。

米国で​1956年に開催されたダートマス会議で、初めて「人工知能」という言葉が使われたとされており、AI研究が本格的にスタートしました。

人間のように思考をする機械をめざして研究を進めていましたが、技術的な限界から一度注目が薄れ、1970年代に「AIの冬」と呼ばれる停滞期を迎えます。

1980年代に入るとエキスパートシステムと呼ばれる専門知識を活用したシステムが注目され、再びAI研究が活発化します。

1990年代以降は、コンピュータの性能向上やインターネットの普及により、大量のデータを活用した機械学習が進展します。

2000年代後半にはディープラーニング(深層学習)が登場し、AIは画像認識や音声認識等の分野での成果を出しました。

現在はスマートフォンの音声アシスタントや自動運転等、身近な分野で活用されています。

AIの種類

AIの主な種類には、特化型人工知能(弱いAI)と汎用型人工知能(強いAI)があります。

それぞれの特徴を詳しく紹介します。

特化型人工知能

特化型人工知能は、特定の目的や分野に特化したAIで、弱いAIと呼ばれることがあります。

2025年時点で実用化されているAIのほとんどが特化型人工知能です。

具体的には、AIによる自動翻訳やチャットボット、医療診断支援システム等が挙げられます。

これらのAIは、人間のように広範囲な知識があるわけではなく、特定のデータを学習し、その分野で適切な判断を下すことができます。

汎用型人工知能

汎用型人工知能は、人間のようにさまざまな分野で知的な判断ができるAIのことをいい、強いAIとも呼ばれます。

現在の技術ではまだ実現されていませんが、開発が進めばAIが人間と同じように柔軟に考え、創造的な仕事をこなすことが可能になるといわれています。

実用化されれば、ロボットが自律的に学習し、あらゆる分野で人間のように働く未来が訪れるかもしれません。

AIが得意なこと

AIは以下のようなことを得意としています。

AIの得意分野 具体的な内容
文章理解 文章を理解し処理をして翻訳や要約ができる
音声理解 音声をテキストデータへ変換できる
画像認識 写真から特定のものを自動検出できる
データ分析 過去のデータを分析して適切な手段を予測できる
データ活用 過去のデータに基づいて新しいデータを作成できる

AIは文章や音声、画像、データといった多様な情報を正確かつスピーディーに処理することを得意としています。

AIが不得意なこと

AIが不得意なことには、以下のようなものがあります。

AIの不得意分野 具体的な内容
創造的な発想や感情の理解 AIはデータに基づいて学習するため、人間のように感情をもったり、独自の発想を生み出したりすることが難しい
倫理的な判断 AIは道徳的な判断ができないため、倫理的な問題に対して適切な対応をすることが難しい
臨機応変な対応 予期しない状況に直面したときに適切な対応をするのが難しい

AIには人間のような感情に基づく判断力や柔軟性が備わっているとはいえません。

人間ならではの感性や価値観が求められる場面では、AIの力を発揮するのは難しいでしょう。

AIをビジネスに活用するメリット

AIをビジネスに活用するメリットには、以下のようなものがあります。

  1. 業務の効率化を図れる
  2. 人的ミスを減らせる
  3. 顧客満足度を向上できる

一つずつ詳しく紹介します。

1.業務の効率化を図れる

AIを活用して、データの分析や顧客対応等の作業を自動化すれば、時間や労力を削減できます。

その結果、従業員はより創造的な業務に集中できるようになります。

特にルーティンワークが多い場合では、AIの導入が大きな効果をもたらすでしょう。

くわえて、AIは人間のように休む必要なく稼働し続けられます。

AIの導入で、長時間労働や深夜対応に割いていた人件費を抑えられたり、監視業務等の24時間対応が可能になったりするメリットも得られるでしょう。

2. 人的ミスを減らせる

AIは人間と異なり、感情や疲労の影響を受けないため、ヒューマンエラーを減らすことができます。

データ入力や計算業務等にAIを活用すれば、人的ミスを最小限に抑えられるでしょう。

人的ミスが減ると、クレームが減ったり、顧客の信頼を得ることにつながります。

3. 顧客満足度を向上できる

AIを活用すると、顧客対応の質を向上しやすくなります。

AIを活用したチャットボットを取り入れると、カスタマーサポートを24時間対応にできるだけでなく、学習データを基に顧客へ適切な回答を提供できるようになります。

くわえて、AIによるデータ分析を活用すれば、顧客のニーズを満たしたサービス・商品を提供できるようになるでしょう。

その結果、顧客満足度の向上につながり、企業の売上やリピーターの増加が期待できます。

AIをビジネスに活用する際の注意点

AIをビジネスに活用する際は、以下の点に注意しましょう。

  • 情報漏えいのリスクがある
  • 責任の所在が不明確になる
  • 思考プロセスが確認しにくい

それぞれ詳しく解説します。

情報漏えいのリスクがある

AIをビジネスに活用するときには、個人情報や機密情報が流出しないように細心の注意を払わなければなりません。

適切なセキュリティ対策ができていなければ、外部からのサイバー攻撃によって情報が漏えいする可能性があります。

そのような事態を避けるためにも、十分なセキュリティ対策を行ったうえでAIを活用しましょう。

責任の所在が不明確になる

2025年4月現在、日本でAIによるトラブルの責任の所在に関する法律は定められていません。

そのため、AI技術を使ったサービスや商品でトラブルがあったときに、責任の所在が不明確になることがあります。

例えば、AIを使った自動運転の自動車が事故を起こした場合に、その責任は運転手にあるのか、自動車を開発した会社にあるのか判断が難しいのが現状です。

AIを導入する際は、トラブル発生時の対応方法をルール化しておくことが大切です。

思考プロセスが確認しにくい

AIは学習した膨大なデータを基に判断を下しますが、その思考プロセスを人間が理解するのは難しいといわれています。

特に、深層学習(ディープラーニング)を活用したAIでは、どのような理由でその判断がされたのか明らかになりにくいのが現状です。

これを「ブラックボックス問題」といい、AIの導入が進むなかで大きな課題となっています。

ブラックボックス問題に対応するために、AIの思考プロセスを可視化するサービスを開発している企業もあります。

より信頼できるAIサービスを利用したい場合は、思考プロセスが可視化できるものを選ぶのがよいでしょう。

AIを使いこなすには正しい知識が必要

AIを効果的に使うには、正しい知識を身に付けておくことが大切です。

AIは万能ではなく、適切な活用をしなければ大きなミスにつながることがあります。

そのような事態を避けるためには、AIの得意・不得意な分野を知ったうえで適切な業務を振り分けることが大切です。

現在、日本ではAIに関する法律や規制が整備されていませんが、2025年2月に「AI関連技術の研究開発と活用推進法案」が閣議決定されました。

今後、規制が増える可能性があるため、どのような法律が成立するのかも追うようにしましょう。

AIの活用事例

最後にAIの活用事例を以下の分野に分けて紹介します。

  1. 音声認識
  2. 画像・映像認識
  3. 自然言語処理

具体的な活用方法を詳しく見ていきましょう。

1. 音声認識

AIの音声認識技術は、日常生活やビジネスのさまざまな場面で活用されています。

例えば、スマートスピーカーや音声アシスタントは、ユーザーの音声を認識して適切な応答をする技術です。

コールセンターではAIを活用した音声認識技術により、顧客対応の効率化が図れます。

2. 画像・映像認識

AIの画像・映像認識技術は、製造業や小売業といった幅広い分野で実用化が進んでいます。

製造業では、画像認識AIを活用した不良品チェックの無人化が実現されました。

小売業においては、防犯カメラ映像をAIがリアルタイムに分析することで、顧客の不審行動の検出ができるようになっています。

3. 自然言語処理

AIの自然言語処理技術は、文章の理解や生成を可能にします。

AIが使われた翻訳アプリや自動要約ツールは、自然言語処理技術によって、高精度な翻訳や要約を提供できます。

AI搭載のチャットボットでは、AIが顧客の問い合わせ内容を解析し、最適な回答を自動生成できるのです。

この技術の進化によって情報の伝達がスムーズになり、業務の効率化につながっています。

まとめ

AIは、事前に設定された学習方法でデータを分析し、人間のような作業を行える技術です。

AIをうまく活用すれば、業務自動化や顧客満足度の向上が期待できます。

AIを適切に活用して成果を上げるためにも、AIの仕組みや活用時の注意点を理解しておきましょう。

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従業員のモチベーションが高まれば、優秀な人材が離れていくことを防げるだけでなく、生産性向上や会社の業績アップが期待できます。 リスキリングを取り入れる5つのステップ リスキリングは以下の5つのステップで取り入れるのがお勧めです。 必要なスキルを明らかにする リスキリングのプログラムを作成する 社員に取り組んでもらう 学んだスキルを業務に活用してもらう リスキリングの振り返る 順番に詳しく見ていきましょう。 1.必要なスキルを明らかにする リスキリングを取り入れる際は、まず自社の社員にどのようなスキルを取得してもらうべきかを明確にします。 そのためには、今後必要になるスキルと、現状で保有しているスキルを可視化することが大切です。 例えば、DX推進に取り組む場合は、デジタル技術に関するスキルを保有している社員はいるのか、保有している場合はどのくらいのレベルなのかを明らかにしていきます。 今後必要なスキルと現状の保有状況、保有レベルが分かると、どのようなリスキリングプログラムを取り入れるべきかを判断しやすくなります。 2.リスキリングのプログラムを作成する 取得が必要なスキルが明確になったら、リスキリングのプログラムを作成します。 リスキリングを進める方法には、社内勉強会や研修、eラーニング等があります。 社内勉強会や研修であれば、テキストや教材の準備、外部講師への依頼が必要です。 eラーニングであれば、どのツールを選ぶのかを決める作業が欠かせません。 くわえて、リスキリングの対象者や、受講に対するインセンティブを設けるかも決めておきましょう。 3.社員に取り組んでもらう 次に、作成したプログラムを社員に取り組んでもらいます。 プログラムを提供して終わりではなく、スキルをスムーズに習得してもらうためのサポートも必要になります。 例えば、面談で本人の希望を確認したり、学習の進捗状況をチェックしたりすることが大切です。 なお、リスキリングを実施する際は、従業員のモチベーション低下につながらないように、プログラムに取り組む時間を就業時間内に設けるのが理想です。 4.学んだスキルを業務に活用してもらう 学習プログラムが終了したら、実際に学んだスキルを業務に活用してもらいましょう。 リスキリングでは、学んだスキルを業務に活用できて初めて成功といえます。 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社員のモチベーション低下を防ぐためにも、社員の意見を聞きながら、就業時間内に学習時間を設けるようにしましょう。 リスキリングを取り入れる際のポイント リスキリングを取り入れる際は、以下のポイントを押さえるようにしましょう。 会社全体で取り組む 主体的に学べる仕組みを整える eラーニングを活用する それぞれ詳しく紹介します。 会社全体で取り組む リスキリングは基本的に通常業務と並行して進めることとなります。 受講者のみの力では、リスキリングの時間を確保するのは難しいため、所属部署や関連部署の協力が必要です。 会社全体にリスキリングの目的やプログラム内容を共有すれば、理解を得やすくなるでしょう。 主体的に学べる仕組みを整える リスキリングを成功させる鍵は、社員のモチベーションです。 モチベーションが維持できないと、学ぶ時間を設けても、なかなかスキルが身に付かない可能性があります。 新しいことを学んだり、通常とは異なる業務をしたりすることは、社員の負担増加につながります。 社員のストレスを軽減して、モチベーションを維持しやすくするためにも、企業側が主体的に学べる仕組みを整えることが大切です。 例えば、事前に学びたいことや今後のキャリアを確認したうえで、適切なプログラムを提供したり、リスキリングに取り組む人へのインセンティブ制度を設けたりするのが効果的です。 eラーニングを活用する リスキリングを取り入れたくても、リソースの確保が難しく、実行できていないケースは多くあります。 そのような場合は、eラーニングを活用しましょう。 eラーニングを活用すれば、外部講師へ依頼することなく、質の高い教育を提供できます。 くわえて、スマートフォンで気軽に学べたり、学習の進捗状況を確認できたりするメリットもあります。 まとめ 新たな知識やスキルを身に付けるリスキリングは、DX人材の不足解消や、企業の成長に欠かせないものです。 リスキリングを取り入れる際は、企業にとって必要なスキルを明確にし、従業員の適性を確認したうえで適切なプログラムを作成することが大切です。 リスキリングにかける社内リソースがない企業は、eラーニングの導入を検討しましょう。 サイバー大学では年間999円(税抜)で100教材以上のeラーニング用動画コンテンツが見放題の「コンテンツパック100」を提供しております。 ITスキルを身に付けられるコンテンツも収録しているため、リスキリングの導入を検討している場合はぜひご活用ください。 低コストで厳選コンテンツ見放題!コンテンツパック100 特にニーズの高いコンテンツだけを厳選することで、1ID 年額999円(税抜)の低コストを実現しています。 ビジネス・ITの基礎知識を学べるeラーニングコンテンツが見放題、Cloud Campusのプラットフォーム上ですぐに研修として利用が可能です。 社会人として身に付けるべきビジネスマナー等の基礎コンテンツを含む、100コース・1,500本以上の厳選動画をラインナップ。コース一覧の詳細は無料でこちらからご確認頂けます。 >>Cloud Campus コンテンツパック100の詳細をチェックする

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「新入社員のために業務マニュアルが必要になったが、作り方が分からない」 「今の業務マニュアルの内容が分かりにくいと指摘されたが、改善方法が思いつかない」 業務の円滑な遂行には、マニュアルや手順書の作成が必要不可欠といっても過言ではありません。 しかし作る機会がそこまで頻繁にない業務マニュアルは、作り方のステップや理解を促すコツが分からないという声も聞かれます。 この記事では、業務マニュアルを作成する手順や、内容を伝えやすくするためのポイントを解説します。はじめて業務マニュアルを作成する方や、現在お使いの業務マニュアルを改善したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。 業務マニュアルを作るメリットとは? はじめに、業務マニュアルを作成することで得られるメリットを紹介します。 1-1.業務の品質が担保できる 業務マニュアルがあれば、業務の品質維持・向上が期待できます。 業務の進め方を各個人に任せてしまうと、それぞれが行いやすい手順で進められる反面、タスクの対応もれや品質が個人に依存してしまう恐れがあります。 業務マニュアルを作成すれば、誰でも一定の品質を保ちながら業務を遂行できるのです。 さらに、基準となるマニュアルがあれば各個人の達成度を明確化できるため、指導や評価を行うマネジメント層にも役立つでしょう。 1-2.業務の効率化ができる 業務の流れをマニュアル化することは、作業工数の削減や業務効率に寄与します。 マニュアルがなく業務の流れを説明すると、伝える側にも教わる側にも工数が発生することになるでしょう。作業開始後に業務プロセスを忘れてしまった場合にも、自己流のやり方で進めてしまったり、上長に質問したりしなくてはなりません。 業務マニュアルがあれば、レクチャーの工数を減らし、業務を効率化できる可能性が高まるのです。 業務マニュアルは、引継ぎ場面でも効果を発揮します。常に業務マニュアルの内容を最新化しておけば、異動が決まってから慌てて業務マニュアルを作る必要もなくなります。 作成手順 実際に業務マニュアルを作成するときの、一般的な5つのプロセスを紹介します。 2-1.マニュアルの範囲を決める 作成の準備段階として、業務マニュアルの適用範囲を決定します。 業務マニュアルの作成範囲を決めないまま作成を始めてしまうと、必要な業務がもれていたり、必要のない範囲までマニュアル作成したりする無駄が生じます。 作り直しの手間が発生するだけでなく、運用し始めても作業担当者に必要な情報がなく、効果を発揮しない可能性もあるでしょう。 あらかじめ作成するマニュアルで業務プロセスのどこまでをカバーするのか決めることが大切です。 2-2.作成スケジュールを決める 業務マニュアルの目的や範囲が明確になったら、続けてマニュアル作成のスケジュールを決定します。 「いつまでに、どのくらいの時間をかけて作成するか」という計画がなければ、ほかの業務に追われてマニュアル作成が進まないことや、必要以上に作成に工数をかけることにもなりかねません。 スケジュールの決定時には、併せてマニュアル作成に必要な工数や人材の数も見積もっておくとよいでしょう。 2-3.マニュアルの構成を決める 次にマニュアルの構成を決めます。マニュアル全体の目次や章立てを作るイメージです。 業務によっては「最初に全体像を示したほうが良い場合」「作業プロセスを順序立てて示したほうが良い場合」等のケースが考えられます。対象業務の理解を促しやすい構成を、あらかじめ決める必要があります。 構成ができあがった段階で、上長や他の作業担当者にチェックしてもらうと、作成の手戻りが発生しにくくなるでしょう。 2-4.マニュアルを作成する 実際に構成にそって、内容を埋めていきます。 業務プロセスに応じてマニュアル作成者が異なる場合は、書き方やスケジュールを含めて依頼を行ってください。 2-5.テスト運用・改善を行う マニュアルの作成を終えても、実際に運用しなければ使い勝手は確認できません。 そのため作成後にはテスト運用を行い、問題があればその都度改善を試みることが重要です。 範囲が広い業務のマニュアルなら、一定プロセスごとにテスト運用をして、内容の改善を行う方法も有効でしょう。 分かりやすい業務マニュアルのポイント 誰にでも分かりやすい業務マニュアルにするための、作成ポイントをお伝えします。 3-1.5W1Hを意識する マニュアルの内容は具体的、かつ初めて業務にあたる人にも伝わりやすいことが大切です。 具体性を出すためには、「いつ」「誰が」「どこで」「何を」「なぜ」「どのように」の5W1Hを意識して作成します。5W1Hはビジネスシーンにおける基本の考え方であり、他者に何かを共有する際には欠かせない視点です。 5W1Hを意識してマニュアルを作成することで、利用者が理解しやすいマニュアルになるでしょう。 3-2.見やすさを工夫する マニュアルはイラストや画像・動画等をうまく組み合わせることで、視覚的に分かりやすくなります。 文字だらけのマニュアルは、一目でポイントが分かりづらく、読んで理解するのに時間がかかります。もとより、読む気が起きずにマニュアルが使われないということも発生するでしょう。 昨今は、動画で業務マニュアルを作成するケースも増えています。 イラストや画像と比べると、動きを通じて内容を伝えられるため、読み手の理解を促しやすいメリットがあります。 3-3.誰でも分かるように簡潔に書く 業務マニュアルは、初めてその業務を行う人でも分かるように作ることが大切です。 業務経験のない新入社員でも、内容が理解できるようなマニュアルをめざしましょう。 専門用語や初心者が理解できない言葉はなるべく避け、誰でも分かる言葉で記載することが求められます。 仮に専門用語や業界用語を用いる場合は、注釈を入れるようにしましょう。 3-4.定期的に見直し・改善をする 業務マニュアルを作成したあとはそのまま使い続けるだけではなく、定期的に更新や見直しを行うことが大切です。 運用が変更になったにも関わらず、業務マニュアルが更新されないままだと、現場の混乱を招く原因になります。運用変更時の更新とともに、定期的な見直しの機会を設けましょう。 業務マニュアルのテンプレート例 マニュアルを作成する際に、一般的によく使用されるテンプレートを紹介します。いくつか確認をしてみて、自社の業務マニュアルにフィットしやすいテンプレートを見つけてください。 4-1.Microsoft Word・PowerPoint・Excelの開発元であるMicrosoft社が提供しているテンプレート集です。 Word版では、ビジネスレターや案内状のテンプレートが充実しており、PowerPoint版では背景のデザインが多く用意されているのが特長です。 Excel版では、業務経費報告書や請求書等、数字を扱った業務のテンプレートが多く用意されています。 Word:https://templates.office.com/ja-JP/templates-for-Word PowerPoint:https://templates.office.com/ja-JP/templates-for-Word Excel:https://templates.office.com/ja-JP/templates-for-Word 4-2.bizocean bizoceanは、ビジネスパーソンを対象とした『書式の王様』をはじめ、ビジネスに関連するコンテンツを提供しています。 マニュアルのテンプレートも充実しており、Word・PowerPoint・Excel版が用意されているのが特長です。 bizocean:https://www.bizocean.jp/doc/ 4-3.SILAND.JP SILAND.JPは、Word、Excelのマニュアルテンプレートが用意されています。 操作マニュアルや運用マニュアルの作成用テンプレートが充実しており、システムの操作方法や運用オペレーション等を伝えるときに活用できるでしょう。 SILAND.JP:http://siland.jp/ 業務マニュアルの活用事例 最後に、業務に求められる動きや必要知識をマニュアル化して活用している事例をご紹介します。ぜひ自社の状況と照らし合わせながらご一読ください。 5-1.ケアパートナー株式会社 介護施設内で使われる業務マニュアルと研修関連資料のペーパーレス化を達成した事例です。 ガイドラインやマニュアルをeラーニング化したことで、全国の介護施設の現場から「業務負担が減った」という声が多く寄せられたそうです。 eラーニングの動画を活用して通所介護事業所で提供している機能訓練である「マシントレーニング」の説明や案内を動画にしたところ、「分かりやすい」「OJTの手間が省ける」と好評だったようです。 ▶▶「ケアパートナー株式会社」事例を詳しく読む 5-2.スターティア株式会社 若手営業担当の育成、社内ノウハウの共有を、DX改革としてクラウド上で展開した事例です。 ヒューマンリソースによるマネジメント裁量の若手営業教育が限界になっていた同社。モバイルで効率的に学べるシステムを検討していたそうです。 わずか2名の体制で週2本のコンテンツを公開し、現場の課題に即した企画も採り入れていきました。 初年度で受講率約85%を達成し、他部門への展開で全社的なプロジェクトになったそうです。 ▶▶「スターティア株式会社」事例を詳しく読む 5-3.セゾン自動車火災保険株式会社 リモート研修の需要に合わせ、研修理解度が把握できるeラーニングシステムを構築した事例です。 対面とオンラインで交互に学ぶ新しい研修スタイルを実施しました。研修受講者の学習を促すため、「チャレンジ問題」「リベンジ問題」と称して、同じ問題を2回解くようコースを組んでいます。 1年間で理解度をはかるテストにおける平均が80点となり、また研修時間も2,800時間削減することができ、外部機関からも表彰されたそうです。 ▶▶「セゾン自動車火災保険株式会社」事例を詳しく読む まとめ 業務マニュアルがあると、業務の属人化を防ぐことができ、効率化や品質担保に効果があります。 使う側にとって分かりやすい内容にする必要があるため、あらかじめ作成手順やコツを把握してから着手するようにしましょう。 昨今は動画で動きを取り入れた業務マニュアルも、業務担当者の理解を促しやすいと評判になっています。 自社で使いやすい業務マニュアルの作成方法を探し、現場で活用しやすいマニュアル制作を心がけてください。 eラーニングとは?概要からメリットやトレンドまで徹底解説 eラーニング導入で失敗しないための3つのポイントを解説 効果の高いeラーニング教材の作り方と3つのポイント【企業事例付き】 低コストで厳選コンテンツ見放題!コンテンツパック100 特にニーズの高いコンテンツだけを厳選することで1ID 年額999円(税抜)の低コストを実現。 ビジネス・ITの基礎知識を学べるeラーニングコンテンツが見放題、Cloud Campusのプラットフォーム上ですぐに研修として利用できます。 100コース・1500本以上の厳選動画をラインナップ。コース一覧詳細は無料でこちらからご確認頂けます。 >>Cloud Campus コンテンツパック100の詳細をチェックする

2024.05.30

管理職向けコンプライアンス対策と役割|7つの違反例も紹介

2024.05.30

管理職向けコンプライアンス対策と役割|7つの違反例も紹介

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ハラスメントや情報漏えいといったコンプライアンス違反は、企業の社会的信用の失墜や経済的損失につながる可能性があります。 コンプライアンス違反を防ぐためには、管理職が中心となって社員のコンプライアンス意識を高めることが大切です。 この記事では、職場のコンプライアンス対策における管理職の役割を解説します。 コンプライアンス違反例や違反を防ぐための対策も紹介するので、ぜひ参考にしてください。 コンプライアンスとは コンプライアンスとは、「法令遵守」を意味する言葉で、企業においては法律を守るだけでなく、就業規則や社会通念上のルールを守ることも含まれます。 例えば、パワハラやセクハラ等のハラスメント、長時間労働、情報漏えい、著作権侵害等がコンプライアンス違反に該当します。 コンプライアンス違反によって企業は社会的信用を失ったり、経済的な損失を被ったりする可能性があるため、管理職を中心として社員のコンプライアンス意識を高めて違反を防止することが大切です。 コンプライアンスが重視される社会的背景 企業が社会的信用を得ていくためには、社員一人ひとりのコンプライアンス意識を高めていき、コンプライアンス違反を起こさないことが重要です。 ここでは、なぜコンプライアンスが重視されるようになったのかを社会的背景から詳しく解説します。 背景1. コンプライアンス関連法の施行・改正 コンプライアンス関連の法令は多く、下請企業に対する無理な値引き交渉等を禁止する下請法や、著作物の無断使用を禁止する著作権法等、さまざまな法令があります。 正しく把握していなければ、知らないうちに法令違反してしまう可能性があるので注意が必要です。 また、2022年から大企業・中小企業問わず就業規則等にパワハラの禁止や処分についての規定を設けたり、相談窓口を設置したりするパワハラ防止対策を講じることが義務化されました。(参照:https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/00330.html ) コンプライアンス違反をしないためには、管理職がコンプライアンス関連法の施行・改正内容を把握したうえで、社内ルールの改定や部下指導をしていくことが求められます。 背景2. SNSの普及 SNSの普及によって個人が容易に情報発信できるようになったことから、SNSを通じて顧客情報や機密情報が漏えいするリスクが高まっています。 SNSの不適切な利用は企業の損失につながる恐れがあるため、管理職は情報の取り扱いについて部下に指導する必要があります。 また、インターネットが普及した現代では、企業の不祥事がSNSで急速に拡散されるリスクもあり、社員一人ひとりのコンプライアンス意識を高めることが大切です。 背景3. リモートワークの導入 働き方の多様化が進み、リモートワークを導入する企業が増加しました。 リモートワークの導入によってパソコンやUSBメモリ等を社外に持ち出す機会が増えると、情報漏えいのリスクが高まります。 情報漏えいが起きると企業の社会的信用を失うだけでなく、取引先や顧客から損害賠償が請求される可能性があるため、適切な情報管理をしなければなりません。 そのような状況にならないためには、管理職がリモートワークに対応したセキュリティ対策ルールを周知し、情報漏えいを防ぐ必要があります。 コンプライアンス違反例 コンプライアンス違反をしないためには、どのようなケースが違反に該当するのかを知っておくことが大切です。 ここからは、コンプライアンス違反の事例を紹介します。 1.ハラスメント ハラスメントは社員同士のトラブルだけでなく、企業に対する訴訟問題や企業イメージの低下につながる可能性があります。 大手繊維メーカーの男性社員が上司から暴言を浴びせられる等のパワハラを受けて退職を余儀なくされたとして、会社と上司に対して計660万円の損害賠償を求めた。 その後、裁判で上司によるパワハラがあったと認められ、計55万円の支払いが命じられた。 パワハラやセクハラだけでなく、産休や育休を理由に不当な扱いをする「マタニティハラスメント」や、飲酒を強要する「アルコールハラスメント」等さまざまなハラスメントがあります。 管理者は、どのような発言や行動がハラスメントに該当するのかを理解し、自身が違反しないことはもちろん、ハラスメントが発生しない組織づくりをすることが求められます。 ハラスメント教育については「「ハラスメント教育」とは?企業で取り組むべき内容を徹底解説」をご覧ください。 2.長時間労働 働き方改革が進んだ昨今においても、法律で定められた範囲を超えた長時間労働が行われている企業があります。 電子部品メーカーに勤務していた男性社員が急性心筋梗塞で死亡した原因が長時間労働だったとして、遺族が会社に計約8100万円の損害賠償を求めた。 男性の時間外労働は発症直前の1ヵ月間が約69時間、その前の1ヵ月は約81時間、さらに移動時間を労働時間に計上していない出張を繰り返していた。 裁判所は過重労働と死亡の因果関係を認め、計約5,700万円の支払いを命じた。 管理職が部下の労働時間を把握して改善や対策を行わなければ、退職者の増加や社員の心身不調による生産性の低下につながります。 社員からの訴訟問題に発展するだけでなく、採用活動にも影響をおよぼすことで優秀な人材が獲得できない状況になってしまいます。 長時間労働の解決方法については「生産性の低下を招く長時間労働の解決法」をご覧ください。 3.情報漏えい 情報漏えいが起きると損害賠償金や慰謝料の支払いが発生したり、取引先や顧客からの信用が低下したりする可能性があります。 自治体から業務委託を受けていたITサービス会社が許可を得ずに業務を再委託、再々委託し、再々委託先の社員が酒に酔って住民の個人情報が入ったUSBメモリを一時紛失した。 自治体はITサービス会社に2,900万円の損害賠償を請求し、支払いが行われた。 働き方の多様化が進み、リモートワークが導入されたことにより社外で仕事をする機会も増えています。 働き方の自由度が高くなった反面、パソコンやUSBメモリを紛失したり、情報を盗み見られたりする情報漏えいリスクが高まっています。 そのようなトラブルを起こさないためには、社外でパソコンや顧客情報を取り扱う際のルールを定め、従業員に周知することが大切です。 4.SNSの使い方 SNSの普及により、会社が運用するアカウントはもちろん、社員個人の発信についても教育する必要があります。 飲食店の店舗内でアルバイト従業員が配膳用のトレイ等を使って悪ふざけする動画がSNS上で拡散され、動画撮影に関わった3人が解雇処分となった。 飲食店は全店舗を一斉休業し、従業員教育と店内清掃を実施するとした。 このような違反を抑制するためには、不適切な投稿が企業にどれほど悪影響を与えるのかを伝えることが大切です。 SNSの炎上事例や対策方法については「SNS炎上の原因と対策|国内外5つの事例を紹介」を参考にしてください。 5.著作権違反 著作権違反は、イラストや文章といった著作物を著作権者の許可を得ずに利用することをいいます。 著作物であることに気付かずに、著作権違反をしてしまうケースもあるので注意が必要です。 自治体の職員がネット上にあったイラストをフリー素材と勘違いし、自治体のホームページに無断で掲載した。 しかし、このイラストは有料販売サイトで公開されていたもので、イラストを掲載しているサイトの運営会社から使用経緯について問い合わせる文書が届き、無断使用が判明。 自治体が権利者側に損害賠償金として約25万円を支払った。 著作権違反では、権利者の告訴によって10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科せられる場合があります。 このような事態を回避するためにも、部下に対して何が著作権違反に該当するのかを周知したうえで、ホームページやチラシにイラスト等を使用する際に事前確認できるような業務フローを整えていく必要があるでしょう。 6.不正受給や書類の改ざん 助成金や補助金を不正受給したり、会計書類やデータを改ざんしたりする行為は法律違反です。 企業の社会的信用を失うだけでなく、法律で罰せられる可能性があります。 大手鉄鋼メーカーで製品の品質検査データが数十年にわたり改ざんされていたことが発覚した。 不正競争防止法違反として会社に罰金1億円の判決が言い渡された。 不正受給や書類の改ざんは、直接的に指示をしていなくても成果を追い求めることで発生してしまう場合があります。 そのような事態にならないためには、目標達成が難しかったり、トラブルが発生したりしたときに管理職に相談できる風通しのよい環境を整えることが大切です。 7.下請法 下請法とは、下請企業に対する無理な値引きや口頭発注による代金の未払いといったトラブルを防ぎ、立場が弱い下請企業を守るための法律です。 下請企業への不当な取引は、下請法違反にあたります。 量販店を運営する企業が下請企業23社の支払代金を不当に減額したり、正当な理由なく商品を返品したりしていた。 これらの行為が下請法違反にあたるとして公正取引委員会が勧告し、量販店の運営企業が違反認定された相当分の計約3,550万円分を下請企業に支払った。 管理職は、部下に対してどのような対応が下請法違反となるのかを指導し、下請企業と適切なコミュニケーションが取れる環境を整えることが大切です。 コンプライアンス対策における管理職の役割 社員一人ひとりのコンプライアンス意識を高めるためには、管理職がどのような行動をするのかが重要です。 ここでは、コンプライアンス対策における管理職の役割を解説します。 部下の手本になる 部下のコンプライアンス意識を高める立場にある管理職が違反をしていると、部下にコンプライアンス教育ができません。 そのため、まずは管理職自身がコンプライアンス違反をしていないことが前提となります。 なかには、気付かないうちにコンプライアンス違反をしている場合もあるため、どのようなケースがコンプライアンス違反に該当するのかを押さえておくことが大切です。 「部下のため」や「会社のため」といった理由でパワハラや不正をしてしまわないように、コンプライアンスに関する正しい知識を身につけ、部下の手本となる行動を取りましょう。 部下のコンプライアンス違反を防止する 部下のコンプライアンス違反を防止するためには、コミュニケーションが取りやすい関係性を築いておくことが大切です。 部下が不正行為をしていないか、長時間労働となっていないか等を日頃のコミュニケーションを通じて把握しましょう。 コミュニケーションが十分に取れていれば、コンプライアンス違反につながる行動にいち早く気付き、違反を防止できます。 コンプライアンス違反が発生した際に対処する 管理職は、コンプライアンス違反が起きたときに被害がより大きくならないように適切な対処をしなければなりません。 違反者への事実確認や関係先への連絡、マスコミへの対応等、状況に応じた柔軟な対応が求められます。 迅速に対処するためにも、違反内容に合わせたマニュアルを作成しておきましょう。 コンプライアンス違反を防ぐための対策 コンプライアンス違反を起こさないためには、研修をしたりルールを定めたりするような対策をしておくことが大切です。 ここでは、コンプライアンス違反を防ぐための対策を紹介します。 コンプライアンス研修を実施する コンプライアンス違反を防ぐためには、社員一人ひとりのコンプライアンス意識を高める必要があります。 管理職向けのコンプライアンス研修では、不祥事が起きるメカニズムや違反防止の仕組みづくり等を学びます。 このような研修を定期的に実施し、コンプライアンス違反が企業に与える影響等への理解を深めましょう。 サイバー大学の「Cloud Campusコンテンツパック100」では、管理職向けのコンプライアンス研修コンテンツを含む100教材以上がeラーニングで受講できます。 ハラスメント防止や情報セキュリティコンテンツも充実しているので、社員のコンプライアンス意識を高めるのにも効果的です。 >>Cloud Campus「コンテンツパック100」をチェックする 定期的に社内ルールを改定する コンプライアンス違反が起きないように、法改正やリモートワークの導入といった働き方の変化に合わせて社内ルールを見直すことが大切です。 これまでは問題がなかったことでも、法改正や働き方の変化によってコンプライアンス違反となる可能性があるので注意しましょう。 相談窓口を設ける ハラスメントや内部不正等の相談窓口を設けることで、問題の防止・早期発見につながります。 相談窓口を設置する際は、匿名で相談できるようにしたり、相談後のプロセスを明らかにしたりする等、誰もが相談しやすいように配慮するのがポイントです。 また、相談窓口があることを従業員に周知するのも忘れないようにしましょう。 まとめ 社員のコンプライアンス違反によって企業は社会的信用を失ったり、経済的な損失を受けたりする可能性があります。 管理職には、部下の手本となる行動や積極的なコミュニケーションを取って、職場でコンプライアンス違反を発生させないマネジメント力が求められます。 ただし、コンプライアンス関連法の改正や価値観の多様化が進むことで、これまで問題にならなかった行動がコンプライアンス違反に該当してしまう状況も少なくありません。 そのような状況にならないためにも、管理職向けのコンプライアンス研修や社内ルールを定期的に改訂して、企業全体としてコンプライアンス順守に向き合っていくことが大切です。 低コストで厳選コンテンツ見放題!コンテンツパック100 コンプライアンスに関するコンテンツを含む、30カテゴリ、100以上のeラーニングコンテンツが見放題の「コンテンツパック100」。 ニーズの高いコンテンツを厳選することで、1ID 年額999円(税抜)の低コストを実現しており、Cloud Campusの利用企業は240社以上になります。 Cloud Campusのプラットフォーム上ですぐに研修として利用が可能です。 「コンテンツパック100」の詳細は、こちらからご確認頂けます。 >>Cloud Campus「コンテンツパック100」をチェックする

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