2025.06.12
ビジネススキル
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アンケートは商品やサービス、職場環境の改善に役立つデータを収集できる有効な手段です。しかし、目的と活用方法が不明確であったり、質問内容が分かりにくかったりすると効果的なアンケートを実施できない可能性があります。アンケートで役立つデータを収集するためには、商品やアンケート対象に応じた形式にすることが大切です。
本記事では、アンケートの作成方法や回答率を高めるコツを紹介します。アンケートの例文や設問サンプルも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
アンケート作成前に押さえたい3つのポイント
効果的なアンケートを作るには、作成前に以下のポイントを押さえておきましょう。
- 目的を明確にする
- 対象者を明確にする
- 得たい情報と質問内容を整理する
適切な準備ができていないと、目的に合わない回答が集まり、分析や活用が難しくなります。
1. 目的を明確にする
アンケートの目的が不明確であると質問内容がずれて、得られる情報が不十分になります。例えば、商品に対する満足度を知りたいケースと、サービス改善のヒントを集めたいケースでは、設問の内容が大きく変わります。
目的に沿った回答を集めるためにも、アンケートの実施目的を明確にしておきましょう。
2. 対象者を明確にする
アンケートの回答率を高めるには、回答者にとって読みやすく、回答しやすい形式にすることが大切です。そのためには、作成前にアンケートの対象者を明確にしておく必要があります。
設問内容や表現方法、アンケートの実施方法は、どのような人が対象になるかによって異なります。若年層を対象とする場合は、難しい表現を避け、スマートフォン等で手軽に回答できるアンケートが理想的です。
対象者を明確にしておけば、アンケートの回答率を高めやすくなるでしょう。
3. 得たい情報と質問内容を整理する
アンケート作成前に得たい情報と質問内容を整理しておくことは、調査の精度を高めるうえで欠かせません。アンケートの作成に取り掛かってから考え始めると、不要な設問が増えたり質問の一貫性が失われたりする可能性があります。
アンケートの目的からどのような情報が必要なのかを明確にしておけば、不要な質問が減り、関連性を意識した構成にすることができます。
アンケート作成の5ステップ
実際にアンケートを作成する際は、以下のステップで進めましょう。
- 回答形式を選ぶ
- 質問文と選択肢を作成する
- 実施方法を決める
- アンケートフォームを作成する
- テスト・最終確認を行う
順番に詳しく解説します。
1.回答形式を選ぶ
アンケートの回答形式には、以下のような種類があります。
回答形式 | 特徴 | 向いているシーン |
シングルアンサー | 複数の選択肢から一つだけを選ぶ | 最も当てはまる選択肢を選ばせたいとき
例:性別、年代、利用サービス等 |
マルチアンサー | 選択肢から複数の回答を選べる | 該当するものすべてを選ばせたいとき
例:使っているSNS、購入理由等 |
フリーアンサー | 回答者の言葉で自由に記載できる | 詳細な意見や理由を知りたいとき
例:改善点、感想、要望等 |
順位回答 | 複数の選択肢に順位を付ける | 優先順位や好みの順序を知りたいとき
例:サービスを利用するうえで重視するポイントの順位等 |
数値配分法 | 限られた数値を分配する | 各項目の重要度や影響度の割合を具体的に知りたいとき
例:100点を複数の選択肢に分配する |
スケール | 評価の段階を数字や尺度で答える | 満足度や評価を数値で把握したいとき
例:使いやすさの評価、再購入意向等 |
マトリクス | 縦軸・横軸それぞれに項目を設置し、該当する回答を選べる | 複数項目をまとめて比較したいとき
例:各機能の満足度、サービスごとの評価等 |
アンケートの回答形式を決めるときは、実施目的に応じて、どの回答形式を採用するかを検討しましょう。
2.質問文と選択肢を作成する
アンケートの回答形式が決まったら、質問文と選択肢を作成します。質問文を作成するときは、誰が読んでも理解できる簡潔な表現を意識しましょう。
「弊社サービスの利用頻度を教えてください」といった曖昧な表現ではなく「直近3か月以内にサービスを何回利用しましたか?」のように具体的にすることが大切です。くわえて「価格と品質に満足しましたか?」といった、一つの質問で複数の内容を聞く「ダブルバーレル質問」を入れるのは避けましょう。
選択式の回答形式に設定した場合は、選択肢を決める必要があります。
選択肢は、偏りなく網羅的に用意することを意識しましょう。例えば、満足度を聞く場合は「とても満足~全く満足していない」のように段階的に設定し「分からない」といった選択肢も入れると無理な回答を防げます。
「分からない」や「その他」といった項目を作成したときは、その理由や感情を記入する欄を作成するのがお勧めです。
3.実施方法を決める
アンケートの回答率を高めるには、対象者に合った実施方法を決めることが大切です。
アンケートの実施方法には「紙」「Web」「電話」「対面」等があります。それぞれの向いているシーンは、以下の通りです。
実施方法 | 向いているシーン |
紙 | ・高齢者や子どもといったインターネット環境が使えない可能性がある層へ調査したい場合
・イベントや店舗で現地配布したい場合 |
Web | ・幅広い層に短期間かつ低コストで実施したい場合
・若年層やビジネスパーソンといったインターネット利用層を対象としている場合 |
電話 | ・回答率を高めたい場合
・高齢者やビジネス対象者に丁寧に聞きたい場合 |
対面 | ・意見の背景や感情を知りたい場合
・商品テストといった信頼性が求められる調査の場合 |
匿名性や回答環境に配慮しながら、対象者にとって回答しやすく、より質の高いデータを得られる方法を選択しましょう。
4.アンケートフォームを作成する
質問文や選択肢、回答方式を決めたら、Googleフォーム等のツールを利用してアンケートフォームを作成しましょう。
アンケートを作成する際は、質問の並べ方に注意が必要です。
アンケートでは一般的に下に行くほど、回答率が下がります。そのため優先度の高い項目をアンケートの上部に配置しましょう。くわえて、関連性のある質問を近くに配置すると、回答者の負担を軽くできます。
5.テスト・最終確認を行う
アンケートが完成したら、誤字脱字や意味の分かりにくい表現がないかを確認します。
時間的な余裕があるときは、第三者にテスト回答してもらい、質問の分かりやすさや所要時間等もチェックしてもらいましょう。最終確認を怠ると、回答者に誤解を与えたり、本番でトラブルに発展したりする可能性があります。
信頼性の高いアンケートに仕上げるためにも、丁寧に見直しましょう。
回答率の高いアンケートを作る6つのコツ
回答率の高いアンケートを作るには、以下のコツを押さえておきましょう。
- 読みやすさを意識する
- 答えやすい質問文にする
- 回答を誘導するような質問文にしない
- 回答数を増やしすぎない
- 選択肢をシンプルにする
- プライバシーに配慮する
それぞれ詳しく解説します。
コツ1. 読みやすさを意識する
アンケートの回答率を高めるには、回答者にとって読みやすく、ストレスを感じにくい構成にすることが大切です。
具体的には、以下のようなことを取り入れるのが効果的です。
- 行間を適度に空ける
- 重要な語句を太字にする
- 専門用語を使わない
- 長文を避ける
Web形式のアンケートでは、スマートフォンからの回答も想定し、小さい画面でもストレスなく読める文章であるかをチェックしましょう。
コツ2. 答えやすい質問文にする
質問文は、回答者がスムーズに答えられる表現にすることが大切です。
抽象的な表現は避け「いつ」「どこで」「どのくらい」等の具体的な情報を盛り込みましょう。例えば「当サービスの印象を教えてください」より「初めてサービスを利用したときの感想を教えてください」のほうが回答の精度が高まりやすくなります。
誰でも答えやすい質問文にするためにも、アンケート作成に関わっていない他部署や外部の人に最終確認をしてもらうようにしましょう。
コツ3. 回答を誘導するような質問文にしない
質問文は中立的かつ客観的に表現し、回答者が自分の意見を素直に答えられるようにしましょう。
「〇〇が良いと思いませんか?」のような誘導的な表現は、回答の自由を奪い、正確なデータ収集を妨げます。設問を作成したら、誘導しているように感じる表現がないかを第三者にチェックしてもらいましょう。
コツ4. 回答数を増やしすぎない
回答数が多過ぎると、途中で離脱されて、回答率が下がりやすくなります。そのような事態を避けるためには、回答時間が5~10分以内(設問数20~30問前後)になるように作成することが大切です。
設問数を必要最低限に絞ることで、回答の質と回収率の両方を高めやすくなります。くわえて、回答に時間がかかるフリーアンサー形式の項目が多過ぎないかも確認しておきましょう。
コツ5. 選択肢をシンプルにする
選択肢が多過ぎたり、複雑な表現が含まれていたりすると、回答を選ぶときに迷いやすくなります。例えば「極めて良い・とても良い・良い・やや良い」のように微妙な違いがある項目を並べると、回答者が悩んでしまいます。
アンケートを作成するときは、回答者が選択肢の違いを明確に区別できる項目になるように意識しましょう。
コツ6. プライバシーに配慮する
アンケートで個人情報を取得する場合は、プライバシー保護に配慮しましょう。
アンケート冒頭で収集目的や保管方法、第三者提供の有無等を明記し、必要以上の情報を求めないことが大切です。匿名での回答を可能にすれば、回答者の安心感につながり、正直な回答を引き出しやすくなる効果も期待できます。
回答率を高めるアンケートの例文
回答率を高めるためには、アンケートの冒頭に以下の情報を盛り込むのが効果的です。
- 挨拶文
- アンケートの目的
- 所要時間
- プライバシーへの配慮
例文は、以下の通りです。
いつも〇〇をご利用いただき、誠にありがとうございます。
このたび、より良いサービス提供のために、お客様のご意見をお聞かせいただきたく、簡単なアンケートを実施しております。 いただいたご回答は、今後のサービス改善や商品開発に活用させていただきます。 皆さまの率直なご意見をお聞かせいただければ幸いです。 所要時間は3分程度です。 本アンケートは匿名での回答が可能です。 ご回答内容は厳重に管理のうえ、他の目的には一切使用いたしません。 |
アンケートの目的やプライバシーへの配慮を伝えることで、回答者は安心してアンケートに協力しやすくなるでしょう。
【目的別】アンケート項目のサンプル
最後にアンケート項目のサンプルを目的別に紹介します。
サンプルを参考に、集計したいデータや活用方法に応じて調整しましょう。
商品アンケート
商品に対するユーザの評価を知るためのアンケートでは、以下のような項目を盛り込むことが多いです。
質問文 | 回答形式 |
ご購入いただいた商品をどのように知りましたか? | SNS/Web広告/知人の紹介 |
商品のデザイン・見た目について、どの程度満足していますか? | とても良い/良い/普通/悪い/とても悪い |
実際に使用してみて、使いやすさはいかがでしたか? | とても良い/良い/普通/悪い/とても悪い |
商品の価格に対して、価値があると感じましたか? | はい/いいえ/分からない |
改善してほしい点やご意見があればご自由にお書きください。 | 自由記述 |
お客様アンケート
お客様アンケートでは、以下のような項目を入れるのが一般的です。
質問文 | 回答形式 |
当社のサービスをどこで知りましたか? | Web検索/広告/紹介/その他 |
サービスを利用した目的を教えてください。 | キャンペーンがあったため/口コミや評判を見て興味をもったため/家族・友人に勧められたため/元々興味があったため |
スタッフの対応はいかがでしたか? | 大変満足/満足/どちらでもない/不満/大変不満 |
今後、当社のサービスをまた利用したいと思いますか? | はい/いいえ/分からない |
当社に対するご意見・ご要望があればご自由にお書きください。 | 自由記述 |
従業員満足度アンケート
従業員の満足度を測るアンケートでは、以下のような設問を入れるのが効果的です。
質問文 | 回答形式 |
現在の職場環境(物理的・心理的)に満足していますか? | はい/どちらともいえない/いいえ |
ご自身の業務量について、どう感じていますか? | 適切/多過ぎる/少な過ぎる |
上司や同僚と円滑にコミュニケーションが取れていますか? | はい/どちらともいえない/いいえ |
キャリアアップに関するサポート体制は整っていると感じますか? | はい/どちらともいえない/いいえ |
働くうえで改善してほしい点があればご記入ください。 | 自由記述 |
まとめ
効果的なアンケートを作成するには、事前に目的や対象者を明確にし、集めたい情報を整理することが大切です。アンケートの回答率を高めるためにも、設問の順番や読みやすさを意識するようにしましょう。
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