2022.02.15
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社員の紹介や外部コネクションを介した人材採用を、「リファラル採用」といいます。米国においては、求人サイトによる採用を上回る、スタンダードな採用方法となっています。
採用チャンネルの第1位はリファラル
米キャリアコンサルティングのCareerXroads社による「2012 Source of Hire」調査によると、大手企業の採用経路として最も多かったのはリファラル採用でした。以下は、米企業の採用経路の上位5位です。
- リファラル(28.0%)
- 求人求職サイト(20.1%)
- 自社の採用サイト(9.8%)
- ダイレクトソーシング(9.1%)
- 大学(6.6%)
また、リファラル採用をしている企業のうち45%は、すべて社員の紹介によるものだそうです。採用が成立した際に、紹介者である社員へボーナスを支払う制度を設けている企業は、7割以上にのぼります。
リファラル採用が好まれる理由とは?
企業は、どのような理由からリファラル採用を好むのでしょうか。以下に、そのメリットを挙げてみましょう。
・マッチングの向上
リファラル採用の最大のメリットは、適性の高い人材を採用できることにあります。求職者が求めている能力を持っているかどうか、社風に合うかどうかは、採用試験や面接ではわかりにくいものです。社員であればこうした要素をよく理解しており、さらに紹介する人物のこともよく知っていることから、マッチングに問題が生じにくいのが大きな強みです。また、社員は優秀な人材を紹介しないと自分の評価に影響する心配があるため、吟味された人選になるというメリットもあります。
・人材発掘が難しい職種や優秀な転職潜在層にリーチできる
社員は、過去の就職先や出身大学、個人のネットワークを通して、自分の専門分野や関連分野で活躍する人材を知っているケースが多いものです。その利点を活かすことで、ニッチな専門職に従事する人材にリーチすることができます。また、通常の求人サイトでは求職活動をしていない優秀な人材には手が届きませんが、リファラルであれば効果的に接触できます。
・高い定着率
上述のとおり、マッチングに問題が少ないため、定着率が上がります。ある調査でも、リファラルで採用された社員は、求人サイトを通して採用された社員より、離職率も解雇率も低いとの結果が出ています。
・採用コスト・時間の削減
紹介制なので、大掛かりな求人広告の掲載コストや、選考・面接に関わる時間とコストを節減できます。米リクルーティングソフトウェアのJobvite社による「Social Recruiting Survey 2011」調査によると、リファラルのメリットとして7割近い企業が「採用プロセスの短縮」を、半数以上が「採用コストの削減」を挙げています。
採用基準を下げると人材のミスマッチが起きる
リファラル採用の日本語訳である「縁故採用」には、なにかとネガティブなイメージがあります。紹介だからといって採用基準を下げてしまうと、能力や社風との適応性にミスマッチが生じ、ネガティブなイメージそのままの弊害が起きる可能性があります。採用ルートや採用基準には、慎重な設定が必要です。
リファラルは採用後のリスクを軽減する
採用の現場では、候補者と自社の文化や仕事との親和性、実際の能力などを見極めることが焦点となります。リファラルはそのハードルを高い確率でクリアできるだけでなく、求職活動をしていない人材を採用するチャンスもあります。優秀な人材の確保に頭を悩ませる多くの企業にとって、大きな魅力のある採用方法でしょう。
新卒採用が中心の日本では、OB訪問やリクルーターを活用し、リファラル採用とリンクさせることもできるでしょう。
人材難の時代こそリファラルで積極的な人材発掘を
「逆求人採用でミスマッチを防ぐ!欲しい人材は、企業自らが採用する時代!」でもご紹介しましたが、人材難の時代には企業が積極的に人材を発掘しなければなりません。リファラルを採用手段のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。
なお、海外の採用事情については「新卒採用市場があるのは日本だけ!?海外の新卒採用事情」もご覧ください。
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参考: