2023.07.01
人事制度・組織づくり
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皆さんの会社では、育児休業(以下、育休)を取得している男性はいますか?
日本では、男性の育休取得がなかなか浸透せず、国の課題にもなっています。男性の育休取得について、現実と理想を見てみましょう。
育休について
育児休業(育休)とは、1991年に制定された育児介護休業法に基づいて、子供を養育する労働者が取得できる休業のことです。育休は、基本的に子供が1歳になる前日まで取得できます。女性の場合は、産後休業(出産日の翌日から8週間)終了日の翌日から育休取得が可能です。男性の場合は、子供が誕生した日から取得可能です。配偶者と交替で取得することもでき、保育所への入所時期などの事情などの事情により、育休期間を延長できる場合があります。
男性が育児休暇を取得するメリット
まず、なぜ男性の育休取得率を高めるべきなのか考えてみましょう。それは、男性の育休取得は、他の社会問題ともつながりがあるからです。男性が育休を取得することで、以下のようなメリットがあります。
・子育てに積極的に関わることができる
・家族との時間が多く取れる
・時間の効率的な使い方について意識するようになる
・女性の活躍の場が増え企業が活性化する
・仕事の効率化がすすみ、生産性がUPする
・企業イメージが向上する
広い目線で考えると、男性の育児参加を促進することで、女性の社会進出などにも間接的に作用するのです。
男性の育休取得の現実
このように多くのメリットがある男性の育休取得について、実に92%が賛成と答えており、世論は歓迎していることが分かります。(一般財団法人 経済広報センター「女性の活躍推進に関する意識調査」より)しかし、実際に男性が取得したかどうか状況をみてみると、2012年からの5年間で平均約2%とまだまだ低い割合となっているのが現実です。
男性が育休を取得したいのにできない理由
なぜ育休取得には賛成なのに、実際の取得率は低くなっているのでしょうか。その背景には、仕事を離れることへの不安や、職場における理解の低さ、会社によっては育休中無給である、などといった問題が根強くあるといわれています。
家計の中心となることが多い男性にとって、会社での立場や育休中の賃金は大きな障害となります。そのため、制度はあっても取得に踏み切れない男性が多いようです。
海外ではどうだろう?男性の育休事情
では、海外では男性の育休取得にどのように取り組んでいるのでしょうか。ノルウェーやスウェーデンでは、男性の育児への積極的参加を応援すべく「パパクオータ制度」という制度があります。父親が育休を取得しない場合、母親の育休権利が消滅してしまいます。夫婦で育児をしない家庭は、国からペナルティを与えられてしまうのです。また、育休中の賃金はほとんどが保障されます。このように、パパクオータ制度は男性の育休を国として積極的に後押しする制度です。その結果、ノルウェーでは導入前に5%程度だった男性の育休取得率が、現在では80%以上にまで向上しているそうです。
最近、日本の会社でも、男性が育休を取得しやすい風土や制度が見直されつつあります。筆者の知り合いにも育児休業を取得し「子供との時間を充実させた。」「育休を取得してよかった。」「復帰後、仕事に対する時間の使い方を工夫して働くよう意識するようになった。」などという声を聞きます。
男性だって育児休業を取得したい
男性が育休を取得しやすい風土づくりには、もちろん国や企業の制度づくりが重要です。しかしそれだけでは不十分で、社員一人ひとりの理解と意識によりようやく制度が有効に活用されるようになります。男性の育休に積極的な会社は、社員がいきいきと働き、限られた時間で結果を出すことができる会社へと成長します。まずあなたに出来ること、それは一緒に働く育休取得候補者への“理解と意識”です。そして、男性が育休を積極的に取得し、より働きやすい会社づくりに取り組んでいきましょう。
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