2025.12.19
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SOGIハラスメントとは、性的指向や性自認を理由に行われる嫌がらせ行為や差別的言動のことです。本人の同意なく性的指向や性自認を暴露したり、「男らしく」「女らしく」といった性別役割を強要したりする発言が該当します。企業は従業員を守り、健全な職場環境と企業の信頼を維持するために、SOGIハラスメントの意味や講じるべき対策を知っておくことが大切です。
本記事では、SOGIハラスメントの意味や事例を紹介します。企業が行うべき対策や実際に起きてしまったときの適切な対応も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
SOGIハラスメント(SOGIハラ)とは
SOGIハラスメント(SOGIハラ)とは、個人の性的指向(Sexual Orientation)や性自認(Gender Identity)に関連した嫌がらせやいじめ、差別的な言動を指します。
企業には、働く人の尊厳を傷つけ、労働環境を悪化させるSOGIハラスメントの発生を防ぐ責任があります。
SOGI(ソジ)とは
SOGIとは、Sexual Orientation(性的指向)とGender Identity(性自認)の頭文字をとった言葉であり、「ソジ」または「ソギ」と読むのが一般的です。
性的指向とは、恋愛感情や性的な関心の対象がどの性別に向かうのかを指します。例えば、以下のようなものが挙げられます。
- 異性愛(ヘテロセクシュアル)
- 同性愛(ホモセクシュアル)
- 両性愛(バイセクシュアル)
- 無性愛(アセクシュアル)
性自認とは、自分がどのような性別であると認識しているかを意味する言葉です。例えば、体は男性で自分が女性と認識している人、女性の体で男性と自認している人が該当します。男性・女性のどちらにも当てはまらないと感じている人もいます。
SOGIハラスメントが社会問題として認識されるようになった背景
SOGIハラスメントが社会問題として認識されるようになった背景には、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)によって企業へのパワーハラスメント防止対策が義務化されたことが挙げられます。
労働施策総合推進法(パワハラ防止法)の指針には、SOGIハラスメントもパワハラ・セクハラに含まれることが明記されています。
SOGIハラスメントは、企業が対策すべきコンプライアンス上の問題として明確に位置づけられたといえるでしょう。
企業の人事・コンプライアンス担当者は、法的な背景を踏まえ、ハラスメント防止に取り組む必要があります。
SOGIハラスメントに該当する事例
SOGIハラスメントに該当する事例には、以下のようなものがあります。
- 性的指向・性自認を理由にした暴力・いじめ・無視
- 否定や嘲笑・差別的な言動
- 本人の許可なく性的指向・性自認を暴露する行為
- 性的指向や性自認を理由とした不当な配置転換・解雇
- 個人の性自認を無視した生活を強いる行為
一つずつ詳しく解説します。
性的指向・性自認を理由にした暴力・いじめ・無視
性的指向や性自認に関する事実、または憶測による暴力・いじめ・無視をする行為は、SOGIハラスメントに該当します。SOGIを理由に行う以下のような行動は、SOGIハラスメントといえます。
- 特定の社員を組織的に避ける
- 業務上必要な連絡を故意にしない
- 会議やプロジェクトから排除する
このような行為は被害者を孤立させ、休職や退職に追い込む可能性があります。
否定や嘲笑・差別的な言動
個人の性的指向や性自認を否定する、あるいは嘲笑するような言動は、典型的なSOGIハラスメントです。SOGIであることを理由に「おかしい」「似合わない」といった差別的な発言が該当します。トランスジェンダーの社員に対して、本人の性自認とは異なる性別で呼ぶこと(ミスジェンダリング)も、SOGIハラスメントとして見なされます。
本人の許可なく性的指向・性自認を暴露する行為
本人の承諾を得ずに、その人の性的指向や性自認を第三者に対して暴露する行為は、SOGIハラスメントです。性的指向や性自認は、周囲の人に知られることで本人の生活に大きな影響を及ぼす可能性がある個人情報です。企業は、社員の個人情報保護の観点からも、性的指向・性自認を暴露してはならないことを教育する必要があります。
性的指向や性自認を理由とした不当な配置転換・解雇
性的指向や性自認を理由に、社員に対して不利益な労働条件を課したり、不当な取り扱いをしたりする行為はSOGIハラスメントです。SOGIを理由に以下のような行為をすることは、SOGIハラスメントに該当します。
- 昇進・昇格の機会を与えない
- 特定の部署への配置転換を強いる
- 正当な理由なく解雇する
採用や人材配置、評価、解雇等の人事プロセスで、企業はSOGIに基づく差別がないかを厳しくチェックする必要があります。
個人の性自認を無視した生活を強いる行為
トランスジェンダーの社員に対して、本人の性自認を無視した生活を職場内で強いることもSOGIハラスメントに当たります。
性自認と異なる性別の制服の着用を強要することや、本人の望む性別のトイレや更衣室の使用を正当な理由なく認めないことなどが該当する場合もあります。
SOGIハラスメントを引き起こさないためにも、制服規定や施設利用に関するルールを見直し、本人の性自認に配慮した対応を取るようにしましょう。
SOGIハラスメントに関する法律

SOGIハラスメントへの対策を検討するうえで、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)と男女雇用機会均等法は把握しておくべき法律です。
ここでは、SOGIハラスメントに関する法律を紹介します。
労働施策総合推進法(パワハラ防止法)
労働施策総合推進法(パワハラ防止法)は、職場のパワーハラスメントを防止するために、事業主に雇用管理上の措置を講じることを義務づけた法律です。
パワーハラスメントは「優越的な関係を背景」に「業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動」で「労働者の就業環境を害するもの」と、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)で定義されています。パワハラ防止指針では、以下のような行為がパワーハラスメントに該当すると示されています。
| 精神的な攻撃 | 人格を否定するような言動を行うこと。相手の性的指向・性自認にかかわる侮辱的な言動を行うことを含む |
| 個への侵害 | 労働者の性的指向や性自認、病歴、不妊治療といった個人情報を当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露すること |
したがって、SOGIハラスメントはパワーハラスメントの一種として、企業が防止措置を講じるべき法的義務の対象であるといえます。
企業は、パワハラ防止指針に基づいて、ハラスメントに対する方針の明確化や周知・啓発、相談体制の整備といった措置を講じる必要があります。
男女雇用機会均等法
男女雇用機会均等法は、職場のセクシュアルハラスメント(セクハラ)の防止措置を企業に義務づけている法律です。
セクシュアルハラスメントは、「職場で行われる性的な言動」で「当該労働者が労働条件について不利益を受ける」、または「労働者の就業環境を害する言動であること」のいずれかに該当するものと定義されています。
セクハラ防止指針では、性的指向や性自認に関係なく、その人に対して性的な言動で不快な思いをさせれば、セクシュアルハラスメントとして扱われることが明記されています。
したがって、SOGIハラスメントも例外ではなく、企業は男女雇用機会均等法の内容を踏まえて適切に防止策を講じなければなりません。
企業が講じるべきSOGIハラスメント対策
企業が講じるべきSOGIハラスメント対策は、以下の通りです。
- 社内方針を明確にしたうえで周知する
- SOGIハラスメントに関する社内研修を実施する
- 相談窓口を設置する
一つずつ詳しく解説します。
社内方針を明確にしたうえで周知する
企業は「SOGIハラスメントは決して許されない行為である」という明確な方針を打ち出さなければなりません。
具体的には、就業規則やハラスメント規定に、SOGIハラスメントの定義や禁止行為の具体例、違反者への懲戒処分を明記します。
これらの規定は、文書や社内ポータル、掲示板を通じて全ての社員に周知します。会社として立てた明確な方針を周知することで、社員一人ひとりのハラスメントに対する意識を高められるでしょう。
SOGIハラスメントに関する社内研修を実施する
SOGIハラスメントに関する正しい知識と、人権侵害であるという認識を全社員に浸透させるためには、定期的な社内研修の実施が有効とされています。
研修では、SOGIの基本的な概念やSOGIハラスメントに該当する事例の紹介を行います。管理者には、ハラスメントを認知した場合の対応や、日頃からの職場環境チェックの重要性について、専門的な研修を実施することが大切です。
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相談窓口を設置する
企業には、SOGIハラスメントの被害者や目撃者が安心して相談できる窓口を設置する義務があります。
窓口担当者には、SOGIに関する知識と、デリケートな問題に寄り添える傾聴力の高い人材を配置することが大切です。担当者は最低でも男女1人ずつ配置し、相談した事実が他の従業員に知られないように配慮する必要があります。
相談しやすい環境を整えるためにも、相談者が不利益な取り扱いを受けないことを明示し、相談窓口の存在と利用方法を社員に繰り返し周知するようにしましょう。
SOGIハラスメントが発生したときに企業がすべき対応
企業には、SOGIハラスメントが発生したときに、迅速・適切な対応をする義務があります。
SOGIハラスメント発生時に企業がすべき対応は、以下の通りです。
- 事実関係を迅速かつ適切に確認する
- 被害者へのケアを行う
- 行為者への措置を行う
- 当事者のプライバシーを保護する
- 再発防止措置を実施する
それぞれ詳しく解説します。
1. 事実関係を迅速かつ適切に確認する
SOGIハラスメントの相談や通報があったときは、迅速な事実関係の調査が求められます。調査は、専門の担当者または外部の弁護士といった中立的な第三者が行い、被害者・行為者・目撃者等から個別にヒアリングをすることが大切です。集めた証拠や証言を元に、ハラスメントの有無を客観的に判断するようにしましょう。
2. 被害者へのケアを行う
企業には、被害者の心身の健康を最優先にした適切なケアを実施する責任があります。被害者が行為者と顔を合わせることによる二次被害を防ぐためにも、一時的な配置や席の変更、休暇取得の推奨といった措置を講じましょう。必要に応じて、産業医や臨床心理士といった専門家によるカウンセリングを受けられるように支援することも大切です。
3. 行為者への措置を行う
SOGIハラスメントの事実が確認された場合に、企業は就業規則や懲戒規定に基づいて、行為者に厳正かつ公平な措置を講じなければなりません。措置の内容は、事案の内容や状況によって、配置転換や懲戒処分に至るケースまでさまざまです。規定に沿った処分を行うだけでなく、行為者の言動がなぜハラスメントに該当し、どのような問題があるのかを理解させることも大切です。
4. 当事者のプライバシーを保護する
SOGIハラスメントは、被害者・行為者双方の個人情報にかかわるため、当事者のプライバシーの保護を徹底しなければなりません。調査にかかわる人や措置を講じる人といった必要最小限の関係者だけが情報を共有し、それ以外の社員には情報を漏らさないように厳しく管理する必要があります。
特に、被害者のSOGIに関する情報は、本人の同意なく不必要に広がることのないように注意を払いましょう。
5. 再発防止措置を実施する
企業には、ハラスメントが二度と発生しないように再発防止措置を講じる責任があります。今回の事案の原因を分析し、就業規則やハラスメント防止規定、研修、相談窓口の運用といった社内体制の不備を改善します。再発防止策を全社員にあらためて周知し、企業全体でSOGIハラスメント撲滅に取り組む姿勢を示すことが大切です。
まとめ
SOGIハラスメントとは、性的指向や性自認にかかわる差別や嫌がらせ等の個人の尊厳を傷付ける言動を指します。SOGIハラスメントを未然に防ぎ、健全な職場環境を整えるためには、全社員にSOGIハラスメントの意味や事例を周知することが大切です。
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===監修者情報====
金子幸嗣(かねここうじ)
社会保険労務士
2006年に社会保険労務士として独立開業。
勤務先でのハラスメント問題を機に労働法を学ぶ。
その後、企業の労務管理や職場環境改善、ハラスメント防止体制の整備や社内相談対応の支援に携わる。
労働・年金分野を中心に執筆・監修を行い、複数のメディアに寄稿。
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