2025.09.04

ビジネスの現場における交渉力は、取引条件の最適化や良好な関係構築に欠かせない重要なスキルです。
交渉力を高めれば、双方にとって納得のいく合意を導くことができます。
交渉相手との長期的な信頼関係を築くためにも、交渉をスムーズに進めるポイントを押さえておきましょう。
本記事では、ビジネスパーソンが身に付けたい交渉力の基本から実践ポイントまで解説します。交渉力を高めるうえで必要なスキルも紹介しているので、交渉力を磨きたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
交渉力とは
交渉力とは、自分と相手の利害・立場の違いを調整しながら、双方にとって納得のいく合意を導き出す力のことです。交渉の場では、相手に自分の意見を押し付けるのではなく、Win-Winの関係を導くことが求められます。ビジネスの場面で交渉力が必要とされるのは、価格交渉や納期調整、条件設定等の場面です。
交渉力は相手を説得するためのスキルではなく、信頼関係の構築や共感力、問題解決力等の複数のスキルが掛け合わされたものとされています。
交渉力の高い人の特徴
交渉力の高い人には、以下のような特徴があります。
- 自分の意見を明確に伝えられる
- 相手の立場を尊重できる
- 感情をコントロールできる
- 状況に応じて柔軟に対応できる
- 目的思考で行動できる
それぞれ詳しく紹介します。
自分の意見を明確に伝えられる
交渉力の高い人は「何を望んでいるのか」「どこまでであれば譲れるのか」を明確に伝える力があります。自分の意見を明確に伝えられないと、相手からの理解を得られず、交渉がスムーズに進みません。自分の立場や条件を適切に提示できれば、相手との認識のずれを防ぎ、建設的な議論をしやすくなります。相手の要望に応えられないときは、その旨をはっきり伝えることも大切です。
相手の立場を尊重できる
交渉力が高い人は、相手の立場や状況を理解しようとする姿勢があります。自分の主張を一方的に通すのではなく、相手の背景や目的をくみ取りながら話を進めることは、信頼関係の構築につながります。その結果、相手が本音で安心して話せるようになり、交渉がスムーズに進みやすくなるでしょう。
相手に敬意を払いながら交渉をすることは、お互いが納得できる結果を導く第一歩となります。
感情をコントロールできる
交渉力の高い人は、感情を抑えて冷静に対話を続ける力があります。
交渉中に自分の主張が通らなかったり、相手から威圧的な態度を取られたりすることでマイナスな感情を抱く瞬間もあるでしょう。このようなときに感情的になり、冷静な対応ができなくなると、交渉がこじれやすくなります。
建設的に交渉を進めるには、感情で言葉を交わすのではなく、自分の意見を論理的に伝えて相手の主張を客観的にくみ取ることが大切です。冷静に交渉を続けられれば、相手からの信頼も得やすくなり、よりよい合意に導きやすくなるでしょう。
状況に応じて柔軟に対応できる
交渉は常に計画どおりに進むとは限りません。相手の反応や状況によっては、交渉の着地点を変える必要性が出てくることもあります。
交渉力の高い人は、想定していない反応や意見を受けても、慌てることなく柔軟に対応できます。事前準備の段階で複数の選択肢を用意しておけば、柔軟な対応を取りやすくなるでしょう。
目的思考で行動できる
交渉の場では、目先の利益や感情に流されず、最終的な目的を見据えて行動することが大切です。
交渉力の高い人は、交渉のゴールがどこにあるのかを意識しながら意見交換をします。
交渉相手から予期せぬ発言があったとしても、本来の目的に立ち返ることで無駄な譲歩や対立を防ぎやすくなるでしょう。
交渉をスムーズに進めるための事前準備
交渉をスムーズに進めるためには、以下のような事前準備が欠かせません。
- ゴールを明確にする
- 相手の立場やニーズをリサーチする
- 代替案(BATNA)を準備する
- ロールプレイングをする
それぞれ詳しく紹介します。
ゴールを明確にする
交渉を始める前に「何を得たいのか」「どこまで譲れるのか」といった交渉のゴールを明確にしておきましょう。
ゴールが曖昧なままでは、交渉中に判断に迷ったり、相手のペースに巻き込まれたりする可能性があります。具体的な目標を設定しておけば、交渉の軸がぶれず、論点も整理しやすくなるでしょう。
相手の立場やニーズをリサーチする
交渉では、相手の立場やニーズをリサーチしておくことが大切です。
相手がどのような立場にあり、何を重視しているのかを理解していると、より的確な提案ができるようになります。
相手の制約条件や関心を把握しておけば、交渉が一方通行にならず、お互いがWin-Winになる着地点を探りやすくなるでしょう。
代替案(BATNA)を準備する
BATNA(Best Alternative to a Negotiated Agreement)とは、交渉が決裂した場合の最善の代替案を指します。BATNAを準備しておくと、必要以上に譲歩せずに交渉を進めやすくなります。
価格交渉で合意に至らないときに他社と契約する選択肢があれば、気持ちに余裕をもって交渉を進めやすくなるでしょう。
無理に相手の要求を受け入れる必要がなくなり、有利なポジションで交渉しやすくなる可能性が高まります。
ロールプレイングをする
交渉の場では、自分の意見に対して相手からさまざまな質問を受けます。相手にとって納得のいく返しができれば、自分の提案を通しやすくなります。
一方、うまく答えられなかったり、その場しのぎの回答をしたりすると、相手との信頼関係が悪化してしまう可能性があります。そのような事態を避けるには、想定される質問とその回答を準備したうえで、ロールプレイングをしておくことが大切です。
ロールプレイングをしておけば、スムーズに交渉を進めやすくなるでしょう。
交渉中に意識したいポイント
交渉中は、以下のポイントを意識しましょう。
- 自分の意見を分かりやすく伝える
- 相手の意見に耳を傾ける
- 双方が納得できる結論を見極める
一つずつ詳しく紹介します。
自分の意見を分かりやすく伝える
交渉中は、自分の意見を簡潔かつ具体的に伝えることが大切です。
要点が曖昧だったり、話が長くなりすぎたりすると、相手に納得感をもってもらえず、賛同を得られない可能性が高まります。
まずは結論から伝え、それから理由・具体例を述べることを意識しましょう。論理的に説明できると、相手から信頼されやすく、交渉を円滑に進められるようになります。
相手の意見に耳を傾ける
双方が納得のいく結論に導くには、相手の意見に耳を傾け、主張やその背景を理解することが大切です。
意見を一方的に伝える態度では、相手は心を閉ざし、交渉に応じてもらえない恐れがあります。
相手の発言にうなずきや相づちを挟んだり、適度に質問をしたりすると、積極的な意見交換がしやすくなるでしょう。
事前に集めた情報からは分からなかったことを聞き出せれば、双方が納得いく結論につなげられるヒントを得られる可能性があります。
双方が納得できる結論を見極める
交渉の最終的な目標は、どちらか一方だけが得をするのではなく、双方が納得できる合意点を見つけることです。
その目標を達成するには、交渉中に相手との共通の目的やすり合わせができそうな部分を見出すことが大切です。相手を尊重しつつも、自分の目的から外れないように交渉を進めましょう。
交渉後に実践しておきたいポイント
交渉をスムーズに進めるには、交渉後に以下のことを取り入れるのが効果的です。
- 合意内容を記録・共有する
- フォローアップをする
- 交渉の振り返りをする
それぞれ詳しく紹介します。
合意内容を記録・共有する
交渉がまとまったら、合意内容を記録し、関係者と共有しましょう。口頭のやりとりだけでは認識違いが生じやすく、トラブルにつながる恐れがあります。
文書やメールで合意事項を明文化すれば、双方が同じ認識をもち、次のステップへスムーズに進みやすくなります。交渉は合意後の対応まで含めて一連のプロセスであることを意識しましょう。
フォローアップをする
交渉をスムーズに進めるには、相手といかに深く信頼関係が築けているかが重要になります。
交渉後にお礼の連絡や進捗の確認等、こまめなフォローアップをすることで、交渉やビジネスが円滑に進みやすくなります。交渉は一度きりの勝負ではなく、長期的な関係構築の一環として捉えることが大切です。
交渉の振り返りをする
交渉が終わったあとは、結果だけでなくプロセスを振り返ることが大切です。
「うまくいった点」「改善できそうな点」を明確にして、次回の交渉に活かしましょう。振り返りを習慣化すれば、効率的に交渉力を高められます。
交渉力の向上に求められるスキル
交渉力を向上させるには、以下のスキルを身に付けるのが効果的です。
- コミュニケーション力
- 課題解決力
- 論理的思考力
ひとつずつ詳しく解説します。
コミュニケーション力
交渉力の向上に欠かせないのが相手との円滑なやりとりを可能にするコミュニケーション力です。
交渉をスムーズに進めるには、自分の意見を相手が納得できるようにわかりやすく伝えることが大切です。くわえて、相手の考えを引き出す傾聴力も求められます。
相づちを適度に打ったり、質問をしたりして、話しやすい雰囲気を作ることを意識しましょう。
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課題解決力
交渉の場では、利害の対立を解消し、双方が納得できる形にまとめるスキルが求められます。交渉をスムーズに進めるには、現状の課題を的確に把握し、解決策を提示する課題解決力が欠かせません。冷静に状況を分析し、柔軟な発想で代替案を出せる人ほど、交渉の場で信頼されやすくなるでしょう。
論理的思考力
交渉では、自分の意見に説得力をもたせるために、論理的に伝える力が必要です。主張に一貫性があり、根拠が明確であるほど、相手からの納得を得やすくなります。論理的思考力を身に付けられれば、感情に流されずに交渉を進めることができるでしょう。
交渉力を高めるには研修を取り入れるのが効果的
交渉力を高めるには、交渉前の準備に時間をかけたり、コミュニケーション力を身に付けたりするのが効果的です。
しかし、社員個人で交渉力を高めるのは簡単ではありません。社員の交渉力を高めたいときには、企業研修を取り入れることをお勧めします。
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