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管理職のラインケアとは?企業が押さえるべき役割・実践方法・教育のポイント【社労士監修】

2026.10.05

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管理職のラインケアとは?企業が押さえるべき役割・実践方法・教育のポイント【社労士監修】

「部下の様子がいつもと違う気がするが、どこまで声をかけていいか分からない」。

現場の管理職から、このような悩みが寄せられることはないでしょうか。部下のメンタルヘルス不調への対応は、多くの管理職が悩みやすい課題のひとつです。また、管理職教育を担う人事・研修担当者にとっても重要なテーマです。

厚生労働省は、職場のメンタルヘルス対策を「4つのケア」として整理しています。そのうち管理監督者が担う部分が「ラインによるケア」(ラインケア)です。ここでいう「ライン」とは、部下を日常的に指揮・監督する管理監督者等を指します。その役割は、部下への声かけだけにとどまりません。職場環境の把握と改善、相談対応等、日々の労務管理と深く関わっています。

この記事では、セルフケアとの違いから現場の管理職に実践させるべきポイント、企業として整えたい教育体制までを解説します。

ラインケアとは|管理職が担う「4つのケア」のひとつ

ラインケアとは、日常的に部下と接する管理監督者が、職場環境等の把握・改善および、部下からの相談対応を行うことをいいます。
これは、厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(メンタルヘルス指針)の考え方に基づくものです。

厚生労働省が示す「4つのケア」とラインケアの位置づけ

厚生労働省の指針では、職場のメンタルヘルス対策を次の4つに分けています。

 

ケアの種類 担い手 主な役割
セルフケア 従業員本人(管理監督者を含む) ストレスへの気づきと対処
ラインによるケア 管理監督者 職場環境等の把握と改善、相談対応、職場復帰における支援等
事業場内産業保健スタッフ等によるケア 産業医、衛生管理者、保健師、人事労務管理スタッフ等 ケアの企画立案、健康情報の取扱い、社外機関との窓口等
事業場外資源によるケア 社外の機関・専門家 情報提供や助言等のサービス提供、ネットワークの形成

上記表の4つのケアは、継続的かつ計画的に行われることが重要です。「不調に気づいたら自分がなんとかしなければ」と抱え込む管理職もいますが、表のとおり、隣には産業医や人事労務の担当者がいます。
管理職だけで対応を抱え込まず、必要に応じて産業医や人事労務担当者等と連携することが重要です。

管理職はセルフケアのためにも、そのような全体像を把握しておく必要があるでしょう。
なお、セルフケアの詳細については次章で解説します。

ラインケアとセルフケアの違い|担い手と役割を比較

この章では、ラインケアとセルフケアの中身について比較します。

ラインケアの主な役割は、職場環境等の把握・改善と部下からの相談対応です。指針によれば、管理監督者が部下の状況を日常的に把握でき、その職場のストレス要因をつかんで改善できる立場にあることを根拠としています。

もう一方のセルフケアは、従業員自身がストレスに気づき対処することをいいます。両者の大きな違いは、ケアの担い手です。ラインケアは管理監督者が、セルフケアは従業員本人が行います。

押さえておきたいのは、指針にもある「事業者はセルフケアの対象として管理監督者も含める」という点です。
管理職はラインケアの担い手であると同時に、セルフケアを実践する側でもあるのです。

なお本記事の「管理監督者」は、メンタルヘルス指針の文脈での呼び方です。労働基準法上の「管理監督者」とは、判断の枠組みが少々異なります。

ラインケアとセルフケアはどう連携する?|相互に補完する関係

職場にあるストレス要因には、従業員自身の力だけでは取り除けないものもあります。業務量の偏りや人員配置は、本人が気を付けても変えられない部分です。

一方、本人が自身のストレスに気づき、相談できる状態でなければ、管理職が問題を把握することも難しくなります。2つのケアは、互いに届かない範囲を補い合う関係にあるのです。

管理職にラインケアが求められる2つの理由

なぜ管理職がラインケアを担う必要があるのでしょうか。
以下では、ラインケアが企業の労務管理において重要となる理由を、2つの観点から解説します。

事業者の安全配慮義務を実務で支える立場にある

労働契約法第5条は、使用者は労働契約にともない、従業員がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働できるよう必要な配慮をするものとする、と定めています。
いわゆる「安全配慮義務」と呼ばれるものです。

労働契約法第5条に基づく安全配慮義務を負う主体は使用者です。そのため、同条に基づく義務を管理職個人が直接負うという意味ではありません。ただし、管理職には企業の方針に基づき、部下の状況把握や必要な対応を行う役割があります。

ただし、企業が実際に配慮を行き届かせるには、現場を知る人が欠かせません。部下の働き方や職場の様子を日常的に把握できるのは管理職です。
その意味で管理職は、企業が安全配慮義務を果たすうえで実務を支える重要な立場にあるといえるでしょう。

メンタルヘルス不調による休業・退職は企業の労務リスクにつながる

厚生労働省「令和6年労働安全衛生調査(実態調査)」によると、過去1年間にメンタルヘルス不調で連続1か月以上休業した従業員、または退職した従業員がいた事業所の割合は12.8%でした。うち休業者がいた事業所が10.2%、退職者がいた事業所が6.2%です。

事業所規模別にみると、メンタルヘルス不調による1か月以上の休業者または退職者が1人以上いた事業所の割合は、1,000人以上で91.6%、100〜299人で55.8%、50〜99人でも33.1%という結果になっています。

もちろん、ラインケアに取り組めば休業や退職を防げると言い切れるものではありません。
心の健康問題には、労働者の家庭や個人生活の要因も絡むからです。それでも、不調に早く気づき対応できる体制は、企業が備えておきたい労務リスク対策のひとつといえます。

なお、休職制度は法律上の義務ではなく、就業規則等の定めによるものです。休職制度を利用する際は、自社の規程確認も併せて行いましょう。

出典:「令和6年「労働安全衛生調査(実態調査)」(厚生労働省)

 

管理職が実践したいラインケアの3つのポイント

ここからは、現場の管理職に対してどのようにラインケアを指導すべきか、実践的な視点で解説します。管理職に求めるアクションは「気づく」「聴く・整える」「つなぐ」の3段階に分けて教育すると整理しやすくなります。

1.部下の「いつもと違う」に気づく

部下の「いつもと違う」判断基準は、他の従業員との比較ではありません。
その部下自身が、それまで示してきた行動からズレているかどうかです。

例えば、口数の少ない人が静かでも変化とはいえませんが、遅刻をしたことのなかった人が遅刻を繰り返せば変化といえるでしょう。

変化に気づくには、日頃から関心を持って接し、いつもの様子を知っておくことが前提です。本人より先に同僚から情報を集めたり、お酒の席で不満を聞き出そうとしたりする方法はお勧めできません。

また、気になる変化がある場合は、必要に応じて産業医等に相談することも検討しましょう。

「いつもと違う」部下の様子としては、次の例を挙げることができます。

  • 勤怠:遅刻・早退・欠勤が増える、休みの連絡がない、残業や休日出勤が不釣り合いに増える
  • 業務:仕事の能率が悪くなる、思考力・判断力が低下する、業務の結果がなかなか出てこない、ミスや事故が目立つ
  • 様子:報告や相談、職場での会話がなくなる(あるいはその逆)、表情に活気がなく動作にも元気がない、服装が乱れる

 

上記は、病名や症状を推測するためのチェックではありません。普段との違いに気づくための観察ポイントとして参考にするといいでしょう。

出典:「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(厚生労働省)

2.部下の話を聴き、職場環境を整える

部下の変化に気づいたら、声をかけて話を聴くことが大切です。

厚生労働省の『こころの耳』では、傾聴について、相手が何を語り表現しようとしているのかを注意深く集中して聴くことだと説明しています。
受け身ではなく、積極的に関わろうとする行為であることから、積極的傾聴とも呼ばれています。

大切なのは、先入観を持たずに「本気で」聴くことです。
話の途中で、原因を追及したり内容を評価・否定したりせず、分からないことは教えてもらう姿勢で臨むといいでしょう。
すぐに解決策を示そうとせず、まずは相手の話を十分に聴くことが大切です。

そして、聴いて終わりにしないこともポイントです。
ラインケアのもう一方の柱は、職場環境等の把握と改善です。

なお、仕事のストレスは次の3つの観点から整理することができます。

  • 要求度:業務量、納期、同時に抱える案件の数等
  • 裁量:仕事の進め方の自由度、権限、意思決定への関与等
  • 支援:相談のしやすさ、情報共有、役割の明確さ等

 

特定の人に、過度な長時間労働や疲労、責任が生じないようにする等、能力や適性に合わせた配慮が重要になるでしょう。

3.必要に応じて産業医・人事等につなぐ

管理職が部下の病名や症状を自己判断せず、必要に応じて医師等の専門家につなぐことが大切です。
ただし管理職は、気づいた変化を抱え込まないことが大切です。医師等の適切な相手につなぐ役割も求められているからです。

つなぎ先は、社内なら産業医、保健師等、人事労務部門が考えられます。
常時使用する労働者が50人未満で、産業医の選任義務がない事業場では、地域産業保健センター等の事業場外資源も活用できます。地域産業保健センターで得られる助言は、管理職の次の一手を具体化するきっかけにもなるでしょう。

また、相談を勧めても抵抗を示す部下はいます。
『こころの耳』が示しているのは、無理強いをせず、本人にその旨を伝えたうえで管理監督者自身が産業医等に相談するという対応です。本人が相談に抵抗を示す場合は、まず本人の意思を尊重し、無理に相談を強いるのではなく、管理監督者自身が産業医等に対応を相談する方法もあります。社内に知られたくないという理由であれば、事業場外資源という選択肢を伝えるのも一案です。

上記の過程で扱う健康情報の取り扱いには注意しましょう。健康情報の取り扱いでは、本人の意思を尊重することが重要です。例えば、主治医や家族等から本人の健康情報を取得する場合や、健康情報を医療機関等の第三者へ提供する場合には、原則として本人の同意が必要です。

一方、労働者の生命や健康を守るために緊急かつ重要であると判断される場合には、本人の同意を得るよう努めたうえで、必要な範囲で情報を利用すべき場合もあるとされています。

出典:こころの耳(厚生労働省)

ラインケアを管理職個人に任せず、組織的な教育体制を整える

4つのケアは、それぞれを個別に行うだけでなく、相互に連携させることが重要です。

従業員が自分の状態を言葉にできれば、上司は業務量や役割を動かすことができ、上司が聴ける状態なら本人は早く言い出せます。
逆に、管理職だけが熱心でも窓口が周知されていなければ相談は増えません。
どれかひとつが弱いと、他のケアも動かなくなるのです。

管理監督者への教育研修・情報提供は十分とはいえない

メンタルヘルス対策に取り組む事業所のうち、「管理監督者への教育研修・情報提供」を行っている割合は29.0%であり、従業員向け(36.8%)より低い水準となっています。

現場でさまざまな対応を求められる管理監督者に対しては、継続的に教育・研修の機会を設けることが重要です。

2028年4月から50人未満の事業場にもストレスチェックが義務化

改正労働安全衛生法により、これまで努力義務とされてきた労働者数50人未満の事業場にも、ストレスチェックの実施が義務づけられました。
施行日は2028年(令和10年)4月1日です。

ストレスチェックは、義務化に従うことが本来の目的ではありません。
ストレスチェックは実施するだけでなく、その結果を職場環境の改善に活かしていくことが重要です。取り組む主体は事業者ですが、日常的に職場の状況を把握し、業務配分等の調整に関わる管理職も重要な役割を担います。

管理職向けラインケア教育を設計する4つのポイント

管理職向けの、ラインケア教育を設計するために必要なポイントを、4つに絞って解説します。

1.一度きりではなく継続して実施する

単発の研修で終わらせず、定期的な再学習の機会を設けましょう。
新しく管理職になった人が次の開催まで何も学べない、という空白もつくらないことが大切です。

2.セルフケア教育とラインケア教育を組み合わせる

管理職向けの教育だけでは、4つのケアは回りません。

全従業員がセルフケアを学ぶことで、上司が声をかけたときの部下の受け止め方も変わります。管理職と従業員の双方がメンタルヘルスに関する基本的な知識を共有することで、不調への気づきや相談、対応を進めやすくなります。

3.自社の相談窓口・連携ルールまで研修内容に落とし込む

一般的な知識だけでは、いざというときに動けません。

自社の相談窓口や産業医・人事労務との連携方法まで反映させ、「実際に誰へ、どうつなぐか」を判断できる状態をめざすといいでしょう。

4.受講状況を記録し、教育計画の見直しにつなげる

受講記録があれば安全配慮義務を果たしたことになる、というわけではありませんが、未受講者へのフォローや次回の計画に活かせます。

実施状況を確認し、改善するための材料として扱いましょう。

管理職向けラインケア教育にはeラーニングも活用できる

管理職への研修を続けることは、簡単なことではありません。

集合研修では、日程調整、会場や講師の確保、受講状況の確認に手間が掛かります。拠点が分かれていればなおさらでしょう。

そこで有効なのがeラーニングです。
時間や場所を問わず自分の業務に合わせて受講でき、受講状況の管理等もしやすくなります。

教材の更新や再配信を行いやすいため、法改正や制度変更に合わせて研修内容を見直しやすい点もメリットです。また、管理職向けのラインケア教育と、全従業員向けのセルフケア教育を、同じ環境で並行して続ける手段として適しています。

まとめ

「遅刻が増えた部下に声をかけそびれた」「話は聴いたが、その先どうすればいいか分からなかった」「産業医に相談すべきか迷っているうちに休職になった」このような場面は、管理職の知識や経験だけで対応しようとすると判断に迷いやすいものです。

ラインケアは、部下の変化に気づき、話を聴き、職場環境を整え、必要に応じて専門家へつなぐ取り組みです。
だからこそ、管理職が「自分の部署で何が起こり得るか」をイメージできる教育は欠かせないでしょう。

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監修者情報

村山 花純(社会保険労務士)

とわ社会保険労務士事務所 代表社会保険労務士

プロフィール

大手法律事務所で刑事事件・交通事故案件に携わったのち、法律分野の専門ライターを経て社会保険労務士資格を取得。2023年9月に、とわ社会保険労務士事務所を開業。ハラスメント防止・管理職向け研修やメンタルヘルス等の企業研修、就業規則の整備、助成金活用の支援を通じ、企業の労務課題の解決にあたる。東京都社会保険労務士会所属。立命館大学法学部法学科卒業。

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会社で働く時間は、誰にとっても案外長いものです。 その時間をモチベーションが高い状態で働く社員が多い企業の方が、そうではない企業よりも健全な状態なのは間違いありません。 ただ、いざ社員やメンバーのモチベーションを管理しようとしても、何をどのようにして対策すべきか分からないという声も聞かれます。 今回の記事では、モチベーションの構成要素を紐解き、モチベーションを高めるための具体的なポイントや事例を紹介します。 モチベーションとは ビジネスシーンでの社員モチベーションアップを考える際によく取り上げられているのは、アメリカの心理学者・ハーズバーグ提唱の「二要因理論」です。 ハーズバーグは、職務満足と職務不満足は、それぞれ異なる要因によって引き起こされると主張しています。 職務満足を引き起こす要因を「動機づけ要因」、職務不満足を引き起こす要因を「衛生要因」であると明らかにしました。 つまり心理学的にみると、モチベーションには、「内的モチベーション」(動機づけ要因)と「外的モチベーション」(衛生要因)の2つがあり、社員のモチベーションを高めるためには、内的モチベーションに着目することが重要となります。 ただし、内的モチベーションと外的モチベーションは反対の概念ではなく、相互に足りない部分を補い合うような関係です。 丁寧に社員のモチベーション管理をするためには、外的モチベーションにおける問題を解決したうえで、内的モチベーションを満たす必要があるでしょう。 内的モチベーション(動機づけ要因) 内的モチベーション(動機づけ要因)には、「仕事のやりがい」「達成感や効力感」「職場メンバーへの信頼」「会社のミッションやビジョンへの共鳴」等が該当します。 動機付け要因は、促進要因とも呼ばれています。つまり「ないからといって、すぐに不満が出るものではない」ものの「あればあるほど、モチベーションが高まる」要素なのです。 ハーズバーグ提唱の「二要因理論」によると、人は以下のような感情を求めて生きています。 ・自分の存在意義を感じたい(達成感) ・自分の存在意義を認められたい(達成の承認) ・成果を認められ、ほめられたい(内的報酬) これは仕事場でも同じことがいえます。その仕事によって達成感が抱ける、周りがそれを承認してくれる、仕事そのものをおもしろいと感じる、といった内的動機づけによってこそ、仕事へのモチベーションを上げることができるのです。 外的モチベーション(衛生要因) 外的モチベーション(衛生要因)には、「金銭報酬」「福利厚生」「職務環境」等が該当します。 衛生要因は、不満足要因とも呼ばれています。すなわち「整備されていない場合は社員が不満を感じる」ものの「品質を高めていっても、満足につながるわけでない」要素なのです。 例えば、外的モチベーションが満たされていたとしても、内的モチベーションが満たされていない社員は、他に魅力がある企業へ転職するリスクがあるでしょう。 しかし内的モチベーションが満たされている場合は、他企業から高報酬のオファーがあったとしても、転職はしばし思いとどまる可能性があります。 モチベーションを構成する6つのポイント 「内発的動機づけ」の研究において第一人者であるロチェスター大学のエドワード・L.デシ氏とリチャード・フラスト氏(著書『人を伸ばす力-内発と自律のすすめ』)は、1980年代に人が働く動機を6つのカテゴリーに大別しました。 そして、冒頭で触れたアンケートを実施した企業文化コンサルタントのリンジー・マクレガー氏とニール・ドシ氏は、それらを現代の職場環境に置き換え、人が働く動機には次の6種類があるとしました。 1.楽しみ(Play) 仕事自体が楽しいから働く。楽しみとは、新しいことへの好奇心。楽しみが大きいと、たとえ仕事で難題にぶつかってもチャレンジ精神が刺激される。 2.意義(Purpose) 仕事が生み出す価値に意義を感じる。仕事のアウトプットが社会的貢献につながることに働きがいを感じる。 3.可能性 (Potential) 仕事を頑張ることが自身の向上につながる。仕事で成果を上げることが自らの能力を高めるとの信念に基づく。 4.感情的圧力 (Emotional pressure) 恐怖、同調圧力、恥等、仕事内容とは関係のない外部からの感情的な圧力によって、自分自身が脅かされているために働く。 5.経済的圧力(Economic pressure) 報酬を得るため、または、処罰を逃れるために働く。仕事内容や自己実現とは関係ない外的圧力によるものとなる。 6.惰性 (Inertia) 働く理由が分からず、仕事内容や自発的要素とは無関係な「昨日も働いていたから、今日も働く」という動機づけ。 内的モチベーションの高め方 ここからは、職場ですぐに実践でき、効果を実感しやすい内的モチベーションを高めるポイントを紹介します。 コミュニケーションを良好にする 職場でできるモチベーション向上のコツは、コミュニケーションを良好にすることです。 そのためには、上司や同僚とのコミュニケーションが重要となります。 ここでいうコミュニケーションとは、楽しくプライベートの話ができることや、飲み会で盛り上がることだけではなく、「対話」が成立する関係を築くことです。 「対話」とは、お互いの存在や意見の違いを認め合ったうえで、同じ目標に向かって歩むという建設的な話し合いです。 例えば、メンター制度がある企業の場合、先輩社員は相談役として、よい点を承認したり、失敗したときの改善策をともに考えたりすることによって、若手社員をサポートします。 やる気を伸ばせる仕事の進め方をする 若手社員を中心に、自分のスキルや能力を伸ばしたい人もいます。 著述家であるダニエル・ピンク氏の著書『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』によると、そのような社員には、やる気をさらに伸ばすような仕事の任せ方と環境が重要だといいます。 自立性 ある程度本人に仕事のやり方を任せること(例:勤務時間の20%を、自分のやりたい仕事にあててもよいという許可を与える等) 熟達性 達成感へとつながる「フロー状態(仕事へ没入している状態)」を作りだすこと(例:上司が月に1回部下と面談し、フロー状態が得られるよう仕事の割り当てを調整する等) 目的意識 報酬や個人的目標だけでなく、社会的貢献につながる意識を持たせること(例:自分の企画した製品を売ることで、途上国への寄付を実現できる等) 外的モチベーションを下げないためにできること 続いて、外的モチベーションを下げない、あるいは維持するポイントを紹介します。 モチベーションには内的なアプローチが重要ですが、外的モチベーションが良好であればあるほど、内的モチベーションが高めやすい状態といえます。 組織作りを見直す 社員のパフォーマンス向上に成功している企業は、「楽しみ」「意義」「可能性」の3つのモチベーションを最大化することに成功しています。 一方で、社員のパフォーマンス向上に失敗している企業は、「感情的圧力」「経済的圧力」「惰性」で社員が動いているのかもしれません。 しかし、社員が自発的に働きたくなる職場づくりは、特定の部署だけでは成し得ません。企業文化の形成としてとらえ、人事からの積極的な働きかけが欠かせないでしょう。 ※なお、モチベーションアップや人材評価については、「知ると便利!後輩指導で使える「コーチングスキル」」や「部下のやる気スイッチをオンにするリーダーの特徴と注意点」も併せててご覧ください。 制度の運用を見直す 高水準の賃金制度の構築や豊富な福利厚生メニューを導入できれば理想的かもしれませんが、そこまで余力がある企業も稀でしょう。 そのようなときに注目したいのが、制度の運用です。 例え評価制度が同じでも、評価結果だけを通知する運用と、評価の根拠や今後の注力ポイントを丁寧にフィードバックする運用では、社員のモチベーションに差が出てきます。 むしろ制度そのものは外的モチベーションに関係しますが、運用を社員の心情に寄り添ったものにすることで、内的モチベーションにも寄与できるでしょう。 社員のモチベーション向上事例 最後に、モチベーション向上に向けた施策を実施している企業の事例を2社紹介します。 サイボウズ株式会社 ソフトウェアの開発・提供企業であるサイボウズでは、「モチベーション創造メソッド」という取り組みを行っています。 サイボウズのモチベーションの定義「理想を実現するためのやる気」を実現するため、グループウェアを活用しているのです。 具体的には、社員が「できること」や「やりたいこと」、会社として「やるべきこと(やってほしいこと・取り組んでほしいこと)」を自由に書き込み、共有できるようになっています。 社員のやりたいことが実現でき、モチベーションのセルフコントロールを促す取り組みといえるでしょう。 参考:サイボウズチームワーク創研 株式会社伊藤園 伊藤園では、もっとも大切な財産は「人」というポリシーに基づき、人材開発や育成に力を注いでいます。 具体的には「伊藤園大学」という社員向けの自己啓発制度があり、学びたい分野の講習を受けることができます。社員個人のスキルアップになることはもちろんのこと、仕事に活用することでモチベーションアップにつながっているそうです。 また、伊藤園では社員が心身ともに健康で生き生きと働けるように、職場環境の整備をはじめとした健康経営も推進しています。 参考:株式会社伊藤園 多様な人財と全員活躍の推進 まとめ 米国の企業文化コンサルタントが、世界各国で2万人以上の社員を対象にアンケート調査を実施し、50社におよぶ企業の分析、数々の研究、文献を精査したところ、「社員のパフォーマンスのよしあしは、その仕事へのモチベーションにより決まる」との結果にいたりました。 内的モチベーションの高い社員が増えることは、生き生きとした職場を作る原動力となります。人事担当者は、そのことを念頭に仕組みづくりに取り組みましょう。 現代の日本は、労働人口の減少による売り手市場で、人材確保が難しくなり、人手不足が深刻な問題となっています。人手不足を補うためには、競争の激しい人材確保だけでなく、既存人材の離職防止や生産性向上も重要な課題となります。 人材の離職防止や生産性向上のためにも、社員のモチベーションマネジメントを行ううえで、ハーズバーグの二要因理論を活用してみてはいかがでしょうか。 低コストで厳選コンテンツ見放題!コンテンツパック100 特にニーズの高いコンテンツだけを厳選することで1ID 年額999円(税抜)の低コストを実現。 ビジネス・ITの基礎知識を学べるeラーニングコンテンツが見放題、Cloud Campusのプラットフォーム上ですぐに研修として利用できます。 100コース・1500本以上の厳選動画をラインナップ。コース一覧詳細は無料でこちらからご確認頂けます。 >>Cloud Campus コンテンツパック100の詳細をチェックする

2024.04.09

新入社員が育つ環境づくり|意欲を高める3つのコツ

2024.04.09

新入社員が育つ環境づくり|意欲を高める3つのコツ

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大卒新入社員の3年目までの離職率は、ここ10年来30%台で推移しています。 約3人に1人は、一人前になる前に離職してしまうことを意味します。 時間と費用をかけたのに新卒社員が離職する要因は何なのか、どうしたら意欲をもって働く環境を作れるのかを本記事ではまとめます。 新入社員はやる気がない? 新卒社員に限ったことではなく、若い世代の特徴として「教えらたれたことをこなす能力は高い」、「真面目で理解力が高い」、「向上心がある」などなどが挙げられています。 一方で、「自主解決能力に欠ける」、「高望みせず、ほどほどで満足する」、「状況に適応する自律性がない」など、複雑でかつスピーディーなビジネスの現場環境で判断力を発揮し、新しい発想をチャンスへとつなげる実践力には乏しいようです。 このような話題になると、「最近の若者は根性が足りない」という諸先輩方の声が聞こえてきそうですが、時代にあわせた新人育成方法を考えることも、人事部にとっては大切な仕事です。 新入社員を育てる環境づくりの現状 産業能率大学が企業の教育担当者を対象にして行なった調査によれば、「中堅社員に求める役割」で第1位に挙げられたのは、「後輩の育成」(72.5%)でした。 しかし、「後輩育成を遂行していますか?」という問いに対し「遂行している」と回答したのはわずか2.9%と極端に実現率が低く、半数以上が「あまり遂行していない」と回答しています。 また、労働政策研究・研修機構による「人材マネジメントのあり方に関する調査」(2014年)では、若手層の人材育成上の課題として「業務が多忙で、育成の時間的余裕がない」「上長等の育成能力や指導意識が不足している」といった回答が多くなっています。 これらの調査結果から考えると、「若手が育たない」と嘆く裏には、「育てられない職場環境」が隠れているということがわかります。 OJTやoff-JTという研修方法を考えるだけでなく、実際に新入社員が配属される現場の指導体制はどうなっているか、指導係は誰なのか、受け入れ体制はできているかも考えていく必要がありそうです。 新入社員の意欲を高める3つのコツ ①職場の一員として認める 新入社員は仕事のことも会社のこともあまり把握できていないため、常に不安を感じています。 まずは、上司や先輩のほうから彼らを仲間として認め、信頼を得るために1on1などのコミュニケーションの場を設けることが重要です。 また、パワハラなどの問題にも上司が気を配らなければなりません。 新人を「新人」として一括りに考えるのではなく、一人ひとりの個人として向き合っていく意識を持つことも重要な要素です。 新入社員に対して高圧的にならず、成長を見守り導くというスタンスを持つべきでしょう。 ②社会人マナーや会社ルールを積極的に共有する 新入社員は不安を抱えながらも、社会人としてのマナーや会社のルールを早く身につけて、会社の戦力として成果を挙げたいと思っています。 既存の社員はその気持ちを理解したうえで指導し、不足している点を補い、成長へと導く姿勢が求められるでしょう。 また、新入社員は既存の社員とは気質が異なるケースがあります。 それを「最近の若者は……」のひとことで片付けてしまうのではなく、いまどきの新入社員に見られる傾向についても理解しておきましょう。 コミュニケーションを密にして世代間のギャップを埋めることが重要です。 ③新入社員のビジネススキル向上を図る 「あいさつ」「言葉づかい」「身だしなみ」「電話対応」など基本的なビジネスマナー研修だけでなく、OJTに対しても現場をサポートしていく必要があります。 教育担当である中堅層に「新人を育てる意識」を持ってもらうよう働きかける、メンター制など「相談できる先輩」がいる環境を整えるなど、自社に適した仕組みを探し、積極的に試していくことが求められています。 また、新入社員教育に適した方法としてeラーニングを実践する企業も多いです。 一体感を持って学習してもらうことでモチベーションを維持し、自発的に目標を設定することや、目標の達成に向けた実践について身につけることが可能です。 新入社員向け研修で検討すべきプログラム まず新入社員に知ってほしいことは「社会人としての常識」や「仕事の基本」と言われるものです。 会社は学校とは違い、仕事をすることで報酬を得る場所なので、社会人・組織人としてふさわしい常識やマナー、コンプライアンス(法令遵守)を最初に身に付けてもらうことが必要です。 1. ビジネスマナー 身だしなみ、挨拶、電話応対、名刺交換などで、身についていて当たり前のマナーです。配属が決まり業務がスタートすると、なかなか研修の機会はありません。取引先への訪問などでは、新入社員であっても会社の顔となるので、まずマナー研修を行いましょう。 2. ホウレンソウ 「ホウレンソウ」と呼ばれる報告・連絡・相談は、社会人の義務として徹底させましょう。とくに「報告」は重要で、慣れないうちは初めからすべて話そうとして、要点がつかめない報告となります。「結論」から話し始めて経過、理由を報告させるよう徹底させることが必要です。 3. コンプライアンス(法令順守) コンプライアンスとは、企業が法律や規制、内部ルール、倫理的な基準に従って適切な行動をとることを指します。 コンプライアンスを学ぶ最大の理由は「やってはいけないことを学ばせるため」です。 <主なコンプライアンス項目> ・法律と規制(労働法、環境法、消費者保護法、競争法、税法など) ・企業内ポリシーと手順 ・個人情報の取り扱い ・情報セキュリティ ・賄賂や贈収賄の禁止 ・インサイダー取引の禁止 すべて覚えることは難しくても、コンプライアンスに関する禁止事項があることを理解し、日々の業務において意識することで、企業の信頼性向上と長期的な成功に繋がります。 4. ITスキル ビジネスシーンではExcel、Word、PowerPointといったオフィスツールが使えることは必須です。 部署によってはExcel、Wordを多用するでしょうし、営業部ではPowerPointを使ったプレゼンテーションができなくては話になりません。 また、メールにもビジネス文書としてのマナーはあります。 件名や文面の書式も大切ですが、最も気にかけなくてはならないことは、「その用件はメールでよいのか」ということと、「宛先は間違えていないか」です。例えば、謝罪をメールで済ませることは社会人としては許されませんし、toとcc、bccの使い分けを知らなければ、インシデント発生の原因にもなります。 基本的なITスキルについては若い世代のほうが慣れていることもありますが、ビジネスにおける使い方は改めて学ぶほうが良いでしょう。 新入社員研修の効果を高める2つのポイント ①現場のニーズを優先する 多くの研修は座学形式で行われますが、配属先で実践しながら学ぶOJTを取り入れるのもよいでしょう。 部署により要求されるスキルは異なりますし、少しでも早く部署に慣れ、チームワークやコミュニケーションの取り方を学んだほうが早く成長することもあります。 現場で学べることには、仕事の指示の受け方、メモの取り方、タイムマネジメント、コスト意識、1日の業務の流れなどがあります。 しかし最も学ばなくてはならないのは、これから働く職場の雰囲気であったり、先輩や上司の仕事ぶりなどの自社の文化です。 帰属意識が高まり組織の一員であることを自覚させ、組織に貢献することで報酬を得ているという認識が強まります。 社会人・組織人としての基本的な常識やマナーを身につけながら、実践で業務を学ぶ。自社に必要・不要な新入社員研修のプログラムを調整することが重要です。 新入社員向けの研修を検討する際は社会人基礎力について理解しておくと参考になります。 ②全社員の意識にも気を配る 新入社員研修=新入社員に対してどのような研修を行うかにフォーカスしてしまいがちですが、全社員が持つ社風も非常に大切です。 「自分の意見が自由に言えない」「社員同士の挨拶や会話がない」「部門長クラスの人間が人材育成に興味がない」という環境では、新入社員のやる気も低下していってしまいます。 社風そのものに問題があると判断した場合は、研修という枠を飛び越えて、全社員の意識を変えるために必要な施策を模索しなければなりません。 新人教育をしっかりと機能させていくためには、会社全体を見渡したうえで本質的な課題を見つけ、解決していくことが大切です。 まとめ|新入社員が育てば会社も成長する 企業にとって、将来を担う人材の確保は、最優先事項の一つです。 人事部には、新入社員を育成できる職場環境づくりのために、地道な継続と積極的推進が求められています。 「新人が育たない」といわれる現代でも、定着率の高い企業はいくつもあります。 そういった企業は何が成功しているのか、自社に足りないものは何なのかを常に考え、一人でも多くの新人を育てることができる環境を作っていきましょう。 低コストで厳選コンテンツ見放題!コンテンツパック100 新人教育にも使える厳選コンテンツが1ID 年額999円で見放題になるCloud Campusコンテンツパック100。 ビジネスマナーだけでなく、社会人に必須のビジネス・ITの基礎知識を学べる充実のeラーニングコンテンツが魅力です。 Cloud Campusのプラットフォーム上ですぐに研修として利用できます。 100コンテンツ以上の厳選コンテンツラインナップは資料請求からご確認頂けます。 >>Cloud Campus コンテンツパック100の詳細をチェックする   参考サイト: 新人若手育成のアタリマエを変えよう|人材育成・社員研修のリクルートマネジメントソリューションズ  平成26年版 労働経済の分析 -人材力の最大発揮に向けて-|厚生労働省  第27回(最終回) OJTにおける「課題」とは何か?~新人の成長課題とトレーナーの育成課題<後編>~ | ヒューマンキャピタル Online  新人がイキイキと働くために、人事ができること~誰しもが経験するつまずきを乗り越える方法とは?~ – 『日本の人事部』 恒例の新入社員の特長。2015年は「消せるボールペン型」。その心は?|ブラック企業|【瓦版】  「新入社員意識調査・特徴とタイプ」公益財団法人日本生産性本部) 「新人と中途採用者の研修、教育の方法」ビジネス・ソリューション  

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