2026.07.15
人材教育
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コンプライアンス違反は、企業の社会的信用を失墜させ、安定した経営を脅かす要因となり得ます。コンプライアンス違反を防ぐためには、過去の違反事例から発生原因を把握し、対策を講じることが大切です。
本記事では、コンプライアンスを遵守すべき理由や具体的な違反事例、発生原因を解説します。eラーニングを用いた効率的な教育方法も紹介するので、組織全体のコンプライアンス意識を底上げしたい管理職や研修担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
コンプライアンス違反とは
コンプライアンス違反とは、法律や社内規定、社会的モラルに反する行為のことです。具体的には、ハラスメントやサービス残業の強要、SNSへの不適切な投稿による情報漏えい等が該当します。
コンプライアンス違反が発生すると、従業員が安心して働ける環境が損なわれたり、企業が経済的損失を被ったりするリスクがあります。違反行為を防ぐためには、発生原因を把握し、教育による全社的な意識向上や現場でのルール徹底といった対策を講じることが大切です。
コンプライアンスを遵守すべき理由
コンプライアンスを遵守すべき理由は、以下の通りです。
- 法的トラブルから組織を防御するため
- 企業の社会的信用を維持するため
- 従業員のキャリアを守るため
- 優秀な人材を確保するため
それぞれ詳しく解説します。
法的トラブルから組織を防御するため
コンプライアンスを軽視していると、労働基準法や個人情報保護法といった法令違反につながるリスクがあります。例えば、サービス残業の常態化といった労働基準法違反が発覚すると、行政処分を受けたり、従業員から損害賠償を請求されたりする可能性があります。
また、悪意のないミスであっても個人情報の漏えいが起きれば、企業の社会的信用が損なわれ、事業継続が難しくなることも考えられるでしょう。予期せぬ法的トラブルから組織を守るためには、コンプライアンス関連法の施行・改正内容を把握し、遵守することが重要です。
企業の社会的信用を維持するため
コンプライアンス違反をした企業は、顧客や世間からの信用を失い、売上低下や取引先からの契約解除につながる可能性があります。一度失った信用を回復するには時間とコストがかかるため、日頃からのリスク管理が欠かせません。
企業の社会的信用を維持するためにも、組織全体でコンプライアンス遵守を徹底し、誠実な企業活動を続けていくことが重要です。
従業員のキャリアを守るため
コンプライアンスを遵守することは、企業イメージだけでなく、働く従業員一人ひとりのキャリアを守ることにもつながります。ハラスメント防止策や適切な労務管理が機能していない現場では、従業員が意図せず法令違反に関与してしまったり、違反行為の被害に遭ったりするリスクが高まります。
コンプライアンスを遵守すれば、従業員が安心して業務に集中できる環境を維持できるため、組織全体の生産性向上にもつながるでしょう。
優秀な人材を確保するため
コンプライアンス遵守の姿勢は、企業の採用力や従業員の定着率に影響します。過重労働やハラスメントが放置されていると、求職者から敬遠されるだけでなく、離職者の増加を招く恐れがあるため注意が必要です。
一方で、コンプライアンスを遵守している企業は、安心して働ける組織として評価され、優秀な人材が集まりやすくなります。ハラスメントや過重労働のない働きやすい環境を維持できれば、優秀な人材の流出も防げるでしょう。
法律違反に関するコンプライアンス違反事例
法律違反に関するコンプライアンス違反事例には、以下のようなものがあります。
- 著作権侵害
- データ改ざん
- 下請法違反
それぞれ詳しく紹介します。
著作権侵害
著作権侵害は「社内共有だけなら問題ないだろう」「業務効率化のため」という現場の勝手な判断によって発生します。
| 投資コンサルティング会社の従業員が、業務に活用する目的で新聞や雑誌の記事を無断でコピーし、社内システムやメールを用いてグループ会社の従業員に共有していた。この行為が著作権法違反にあたるとして、同従業員は法人とともに書類送検された。 |
業務目的の社内共有であっても、著作権者の許諾を得ずに著作物を複製・配信する行為は、著作権侵害になるリスクがあります。現場の誤った判断を防ぐには、著作物の取り扱いに関する社内教育を実施したり、外部情報を共有する前の確認・承認フローを整えたりすることが大切です。
データ改ざん
厳しい納期や目標によって過度なプレッシャーがかかる現場では、データの改ざんが起きやすく、組織内で不正の常態化を招くリスクがあります。
| 大手重工業メーカーで船舶用エンジンの燃費性能や排ガスの検査データが長年にわたって改ざんされていた。不正の背景には、品質よりも納期や利益を優先する意識や、コンプライアンス違反を認識していても言い出せない組織風土があったとされている。データ不正が発覚したのち、社長らが会見で謝罪する事態となった。 |
組織内に不正を黙認する風土が定着すると、現場の従業員の力だけでは改善しにくく、長期的な不祥事につながります。データ改ざんを防ぐには、コンプライアンス遵守の意識を高めるだけでなく、測定データを自動記録するシステムの導入といった不正を物理的に排除する仕組みづくりが必要です。
下請法違反
下請法違反は、従業員の知識不足や古い習慣の見直し不足によって発生します。
| 大手自動車メーカー系のディーラーにおいて、顧客から依頼された車の修理や車検を下請けの整備事業者に委託する際、車両の運搬業務を無償で行わせていた。本来支払うべき運搬費用を契約に含めず、下請け側に負担させていた行為が下請法違反にあたるとして、公正取引委員会から勧告を受けた。 |
下請法に関する正しい知識がないまま、従来の習慣を続けていると、無自覚のうちに法令違反を重ねてしまうリスクがあります。定期的な研修を通じて最新の法令知識を周知したり、取引を記録・書面化する仕組みづくりをしたりして、下請法違反を防ぎましょう。
情報漏えいに関するコンプライアンス違反事例
情報漏えいに関するコンプライアンス違反事例には、以下のようなものがあります。
- SNSへの不適切投稿
- メールの誤送信
- 公共の場での不適切な会話
それぞれ詳しく見ていきましょう。
SNSへの不適切投稿
SNSへの不適切投稿は「自社の従業員がそんなことをするはずがない」「常識的に考えれば分かるだろう」という管理職の思い込みや、SNSリスクの教育不足によって発生します。
| 地方銀行の従業員が支店内を撮影した画像をSNSに投稿し、拡散される事態が発生した。撮影された画像には、顧客の氏名や営業目標が写り込んでおり、頭取が謝罪する事態になった。 |
悪意のない投稿であっても、一瞬で不特定多数に拡散され、企業の社会的信用を損なう事態に発展するリスクがあります。不適切な投稿を防ぐためには、従業員のリテラシー向上を促す定期的な教育を実施するとともに、業務エリア内での私用スマートフォンの取り扱いに関するガイドラインを明確に定めることが重要です。
メールの誤送信
業務の忙しさや慣れから、メール送信時の宛先や添付ファイルのチェックが疎かになると、メールの誤送信が起きやすくなります。
| 大手銀行の従業員が、約5,000人分のメールアドレス等の情報が記載されたファイルを提携先へメールで誤送信した。送信前の確認不足が原因とされており、同行は誤送信先に連絡して対象データの削除を確認したと発表。今後は再発防止に向けた管理体制の徹底に努めると説明した。 |
メールの誤送信によって顧客情報や機密情報が流出すれば、組織としての管理責任が厳しく問われることになります。個人の注意や確認に頼るだけでなく、メール誤送信防止システムを導入して誤送信を防ぐ対策を講じましょう。
公共の場での不適切な会話
電車内やカフェでは、従業員の情報管理に対する意識が薄れやすく、何気ない会話から情報漏えいにつながるリスクがあります。
| 従業員が電車内で顧客の氏名やトラブル内容を同僚と大声で話し、乗客から会社へ通報される事案が発生した。首から下げていた社員証から身元が特定され、企業のモラルや情報管理の甘さが問われることとなった。 |
日常の何気ない会話であっても、社章バッジや端末画面から企業名が特定される可能性があります。口頭による情報漏えいを防ぐには、公共の場での業務会話禁止の徹底や、外出先での通話やWeb会議の場所制限をすることが重要です。
労働問題に関するコンプライアンス違反事例
労働問題に関するコンプライアンス違反事例には、以下のようなものがあります。
- パワーハラスメント
- セクシャルハラスメント
- サービス残業の強要
それぞれ詳しく解説します。
パワーハラスメント
指導する立場にある人がパワーハラスメント(パワハラ)の基準を理解せず、昔ながらの厳しい叱責や無理な要求を続けてしまうと、ハラスメントの加害者になるリスクがあります。
| 医療機関の管理職が部下に威圧的な発言や物にあたる等のパワハラ行為をし、戒告処分を受けた。 |
行き過ぎた指導や叱責は、部下のメンタルヘルスを損なうだけでなく、企業に対する損害賠償訴訟や企業イメージの低下に直結します。全従業員が安心して働ける環境をつくるには、どのような行為がハラスメントに該当するのかを学ぶことが大切です。
セクシャルハラスメント
セクシャルハラスメントは、行為者の「相手が嫌がっていないだろう」という主観的な思い込みや、ハラスメントに対する認識の甘さが原因で発生します。
| 市長が女性職員からセクハラ被害を訴えられた。第三者委員会は職務上の力関係を背景に拒否できない関係性であったとして、一部行為をセクハラと認定。市長は謝罪したうえで、辞職の意向を表明した。 |
職務上の上下関係があると断れない部下も多いため、意思表示の有無にとらわれず、相手に心理的な圧迫や不快感を与えていないか客観的な視点を持つことが大切です。
サービス残業の強要
残業削減とノルマ達成を厳しく求められる環境では、サービス残業が常態化しやすくなります。
| 半導体検査機器メーカーの従業員が、残業時間を厳しく制限されたことで自宅での持ち帰り残業を余儀なくされ、精神疾患を発症した。自宅での作業を含め残業時間が200時間を超える月もあり、企業が従業員に解決金400万円を支払う内容で和解が成立した。 |
サービス残業の強要は、優秀な人材の流出を招くだけでなく、企業イメージの低下によって新たな人材の確保を困難にするリスクがあります。サービス残業をさせないためには、業務量やノルマを見直したり、パソコンのログで実働時間を把握したりすることが大切です。
コンプライアンス違反が発生する原因
コンプライアンス違反が発生する主な原因には、以下のようなものがあります。
- 不正を誘発しやすい「環境」がある
- 従業員(および管理職自身)の知識不足
- ルールの必要性を感じていない(規範意識の低さ)
それぞれ詳しく解説します。
不正を誘発しやすい「環境」がある
コンプライアンス違反は「不正のトライアングル」と呼ばれる以下の3つの要素がそろったときに起こりやすいとされています。
| 機会 | チェック体制が不十分で、不正が発覚しにくい環境 |
| 動機 | 過度な営業ノルマや業績不振等、心理的・物理的に追い詰められた状態 |
| 正当化 | 「みんなやっている」「会社のためになる」と違反行為を都合よく解釈すること |
コンプライアンス違反を防ぐには、3つの要素がそろわないように対策を講じることが大切です。例えば、チェック体制の強化やアクセス権限の厳格化によって、不正しやすい環境を排除できます。加えて、無理な営業ノルマの見直しや相談窓口の設置をすれば、従業員が精神的に追い詰められるのを防げるでしょう。
違反行為を正当化しないように、経営陣がコンプライアンス遵守を優先する方針を打ち出し、社内規定で明確化するのも有効です。
従業員(および管理職自身)の知識不足
コンプライアンスに関する知識不足は、無自覚な違反を引き起こす原因となります。何が違反行為にあたるのかという判断基準を持たない状態では、日々の業務で「これくらいなら大丈夫だろう」という安易な選択や、法改正にともなう新しい規制の見落としが生じやすくなるため注意が必要です。
上司に知識がなければ、部下の誤った業務プロセスに気付くことができず、組織的な違法状態を放置・助長してしまうリスクもあります。そのような状況を防ぐには、過去の違反事例や最新の法規制を定期的に学び、組織全体のコンプライアンス知識の底上げを図ることが大切です。
ルールの必要性を感じていない(規範意識の低さ)
従業員がルールの必要性や目的を理解していなければ、厳格な社内規則を設けても、コンプライアンス違反を防ぐことはできません。
なかには、ルールを業務のスムーズな遂行を阻害する面倒なものと捉え、現場判断で簡略化したり、無視したりする従業員もいるでしょう。そのような状況にならないためには、規則がつくられた背景や遵守すべき理由を共有し、現場の規範意識と納得感を高めることが大切です。
組織のコンプライアンス違反を防ぐために管理職が取るべき対策
組織のコンプライアンス違反を防ぐためには、以下のような対策が有効です。
- eラーニングを活用した「全社一律の継続教育」
- 現場で迷わせない「行動規範・マニュアル」の整備
- 早期発見・抑止力となる「相談窓口」の設置と周知
それぞれ詳しく解説します。
eラーニングを活用した「全社一律の継続教育」
コンプライアンス違反を防ぐためには「何が違反に該当するのか」という認識を全社で統一することが重要です。知識や意識が従業員ごとにバラつきがあると、個人の主観によるグレーな判断が生まれやすくなります。
全社一律の教育をするには、eラーニングが効果的です。時間や場所を選ばずに受講できるeラーニングであれば、多忙な現場や離れた拠点の従業員にも効率的に教育できます。単発の研修で終わらせず、法改正や社会情勢の変化に合わせて継続的な教育機会を提供すれば、組織全体のコンプライアンス意識を高められるでしょう。
現場で迷わせない「行動規範・マニュアル」の整備
研修で違反事例を学んでいても、実際の現場では判断を迷う場面が出てきます。現場の迷いをなくすには、行動規範やマニュアルの整備が必要です。
明確な判断基準が示されていれば、従業員がルールを都合よく解釈したり、不正を隠蔽したりするリスクを軽減できます。マニュアルを実務に役立てるためには、法改正やコンプライアンス基準の変化に応じて、定期的に内容を更新する必要があります。
早期発見・抑止力となる「相談窓口」の設置と周知
ハラスメントや不正の疑いを早期に発見して対処するには、相談窓口の存在が大きな役割を果たします。相談窓口を活用してもらうには、現場の従業員が安心して利用できるよう、相談後に誰がどのように動き、どう解決を図るのかという具体的な対応の流れやプロセスを繰り返し周知することが大切です。
加えて、秘密厳守や報復行為の厳禁といった相談者が不利益を被らない仕組みを伝える必要があります。社内にいつでも通報や相談ができる窓口があることで、違反行為を思いとどまらせる効果が期待できるでしょう。
まとめ
コンプライアンス違反を防ぐには、全従業員に遵守の重要性や具体的な違反行為を学習してもらうことが大切です。集合研修では研修担当者の業務負荷が大きくなりやすいため、時間や場所を選ばないeラーニングを活用して効率よく研修を実施しましょう。
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確認テスト付きのコンテンツも多く、受講者が理解度を確かめながら主体的に学べるため、形だけの研修になりにくいのが特長です。教育担当者の工数を抑えながら、全従業員のコンプライアンス意識を高めるために、ぜひご活用ください。
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