2025.07.25
ビジネススキル
人材教育
- キーワード
-
- アンガーマネジメント

さまざまな人材が協働する現代の職場で、マネジメントの質を高めたり良好な対人関係を築いたりするには、感情をコントロールする力が求められます。
アンガーマネジメントを取り入れれば、衝突や対立を未然に防ぐだけでなく、チーム力の向上につながります。従業員が働きやすい職場を整えるためにも、アンガーマネジメントの導入を検討しましょう。
本記事では、職場で実践できる具体的なアンガーマネジメントのやり方を紹介します。感情に振り回されないマネジメント力を身に付けたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
アンガーマネジメントとは?
アンガーマネジメントとは「怒り」の感情をうまくコントロールし、適切に表現・対応するための心理トレーニングのことです。
ただ単に怒りを抑えるのではなく、指摘する必要があるときには冷静に伝え、怒らなくてよい場面でスルーできる力を身に付けるのが目的です。1970年代にアメリカで開発され、日本でも注目されています。
アンガーマネジメントで得られる企業側のメリット
アンガーマネジメントは、企業側に以下のようなメリットをもたらします。
- 職場の人間関係が円滑になる
- 業務効率・生産性の向上が期待できる
- パワハラの防止になる
- 離職率の低下につながる
一つずつ詳しく紹介します。
1. 職場の人間関係が円滑になる
アンガーマネジメントにより怒りが爆発する場面が減ると、心理的安全性が高まります。
社員同士で意見を言いやすい雰囲気が醸成されることで、活発なコミュニケーションが生まれやすくなるでしょう。怒りをうまくコントロールできる社員が増えれば、トラブルや対立が減り、信頼関係を築きやすくなります。
2. 業務効率・生産性の向上が期待できる
怒りに左右されない理性的な判断ができる社員が増えると、不要な対立が減り、業務効率が高まりやすくなります。
心理的安全性の確保により活発なコミュニケーションが促進されれば、情報共有がスムーズになる効果も得られます。自由な意見が出しやすくなり、業務改善につながる施策も生まれやすくなるでしょう。
アンガーマネジメントによって、チームワーク向上やスムーズな業務改善につながれば、業務効率・生産性の向上が期待できます。
3. パワハラの防止になる
アンガーマネジメントによって感情的な指導や叱責が減ると、パワハラ防止につながります。
冷静な伝え方や建設的なフィードバックが習慣化されれば、上司と部下の信頼関係も深まりやすくなります。企業のイメージダウンや法的リスクを回避するためにも、アンガーマネジメントを導入してみましょう。
4. 離職率の低下につながる
人間関係やパワハラによって精神的なストレスを受け、離職する人は少なくありません。アンガーマネジメントにより人間関係が円滑になったり、パワハラ事例がなくなったりすれば、離職する社員の減少につながります。離職率が下がることで、採用や再教育にかかるコストを削減できます。
従業員がのびのびと働ける環境を整えるためにも、アンガーマネジメントの導入を検討しましょう。
アンガーマネジメントで得られる社員側のメリット
アンガーマネジメントを導入すると、社員側は以下のようなメリットを得られます。
- 自己理解が深まる
- ストレスが軽減される
- 冷静な判断ができるようになる
- 信頼を得やすくなる
それぞれ詳しく紹介します。
1. 自己理解が深まる
アンガーマネジメントでは、怒りの原因を分析したり、自分の思い込みを認識したりする必要があります。怒りの原因に注目すると、その背景にある自身が大切にしている価値観が見えてきます。自分の価値観や思い込みが明確になれば、他者との違いを受け入れられるようになり、過度な期待から生じる衝突を減らしやすくなるでしょう。
アンガーマネジメントでは、怒りを無理に抑えるのではなく、自己理解を深めた状態で怒りとうまく向き合う方法を身に付けられます。
2. ストレスが軽減される
アンガーマネジメントによって、自分が怒りを感じやすい事柄や感情を落ち着かせる方法が理解できると、自身をストレスから守ることができます。理論的な指導や献身的なフィードバックができる社員が増えれば、人間関係に悩む社員の減少が期待できます。ストレスをためこむ従業員を減らすためにも、アンガーマネジメントを取り入れてみましょう。
3. 冷静な判断ができるようになる
怒りに振り回されることが減ると、冷静な判断ができるようになります。感情的になりやすい場面になったとしても、状況を客観的に分析できれば、衝動的な行動によるミスを減らせるでしょう。アンガーマネジメントには、人間関係を円滑にするだけでなく、トラブル対応や意思決定、教育の質を高める効果も期待できます。
4. 信頼を得やすくなる
アンガーマネジメントによって感情の起伏が穏やかになると、周囲から冷静に対話できる人として評価されます。冷静に対話ができる人は、同僚や上司に安心感を与え、信頼されやすい傾向があります。感情を適切にコントロールする力は、職場での信用を築き、リーダーシップにもつながるでしょう。結果として、社内評価やキャリアアップにもよい影響を与えます。
アンガーマネジメントのやり方8選
アンガーマネジメントの具体的な手法には、以下のようなものがあります。
- 怒りのメカニズムを知る
- 「6秒ルール」で衝動的な怒りを抑える
- 怒りのレベルを数値化する
- 怒りのパターンを記録する
- コントロールできないものを見極める
- 思い込み(固定観念)を捨てる
- 「アイメッセージ」で伝える
- 怒りではなく要望を伝える
それぞれ詳しく紹介します。
1.怒りのメカニズムを知る
怒りをコントロールするには、怒りのメカニズムを知ることが大切です。
怒りは、他者への要望から生まれるといわれています。「こうあるべき」という期待や思い込みが強いほど、裏切られたときに怒りが大きくなる仕組みです。怒りは二次感情とも呼ばれ、怒りの奥には悲しみや不安といった別の感情が隠れている場合もあります。
メカニズムを理解することで、自分の怒りと冷静に付き合いやすくなります。
2.「6秒ルール」で衝動的な怒りを抑える
人は怒りを感じてから冷静な判断ができるまでに約6秒かかるといわれています。そのため、怒りを感じても6秒間我慢できれば、過度な怒りをぶつけることを避けやすくなります。感情をよりスムーズに落ち着かせるには、6秒間に以下のことを取り入れるのがお勧めです。
深呼吸をする | お腹を膨らませるように息を吸い、お腹をへこませるように息を吐く |
思考を一度止める | 思考を一度止め、怒りの連鎖が起こらないようにする |
心の中で感情が落ち着く言葉を唱える | 「大丈夫」「たいしたことはない」といった言葉を心の中で唱える |
別の事柄に意識を向ける | 目の前にあるパソコンやコーヒー等に意識を集中する |
3.怒りのレベルを数値化する
怒りの感情を数値化すると、自分がどのようなことに大きな怒りを覚えやすいのかを明確にできます。同じような事柄で怒りのレベルが違えば、自身の忙しさや体調によって怒りの感じやすさが異なることにも気付けるでしょう。
自分の怒りを0〜10段階で数値化すると、より客観的に評価しやすくなります。
4.怒りのパターンを記録する
どのようなときに怒りを感じるのかを記録すると、自分の感情が動きやすい状況を把握しやすくなります。
例えば、怒りを感じた日時やそのときの状況を記録すれば「仕事が忙しいときにイライラしやすい」等、自分のトリガーを知ることができます。
より効率的なアンガーマネジメントをするためにも、怒りの数値と併せて怒りのパターンも記録してみましょう。
5.コントロールできないものを見極める
自分でコントロールできるものと、できないものを見極めることで、必要以上の怒りを感じることが少なくなります。
例えば、他人の行動や過去の出来事を変えることはできません。職場で同僚や部下に対して改善を促しても、思いどおりに動いてくれない場合、それが怒りの原因になってしまうことがあります。
また、過去の失敗を引きずっていると、ネガティブな感情にとらわれやすく、怒りも湧きやすくなります。
怒りを抱きにくくするためには、コントロールできないものに対してはある程度「手放す」姿勢が重要です。
他者のミスを減らしたいと感じたときには、指導方法を見直したり、マニュアルを整備したりする等、自分自身の行動や環境整備といった「自分が変えられる部分」に意識を向けることが効果的です。
6.思い込み(固定観念)を捨てる
「こうあるべき」「いつもそうだ」という固定観念は、怒りを増幅させる原因になります。
例えば「新入社員は誰よりも早く出社すべきだ」という固定観念をもっていると、出社時間に対する不満を抱きやすくなります。まずは思い込みを疑い、他の視点や他者の言動の背景に目を向けることが大切です。思い込みに気付き、相手の立場や状況も考慮できるようになると、感情のコントロールがしやすくなるでしょう。
7.「アイメッセージ」で伝える
アイメッセージとは、心理学におけるコミュニケーション手法の一種で、「私」を主語にして感情や意見を伝える方法です。
アイメッセージで伝えることで、相手を責める言い方を自然に避けやすくなります。例えば、報連相ができていない社員に「(私は)報連相がないと、問題がないのか不安を感じる」といった伝え方をすると、感情的に指導することを避けられます。
怒りをぶつけるのではなく、自分の感情を適切に伝えれば、相手も受け入れやすくなるでしょう。
8.怒りではなく要望を伝える
要望を伝えるコミュニケーション方法を取ると、建設的なフィードバックにつながります。
例えば「なぜミスを報告しないのか」と怒るのではなく「小さなミスでも都度報告してほしい」と要望を伝えるのが効果的です。
怒りの感情だけを伝えても、相手は行動をどのように改善していくべきか理解できないことがあります。何をしてほしいのかを具体的に伝えられれば、建設的な関係を築きやすくなります。円滑なコミュニケーションを取るためにも、要望を冷静に伝える練習を重ねていきましょう。
アンガーマネジメント研修を取り入れるのも効果的
怒りをうまくコントロールできる社員を増やすには、企業研修で学ぶ機会を提供することをお勧めします。
専門の講師による講義やロールプレイを実施すれば、実践的なスキルが身に付きやすくなります。会社全体で同じ知識を共有できると、職場の雰囲気も改善しやすくなるでしょう。
より多くの社員が受講できるようにしたいときは、時間や場所を問わず学習できるeラーニング形式の研修の導入がお勧めです。
サイバー大学の「Cloud Campusコンテンツパック100」では、部下育成に欠かせないコミュニケーションスキルや、ハラスメントにならない適切なり方を学べる研修動画を提供しています。怒りをコントロールしながら、建設的なコミュニケーションを取るスキルを向上させるためにも、Cloud Campusコンテンツパック100を導入してみましょう。
>>「Cloud Campusコンテンツパック100」をチェックする
まとめ
怒りの感情は、社員一人ひとりのパフォーマンスやチーム全体の雰囲気に影響を与えます。
アンガーマネジメントは、個人の感情コントロール力を高めるだけでなく、職場のコミュニケーションを円滑にし、生産性やエンゲージメント向上にもつながります。社員のメンタルケアや対人スキルの底上げを図るためにも、アンガーマネジメントの導入を検討しましょう。
サイバー大学の「Cloud Campusコンテンツパック100」では、年間999円(税抜)で100教材以上の教材を視聴できます。
職場のハラスメント防止セミナーの一環として、感情をコントロールする方法も学べるので、アンガーマネジメントの導入をめざしている場合はぜひご活用ください。
低コストで厳選コンテンツ見放題!Cloud Campusコンテンツパック100
ニーズの高い教材を選定し、年額999円(税抜)の低コストを実現しています。
ビジネスの基礎知識やコミュニケーション方法、マネジメント方法を学べるコンテンツが見放題で、Cloud Campusのプラットフォーム上ですぐに研修として活用できます。
コース一覧の詳細はこちらでご確認いただけます。