2024.12.11
ビジネススキル
人材教育
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人材不足や取り巻く環境、ニーズの変化によって、従来のトップダウンの組織では成果を上げにくくなっている企業も少なくないでしょう。
そのような状況を打破するには、リーダーシップとフォロワーシップのある人材が欠かせません。
従業員のリーダーシップ・フォロワーシップを向上させるには、それぞれがどのような役割を担うのかを押さえておくことが大切です。
そこで今回は、リーダーシップとフォロワーシップの違い、関係性を解説します。
必要なスキルを習得する方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
フォロワーシップとは
フォロワーシップとは、組織で実績を出すために、リーダーや他のメンバーに能動的な支援・補助をすることです。
たとえば、リーダーの主張や決定に誤りがあると判断したときに自分の意見を伝えたり、リーダーの代わりに他のメンバーの行動を促したりします。
単にリーダーの意見に従うのではなく、リーダーの状況や他のメンバーの様子を見て、能動的に動くことが求められます。
リーダー以外の人に求められる素質、スキルというイメージがありますが、会社としての業績を上げるためにリーダーを含む社員全員に求められる力です。
リーダーシップとフォロワーシップの違い
リーダーシップとは、実績を出すためにチームを引っ張っていくリーダーとしてのスキルや素質をいいます。
指導力・統率力と表現されることもあり、めざすべき方向性、今後の指針を示しながら引っ張っていく力が必要です。
一方、フォロワーシップは、リーダーに意見を述べたり、他のメンバーに能動的な行動を促したりすることです。
リーダーが示した方向性や指針に向かってスムーズに進むように、リーダーやメンバーの補助をする役目があります。
必要とするスキルや役割は異なりますが、いずれも組織が実績を出すために欠かせないものです。
リーダーシップとフォロワーシップの関係性
リーダーシップとフォロワーシップは、互いに影響を与え合う関係性です。
リーダーは、目標を達成するための方向性、プロセス等を示します。
それに対してフォロワーは、リーダーの示した方向性をもとに具体的な手順や計画を考え、実行に移すのが役目です。
実際にプロジェクトがスタートしたら、リーダーは進捗管理をしたり、メンバーが能動的に動くように的確な指示をしたりすることになります。
フォロワーは指示通りに動くのではなく、リーダーやメンバーの状況を確認しながら、問題点の提案やアドバイスをしていきます。
つまり、リーダーとフォロワーは、同じ目標に向かって協力し合う関係性です。
信頼されるリーダーのもとにはフォロワーシップを発揮できる人が集まり、優秀なフォロワーが属するチームのリーダーは、高いリーダーシップを示せるようになるでしょう。
フォロワーシップが注目されている背景
フォロワーシップは、アメリカのロバート・ケリー教授が著書で示した言葉です。
ロバート・ケリー教授は、リーダーが組織の成績にもたらす影響力は1~2割、残りの8~9割はフォロワーの存在に左右されるという研究結果を公表しています。
1990年代にはすでに概念として誕生していたフォロワーシップが今また注目を集めているのは、人手不足や企業を取り巻く環境の変化が背景にあります。
本来はマネジメント業務に注力すべき管理職が人手不足により、実務上のリーダーとしての役割を担う機会が増えているのが現状です。
責任のある業務が一人に集中すると業務効率が下がる恐れがあるため、フォロワーシップのある人材を配置してリーダーにかかる負担を軽減する必要が生じてきます。
また、企業を取り巻く政治や経済、社会等の変化が激しい現代では、トップダウンの組織では業績を上げにくくなっています。
環境やニーズの変化に対応するためにも、リーダーの意思決定を鵜呑みにせず、フォロワーとしての役割を果たせる人材が必要とされているのです。
フォロワーシップの5つのタイプ
フォロワーシップという概念を示したケリー教授は、フォロワーは以下の5タイプに分類できるとしています。
- 模範的フォロワー
- 孤立型フォロワー
- 順応型フォロワー
- 実務型フォロワー
- 消極的フォロワー
どのような特徴があるのか詳しく見ていきましょう。
1.模範的フォロワー
模範的フォロワーは、リーダーに建設的なアドバイスをするといった、自主的な行動をすることで組織に貢献できるフォロワーです。
リーダーに対して意見を出すだけでなく、リーダーの補佐としての役割も担うことから「右腕」と表現されることもあります。
めざすべきフォロワーの姿であり、リーダーシップも持ち合わせているのが特徴です。
2.孤立型フォロワー
孤立型フォロワーは、リーダーに意見を述べるものの、自主的な行動が見られないタイプです。
否定的な意見を出すこともあるため、チームの雰囲気を悪くする可能性があります。
その反面、的を射た意見を出す観察力に優れていることから、リーダーが方針や展望を的確に伝え、貢献したいという気持ちが芽生えると模範的フォロワーになる素質があります。
3.順応型フォロワー
順応型フォロワーは、否定的な意見を出すことがほとんどなく、積極的に組織に関与する行動が見られます。
リーダーの方針に対して自身の意見をもたず、忠実に従うのが特徴です。
誠実に仕事をしていくため、安定した成果を出す傾向があります。
能動的な発言を引き出せれば、模範的フォロワーに近づくといわれています。
4.実務型フォロワー
実務型フォロワーは、自分に与えられた仕事を着実にこなすタイプです。
ただ、決められた範囲内の仕事に徹し、組織に大きな影響をもたらすことが少ない傾向にあります。
バランスがよいと評価される反面、チャレンジ精神に欠けるという印象をもたれることが多いです。
5.消極的フォロワー
消極的フォロワーは積極性に欠け、意見を出すことが少ないタイプです。
模範的フォロワーと対照的な存在で、組織への貢献度が低いといわれています。
目立つ存在ではないことからマイナスの印象をもたれることが多く、フォロワーとしての役目を果たせているとはいえないでしょう。
フォロワーシップの具体的な行動例
フォロワーシップを発揮できているといえる具体的な行動例は、以下の通りです。
- 業務を率先して引き受ける
- 意見を積極的に伝える
- リーダーの指針・指示をチームへ適切に伝える
- 会社や組織全体への貢献を意識する
ひとつずつ詳しく紹介します。
業務を率先して引き受ける
フォロワーは指示された仕事だけでなく、自分にできる業務は率先して引き受けることが大切です。
リーダーの仕事を巻き取れれば、リーダーは自身にしかできない業務に注力できます。
その結果、リーダーは適切なリーダーシップがとれるようになり、組織の成果が上がりやすくなるでしょう。
意見を積極的に伝える
フォロワーには、リーダーの主張や決断に疑問を感じたときに、意見を積極的に伝える役割があります。
フォロワーからの意見は、リーダーが新たな気付きを得るきっかけになり、よりよい意思決定につながります。
また、リーダーと意見を交換することで、リーダーの考えをより深く理解できるようになれば、適切なサポートがしやすくなるでしょう。
リーダーの指針・指示をチームへ適切に伝える
大規模な組織であるほど、リーダーの指針や指示がメンバーに浸透しにくい傾向があります。
また、指針や指示が伝わっていても、業務に反映できていないメンバーがいることも考えられます。
そのようなときにフォロワーがリーダーに代わって指針・指示をメンバーに伝えられれば、業務がスムーズに進みやすくなるでしょう。
会社や組織全体への貢献を意識する
フォロワーシップの目的は、リーダーやメンバーに能動的な補助をして、組織としての実績を出すことです。
そのため、目先の利益ばかりではなく、会社や組織全体への貢献を意識して行動することが求められます。
視野が広がれば、より広い範囲でフォロワーとしての役目を果たし、組織・会社全体に貢献できるようになるでしょう。
フォロワーシップを高める方法
フォロワーシップを高めるには、以下の方法が有効です。
- 研修を取り入れる
- 日常業務を通してトレーニングする
- 力を発揮できる機会を設ける
それぞれ詳しく紹介します。
研修を取り入れる
フォロワーとしての必要なスキルを身に付けるには、フォロワーシップの概要や必要性を学ぶことが大切です。
「何のために身に付けるのか」「どのような場面で発揮されるのか」を理解していなければ、前向きに取り組むことができません。
くわえて、フォロワーシップを身に付けて実践に移すには、ロジカルシンキングや問題解決力といったスキルも必要です。
さまざまなスキルが求められるため、eラーニング等を利用して体系的に学ぶのが効果的です。
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日常業務を通してトレーニングする
フォロワーシップを育成するには、日常業務を通して以下のことを意識し、トレーニングをするのが有効です。
- リーダーが示した指針に対して自分なりの意見をもつ
- リーダーの立場になってチーム全体を見る
- リーダーやメンバーと積極的にコミュニケーションをとる
- メンバー同士で支援し合う
フォロワーシップは、すぐに身に付くものではなく、日頃の意識の積み重ねが向上につながります。
力を発揮できる機会を設ける
同じ能力のある人でも、所属するチームやリーダーによってどれほどのフォロワーシップを発揮できるのかが変わります。
フォロワーシップを発揮しやすいのは、優れたリーダーのもとです。
貢献したいと思えるリーダーのもとであれば、能動的に意見をしたり、サポートをしたりするモチベーションが高まりやすくなります。
優秀なフォロワーを育成するためにも、信頼される人材をリーダーとして配置し、環境を整えることが大切です。
くわえて、現状はどのフォロワータイプに該当するのかを評価し、その人がめざすべきフォロワーの指針を示したり、目標を与えたりするのも効果的です。
フォロワーシップを高めるには従業員任せにすることなく、力を発揮できる機会を設けることが会社の役目といえるでしょう。
まとめ
リーダーシップとフォロワーシップは、互いに影響し合う関係性です。
従業員のフォロワーシップを伸ばすには、貢献したくなるようなリーダーのもとに配置し、日常業務でトレーニングしていくことが大切です。
くわえて、研修を通してフォロワーに欠かせないスキルを体系的に身に付けてもらうことも欠かせません。
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